RI-Foundation went to the West!
〜ワイルド・ワンダフル・ウェスト【前編】【後編】〜
2000/01/29 マニCON前夜祭
 


 西の魔人(笑)の迎撃作戦が終了した新年。この先しばらく遊べなくなるので、今の内に遊ぶ計画はまだ続くのです。というわけで1/30に大阪で行われる『トーキョーN◎VA Maniax コンベンション』に遠征だ!
 金曜の夜はサイト更新を終えて準備を終えて最後にメールチェックだけしようとWebに繋いだのが運の尽き。「遅かったかもかも」とかいいながら某大王様からのルーラー命令もとい要請メールが。シナリオも添付されているではないか。(泣笑)
 一方関東方面軍ぶるれぼ中隊からは、夏コミ頒布予定の北米都市エイジス設定本の最新プレ版を西の方々に届けてほしいという緊急要請が。MYO専務とのコンタクト地点を早朝の通過地点に定めて現物を確保して東京駅に向かうのです。
 とりあえず印刷したシナリオの読破は中断してエイジス本を先に。前に見せてもらったところからもっと進んでいます。コロラド川の中に作られた魔法の水中公園! 北米のアストラル! 現実世界の豊富な知識に基づいた北米Webネクサスの設定! とどめはLIMNETインフォメーションサービスの形態を取った、北米で活動している40に及ぶオーガニゼーションガイド。ジュノーから厚生省からインヴィジブルムーンにNZ3W、さらなるオリジナル勢力群。LU$T本拠の岩崎製薬だけメールアドレスがco.jpになっているこの細かさ! ある工房はネオフランスにおけるソフトドロイド制作の頂点? 子会社がマルチメディアに乗り出したあるオセアニア企業はマリオネット並みの勢力に? い、いいんですか専務(爆) ていうかミレニアムの隣に載ってる某財団ってどーよ(死)
 夏コミで頒布された暁には、これはガゼン買いです。命令です。(かなりマヂ)

 さて、前日は大阪方面で同人誌/Webで活動中の【ぬばたまの闇のだんぢょん】の皆さんが迎撃もとい歓迎セッションをしてくれることになりました。グラペケに掲載されたオーストラリア設定、【キャンベラAXYZ】生誕の地と言えば御存知の方も多いでしょう。略してぬばたまでなくぬば「闇」と呼ぶのがツウです。ぬば闇王国と夢の共演&生AXYZ体験でしゅ!
 ちなみにいつも遊んでいる面々は総勢8人ほど、厳密なサークルという訳でもない模様。『ぬばたまの闇のだんぢょん』の名称も同人誌を出す時に山田さんが使っているだけので、“ぬば闇勢”という呼称も正確ではないそうです。うーん西は奥が深い。(笑)
 プリントアウトしたAXYZ設定もおみやげにもらってしまいました。お返しはひよこ経験点チケットです。最近追加されたパーソナリティーズも予習済みでアクト開始!
 

And so, they appeared on the Staj of Wheel of Fortune .....

Handle: “SFな”サキコ・フォーンダイン
Style: カゼ◎●,アラシ,カブト Aj: 19 Jender:
 オーストラリア出身の軍需車輌テストパイロット。ヨコハマLU$Tの闘技場でもレディホークを駆っているが、実戦経験は皆無。自分が技術者であり、軍人であり、パイロットであり、そしてそのどれでもないことを疎ましく思う悩める19歳。最近はメディア関係のいいバイト先――ジリオラのスタジオ・ディーンを見つけて半居候になっている。
Player: 堀野
▼ある時はニューロタング大誤解網化人間/Wired Human】にも載っているManiaxの絵師綿飴白画伯、ある時はWebに現れるくくりの、そしてある時はキャンベラAXYZ設定委員会大幹部、投稿代表者のゆらゆら皇子殿下です。山田聖さんらによると「本人は真面目なのだが他人から見るとお笑い系」、そして篠原ダークプリンセス殿下によると「割と僕に似たところがあるのでゼヒ会わせたい」そうです。い、一体どんななんでしゅかね。(笑)
 喫茶店『ハーブ・ガーデン』やコロッセオにいるあのサキコさんの登場です。やったでしゅ! 今回防御は<※鉄壁><※ディフレクション>、回避は<※ドッジ><※曲芸走行>に<※ドッグファイト>+<※ウィークポイント>で攻撃とウォーカー以外のヴィークル搭乗時の方が強いバージョン。コロッセオ退役後なのでタタラ→カゼになっています。
 ハンドルの“SFな”の由来を聞いたところ、アクト開始時にキャラメイクが間に合わなかったため、ジツはサキコ・フォーンダインの名前の頭文字をとっただけだったとのこと。や、やられたナリ!(笑)

Handle: ベル
Style: ヒルコ=ヒルコ=ヒルコ◎● Aj: 4 Jender: メス
 スタジオ・ディーンの女主人ジリオラに飼われているセントバーナード犬。実は人間語を話すN◎VA生まれのバイオ犬。体内に様々なインプラントを内蔵しており、偽装された牙での戦闘から体毛の一部による遠隔射撃、翼による高速飛行までが可能。名を呼びかけられると独特のポーズをとる。
Player: しまやん
▼キャンベラAXYZ設定委員会の戦闘員、しまやん殿下です。昨年末にお忍びで帝都に来ていたのでその時にコンタクト済みです。話に花の咲くダークプリンセス殿下とお風の姐御を横目に「女ってよく喋るよね」と共通の感想をもっていました。(笑)
 すごいです。今までいろんなキャストと遊んできましたが犬との共演は初めてです。社会:動物あり、<※動物との会話>に成功すると人間と会話できるという涙ぐましいベル君なのです。

