

| 〜小・粋・に エレガントPLAY 第4回〜 |
わたしたちは新ファーサイド中央のM○●Nドームに集合した。ここはM○●Nで一番大きなドームで、よくコンサートが開かれたりするらしい。
ウルフの言っていた知り合いのベリアルという人は、いかにも傭兵風の大男だった。闘技場にも、よくいるタイプだな。すごい傭兵部隊にいたそうだし、頼りになりそうだ。けど‥‥会ったとたんに、ウルフと殴り合いを始めたんだ。あまりに速くて見えなかった。あれが彼ら流の挨拶の代わりらしい。じゃあ、あのウルフと同じような類いの人なんだな。なんだか期待して損したな。
日向あきらという女の子は、神酒の後ろにいきなり現れると飛びついておんぶされていた。企業の人はああいうのには慣れていないらしく慌てている。彼女とは、仲良くなれそうだ。
一行はヒルコの少女焔に話を聞いた。彼女はいわゆるテング一族の娘で、人間世界で言うところの巫女に当たる特殊能力を持っており、その力で結界を押さえていたという。人間たちに捕まり、M○●Nまで連れてこられていたそうだ。
術者たちや、大神たち妖の存在は知っている通り――汚染の進んでいる死国はアストラル界も歪んでいる。別世界か別次元へ通ずる門が開いたままになってしまい、太古の恐竜が迷い込んでしまった可能性が強い。恐らくこのニューロエイジで暴れ始めたとしても、蔓延するウィルスのせいで長くは生きられないだろうと。
磯崎神酒は篠原郁支社長に連絡を取った。恐らく、映像を送ってきたBIOSに潜入中の工作員は既に死んでいる。死国へ赴き、元を断ちきる線で許可が降りた。
未知のウィルスに山賊、ミュータントの群れ、三合会が背後につく密輸業者。死国は遠い。秘密裏の仕事では青嵐装甲警備保障を雇うわけにもいかない。一行が汚染地帯まで赴くには、乗り物が必要だ。
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「ええとね、あきら、ふだんはN◎VAにいるんだ。M○●Nまで遊びに来たんだよ」
「へえ。わたしはLU$Tだ。あそこには闘技場があるんだけど、そこでパイロットをしている」
「そうなの? すごい、すごい! ウォーカーを操縦するの?」
「なぁリリー、お前の‥‥」
「ああ。コロッセオにはウォーカーもパイロットもたくさんいるけど、ジークは世界に一機しかない。クローデット工房――わたしの御祖父様が創設した工房が作り上げた機体なんだ」
「ジークフリートがちょうど‥‥」
「すごいすごい! だから、リリー・クローデットなんだね?」
「ああ。わたしのことは、銀の百合のリリーと呼ぶがよいぞ!」
「‥‥あれ? みんなどうしたの?」
情報では、BIOSも一行に気付き探っているらしい。妨害も予想される。目的地は夏へ繋がるセト・ロードとは幾分離れた南の汚染地帯。他に考えられるのはテングの一族にジプシー、ジバシリの群れ、肉食性のミュータント、そして、空気中に存在するというあらゆる金属を腐食する特殊なウィルス‥‥。
サイバー化の激しい大神は驚き、そして人間ではないリリーはさらに驚く。幸い、磯崎神酒が千早の技術部に手を回してくれた。ウィルスに対抗できるものが入手できそうなのは新ファーサイド北西にある新核酸市場、テンペランスの緑林街で週に一度開かれている定期市場、そして変人科学者ゾヲンあたりだ。一行は神酒やあきらと面識のあるゾヲンを頼ることにした。
「そういやあっちには、ウォーカーを狙うバンデットの類いもよく出るらしいな。気を付けたほうがいいぜ」
ベリアルが呟く。
「わたしのジークは騎士なんだ。山賊風情に負けたりはしないぞ!」
「だって昆虫だゼ? ペルセウスを狙う奴はいても、二本足のカブトムシを狙う奴ァいないよな‥‥」
クローデット工房のオリジナル機体であるジークフリートは流線形のデザインをしており、平均的なウォーカーとは幾分見た目も違う。大神は横を歩いていたあきらに小声で言うと、肩を竦めた。
