白浜でリゾッチャ!
白浜でリゾッチャ! 【1日目編】【夜編】【2日目編
(別にリゾッチャしていないのは気にしない)

And so, they appeared on the Staj of Australia .....

Handle: 天野 龍樹(あまの・たつき)
Style: フェイト◎,カゼ,カブキ● Aj: 15 Jender:
 N.I.K.所属の若き少年探偵。スパイクで飾り立てた悪趣味なステッペンウルフでN◎VAを駆け回っている。天野少年と呼ぶと機嫌がよいらしい。久しぶりの古巣に戻るため、オーストラリアに赴いた。
Player: 春日 さん

Handle: ブラボー
Style: クグツ◎,カゲ,フェイト● Aj: 34 Jender:
 オーストラリア2位のバイオ系企業、テンプルトン・ライフシステムズに仕える隠密諜報任務を得意とするエージェント。同社の最高経営会議特別顧問、ランディ・テンプルトン自らの指令で動く。あらゆる人間に変装できるプロテウス義体の持ち主だが、その実ふだんの言動は割と軽い人間である。
Player: 古谷
▼リチャードさんの旧友の方でした。よく考えると白浜に来て3回とも卓が一緒でした。すごい。翌日も彼を使ってもらったのです。翌日のブラボーは千早のエージェントでした。いったい何者。(笑)

Handle: “心理眼”ジェームズ・ハン
Style: トーキー◎,マヤカシ,ハイランダー● Aj: 32 Jender:
 フリーランスのトーキー。心の目で人の心を読む能力の持ち主。実は軌道出身であり、あるバディに守護されている。
Player: 子路 【子路の世界
▼なんと、意外なところでまにCONによく来る子路さんと遊べることになりました。まぁこの時間では当然なのですが途中からダウン気味でした。急に作ったキャストだったのであれこれうまくいかなかったとのこと。確かになんとなく毎回外れクジを引いてしまってるような感アリでかわいそうだったでしゅ。(笑)

Handle: ラファール 【Profile
Style: アラシ◎,バサラ,カゼ● Aj: 17 Jender:
 オーストラリア、フェザーウィル・インダストリー(FwI)社のテストパイロットをしている少年ウォーカー乗り。抜群の回避性能の秘密は、彼の風を操る力にある。ヨコハマLU$Tのコロッセオでもレイヴンを駆って第2回トーナメントで見事優勝を成し遂げた。金髪巻き毛に緑の目をした美少年で、出身はヴィル・ヌーヴ。
Player: 山田聖 【ぬばたまの闇のだんぢょん】
▼あの! ラファール公子様ですよそこのお姉さん!(だれやねん)
やっと念願が叶うことができました。公子様と生PLAY! きゃ〜〜〜(笑)  闘技場で出会い、特別な想いを告白した銀の少女リリー・クローデットとは、このアクトでは仲直りした後という時間軸の設定です。そう言えば公子様って誰が言い出したんだろうな(謎)

Handle: “デス・ロード”アレックス・タウンゼント 【Profile
Style: カブト=カブト◎,バサラ● Aj: 32? Jender:
 死神の使いを名乗るカブト。E&B陸軍のカウンター・テロ部隊SMFで技術を身に付けた。死神との盟約のため、そして裁きのために、その力と夜の魔法を振るう。極めて冷静なため、一見冷淡にも見える人物。
現在はオーストラリア軍教官となっている知り合いのカブト“熱き胸壁”レギオンに誘われ、オーストラリアに赴くことになった。その身に纏うのはフェイトコート相当の夜の色をしたSPOONコート。
▼んんー、でも共に舞台に立ったのはラファール公子様の心に浮かぶあのお姫様ではなくデスロードなのデース。い、いやホラ本人が前だと恥ずかしいしカブトも推奨だったしアラシ2人だとシナリオに迷惑が‥‥(ごにょごにょ)
今回は全員Exp100〜程度、業物なしということなので弱くなりました。SPOONコートを返してくれでしゅー。似合ってたのに〜(泣)

Ruler: リチャード・ウォン 【キャンベラAXYZ
▼AXYZ設定作成のメインメンバーの一人でもあるリチャードさんが急遽アドリブでRLをしてくれることになりました。普段からネタが豊富にストックされているとできる技ですな!
 リチャードさんはTNRに載ってるモリプロのコネクションの“天使の歌声”プリマヴェラ=ティンスティンのPLです。ちなみにこのハンドルの方はNYDのリプレイ同人誌シリーズに出てくるトーキー◎,カゲ=カゲ●のリチャード・ウォンからのようです。(笑)