Handle: “派手好きな”真理央(マリオ)・ロセッティ
Style: エグゼク=エグゼク◎,トーキー● Aj: 31 Jender:
 ウィンダム本社のキャンディス・フーズ・コーポレーションのAXYZ支社、第二広報部部長。エグゼクらしからぬ派手なファッションを好むラテン系の色男。その眼力は運命の天輪すら見通す。裏世界で恐れられる同社特殊処理課の“スーサイド”アッシュとは同期。
Player: 篠原 透 【NEUROGUE
▼サイトを改装中のダークプリンセス殿下見参! 殿下はイロイロと知識が深いのです。エエ、イロイロと。
 どうも殿下には最近ひよこくん生誕の秘密を始め、財団の秘密を幾つか知られてしまったようです。ガゼンやばいですね。対策にスパイを送り込みましょう。殿下の臣下に紛れている「おんなせんとういん」は財団の「こうさくいん」と内通しているのです。Luna+shinEをこっそり見ましょう。
 ぬば闇勢キャストは各種戦闘に特化したりバラエティ豊かな技を持っていたりするそうですが、真理央は社会戦専門。<※予算獲得>で報酬点もブースト、<※運命の輪>になんと<社会:軌道>持ち。豹柄ファッションでキメる伊達男なのです。

Handle: “光の弾丸”静元星也
Style: イヌ◎,マヤカシ,カブトワリ● Aj: 22 Jender: ♂ 【Profile
 ブラックハウンド生活安全課の若手巡査。射撃の腕は抜群で幻術を扱うともいう。生真面目な若者で年の離れた姉がいる。ヨコハマやあちこちに遠出するといつもたいてい事件が起こっている。
▼星々への最短中継地点、キャンベラAXYZへの記念すべき一歩を記した財団キャストは星也君になりました。今回はExp150台にぱわーUp。でもやっぱりウォーカーに追い掛けられました。(笑)

Ruler: ぴか中太郎
▼残念なことに山田聖さんが欠席となったため、AXYZではパーソナリティーズを作った中倉さんの中太郎さんが急遽RLをしてくれました。感謝感謝。AXYZ設定委員会第一号の改造人間で、シノハラ殿下らのM:TGの師匠だそうです。普段の温かいプレイスタイルが伝わってくるようでした。
 ペケではわずか2Pのオーストラリアもこんなに設定が詰まっています。現在ウェブサイトで公開されている2ndバージョンは、オフィシャル展開とのコンフリクトを調整して1stに比べると若干おとなしめになっています。(うーんちょっと残念。)

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Mystery T

〜ミステリーT〜

 そのデータディスクが届いてきたのは、ハウンド基地でぼくが書類の整理をしていた時だった。キャンベラAXYZ行きのチケットに、手紙代わりのデータディスク。開くと、彼女のホログラフの背後から和やかな音楽が聞こえてきた。
『Hi、お久し振りね星也さん。私よ、アリーよ。元気にしてる? 実は、お願いしたいことがあるんだけど‥‥』
 彼女は半年前まで、N◎VAにいた運び屋の娘だ。ある事件に巻き込まれた時、ぼくが少し面倒を見たことがある。今はキャンベラAXYZに渡っているはずだ。
 彼女の頼みは、ある品物をAXYZから運ぶ時の手伝いをしてほしいというものだった。ぼくの口座にはもうゴールドが振り込まれていたんだ。

Seiya Shizumoto - Illustrated by (C)篠原透

 どうしてこのぼくなんだろう? 彼女はストリートでの運びの依頼も受けていたから、護衛が必要なんだろうか。まあ確かに、あの事件の時は銃撃戦もあったけど‥‥。まあ、ただで旅行ができるんだし、行くだけ行ってみるとするか。


 机の上に置かれたチケットが藤咲竜二巡査や御堂葵に見られたせいで、署内にはあっという間に噂が広まっていた。
「どうしてオーストラリアまで?」「あいつ、誰に会いにいくんだ?」などと署員が囁く前で、静元星也巡査は週末に重ねて休暇の申請を取る。
「ほう‥‥オーストラリアか。そうだなぁ、AXYZに行くならまずあの店のは食べないといかんな。いや、ユグドラシルも一目は見ておかんといけんぞ。あとはミラージュ・コーストの‥‥そうそう、市警察に行く機会があったらだなぁ‥‥」
 誰しも自分の故郷は懐かしいものだ。ひとしきりオーストラリア名物を説明して満足げなゼロ巡査部長に、星也巡査は「はっ。努力します」と敬礼すると退出した。

Mario Rosetty - Illustrated by (C)篠原透

 その食料技術でオーストラリアの民を“災厄”から救ったキャンディス・フーズ・コーポレーション。オーサカM○●Nで起こった“小災厄”事件関与の疑惑から評判を落とし、同社は“ウィンダム機関”からの1/3の研究員の離反を許してしまった。彼らは現在、オセアニア第2位のバイオ系企業に成長したテンプルトン・ライフシステムズとして、CFCの地位を脅かし続けている。
 だがしかし、オーストラリアでのCFCの影響力は少しも衰えていない。CFC・AXYZ支社第二広報部。真理央・ロセッティ部長は本部長から指示を受けていた。重要サンプル、コードネーム“T”のウィンダム本社への移送が他勢力に嗅ぎ付けられ、飛行機が撃墜された。次は空路を避けて陸路を使用。CFC広報部はこのプランが成功するようにバックからの働きかけを行う。
 このサンプルは全人類に関わるものであり、CFCの社運が掛かっているという。現時点で推測される妨害勢力はBIOSとG.C.I.だ。