「リリー! あのね、あのね、ウルフがね、ジークフリートが昆虫みたいだって!」
嬉しそうに大声で告げ口するあきら。二本足のカブトムシの主は紫の瞳を光らすと、若き狼の眷属を睨みつけた。
「‥‥やいウルフ。お前の美意識は、動物並みだなっ!」
こうさくいん「昆虫なのは、ジークフリートのモデルがダンバインだからでしゅねー」 |
第44代太陽系監視局局長(自称)の研究室では、やはり局長自らとリトルグレイが温かく出迎えてくれた。
「未熟なり太陽系の科学力。そんなものも作れないのか! ほれ、金はいいから好きなだけ持っていくがいい」
《タイムリー》を使用したゾヲンは金属ウィルスに対抗するワクチンを棚の中から取り出した。様々な種類がある。金属表面に吹き付ける手軽なスプレー式のものが取り出された途端、血相を変えたリリーが飛びついた。
「科学者殿、お金はいくらでも払う。それを全部売ってくれ!」
どうやら、BIOSが妨害に動き出したのは本当らしい。焔を狙って悪名高い九鬼水軍が動き出したそうだ。最近は、人工的に作り出されたアヤカシ部隊も実験的に投入されているという。
磯崎神酒が篠原郁支社長に頼んでおいたトラックも到着した。それは、まさにミトラス戦争当時に使われていた軍用トラックだった。
「懐かしいな‥‥」
ベリアルはしばし回想に耽るが、あきらをおんぶしたままではいまいち様にならない。
一行は準備を始めた。大神吼児は上半身裸になると腕のサイバー武器や強化骨格にスプレーを始めた。
トラックに兵器を積み込み、最後尾のキャリアユニットにウォーカーを固定すると、一行はM○●Nを離れ、死国へ旅立った。
ミュータントよ来るなら来てみろとばかりに、大神吼児はCal.50機関銃を構え、カーゴの屋上に陣取ると戦いを待ち構える。
だが、何も起こらずに夜になった。そろそろ軽度汚染地域に入るかといったところだ。野宿が始まり、整備兵たちが火を囲んで酒盛りを始める。ミトラス大戦当時と同じような光景だった。
「ラムザ団長‥‥」
一人強い酒を呷るベリアルは、過去の栄光に思いを馳せる。満月の光が、今はなき傭兵部隊の生き残りを静かに照らしていた。
野生の血が騒いだ大神は平原に飛び出した。獣の王たる彼に恐れをなしたのか、獲物は見つからない。丘の上から、地を震わすような人狼の遠吠えが汚れた大地に響き渡った。
「だけど、ずいぶんのろいトラックだな。わたしのジークなら、あの2倍は出るぞ?」
「ほんと? すごいすごい〜。あきらも乗りたい〜」
「ああ。ホバー推進機構もついているから、少しの間なら空も飛べる。今度、乗せてあげるよ」
「ほんとにいいの? じゃあ‥‥ねえ、あの声はなんだろう?」
「なんだろうね。野良犬かな?」
しばらく顔を見合わせていた頃。野営地の回りに仕掛けをしていた神酒の警告の声で、わたしたちは我に返った。
夜中の襲撃だった。突っ込んできたトレーラーが開き、キャタピラの音と共に小型戦車が降りてくる。チップマンクだ。対人用のガトリングガンを備えた厄介な敵だ。
その後ろからは、得体の知れない一群が忍び寄ってきた。わたしやウルフには、同族の雰囲気がなんとなく分かる。でも、あいつらは何かがおかしかった。うまく説明できないけど、まがい物みたいだったんだ。そして、いちばん後ろには黒いローブのマヤカシが控えている。まるで、ローブの回りに闇が集まってるみたいだった‥‥
あきらが立ち上がった。どうしようか? ジークを出すか、彼女に続いて飛び出すか。わたしでは、逆に危険なだけだろう。少し起動に時間が掛かるけど、彼女に手伝ってもらってジークを出した方が確実だ。
砲台を回転させ、チップマンクの90mm滑空砲が闇夜に火を噴いた。人間なら吹き飛ぶ威力だ。丘から駆けてきた大神はぎりぎりのところを避け、敵に突っ込む。
「天草流奥義‥‥間喰(まぐい)ッ」
呟くベリアルはいつのまにか、タンクの前まで間合いを詰めていた。ゆらりと歩み、戦車の装甲すら砕く一撃が放たれる。ミニタンクは沈黙した!
