Over the Bridge of Rainbow
〜虹の橋を越えて〜

Updated 2002/07/25

 さて夏の新作『アルシャード』、一部では7/20以前から入手可能です。ここではこれから購入したりする方のために、ちょっと紹介を載せてみましょう。
 
 

Over the Bridge of Rainbow
虹の橋を超えて

 先日【FEAR Online】内にアルシャード公式サイトもオープンしたこのゲーム、“王道をゆくスタンダードなファンタジーRPG”という触れ込みのもと、それほど前情報もありませんでしたが、夏の新作として2002年7月20日に登場しました。値段のほうは\3,000、240ページと他作品に比べると若干薄めになっています。
 
 

Questers
探求者たち

 舞台は異世界ミッドガルド。機械仕掛けの神デウス・エクス・マキナとの争いに敗れ、古の神々は滅び去ってしまいました。しかし神々の力と霊質は消えることなく魔法元素マナとして大気に残り、ある時はそれ自体が意志を持った、様々な形と色を持った結晶体シャードとして残りました。
 このゲームのPCの呼び名はクエスター(探求者)。宝石や装身具、あるいは体の一部として、様々な色や形をもって実体化したこのシャードをその身に帯び、大いなる運命の中に導かれることを予言された選ばれた者たち。そしていずれはシャードと共により高き存在であるサクセサー(神格者)となり、虹の橋を越えて神々の地アスガルドを、世界樹ユグドラシルを探し求めるのです。
面白いことに『ブレイド・オブ・アルカナ』のPCである聖痕者たちは3つの聖痕を身に宿していますが、このゲームではビジュアル的なしるしは1つになっています。
 基本ルールではクラスは14種類。基本クラス4種は戦士のファイター、遺跡探索のスカウト、魔術師のホワイトメイジ/ブラックメイジ。残りは空中島のアカデミーで魔術を修め、手の甲に埋め込んだ賢者の石(コンダクター)から力を引き出す賢者ウィザード、ミッドガルドを旅するヴァグランツ、水/火/風の聖霊と契約を結んだエレメンタラー、クリーチャーを狩るハンター、真帝国の軍需企業ヨルムンガルド/非帝国地域の運送企業ゼネラルマテリアル社の工作員エージェント、帝国を離れ装甲車両と共に世界をさ迷う装甲騎兵パンツァーリッター。南から来た砂漠の民ジャーヘッド、東の異国ヤシマから来たサムライ。
 また人間以外の異種族として、額に古代のレリクスを埋め込んだ巨人族の生き残りアルフ、古代から巨人族に仕えて奈落と戦ってきた女性形の戦闘機械であるヴァルキリーが用意されています。
 それぞれのクラスに対応する神がおり、PCは作成当初から備えている3レベル分のクラスそれぞれに対応した神の「加護」を、シャードの力によって1アクトに3回使える――という、『トーキョーN◎VA』シリーズでお馴染みの《神業》のような力があります。ただし敵を即死させたりするのではなくダメージが増えたり効果が拡大したりするレベルなので、『ブレイド・オブ・アルカナ』の∴奇跡∴の方が近いかもしれません。(奇跡より弱めかも?)
 ゲーム全体のネーミングや各クラスに対応する神々も北欧神話のものになっており、戦神トールがファイターに加護を与えたりと概ね現実世界の北欧神話と似たものになっています。砂漠の民ジャーヘッドに加護を与えるのはバビロニアの冥界の神ネルガル、サムライは日本神話のタケミカヅチと、ここだけは完全に別物。本来は最高神オーディーンに仕えているヴァルキリーに対応するのは戦いと魔法と愛欲のフレイア、アルフが豊穣のフレイ、と2種の異種族分だけはヴァン神族になっています。また、エレメンタラーに加護を与えるニョルド神は風と海を治める港の神ですが、この世界では火の属性も持っているようです。
(ところでエレメンタラーが契約を結ぶ精霊に水/火/風がいて土がいませんが、これはいいのかな?・笑)
 