 

Do golden earz wave in wind?
〜 金の穂は風に靡くか 〜

Ryuuki Amano -illustrated by Sei Yamada@NYD

 天野龍樹はAXYZ国際空港にいた。普段はN◎VAで探偵をしながらあちこちを走り回っている彼だが、オーストラリアにある古巣にたまには帰ってみることにしたのだ。
 だが、愛用のバイクはどうしても持ちこめなかった。LIMITSも驚くほどのこの派手なスパイク飾りがいけないのだろうか? 何故か、いつもに増して空港の警備が厳重になっているのだが‥‥?


 ウィンダムから300kmの郊外、C.F.C.傘下の農場。地平線が見渡せる大平原と、その中で一機テスト機動を続けるFwIの改良型ウォーカー。N◎VAでは見られない風景だ。
 性能は全てスペック通り、オールグリーンだった。コックピットから飛び降りる金髪の少年パイロット、ラファールと、今日はFwIの繋ぎ服の整備員に化けて結果を書きとめるブラボー。
 そこへ、どやどやと雇い主のFwI社の面々がやってきた。テストは今すぐ全中止、全ての火器は使用厳重制限、ラファール個人の持ち物であるレイヴンも動かしてはいけないと。
 キャンベラAXYZに次ぐ第二の都市ウィンダムで、合成食料研究に関する重大な発表会がある。そのためにこの5日間、オーストラリア全域に武器の戒厳令が敷かれるというのだ。

 大平原を見渡して大きく伸びをすると、課長は続けた。
「こっちもいきなりの休暇だよ。さて、遊ばなきゃ損だよな。ミラージュコーストにでも繰り出すとするか。ラファール、お前さんも一緒にどうだ?」
「いや‥‥俺はいいよ」
「なんだい、勿体ないなぁ。南国のビーチにビキニの美女! お楽しみも沢山だぞ‥‥。どうだ、んん?」
 早速仕事を片付けると、課長たちは意気揚揚と帰って行った。

(そうだ。週末にまた、LU$Tに電話しよう)
 だがしかしラファールの頭に浮かぶのは白い海岸でも水着の女性でもなく、白いドレスの似合うあの銀髪の少女ただ一人だった。

Rafale -illustrated by Sei Yamada@NYD

"Mind Eye" James Han -illustrated by Sei Yamada@NYD

 オーストラリア最大のメディア・ネットワークC-OWL(コウル)。“爆裂デスク”として有名なボルケイノから、ジェームズ・ハンは取材依頼を受けていた。もちろん行く先はウィンダムで行われる合成食料研究発表会。C.F.C.アーコロジー入場のカードも手配済みだ。報酬はプラチナム1枚。
 今年、ミトラスの大農場は軒並み不作だった。テンプルトン社が今回発表する手はずになっているある研究結果が、これを豊作に変えるほどの力を持っているという。
「ウチは1秒でも早く他社に先駆けて報道したいんだ。頼むぞ!」
 悪名高いデスクの大声を背に、さっそくジェームズは出発した。


 心ここにあらずといった感じで課長たちを見送る少年パイロットを残し、整備員の業務を終えたブラボーも実験場を後にする。
 だが、突然彼のポケットロンがけたたましく鳴った。画面に映るのはトウモロコシ畑の中で彼に微笑む初老の老人。彼が真に所属しているテンプルトン・ライフシステムズ最高経営会議特別顧問、ランディ・テンプルトン。C.F.C.との苛烈な競争を戦い抜いてきた事実上の創設者だ。
『緊急の最重要任務じゃ。ウルルまで飛んでもらわねばならない』
 3時間以内にウルルに集合し、手勢を集め、あるものを守ってウィンダムまで辿り着かねばならないという。既にブラボーのために十分な額の特別予算が割り当てられていた。将来の、この世界の食糧事情が変わるかもしれないほどの重要事項だという。

Ajent Bravo -illustrated by Sei Yamada@NYD

 早速回れ右をして、ブラボーは先ほど別れたばかりのラファールをコールする。物品の輸送なら、腕のいいパイロットが必要だ。
「緊急の任務なんだ。ヒマなのは分かってる」
『ヒマって‥‥ブラボー、まだ仕事中じゃないかっ?!』
「頼むよ。俺にはラファしかいないんだ!」
 結局ラファールが折れ、パイロットをまず1名確保。そこでブラボーは思い出した。そういえば今オーストラリアに帰ってきているはずの、知り合いの天野少年も二輪の操縦の腕は期待できるではないか‥‥?