 キャンベラAXYZのグリーン・エリア、スタジオ・ディーン。サキコ・フォーンダインはスタジオに来た派手な格好のエグゼク――知り合いの真理央・ロゼッティ部長にエスプレッソを出していた。いつも、このスタジオは知り合い達の集まる場所になっているのだ。
 そこへ現れたのは、アリーという運び屋の娘。まずはこれを見てと映像データの入ったチップを差し出す。

『やあ。揃っているな。仕事の話だ‥‥』
 サキコが答えるであろうタイミングまで計ったように話を始める画面の男。30過ぎとは思えない、ナイフのように鋭い容貌。倍返しを恐れられるCFC特別処理課課長の“スーサイド”アッシュだった。

Sakiko Forndyne - Illustrated by (C)篠原透

 仕事はこの映像データを持ってきた運び屋と共に、指定のヴィークルでウィンダム本社までブツを運ぶというもの。ブツの内容は極秘。
『‥‥ではよろしく頼む。私は、前回の仕事の失敗の責任を取らねばならない。さらばだ』
 アッシュのカゲムシャの一人らしきその男はおもむろに拳銃を取り出すと、自分の額に当てた。響く銃声。ノイズ一色に変わる映像。データはそこで終わった。
運び屋のアリーは、例の物を運ぶ予定の指定のヴィークルのキーを見せる。だがそこで、現実世界でも殺人が起こった。突然アリーの背後に何者かが現われ、彼女の首がことんと落ちたのだ!


 亜軌道ジェットの旅は順調だった。ぼくはキャンベラAXYZの東にある国際空港で降りると、市内へと向かった。何もかもが新鮮だ。やっぱり、ぼくのような日系人は珍しいようだ。
 重いトランクに少し疲れて公園で休もうかと思った時。平和にひなたぼっこをしている一匹のセントバーナード犬がぼくの目を引いた。
 家でもジン――柴犬のジンを飼っているけど、ぼくは犬のことはけっこうよく分かる。目があった瞬間、昔の事件のことが甦った。あの時はもっと小さかったけど、今でもよく覚えている。ヒルコはN◎VAでは捕まったら殺されるから、バイオ犬だったベルの正体については黙っていたんだ。
「もしかして‥‥‥‥ベル? ほんとうにベルかい?」
「ワン!」
 名前を呼んだ途端、彼女は後ろ足で立つと独特のポーズを取った。あの拳法の構えみたいな妙な姿勢、あの微妙な角度。何も変わっていなかった。
「そうか、やっぱりベルか! 大きくなったけど、そのポーズは変わらないな!」
「星也モ元気ソウデ安心シタヨ。AXYZヘハドウシテ?」
「それが‥‥旅行じゃないんだよ。いきなり呼び出されてさ。そうだベル、この辺りでアリーって子を知らない?」
「‥‥分カラナイ」
「‥‥そうだよな。よく考えたら、犬が知ってるわけないよな」
 途端にベルはしゅんとうなだれると目に涙を浮かべた。
「あー、ごめん。そんなつもりじゃないんだ」
「デモ、べるノ主人ノじりおらナラ知ッテルカモシレナイヨ?」

 
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 散歩中だったベルに連れられ、星也は主人の家に案内される。表札のは『ジリオラ・デ・オトラート』の下に、『サキコ・フォーンダイン』『ベル』『イプシロン』と同居者たちの名前が列記されていた。
 入口には華僑系のレッガーたちがたむろしていた。何かをやらかすつもりのようだ。星也は身構えるが、ここはN◎VA特務警察の管轄ではない。
「‥‥ベル、あれ、知り合い?」と横のセントバーナード犬に尋ねる日系人の若者に、レッガーたちは馬鹿にしたような笑いをもらすと家の中へ向かった。


 真理央とサキコが身構える前で、華僑系の暗殺者は血塗れの青龍刀を手に現れた。
「ふふ。美食とは罪なものだなあ。これで伝説の食材が手に入る。御主人様も喜ぶさ」
 運び屋の娘アリーが運ぼうとしていたものは、“T”と呼ばれる何からしい。
「あなた、まさか‥‥食材ひとつのために人を殺したのっ?!」
「ああ、そうだ。ま、若い女の死体はいろいろ使い道もあるからな」
 震える声で叫ぶサキコに、暗殺者は舌なめずりしながら答えた。「今の俺には、お前が羊に見えてくるぜ‥‥」
 だが、こんな相手にスーツを汚されてはラテン系の伊達男の名がすたる。真理央・ロゼッティは既に、警察に連絡を入れていたのだ。
 AXYZ市警の名物捜査官、ニコル・グラハムが部下を率いて影の中から現れる。混乱をきたした暗殺者のジェイスン・リーと取り巻きたちは、家の入口から逃げ出そうと駆け出した。

“スーサイド”アッシュに続いてAXYZ有名パーソナリティーズ登場。オーストラリア警察捜査課“唸る黒豹”ニコル・グラハム(Male/43 イヌ=イヌ◎●,クロマク)は、映画『リーサル・ウェポン』シリーズに出てくるダニー・グローバー扮するマーコフ刑事がモデルなんだそうです。