吸血鬼の一族であった黒衣のマヤカシの肩に、燐光を放つ球体が現れた。秘幽体だ。そして、彼自身の背後に浮かぶ不気味な光が、一行の心に恐怖を呼び起こす。
呪縛を立ち切ったのは二人の剣士だった。一気に距離を詰めたあきらがオメガREDで斬り掛かり、吸血鬼の胸のアンクが代わりに燃え尽きる。秘幽体から放たれた霊弾をことごとく躱し、そこへ磯崎神酒の降魔刀が襲い掛かった。燕返しの二の太刀は躱せない。黒衣の男はアヤカシだけが持つ神秘の力で、闇の中に霧と消えた!
イージスシールドを掲げ、大神が人造アヤカシ部隊の中に突っ込む。振り回される盾から生まれる突風。その風に乗り響き渡る獣の王の咆哮。九鬼水軍に創り出された彼らは、最後の瞬間に巨大な人狼の幻影を見ただろうか? 始源の恐怖に目と耳と口から体組織を垂れ流し、彼らは再び土へと還っていった。
わたしとジークで戦場に駆けつけた時、ウルフは狂暴な笑みを浮かべて最後の敵が溶けていくのを見守っていた。
「おいウルフ! いったい何をやったんだ??」
「‥‥フフフ、獣の王たるこのオレと戦うことになったのが運の尽きサ‥‥」
「なにを馬鹿なこと言ってるんだ。神酒から撤退指令が出てるぞ。ここに残るのは危険だ。ほら、いくぞ!」
「オレは人を、獣を、機械‥‥ってわーっ、ちょっと待て!」
電子ブレードのノートゥングを持って戦えるジークの腕とマニピュレーターは、かなり精巧にできてる。わたしはジークの左手にウルフを掴ませると、そのまま反転した。また、襲われたりしたら大変だからな。
こうさくいん「ベリアルは西洋名なのに、なんで天草流の格闘術を使うんでしゅかね〜〜(笑)」 |
一見M○●Nと変わらぬように見える死国には、あらゆるところに危険が潜んでいる。空気には微量の胞子が混入していた。吸い込んでしまったベリアルの喉に菌糸が寄生し始め、声を発することができなくなる。磯崎神酒の症状はもっと酷く、彼女は気絶してしまった。
幸いなことに、近くにはジプシーの集落があった。死の国とはいえ、汚染が軽度の場所には人間も暮らしている。物々交換で生計を立てている彼らは現在のM○●Nにはやってくることもある。
不思議な色をした薬が見つかった。非常に不味い薬を飲み下した瞬間、ベリアルは喉で成長を始めていた茸と一緒に全てを吐き出す。磯崎神酒もようやく気がついた。
もとより呼吸をしないリリーには胞子も関係ない。普段と何も変わらない様子の彼女は、今日も元気なあきらと散歩に出掛ける。
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「ナイフもいっぱいある! たこやきは売ってないのかな?」 |
いよいよ重度汚染地域にある目的地に差し掛かった頃。前方で炎が燃えていた。一人気付かぬリリーに、ベリアルが前方で横転しているトラックを指し示す。人の体が燃える匂いもしてきた。おそらく全滅した九鬼水軍の部隊だろうか。昨夜一行を襲ってきた黒衣のマヤカシ“マインドキラー”も下半身を食い千切られて死んでいる。
前方に浮かんでいる黒い門。歪み出すあたりの景色。宙を舞う極彩色の蝶に、得体の知れぬ異次元の生物。このニューロエイジへと開いてしまった次元の門だ!