 死せる聖地ウルル。全周10kmに及ぶ世界最大の一枚岩。緑色の苔が覆う岩の回りは一切の電子機器が動作しない大森林地帯となっていた。そう――災厄前にエアーズ・ロックと呼ばれていた頃とは、ずいぶん様相が変わっている。
 ここは古きアボリジニの民の聖地だ。彼らの崇める精霊の歌が、大地の霊力が、広い大森林の奥底に満ちているようだった。そう、霧と氷の中に隠された、ブリテンの旧き妖精の森と同じように。

from sphere of Nite and Death, alex went to Australia


 俺の名はアレックス。死と夜の領域に仕えるデス・ロードがこんな場所に来たのは訳がある。
 元SSS巡査、現在はオーストラリア国防軍AXYZ方面部隊の軍事教官をしている“熱き胸壁”レギオン。同業が縁で前に知り合ったあの熱血漢の誘いで、俺はオーストラリアに来ていた。急用ができたらしく、彼はしばらくこの聖地ウルルでも見ていってくれと伝えてきただけだった。
 確かに軍が立ち入りを制限している聖地ウルルのこんな奥まで観光目的で入れたのも、彼が軍に手を回してくれたお陰だ。だが、その後何時間経っても、一向に連絡がない。それともこの森に満ちる霊力のせいで電話が通じないのだろうか?


 深い大森林のそばを、揺れながらゆっくりと走っていく小さなエレカ。その中にはガイドが一人と、この深緑の風景に似合わぬ黒いコートの客がただ一人。
 大きな道路に出た時、危険を察してガイドが車を止めた。二台のバンがカーチェイスをしながら迫ってくるではないか。


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 まだ空港の荷物チェックで揉めている天野龍樹の元へ、神出鬼没のブラボーが現れた。早速テンプルトン最上層部の圧力で、ただの検査ミスでゲートを通れなかっただけであった天野少年の愛車が運ばれてくる。
「私の誠意が空港の皆さんに通じたようです、天野君。ぜひ我が社に力を‥‥」
 キャンベラの走り屋も驚きそうな、悪趣味極まりないペイントのステッペンウルフを見ながら、ブラボーが言う。
「へへ、貸しができちゃったな」
 間違ったことを言いながら、そういえばレンタカーの手があったことに少年探偵はようやく気付いた。


 俺は追っ手の黒いバンを見やった。逃走車両を止めるべく盛大に発砲している。しかも、あれは30mm機銃だ。
『9mm弾はオーストラリアじゃぁ豆鉄砲さね』という冗談を前に誰かに聞いたが、賑やかなことだ。
「なあ。これも、オーストラリアじゃよくある光景なのかい」
「ハッハァ、旦那、こりゃあ、10日に1度ぐらいさねぇ」
 俺とガイドが見守る前で逃走車両は横転し、停止した。後部ドアを開き、一人が傷付いた体で拳銃を構えて出てくる。まだ若い、コーポレートの女だった。仕方なく俺はそちらに歩み寄ることにした。
「動くなっ!」
 突然俺に向けられる銃。反射的に動いた左腕の中に、光を屈折させて隠していたクリスタルシールドが呼び寄せられる。
 数瞬の睨み合いの後、彼女の銃口は俺でなく、追跡側車両から降りてきた男たちに向けられた。形勢は、圧倒的に彼女が不利だ。
 俺は力を使った。彼女の目の前に一瞬で飛び、盾を構えると懐の銃に手をかける。
 俺の出現を認めた男たちは顔を見合わせると、逡巡の後にバンに乗りこんで逃げ出した。いずれも黒服のクグツたち‥‥企業のボーイズ・イン・ブラックというところだろうか。
 拳銃をようやく下ろすと、女は大きな息をついて頼んできた。
「わが社‥‥テンプルトンに連絡を‥‥。それから救急車を呼んでください‥‥」