 連中が逃げていく方向に、サキコは妙な取り合わせを見つけた。口から牙を生やして殺し屋に噛み付こうと身構え、警察を見つけて慌てて引っ込めている同居犬のベル。その横にいる客は日系人の若者だ。突然の騒ぎに驚くと右手を後ろに伸ばしている。
「まったく、外人のお客さんの前でみっともないぜ!」
 後ろで真理央が舌打ちする。殺し屋のジェイスン・リーは青龍刀を振りかざすと、邪魔なその若者に斬り掛かった。
 だが、拳銃を抜いた若者が身をかわす方が速かった。銃口から光が放たれたように見えたが、実弾は発射されていなかった。
「動くな! 特務警察ブラックハウンドだ!」
 一瞬だけ凍り付いた殺し屋の鼻先に銃が突き付けられ、若者の左手には見慣れないバッヂ――黄金の猟犬が光っていた。
 サキコは驚いた。「どうして‥‥日本の特務警察がこんな所に?!」


 レッガーたちは逮捕され、警察の現場検証が始まった。
 アリーの死体も検証され、持っていたキーを市警察が押収しようとしたところに真理央が手を回し、なんとか自分達の元に留める。
 そして、堅物のニコルが次に咎めたのは市内で銃を抜いた日系人の若者だった。協力はありがたいが管轄外。しかも死体の娘の名がアリーと聞くと拘束する部下達に抵抗し始めたではないか。
 警官たちに囲まれて長いこと揉める星也。ベルはこっそり姿を隠すと、さっき見ていた真理央のやりかたを真似ようと試みる。《突然変異》で《買収》を行うのだ。ベルの声帯が、人間のものへと変化し始めた。


 治安が回復したとはいえ、N◎VAのストリートでは拳銃ぐらいよく見掛ける。普段と同じつもりで抜いてしまったぼくが軽率だった。事情を説明しても、このグラハム警部はなかなか納得してくれない。
 しばらく経った時、ぼくを囲んでいる警官の一人が声を上げた。
「待ってください警部。たった今、トーキョーN◎VAの特務警察BH基地から連絡が入りました。その彼の身元を保証してます。こいつぁ、署まで来てもらうこたないですかね?」
 納得した面々はようやく引き上げていった。誰だろう。まさかあのゼロ巡査部長が? いや、あの人に限ってこんなことをしてくれるはずもないけど‥‥??
 ようやく落ち着いた家で、ぼくはベルの同居人の人達と挨拶できた。ちょっとネクタイが派手なロセッティさんはCFC広報部の部長さんだそうだ。ぼくの姉さんも企業の広報部に勤めているけど、オセアニア企業の広報部の人はみんなあんな格好なんだろうか。
「でも星也さん、今の、すごい腕前ですね‥‥」
 サキコさんは普段はパイロットをしているんだけど、アルバイトでよくこのスタジオに来ているらしい。
「いえ、そうでもないですよ。あれくらい」
 僕らが互いに自己紹介し、それぞれの事情を話していた時、部屋のDAK端末から煙が上がった。CFCからの依頼が収められたデータチップが自動消滅したんだ。


 CFC社屋に戻った真理央は情報収集と、計画達成のための裏工作を開始する。BIOSが動いている目的はサンプル“T”の奪取。G.C.I.は異なり、サンプルの地上からの永久消去を狙っている。
 真理央は知り合いの一人、ピボット・オセアニア・データバンクに勤める“ニューロデッチ”トーマツを思い出すとK-TAIを鳴らした。
『毎度! おやロセッティさんやないどすか。安くしときまっせ? ‥‥ああ、アリーやね。うちこういう子、大好きや!』
 殺された運び屋の娘アリーは半年前、N◎VAからやってきていた。特に自分の持ち車は持たず、クライアントもバラバラで裏の仕事もよくこなしていたという。最近は美食家の仕事を請け負っていた。やはり、謎のサンプル“T”を食材と誤認した三合会の美食家の手先が現物を狙い、彼女は殺されてしまったようだ。
「そうかー、助かったわ。ほな、今度も頼むさかいな? よろしゅう頼むで」
 いつの間にか相手の口調が移ってしまう真理央。ラテン系伊達男の口から漏れる大阪弁に、休憩室でお茶を飲んでいたOLたちがゴホゴホと咳き込む。
 続いて社内の知り合いの重役の元に赴く真理央。相手が真理央であることを見込んで、重役は内密の話を漏らした。“T”はオーサカM○●Nのラボから最近移送されてきたもので、密閉容器の内部物質が人間に接触した場合、直ちに突然変異を起こすという。この世界中のヒルコのオリジンの可能性すらありえるというのだ。


 企業警察メインのN◎VAなんかと違い、オーストラリア警察は国際犯罪対策チーム“ケルビム”を始め、5つの州警察や保安官制度など、国家権力の警察がきちんと機能している。なかでも首都区特別行政地域を守るAXYZ市警は中央警察庁の直属になっている。
 ぼくは警察筋の情報を洗ってみた。さっきの殺し屋はAXYZ三合会の片腕、緑卓子(アン・タピ・ベール)の息のかかった《寿越》という店の、マオ・メイシン夫人の部下だったらしい。料理界では有名な夫人だそうだ。やっぱり、アリーは早とちりした連中の手先に殺されてしまったようだ。
 振り込まれてあった金のこともあるけど、それより彼女との約束のためにも、彼女が走らせるはずだった最後の仕事だけは手伝わねばならない。


 バイオ犬はTVもチェックする。ベルはオーストラリア最大のネットワークを誇るC・OWL(コウル)の番組を検索した。熟女マオ夫人はメディア界でも有名なようだ。昼下がりに暇な奥様が見るような料理ショウ番組でよく司会を勤めていた。