焔が四本の結界針を一行に渡し、自分が精紳を集中する間ウォーカーで辺りを警戒するようリリーに頼む。
その時‥‥マヤカシの下半身を食べた本人が門の向こうから現れた。全長15mはあろうかというティラノサウルス・レックス。恐竜の王に従う2匹のベルキアプトル。門から空へ飛び立つケツァルコアトル。ニューロエイジ世界にいてはならぬ太古の生物たちが、新たな獲物を認めた!
WINDZのコネクタケーブルを頭に繋ぎ、わたしはコンソールの上に手を触れた。スクリーンに光が灯り、ジークの体に命が灯っていく。
キャリアユニットを全面開放し、わたしはジークをすぐに発進させた。ユニットの天井が二つに分かれた時、ウルフの悲鳴が聞こえてきたような気がしたけど、それどころじゃなかった。
大きかった。ジークより大きな相手だった。M○●N傭兵部隊の機体だっておもちゃに見えてくる。ほんとうに大昔、まだ世界が傾く前、そしてそのもっともっと前は、こんな生き物が地上を歩いていたんだろうか?
ノートゥングを構えつつバーニアを全開に吹かして、ジークはまっすぐ恐竜の方に向かった。
「こい! お前の相手はこのわたしだっ!」
ティラノサウルスは大きく吠えて応えた。ウルフの吠え声よりももっと大きな声。世界を揺るがすような咆哮だった。
こうさくいん「いよいよクライマックスでしゅね〜〜」 |
存分に斬れる敵の出現ににっこりと笑いながら、あきらは“凶星”を取り出した。だが‥‥カタナとしては腕利きである彼女の試しの一撃は残像を捕らえただけだった! ベルキアプトルの両手の爪が不意に襲い掛かる。地面からせりあがった大地の力が、あきらを直撃から救った。カバーに入る必要がないのを見て取ったベリアルは、数ある格闘技スタイルからボクシングを選択し、構えに入る。
「‥‥ちっ!」
磯崎神酒はベルキアプトルに一動作で刀を抜いて近づき、ヴィークルすら両断する斬撃を振るった。だが今日の相手は人間ではないのだ。異様に厚い皮膚に遮られ、刀身は恐竜の体まで届かない。
「フン‥‥恐竜の王は任せてやるゼ」
不意の落下から立ち直った大神は駆け出し、空を舞うケツァルコアトルに獣の王の雄叫びを浴びせる。だが翼竜は死国の空に舞い上がって逃げた。
「ど‥‥どこだ?」
敵の姿を一瞬だけ見失い、驚く人狼の前で、翼竜は再び空から舞い下りてきた!
「英雄ジークフリートの相手なら、お前はさしずめ悪竜ファフニールといったところだなっ!」
ジークがもっとも得意としているのは接近戦だ。コロッセオで勝った時も、いつもそうだった。恐竜の王の懐に飛び込み、そのまま剣を振るう。
手応えはあった。相手が普通の機体だったらきっと勝てただろう。でも、ティラノサウルスの体はどんなウォーカーよりも堅かったんだ。一時の衝撃でのけぞったあいつの頭が再びわたしの方に向き直り、大きな顎が‥‥
その時、ジークの複合センサーが視界の隅にベリアルを捉えた。すごい。あの人は一瞬で恐竜の体を駆け上がり、大きく跳躍するとあいつの牙の一本を素手で砕いたんだ。
突然の妨害にティラノサウルスは咆哮をあげ、数歩退いた。
「見たか? 俺はボクシングも得意なんだぜ」
拳の威力を確かめ、ベリアルは元の構えに戻る。
翼竜の攻撃をかわした大神は降魔刀を振るう磯崎神酒に合流し、地上のベルキアプトルに目標を変えた。御霊IANUSで全ニューラルブースターを同時起動し、アインハンダーとオメガREDを展開する。ウォーカーにしか扱えないイワサキ製の戦アックスを振り回す豪快な一撃は、だがしかし一瞬だけ姿を消した地竜にかわされた!