 ブラボーが来るまですることもなく、ラファールは市外をぶらぶらと見て回っていた。ふと見ると、さっそく臨時休暇旅行に出かけるFwI社の面々が意気揚揚と荷物を手にリニアに向かうところだった。
『おう、ラファール! まだ間に合うぞ? どうだ、ミラージュには綺麗なねーちゃんも山ほどいるぞ? んん?』
『そうですよね、課長。ガゼンいいらしいですからねっ!』
「いや‥‥だから、俺はいいよ」
『まったくつれない奴だな。予定でもあるのか?』
「ま、まあ、いろいろね!」
 こんな様子をあの子が見たらどう思うだろう。あの花のような微笑みを浮かべた彼女には絶対に見られたくない。オーストラリアに来てから、ずっと会えないままだが‥‥
 気晴らしに空でも見ようかと小型のジャイロで飛び立ったラファールは地上を見て仰天した。戻ってきたブラボーが、部下らしきクグツたちと人文字で"BAKK RAFALE"の文字を作って必死に呼びかけているではないか。
 仕方なくジャイロを着陸させ、正体不明のクグツをピックアップすると、ラファールは一路聖地ウルルへと機体を向けた。


「次からは敵味方を正しく認識するんだな。あの時、俺が撃ち返していたかもしれないぜ」
 まず彼女の銃からマガジンを抜くと隅に放り投げてから、俺は救急車を呼んだ。
 20mm機銃の砲火を浴びたバンは酷い有様だった。運転手を含めた二名が即死、一名が重傷。後部座席にいた彼女と、彼女が抱えていたジェラルミンケースは無事だった。
「なあ。こういう企業同士の実力行使もよくあることなのかい」
「ハッハァ、旦那、こりゃあ、20日に一度ぐらいさねぇ」
 ガイドの答えは相変わらず、冗談とも本気ともつかないものだった。
「すみません‥‥私は、テンプルトン食料開発課のミハル・ジーナと申します。どうしても緊急にウィンダムに行かねばないのです。本社からOKが出ました。プラチナムをお支払いします。リニアの駅で、社が手配した護衛チームと合流できる手はずになりました」
 彼女はジェラルミンのケースを大事そうにエレカに移した。それほど重くはないようだ。あの中身が訳ありらしい。よくある話だ。
「私、小さい頃から勘がよかったんです。今日も後ろに乗った方がいいような気がして、こうして私だけが助かりました。助手席に乗っていたら、きっと一射目で死んでいたでしょう。急ですけど、護衛をお願いします。何故だか、分かります。私には、あなたは悪い人には見えないんです」
 企業世界の住人でも、天上の神々に守られている人間はいる。彼女もきっと加護を受けているのだろう。俺に銃を向けてきた人間を守るのも気が進まないが、断る理由もない。
「‥‥分かった。いいだろう」
「お願いします。私には分かります、あなたが本当は善人なんだって」
「‥‥フン。デス・ロードが善人ね」
 動く車は速度の出ないエレカしかない。仕方なく彼女を乗せると、エレカはリニアの駅目指してゆっくりと走り出した。


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 半地下にあるウルル中央駅。ブラボー率いるラファール、天野、ジェームズの移送チームは、時間になんとか間に合うと護衛相手を探していた。
 ずいぶん大きなバッグを背負った怪しい男たちの一団とすれ違った時、ジェームズはなんとなく特ダネの匂いを嗅ぎ付けて振り返った。そして数々の難事件を解決してきた天野少年探偵の勘が告げた。中身は銃ではないのか‥‥? オーストラリア全土を網羅する大陸横断鉄道の中で‥‥?
 感付かれたのを悟った男たちは一斉に階段を駆け上がって逃げ出す。天野は貨物室から愛車ステッペンウルフを出すと、仰天する一般客たちを尻目にエンジンの音も勢い良く駅の階段を駆け上がった。男たちは改札を越え、その向こうの怪しい黒いバンに乗り込もうとしている。
 スロットルを全開にして改札を飛び越え、天野少年はバンに体当たりを仕掛けようと翔んだ。だがそれと同時にバンの後部ドアが開き、大きなランチャーが出てくる。ふつう大型特殊車両しか備えていないエンジェル6ランチャーだ。宙を飛ぶステッペンウルフのちょうど向かう方向から、ロケットの一台が発射され‥‥?
 だがロケットランチャーは発射直後に盛大な音を立てて爆発し、次の瞬間に黒い光の中に全てが消滅した。
「賑やかな一日だな」
 天野少年がバイクを立て直して横を見やると、N◎VAで会ったことのあるカブトが大型拳銃を冷静な表情で構えていた。


 俺はミハル・ジーナを背後に庇いつつ、大騒ぎになった駅構内を見渡した。ランチャーを見て逃げ出しているあのクグツの男が、落ち合う予定の護衛チームのリーダーだろうか?
 敵のバンは巧みな運転でバイクの追撃をかわしている。なお悪いことに増援らしい車が何台も増えてきた。乱戦の中では射撃も当たらない。指揮車の窓に20mm機関砲が見えたとき、ちらりとガンナーの腕が見えた。あのフォルム‥‥パワーアシストアーマー装備のチームが待機しているに違いない。やっかいな相手だ。突破口はないのだろうか‥‥?