 アクトにはこれなかったのですが、山本さんも挨拶に来てなおかつオーサカ名物のたこ焼きも持ってきてくれました。ありがとうございます。すごいですね。ここまで流体度の高いたこ焼きはあまり帝都では見ません。
‥‥でも「プリマヴェラ(TNRのモリプロに載っている)のPLでリチャード・ウォンです」と教えられるまで誰か分かりませんでしたすんません(滅) Web者にはよくあることか?(笑)


 ぼくとサキコさんとベルは、指定のヴィークルが置いてある倉庫に行った。N◎VAではあまりお目に掛かれない光景だった。アデレード本拠の有名なフェザーウィル・インダストリー社製だろうか、大きなヘビーポータートレーラー。後ろには着脱式のユニットが2つ用意されていた。
 ひとつには滑空砲に30mm機関砲にエンジェルランチャー。もうひとつはウォーカー1台を固定格納できるキャリアになっていた。操縦席の後ろには、問題のブツが大きなトランクの中に密閉してある。そばのボンベは冷却材のようだ。
 ユニットはどちらかしか繋げられない。サキコさん所有のウォーカーを護衛用につけるか、それとも武装を優先するかだろうか。
 どちらにせよ、この大きなトレーラーでAXYZから中央森林を越えてウィンダムまで‥‥N◎VAのダウンタウンをパトロールすることの多いぼくは、機関砲レベルの兵器やウォーカーとはあまり縁がない。貴重な経験になりそうだ。‥‥まあ、ヨコハマに行った時にはいやになるほど縁があったけどね。


 水蒸気を上げるトランクの中央には覗き窓があった。サキコと星也が装備を調べている間に、ベルは好奇心に負けて鼻先で覆いをとって見てしまう。
 強化ガラスの中は透明な液体で満たされていた。中央に浮かんでいるのは、白色の立方体。一体なんだろう。そういえば、C・OWLの日本料理特集で、こういうのを見たような気がするが‥‥??


「WINDZにはルートのデータが入ってました。舗装道を避け、他車輌の通らない道が選んであります」
「そうですか‥‥。オーストラリアのことはよく知りませんけど、妨害勢力も動き出してるんでしょうね」
「ええ。やっぱりウォーカー登載は諦めて、私が運転します。ベルじゃ運転できませんからね。星也さんは、何か起こった時に後ろの砲手をお願いします」
「分かりました。‥‥あれ? ベル、どうしたんだ?」
「汗びっしょりじゃないの。もうすぐ出発ですよ??」


 出発前の一行に、<社会:料理界>+<※オーヴァナイト・センセーション>+<※シャッフル>や<※企業の一撃>+<※任侠道>の社会戦が降り注ぐが、裏から手を回す真理央がこれを防ぐ。
 そして、頼んでおいた情報が、CFC総務部の“小犬のような”レンから入った。興奮のあまり普段は隠してある耳をぴょんと立てながら、少年クグツは広報部長に話しだす。本気を出したG.C.I.は、フルボーグに率いられた部隊を投入したという。そして、BIOSはトライアンフ社から製品購入をしたそうだ。移送プラン阻止が目的でトライアンフから買うものといったら、ウォーカーしかない。
 CFCウィンダム本社にも受取人がいるはずだと気がついた真理央は、そちらの方を突き止める。サンプル“T”の差出人はオーサカM○●NのT屋。受取人はCFC特別研究室のシュレイダー博士だった。
 GCIを目標に定めた真理央は、社会戦で23を叩き出す。


 オーストラリアで一番有名な総合情報サービスといえば、ピボット・オセアニア・データバンクだ。ぼくはこうした場合に妨害してきそうな勢力を幾つかピックアップしてみた。オーサカが出所といえば考えられるのはBIOS、強奪作戦が得意といえばR&R。オセアニアにおけるCFCのライバルといえば三合会とテンプルトンあたりだ。いずれにせよ、ウィンダムに着くまで一騒動ありそうだ。
 テンプルトン・ライフシステムズはマイクロハザードで評判を落としたCFCから流出した人員と、テンプルトン家を始めとする大農場主たちが大元になってできた。オーストラリアではCFCに続くバイオ系2位の企業になる。あそこの防護皮膜効果のあるジェルクリームは、けっこう世界中に知られている。そういえば姉さんも持ってたな。
 姉さんといえば、うちの姉さんが働いているニューセンチュリー・バイオテック・コーポレーションもオーストラリアのアデレード本拠だ。あのトレーラーのFwI社と同じところだ。
 もっとも、NCB社は世界進出と業務の多角化の中で、大元のオーストラリアではバイオ技術に関してはCFCとテンプルトンに完全に負けてしまった。N◎VA支社の広報部で働いている姉さんは、そんなこと少しも気にもしてないみたいだけどね。
 その失敗をふまえ、北米連合ではけっこうな勢力になりつつあるようだ。ニュース配信やマルチメディア事業をしている子会社が大手リムネットと一部提携し、うまく立ち回ったらしい。

 せっかくなのでぴか中太郎さんに聞いたところ、設定委員会のスタンスとしてはやはりCFCが昔の千早のような悪玉、テンプルトンがいい側だとのこと。密かにパーソナリティーも美形にしてCFC人気を狙っているそうです。今回の真理央・ロセッティも美形ですな。
特殊処理課課長の“スーサイド”アッシュ(31/Male エグゼク◎●,カリスマ,レッガー)は裏世界で恐れられるメルメル系の美形ダーティワーク要員。総務部の部下の“小犬のような”レン(16/Male クグツ◎,ヒルコ,カゲ●)は大き目のスーツで健気に頑張る犬の耳を持った最年少社員。ショタ好きのOLのオネエサマ方に大人気だそうです。やっぱりアッシュ×レンで耽美系を密かに狙っているとのこと。んんー、押さえてますな?(笑) 聞きましたか世の姫方? (注:一部誇張エクスポーズ)