 

System
システム

 キャラクター作成時のPCのクエスターレベルは3。そこから1つのクラスを3Lvにするか2つのクラスを2Lvと1Lvにするか3つ別々のクラスが1Lvづつ。常にクラスレベルの合計がクエスターレベルになる‥‥という、『ソード・ワールド』のような複合クラス制になっています。(一人が持てる最大クラス数は3。) 複数のクラスを取得してデータも揃った作成済みキャラクターが、コンベンション等時間の限られたカジュアルプレイ用のテンプレートとして並んでいるのは今まで通りです。
 このゲームにも特技はありますが、選択の自由はそれほどはなく、クラスを得た時点で幾つか自動的に獲得、あとはクラスレベルが上がっていくと順々に獲得‥‥という形になっています。特技によるオプション行動の幅を楽しみつつも、地道なレベルアップによる固定成長のプリミティブな楽しみも押さえているのでしょうか。やや古くは『アースドーン』、最近だと『D&D3e』のようなスタンダード路線に近いですね。クエスターレベルが上昇し、各クラスのレベルが上がると能力値から算出された各戦闘値も上昇していきますが、この成長修正がクラス毎に差があったりしてけっこう頭を使います。

 また、特技の数は全体的に少なめです。N◎VAやブレカナは特に、湯水のように経験点を注げば好きなだけ特技が取得でき、なんというかドリームの詰まった幾らでも強いキャラクターが創れて時として問題になりましたが、アルシャードではそうもいかないようです。
 また、一部を除いて特技の組合せ判定は存在しません。無限の組合せと解釈が出現して多くの人の頭を悩ませてしまう組合せ判定をすっぱり切り捨てたのは、ビギナー向けを意識したスタンダードRPGとしては正解かもしれません。

 通常の判定の方は各能力値から導かれた各値+2d6の上方ロール。戦闘のダメージも1d6+武器などの修正(クリティカルしたら2d6)−防具と、かなりシンプルです。高経験点下や装備が強力であったりN◎VAやブレカナだと神業/奇跡の量が多かったりした場合、得てして戦闘に余計に時間が掛かったり行動に悩んだりと時間的負担が大目になりがちですが、このゲームの戦闘はかなり楽になりました。
 そして一見見落としがちですが、このゲームの加護は同一のタイミング時点では1キャラクター1回しか使えなくなっています。聖痕をたくさんたくさん蓄えた麿ーダー様や人数の多いゲストが相手の決戦の時、奇跡/神業が一瞬のうちにゴイスーに乱舞し過ぎてわけが分からなくなったりせっかくの見せ場の印象が薄まってしまったりする事態は解決されている訳です。なおNPCであるゲストはシャードによる加護を4つ以上持っていることもあり、特に帝国軍の人物はリアクターの力でそれを可能にしているようです。基本ルールに載っている以外の神の名を冠したシャードの存在もほのめかされています。

 その他のルールでは登場判定あり、キャラクターの出自、境遇、重要NPCとの邂逅の3つをダイスor選択で決める「ライフパス」がありと、今までの諸作品に見られた各ルールを取り入れつつ切り捨てたものもあり、シンプルにまとめています。時として邪魔になってしまうこともあるロールプレイ支援ルールは、今回はありませんでした。
 特技のほか武器防具やアイテムなどデータ類も割合と少なめで、これは今後の上級ルール等での追加を見越しているようです。

 また、ルールブック発売と同時にシナリオ集SSSも発売されています。こちらは毎回のテーマは各クラスだそうで第1回目はハンター。シナリオの構成は現行の諸作品のSSSと同じ、各PC毎に個別の導入がありクエストを渡され、展開の後に終結して最後は団結して敵を倒して終わり――となっています。この辺のアクト構成のスタイルは、アルシャードでも特には変わってはいないようです。また、ハンター用の追加ライフパスなどが付属しています。上で述べたガジェットやデータ類が少なめなのは、SSSシリーズでも増強していく展開があるからのようです。