 ジェームズ・ハンに流れる血が持つ霊的探査の糸がバンの中を探る。ジェームズの頭に浮かんだのは『C.F.』の文字。一番ありそうな線だ。最後の1文字はあれしかない。テンプルトンの妨害をするなら、世界一のあの合成食料企業しかない。
 護衛相手らしき女性を守っていたカブトの射撃がまたバンを掠めるにとどまった時、バックのまま進んできた別の車が急に方向を変え、後部ドアを一行に向けて急停車した。
「みんな、こっちだ!」
 襲撃を予想してラファールが入手しておいた中古のシティベアだった。全員が乗りこんだのを確認すると、少年の思考がアクセルを踏み込む。乱戦の中を見事なハンドリングで抜け出し、シティベアは大騒ぎのリニア・ステーションを後にすることができた。ブラボーが呼んだ増援の工作員たちが、呆然とする一般市民に映画撮影であったことを説明すると図書券をお詫びに配って回る。


 混乱した状況だったが、俺とミハル・ジーナ女史とジェラルミンケースは無事にシティベアに確保されることができた。
 どうやら先程のクグツがテンプルトンの手の者らしい。彼が運転席に声をかけると、自動運転をWINDSに任せたパイロットが親指を立ててサインを返してきた。いい腕だ。運転していたのはまだ10代の少年だった。あの金髪をどこかで見たような気がしたが、俺は思い出せなかった。
 ブラボーという名のテンプルトンのエージェントがジーナ女史と名刺交換を交わし、ようやく落ち着いた車内で彼女は話し出した。


 ジェラルミンケースの中身はテンプルトンが5年の歳月をかけて開発した、低温栽培用のα-3小麦の苗が5つだった。地球全体が氷河期へと進みつつある現代、寒冷地での食料生産においては画期的な進歩だ。
ウィンダムで行われる合成食料研究会において正式に発表されることになっており、これで反日系企業群からも融資の確約が取れる。ミハル・ジーナのIANUSにもハッキング防止の処置をこらした特殊データ媒体で機密事項が格納されているという。
 当然、他社がこれを狙ってくる。バイオ食料系企業No.1のC.F.C.がまず疑わしいだろう。最高顧問ランディ・テンプルトンの頼みは苗と彼女を発表会まで守り通すことだ。
 二人乗りのジャイロにはラファールとジェームズが乗り込んで襲撃を警戒、バンは天野少年が運転し有事にはバイク、ブラボーとアレックスがバンの中で待機することになった。


 広いオーストラリアで覇を競うC.F.C.とテンプルトンの暗闘‥‥確かに、ありそうな話だ。そういえば、バイオ系企業は他にも幾つか、確か彼女の企業もオーストラリアに本社があったな。
「ということは、君がこの作戦のリーダーになるわけだな。よろしく」
 このブラボーといういまいち得体の知れないクグツに挨拶すると、俺は相手をしばし観察した。隠密任務や、作戦終了時の現場からの速やかな離脱を得意とする企業エージェントといったところだろうか。体術にも優れるようだ。それにこの動作や雰囲気の微妙な違い‥‥この男、完全義体だ。
 上空のジャイロの中のジェームズから連絡が入った。襲ってきたのはC.F.C.の急進派のひとつ、ミサワ派お抱えの特殊部隊らしい。傭兵部隊キラーホエールの隊長が元CFCで、そのつてで人員や装備を都合しているそうだ。パワーアシストアーマー装備の重武装チームが相手なら、火力レベル的にもかなり厄介な相手になる。