 
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「まったく、どこが安全なルートなのよっ!」
 サキコさんが声を上げたのは、メガプレックスを離れ、トレーラーがオーストラリアの荒野を疾走していた最中だった。後ろから砂煙を上げて追い上げてくるウォーカーが2機。あの多脚型は北米でよく使われるカクタスだ。複合センサー付きなのだろうか、赤く光る光点がぼくらを見つめていた。
『フォーンダイン! この前はよくもやってくれたな!』
 トレーラーの端末に向こうからの通信が入る。どうも、サキコさんとは何かの因縁のあるアラシが再戦を挑んできたらしい。後で聞いたら、前に水陸両用機か何かと異種格闘戦をしたことがあったそうだ。水陸両用機といえば‥‥あの時、ヨコハマLU$Tの展示会場で暴れ出した和光とイワサキの機体もそうだったよな‥‥
「ウェポンラックを開放します。星也さん、お願いします!」
 昔の事件を思い出している場合じゃなかった。ぼくは頷くと、後ろの武装ユニットへ駆け出した。とりあえず、30mm機関砲の銃座に座る。幸いにしてパンサー型のスマートガン・リンクも可能なタイプだった。ぼくの射撃能力も役に立ちそうだ。
 オーストラリアに来て砲手をやる羽目になるとは‥‥相手機のコクピット周辺に狙いを定め、ぼくはトリガーに指を掛けた。視界の隅で、飛んでいるものが見えた。

 30mmフルオートは《難攻不落》で打ち消し。一方、<※瞬間適応>でWASインプラントを生やしたベルは、翼を広げて一人いや一匹、敵ウォーカー目掛けて舞い上がります。生命が10なので速度は100/200。その速さ、カクタスの2倍。(笑) アスレチックで2段階移動してコクピットに張り付き、次は<※触手>効果付きの毛針でパイロットを直接攻撃!


 敵の撃ってくる140mm滑空砲を、サキコさんがぎりぎりのところでかわして逃走が続く。振動がトレーラーをびりびりと震わせた。機銃を撃ち尽くしたぼくは滑空砲に移動した。再び、ベルが張り付いていない方の機体を狙う。赤い照星がコックピットを捉えた。
 今度は効いた! 白い幻覚の光に包まれた砲弾が操縦席を掠めるのは、ウォーカー乗りにとっても恐怖を感じるのに十分だったらしい。当てられるところをわざと外したのが分かったのだろう。恐慌を起こしたパイロットが戦闘を放棄し、カクタスの一機は見る間に遠ざかっていった。
 残る一機の中にベルが侵入してパイロットを狙おうと試みるが、苦戦しているようだ。また至近で爆発した敵の砲弾がトレーラーの制御系にダメージを与えた。
「ベル、戻ってきて! ユニットの最後尾部分の接合を解除。一気に振り切りますっ!」
 翼を生やしたベルが再びオーストラリアの空に舞い上がる。サキコさんの指令で少し軽くなったトレーラーは一気に加速し、追手を引き離した。残るカクタスからは捨て台詞が通信に入っただけで、それ以上追ってこなかった。

 敵にカゼがいなかったため、サキコの《脱出》が成功。(アラシ対カゼってナニですよね) BIOS勢との戦いは終わります。
 一方、CFCで工作を続ける真理央は残るG.C.I.に向けて社会戦で22。ダメージで27を出して相手は抹殺! これで、フルボーグ部隊の部下が消えます。
 様々な技を使うバラエティに富んだキャスト勢のいるNYDはテクも様々。戦闘中に相手の制御値を計算したりポロッと言わせたり不穏な相談を始めたりイロイロするそうです。RLの呼び名を「先輩」から「師匠」へ変えたりしてみておだてるのもアリアリだそうです。そういえばゆらゆら皇子殿下はプロットカードの悪い時のアクション及びダメージカードにかなり山引きが多かったですね。ああ見えてジツはギャンブラー?(笑)


 ウォーカー部隊をかわし、ようやくCFC本社のあるウィンダムが近づいてきた時。平原の行く手に一台のジープが止まっていた。乗員はたったの一人、白いローブを着ている。
「‥‥あれも敵です、きっと」
 降りて戦った方がいいと判断したサキコさんがWINDZに命じ、トレーラーを停止させる。敵は白いローブを脱ぎ捨てた。中のフルメタル・ボディは自社製“スプリガン”のスタンダードセットだった。こちらが反応する間もなく、敵は走り出すと一動作でトレーラーの頭上まで飛び乗ってきた!
 奴はサキコさんとベルに頭上から鋼の腕で攻撃を加えようとしていた。銃を抜くのが間に合わなかったぼくはとっさに幻覚の力を使った。
「いいかげんに諦めろ!」
 右手に現れる幻の銃。そこから撃たれる幻の弾丸。だが、全身の感覚を機械に変えたフルボーグにそれほどは効かなかったようだ。
 噛み付くベルを振り払い、奴は動いた。あまりに速くて見えなかった。ぼくの目の前まで近づいていたんだ。不動明王の守護の力がぼくを死から救ってくれた。
 再びぼくの銃が光を放つ。だが――信じられないことが起こった。G.C.I.のフルボーグはとっさに上げたサイバー・ウェポンの刃で弾丸を弾き返したのだ。幻であるはずの弾丸が撃ち返され、ぼくの肩を貫く。実害はないものの、初めての経験にぼくは動けなかった。凍り付いたぼくに、奴はさらに距離を詰め‥‥
 だけど、そこでぼくは自分を取り戻すことができた。割って入ったサキコさんが、盾で僕を守ってくれたんだ。