「お前では、ジークの相手に相応しくないぞ!」
ジークのセンサーからは、牙を折られて幾分不細工になったティラノサウルスの顔がよく見えた。今度は効いた! ノートゥングの一撃はあいつの体を貫き、確かに傷を負わせた。怒り狂ったティラノサウルスは大きく後退し、今度はものすごい勢いでその尻尾を振り上げた。
巻き起こる風だけでもすごい勢いだった。あのスピードじゃ、全員がやられてしまう!
危機を救ったのはやはりベリアルだった。「自然と一体化すれば気は生まれるのだ!」という謎の主張と共に、気合の力で尻尾の振り回し攻撃を受け止める。怒った太古の竜王は彼を一撃で彼を吹き飛ばした。玩具のようにあっけなく飛んでいくベリアル。だが‥‥伝説の傭兵部隊の生き残りは、瓦礫の山の下から再び立ち上がった。
全力を出した人狼はフラシュドライヴよりも疾く動ける。咆哮を上げて戦アックスで襲い掛かった大神の背後には獣の王の幻影が重なった。だが、ベルキアプトルはそれを躱し、彼の胸を貫いた。
「オレは‥‥オレは獣の王だッ!」
強靭な生命力を持つ獣の一族はそれでも死ななかった。前脚を掴み、もう一方の手から展開したサイバーウェポンがベルキアプトルを絶命させる。爬虫類の生命力は最期に相討ちを狙うまで保った。最後の一撃を防いだのはベリアルだった。
「一人一回が、ボクシングのルールだぜ」
《レギオン》の生き残りは冗談ともつかぬ謎の台詞を戦友に投げかける。
「あきらを本気にさせると怖いんだよ〜? ほんとに怒らせると怖いんだよ〜?」
刃物フェチのあきらのオメガREDが舞った。天真爛漫な殺人者は竜の体をバラバラになるまで引き裂いた。勢い余り、空の翼竜までも攻撃の手が伸びる。磯崎神酒の刀がそれに合い、ようやく太古の生物たちを仕留めた。
「これで終わりだっ!」
ジークの剣が弧を描き、恐竜の王の体を切り裂いた。だけど‥‥ティラノサウルスはまだ、まだ倒れなかった。体勢を立て直すと、その大きな顎を開いた。
わたしは無我夢中でジークを動かした。バーニアの出力を全開にして、真っ直ぐにノートゥングを構えて突進する。垂直に差し込まれた剣は、確かにティラノサウルスの体を貫いた。だけどあいつはまだ動けたんだ。その顎が伸びてきて、牙の一本一本が‥‥
一瞬だけ、流線形のウォーカーから漏れた銀色の光は人間たちに見えただろうか? ティラノサウルス・レックスとジークフリートは、剣と顎を互いに噛ませ合ったまま静止していた。
ヒルコの少女、焔が一族に伝わる力で異世界へ開いてしまった門を閉じる。ニューロエイジにあらざる世界からの旅人は、これで絶たれた。磯崎神酒は、千早の技術部のサンプルの為に恐竜の脚の一本を切断する。
恐竜を喰ってやろうか考えあぐねていた大神は肉を焼き始めた。肉が焼きあがった頃になって、いつまで経っても機体から出てこないリリーにやっと気付いた彼はベリアルと共に機体へ急ぐ。
竜王の最期の一撃はコクピットを直撃していた。剛力にものをいわせて二人で無理矢理装甲板をひき剥がし、中を確かめる。
リリー・クローデットの姿はどこにもなかった。血が飛び散っているわけでも、座席全体が潰れているわけでもなかった。
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後ろの草むらから走ってくるリリーを見て、二人は顔を見合わせた。どこにも怪我はないようだ。
「やいウルフ! お前、なんて開け方をするんだ。ジークの装甲が目茶苦茶じゃないかっ!」
「どういうことだ‥‥??」
いぶかしむベリアルに、銀灰色の騎士の主は平然と答えた。
「ああ、ジークにはパイロットの自動射出装置がついてるんだ」
(そんなもんどこについてたんだ‥‥? バカな‥‥俺がミトラスの戦場にいた頃もそんなもん見掛けたことなかったのに‥‥)
伝説の傭兵部隊の一員として大戦を生き残ってきたベリアルは、少女の言葉に首をひねるばかりだった。
そんな彼の前に、よく焼けた骨付きの肉が突き出される。
「まあいいさ。ほら、闘いの末に殺したからには喰うのが礼儀サ。どうだ、ベリアルも喰ゥか?」