 面白いところではアクトの実際の卓で、GMがテーブル短辺でPLを見渡すお誕生席に座らずに全員のPLから近いテーブル長辺の真中に座るよう、ルールで明記されていますね。(笑) 某GFコンでの座り方と同じですがこのへんは実地体験が生かされているのでしょうか。
 またGM/PLのプリ・プレイ段階での準備のところに、「楽しむ気持ちを持とう」という、全てのTRPGに大事な心構えがさりげなく書かれています。

 そしてワールドガイドの方にはPCと何らかの形で出会うであろう、いわゆる有名NPCの解説が並んでいます。齢400を超える真帝国皇帝や銀十字軍隊長、レジスタンス組織の少女からエクスカリバーの導師まで色とりどりですが――よく見ると見慣れないクラスが幾つか表記されています。エンペラー、プリースト、ジェネラル、ドラゴン、ノーブル、アークウィザード、オラクル、アポスル‥‥これらのうち幾つかは、8月発売の上級ルール『アール・ヴァル・アルダ』で上級クラスとして載るということでしょうか?
(あと、どうでもいいんですが上級ルールの表紙を見るとヴァルキリーたんの影で犬っぽいお侍様(?)とかがいるのが微妙に気になります。これはワールドガイドに少しだけ出てくる狼人シリウス族なども選べるようになるということか?/笑)
 
 

World of Midgard
ミッドガルドの世界

 古き神々が死に絶え、機械仕掛けの神デクス・エクス・マキナを唯一神と崇める強大なる軍事宗教国家、真帝国(ヴァーレス・ライヒ)が果てのない勢力拡大を続けるミッドガルドは戦乱のただ中にあります。
 PCたちクエスターはシャードの力を用いることで世界に存在するマナを枯渇させることなく力を引き出せるのですが、帝国はカバラ理論によってこれを機械技術に応用させました。リアクターと呼ばれる装置の中にシャード、あるいはマナを人工的に結晶化させたクリスタルを保持すれば、その力を引き出せるのです。よって帝国の幾多の都では浮遊車両が自在に道路を走り、天にそびえる壮麗な塔の間を浮遊戦艦が飛び立つという、こう、ファイナルファンタジーシリーズの美麗ムービーに出てくるような光景がいつも繰り広げられている訳です。(笑)
 古今東西“帝国”というとたいてい悪でついでにドイツ系のネーミングが多いと相場が決まっていますが、『アルシャード』もまた然り。世界の北部にぽっかりと空き、魔物が跳梁跋扈する亀裂である「奈落」は帝国がカバラ理論によってクリスタルを量産しすぎたことによって出現したと噂されており、しかも広がり続けているのです!
 帝国軍の皇帝親衛隊銀十字軍ジルベルクロイツのイメージは漫画『ヘルシング』に登場する人々であることが作中でも言及されています。連想される他のイメージソースはFFシリーズ各作に登場してきた機械化された帝国や‥‥だいぶ古いですが『熱血専用!』に登場する魔導帝国や、アニメだとこれまた古いですがエスカフローネのザイバッハ帝国(だったっけ)とかとかでしょうか?
 私服を肥やす西部方面軍団長や侵略を続け悪逆の限りを尽くす一般兵の影で、皇母はいい人っぽかったり涼しげな白竜隊女隊長がいたり。きっと帝国の未来を真剣に憂う若き将軍とかがいたりしてなんかPCたちとぽわぽわーんと運命の邂逅を果たしたりなんかする予感がそこはかとなくっていうか絶対にしますが、この真帝国(ヴァーレス・ライヒ)が基本的に悪でPCたちクエスターが反体制側。帝国軍の尖兵と戦い、奈落から現れる脅威を退け、時にはマナによって暴走したクリーチャーを普通のファンタジーRPGのように怪物退治したりながら、神々の導きの元にシャードと共に英雄へと成長してゆく‥‥というのが基本スタイルのようです。
 他の組織としてはハンターギルドのノルン(当然、中の部門は3つあります)や賢者の石から力を引き出す魔術師たちの集うアカデミー、反帝国の市民組織プリムローズ、ファンタジー世界だけど企業形態でエージェントが跋扈しているヨルムンガルド社やゼネラルマテリアル社、飛空艇アヴァロンに本拠を置き奈落の謎と戦っている円卓騎士団エクスカリバーなど。どうもこのエクスカリバーは13導師様と一緒にジェ●イ騎士をやるところらしいです。