 痛覚をカットしていても感じられるほどの痛みが脚を走り、G.C.I.のブラックオプ部隊のフルボーグ指揮官は敵を見下ろした。さっきのセントバーナード犬がセラミックの装甲に牙を突き立てている。見た通りのただの犬ではないようだ。実は戦闘用に改造でもされていたのだろうか?
 振り払い、左手から飛び出すサイバーの刃でうるさい犬を刺し殺そうとした時。今度はそのセントバーナード犬の背後に不思議な光輪が現われ、刃を弾いた。浮かんだのは日本の神か何かの幻――この犬は本当に犬なのだろうか?
 その時、聴覚回路が背後での撃鉄の音を捉えた。
 妙な技を使ってきた日系人の若者が、至近距離で拳銃を構えていた。
「‥‥また偽物なんだろう?」
「‥‥今度は本物だよ」
 次の瞬間、スプリガン型全身義体の全機能が停止した。

 クグツカタナカゲの完全義体をやっと《とどめの一撃》で倒し、ようやく一行はウィンダムのCFC本社に到着します。
 しかしこの完全義体、戦闘中にいろいろ喋ってくること。オーストラリアのG.C.I.はみんないい人たちのようです。(注:嘘エクスポーズ)

 
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 CFC本社アーコロジーはN◎VA中央区に負けない威容を誇っていた。Dr.シュレイダーが率いる研究室で、ぼくらは例のトランクを確かに引き渡した。部屋には一人だけ浮いた格好の真理央さんも一足先に待っていた。ここまでの移送作戦を、裏から援助してくれていたらしい。
「ところで諸君‥‥トランクの中身は見たかね?」
 問い掛ける博士に、ぼくとサキコさんは慌てて首を振る。だけど、ベルだけはなんだか様子がおかしかった。
「は、博士! い、今その犬、口笛を吹いてましたよ?!」
 騒ぎ出す助手の人達をごまかした後で、おもむろにトランクを開くとシュレイダー博士は説明を始めた。
 密封された中は水、中央に浮かんでいたのは‥‥絹ごし豆腐だった。サキコさんたちオーストラリア人は縁がないのか、首をかしげている。
「いや、これならN◎VAのアサクサ辺りで買えますけど‥‥?」
「その通り。元々は、M○●Nのある名人が作ったものだった」
 咳払いをすると博士は話を始めた。この豆腐の中は、ある特殊なウィルスのコロニーになっている。自然発生と突然変異を繰り返し、現在、その種類は世界でただひとつこの豆腐の中だけで繁殖している。もしも解放されて生体と接触した場合、侵入と同時に瞬間的に相手を生体兵器に変化させてしまうレベルだという。CFC本社に持ち帰り、バイオ研究所で厳重に封印する手はずだったということだ。BIOSはこのサンプルそのものの入手を、G.C.I.は自社兵器の売り上げ減を恐れて世界からの永久抹消を狙っていたという。
 気が抜けたような、肩の荷が降りたような奇妙な話だった。もしも、伝説の食材と勘違いしたままの連中が手に入れて料理にでも使っていたら‥‥キャンベラAXYZは全滅していたかもしれない。

 
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 トレーラーをもういちど運転し、サキコはようやく元の場所――AXYZのスタジオ・ディーンに戻ってくる。エスプレッソを入れて一息ついていたところに、スタジオの主人、ジリオラがようやく帰ってきた。
「あらサキコさん、いろいろ大変だったんですってねえ」
「ええ。ええと、その、伝説のものを巡っていろいろありまして‥‥」
「伝説? 伝説というと、ギリシャとかそういう類いのものですか?」
 主人のいつもの様子にサキコは嘆息したが、収穫もあった。あのトレーラーはサキコのものにできたのだ。真理央が力を貸してくれたお陰で、冷凍トラック仕様にして、CFC系列社のペイントで偽装する予定だ。


 真理央・ロセッティは広報部長の力を活かし、ニュース材料を揃えていた。世界にひとつしかない、M○●N製の伝説の豆腐を巡る攻防戦。しかもその豆腐は特殊なウィルスでとても長持ちするようにしてあるものだった。料理特集番組のマオ夫人が見たら悔しがるようなものを。
 その特集はC・OWLネットワークで流され、オーストラリアの茶の間を賑わした。
 ふと、いい考えを思い付くと真理央はこの週末で知り合った日系人の若者のことを調べ始めた。広報部長の力をもってすれば、一年分の値段など訳ない‥‥



『Attention。キャンベラ発、トーキョーN◎VA房総南国際空港行き305便がまもなく出発します。登場手続きがまだお済みでない方は、ゲートの方まで‥‥』
 ある者は観光へ、ある者はノルンシステムの与える軌道への切符を手に入れるために、多くの旅人が行き交うキャンベラAXYZ東の国際空港。
 サキコ・フォーンダインとベルが見送る前で、トランクを抱えた静元星也は別れの挨拶を交わしていた。
「また会えるよ、ベル。ほら、ベルがまたN◎VAに来ることだって、できるじゃないか」
 目頭が熱くなって今日は人間語が喋れなくなっていたベルだったが、前足で握手してようやく言葉を発せた。
「ウン。星也モ、ゲンキデネ」