牙を剥き出しにした人狼の王は、上古の竜たちの王に美味しそうにかぶり付いていた。
「いや、俺はいい‥‥」
アストラルの歪みから生じた門は閉じ、ニューロエイジ世界に迷い込んだ時の旅人は消えた。一路M○●Nへと帰る途中、故郷のヒルコの集落で別れることになった焔は丁寧に礼を述べる。
「いや、礼は彼女に言ってやってくれ」 ベリアルは陽気に騒ぐあきらを見やると続けた。
「そういや、例の“タコヤキ”ってやつをまだ買ってやってなかったな」
焔は集落の仲間に頼むと、本当に太平洋で取れた蛸の変異体の肢を焼き始める。慌てて断るとベリアルは集落を後にした。
「‥‥俺も、あのリリーがやったような消えたりする技が使えるようになるか?」
「ベリアルなら、きっとできるよー?」
背中におぶったあきらから無責任な答えが返ってくる。
「‥‥そうか」
《レギオン》の生き残りは空を見上げた。死国の空は青かった。
磯崎神酒が恐竜の体組織のサンプルを持ち帰ったお陰で、千早M○●N支社の研究はかなり進み、BIOSと同等の立場につくことができた。
敬愛する篠原郁支社長から謝礼を受け取り、直々の礼を言われた神酒は、ただ黙礼すると社長室を後にする。千早アーコロジーを出たところで、ベリアルが彼女を待っていた。
「なんだか、今回の仕事には秘密があったってことかい?」
「いえ‥‥私の腕が、それほどではなかったということだけです」
「ほう。俺にワザをラーニングされるのが怖いのか?」
ふざけているのか真面目なのか分からない男だった。面食らって鷹の目を瞬かせながら、千早の社長補佐室次長はミトラス帰りの傭兵を見つめた。
月華学院大学付属病院、502号室。すっかり傷も癒えた静氷は、一人見舞いに来た大神と話していた。ガウンの裾から、彼女の雪のように白い肌が覗いている。
「ご無事だったようですね‥‥ご苦労様でした」
「なに、大した事じゃねェさ‥‥忘れたのか? 俺は、獣を超え人を超え‥‥機械を超えた存在だゼ」
ニヤリと笑う人狼の口の端から牙が覗く。
「M○●Nの今を見せてやる約束だろ? 明日あたり、案内してやるよ」
ヨコハマLU$Tには空港がないから、いったんN◎VAを経由するしかない。 チャーターした専用機の321便で、わたしやジークは帰ることになった。新瀬戸内空港には神酒が見送りに来てくれた。また、会えることはあるかな。
「今回はご苦労様でした‥‥これが、我が社からの報酬です」
「ええっ、いらないよ! ジークも元どおりに直ったし、わたしが来たのはもともと偶然なんだ。それに、わたしは、べつにあのウルフの手伝いをしてるわけじゃない」
「でも、仕事なんですから‥‥あら?」
わたしたち二人が話していると、両手一杯におみやげを抱えたあきらがにこにこしながら歩いてきた。なんだ、彼女の便も今日出発だったのか。空港は広いから、もしかして迷ってきたのかな?
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And
Here, The kurtain dropped,
under stranj moonlite...
-XYZ-
〜お・ま・け〜
偶然行われていたARUさんのLOST
DREAMのOFFも会場は同じ。でも終了時間が違いあまりコンタクトはありませんでした。まあ人数が多いといろいろ大変だししょうがないか(笑) そういえばManiaxの元木局長の歓迎飲み会も同じ日に帝都のどこかでやっていたようですね。
ロスドリ戦線にRLとして参戦した緋親衛隊長とは、前夜に敵戦力を見据えて作戦会議に協力していたのです。戦果はどうだったかな? 次はそのシナリオでRLをしてもらおう(ニヤリング)
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dice-jp.com > Iwasi Studio > Report > Dainsin under lite of the MOON! 2
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