 敵役として用意されているデータは帝国軍関連に、奈落から現れるのが怪物の中でもいわゆる悪魔や吸血鬼といった類。マナの力で変異してしまったクリーチャーが魔獣といういわゆるモンスター類。そして古代遺跡で稼動し続ける殺戮機械バーサーカーなどの機械類が用意されています。

 真帝国の設定もそうですし、企業エージェントたちは銃や爆薬を持ち歩き、砂漠の民ジャーヘッドはSMGを構え、ヴァルキリーの戦闘システムW.A.R.S.にはレールガンなどの強力な古代兵器が含まれ、特技の名称にもSFっぽいものがけっこうあり‥‥このアルシャードの世界はスタンダードなファンタジーとは銘打っていますが、実際には見境いなく科学文明が混在しています。本物のファンタジーが好きなオールドファンは嘆くでしょうが、まあ要はFFっぽい世界であるわけで、新世紀のRPGということでしょうか。
 
 

And what's difference
そして、違いは‥‥?

 さて、では最後にTRPGに慣れた人間寄りの見方を。
FEAR社の諸作品は良く言うと過去に蓄積された様々なノウハウを活かし、悪く言うとどれも互いに似たようなゲームが多くなっています。
 この『アルシャード』もまた然り。3回使える加護は『トーキョーN◎VA』からの伝統ですし、神の欠片を身に宿した英雄というのは『ブレイド・オブ・アルカナ』の聖痕者と同じです。ヴァルキリーやメカニック類は『ドラゴンアームズ』風なところもありますし、FFっぽいファンタジーであれば既に『創世記エルジェネシス』で一度やっています。全体的なとっつきやすさやアクのなさは『ダブルクロス』に通ずるところもあるかもしれません。
 王道スタンダードなのはおおいに結構ですが、このアルシャードの淡白な薄味感とでもいったものは、逆に言えばそのまま固有のインパクトの弱さにも繋がりかねません。「今までのゲームと何が違うの?」と思った方も多いでしょう。
(まあ慣れた人向けの濃いゲームは、今度は明らかにビギナー向けでなくなってしまいますから難しいですが‥‥)
 真帝国の設定はまあベタですが燃えますし、神の遺志を継ぎ、新たなる神話を作るRPG‥‥という壮大な気概も惹かれるのですが、ページ数に比例して世界設定も少なめで神話関係もいまいちよく分からない部分があります。
 8月上旬には上級ルール『アール・ヴァル・アルダ』も発売、イベントもあり、シナリオ集SSSの他にリプレイ+シナリオ集なども出るとの噂もあり、これからの主力作品となるようですが、今後の動向や如何に‥‥?といったところでしょうか。

 とは言っても実際にミッドガルドに足を運んでみないと分からない面白さもあることでしょう。とゆわけで誰か今度遊びましょう。(そんなオチかよ!)
 それではシャードの加護のあらんことを‥‥
 
 

汝もまたシャードに導かれし者なり。
-ALSHARD-
  Q.これは誰の眼? A.アルフたんのでしゅ〜
アルシャード公式サイト

「アルシャード」は有限会社ファーイースト・アミューズメント・リサーチ及び
有限会社ゲーム・フィールドの著作物です。

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...... ALSHARD ... you are successor of gods's will ......

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