Seiya Shizumoto - Illustrated by (C)篠原透
Sakiko Forndyne - Illustrated by (C)篠原透

「来たばかりだというのに、大して観光もできないでいろいろ大変でしたね、星也さん。なんだかすみません」
「いや、いいんですよ。前にぼくがヨコハマに行った時も、こんな感じでしたから。あー、そんなこと、どうでもいいですよね」
 若者はサキコの手を取った。
「それよりサキコさん。あの時守ってくれて、ありがとうございました。サキコさんがいなかったら、ぼくはあそこでやられていたかもしれない」
「いえ、そんな‥‥」
 急に手を握られてサキコはどきりとしたが、真摯な目をした若者には何の悪気もないようだった。
 二人と再会の約束を交わすと、災厄の街の特務警察から来た若者は荷物を引いてゲートに歩いていった。

 亜軌道ジェットのチューブ通路が向こうに見えてきた時。すれちがう人の中で、一際目立つ格好をした男の人がいた。真理央さんだ。
「あ、どうも」
「そういえばキミにも、広報部に勤めるお姉さんがいるんだったね。姉さんにも、よろしくな」
 すれ違い様にウィンクをしてポーズを決めると、CFC第二広報部長は去っていった。あのスーツにあの派手なネクタイは、回りが旅行客だといっそう目立つ。
‥‥確かにうちの姉さんは知り合いが多そうだけど、ああいう知り合いもいるのかな‥‥そもそも、広報部ってみんなああいう格好なんだろうか?
 後ろ手に手を振りながら去っていくロセッティ部長を見ながら、ぼくは首を傾げずにはいられなかった。

Mario Rosetty - Illustrated by (C)篠原透


 シャトルの窓から見る風景は格別だった。キャンベラAXYZの東にある空港が、AXYZの全景がぐんぐん小さくなってゆく。そして視界に入ってくるミラージュ・コーストに、天空へと繋がる軌道エレベーター“ユグドラシル”。

 星への最短中継地点、キャンベラAXYZ。次は、観光旅行で来てみたいものだな。


 N◎VAに帰ってきて姉さんから電話が掛かってきてから初めて、ぼくはあの事件がオーストラリアのC・OWLネットで流されていることを知った。
 そして、近所に預けていた犬のジンと一緒に家に帰ってきてから初めて、ぼくはあの真理央さんから一年分の絹ごし豆腐が届いていたのを知ったんだ。

 
And Here, The kurtain waz dropped,
of the Staj of Wheel of Fortune.
-XYZ-

 

Spesial thanks to:
ぬばたまの闇のだんぢょん  & Kanberra AXYZ

May many many storyz are weave, under bless of Norn ...

  
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 というわけでTNRのアウトフィッツにも記載のある『世界を破滅させると言われている謎の豆腐』を巡る物語は終了。経験点配布はもちろん作ったばかりのチケットを使うのです。
 せっかくなのでAXYZ生誕にまつわる話を聞いたところ、やはり最初にあったのは漫画『スプリガン』の遺跡関連のネタだったとのこと。これは設定の1st版では大きく取り上げられ、経験点を消費して獲得する強力な装備、オーパーツとなっています。(これは、グラペケの業物のアイデア元のひとつにはなりました。)
 ただ、形を変えた災厄後のオセアニアには超古代遺跡が多く眠っているという設定はオフィシャル展開では一切触れられなかったため、現在の設定2nd版からは遺跡関連のネタが全て消え、テンプルトン/COT/リサ・グループを始めとするオリジナル勢力群の力が若干おとなしめになっています。(このへん、読む方としてはちょっと残念ですね。“俺のば”すればいいのにでしゅ。/笑)
 他には『ガンフロンティア』というのも元にあったそうです。今回のような平原を突っ切って大都市同士を移動するワイルドな話もありありとのこと。N◎VAではあまりお目にかかれないアラシなどの活躍する話もできそうですね。僕自身は最初に読んだ時、どこまでも広がる雄大な自然と、その中のハイテクノロジー‥‥という所から、なんとなく『マクロスプラス』のような感じなのかなと連想していました。

ぬば闇勢集結!おやでしゅ

 設定全体からも、『ブレードランナー』ばりのダークなサイバーパンクではなく、どこか温かく開放的な南国の雰囲気が伝わってきます。NYDの同人誌等から伝わってくる雰囲気とも通じるところがありますね。世界も広がったことだし、これはこれで楽しいのではないでしょうか。
 他にも、グラペケではN◎VA/LU$TにいるACEの“Blakk Armz”のアフロは最初はスマスマを見ながら作ったなど、裏話は多数ある模様。オーストラリアは奥が深いです。
 これからは、現在はまだ完成していない軌道エレベータ/星々の元にある首都ヴァラスキャルヴ関連の設定を詰めていくそうです。星への最短中継地点に光あれ!

  
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やはり遠征したRIファミリーの部下九龍クンは四季さんの家に泊めてもらっていましたが、安くなっていたホテルをWebで見つけた僕はそちらへ。いやー風呂が広くて落ち着くなー(笑)

 まにCONまであと残り時間僅か。印刷したシナリオを前に途方に暮れているのは、オーサカでスカウトされた財団の新たな部下。<※マトリクス複写>の達成値が低かったため人間への変身が不完全の模様。インプラントで火も吐くゾ。

ヒルコのひよこ

‥‥【後編】へ

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...... Wild Wonderful West Part.1 ... Sneak to NUBA-YAMI Kingdom, Destination: Canberra AXYZ!! ......

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