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 ウルルを離れようとした時、前方に不審な黒いバンが停止していた。天野もバンを止め、ラファールが上空からジャイロをゆっくり降下させる。
 やはり罠だった。けたたましく警告灯が鳴り響き、備えつきのレーダーがロックオンされたことを告げる。バンからはスマートガン仕様の20mm機銃が狙っていた。
 回避行動に移りながら、ラファールは精神を集中した。修めた風の力を解き放ち、揚力に変換して全力で上昇する。空高く舞い上がったジャイロは小鳥の如く掃射を全弾かわし、そのままウィンダムへと向かった。
 見て取った天野も4WDのアクセルを踏み込み、シティベアを急発進させる。ゲートを抜け、そのままオーストラリアの荒野へ‥‥追ってきた数台の車もスピードを上げたが、道路脇に突っ込んだ一台につられて姿が見えなくなった。


 大平原を走り、一行は無事ウィンダムへ到着することができた。しかし合成食料研究発表会を控え、検問と警戒がぐんと厳しくなっている。運の悪いことに、今の検問をやっているのは国際犯罪対策チーム“ケルビム”だった。
 ブラボーのプロテウス完全義体が変形を始めた。ケルビム捜査官に変身した彼は「任務御苦労」とまんまと検問を抜けようとする。
 だが、間の悪いことに本物の捜査官がやってきてしまった。
「んん? お前、見ない顔だな」
 ブラボーは必死に記憶を手繰った。汚い手も辞さない悪名高い“ダーティ・コップ”ことバーナード・相模捜査官ではないか。
「あ、これはこれはダ‥‥ダ‥‥“ダンディ・コップ”と有名な相模さんじゃないですか!」
 途端にバーナードは気をよくし、飲みに行く約束を取り付けるとバンを通してくれた。
 だが、このウィンダムはC.F.C.本社アーコロジーのあるお膝元だ。まだまだ、気は許せない‥‥


 ヘリポートに着陸し、ジャイロを下りたラファールが建物に向かおうとした時。突然、頭の後ろに冷たい銃口が突きつけられた。
『動くな』
 両手を上げ、目だけを動かして下に落ちる影を見やる。重装パワーアシストアーマーに20mm機銃。これだけの装備をつけながら、熱光学迷彩で隠れていたのだ。他に何人かいる。
『貴様がテンプルトンのスパイだということは分かっているぞッ!』
 咄嗟に振り返り、ジェームズがまだ乗ったままのジャイロの自動操縦をONにする。彼を乗せたまま、WINDSに制御されたヘリは再び舞い上がった。
 フルオート斉射された機銃弾がすかさずばら撒かれた時、ラファールの胸のお守りが燃え上がってそれを防いだ。再び少年の頭に銃を突きつけられた時、夕暮れの空から舞い降りてきた光がそれを遮った。頭上のジェームズがその天上の力を使ったのだ!


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 天野少年が自慢の愛車でバンから飛び出し、現場へと突っ込む。ジェームズはジャイロの中の無線拡声器を見つけると、パワーアーマー部隊を撹乱した。その隙にラファールは遠隔操縦機に飛びついた。バーニア噴射を全開にし、ヘリポートの隅に積んであった機材を敵の真上に落とす。
『くそッ!』
 リーダーらしき男が銃を退き、厚い装甲で覆われた左腕で自分を庇う。筋力増強機構つきなのだろうか、その腕は落下してくる鉄筋をなぎ払った。


 機関銃特有の銃声と空に輝いた光は俺たちにもはっきりと見えた。俺は魔法を使った。周りに満ちる夜の光が、窮地に陥ったビズメイトの元へと導いてくれた。
 あの金髪の少年のカバーに立ち、戦況を確認する。散らばった機材の中で機銃を構え直すリーダーらしき男。迷彩服の力で蜃気楼の中に揺らめいている部下達。
「お前達、どこの勢力の者だ!」
 頭上のジャイロから拡声器の声が聞こえてくる。
『貴様らも見当ぐらいついているだろう。CFCの命で全員を抹殺しにきたのよ!』
 重装部隊の隊長は言い放った。俺はサイバーの右手のBOMBピストルをアーマード・ガイに向けた。
「CFCなら、このデス・ロードの敵だな」
 目の中の十字照星が合った瞬間にシュート。人工筋繊維とサイバーで増幅された奴の回避運動を、夜の力を解き放って阻止する。黒く輝く13mm徹甲弾が、分厚いパワーアシストアーマーの装甲の全てを貫通した。

 頭を吹き飛ばされた隊長は床に転がっていた。もっともこんな濡れ仕事チームの連中のことだ、武器や装備を洗ってもCFCの証拠などどこにも残していないだろう。
 その時俺は、まだいたはずのパワーアーマー部隊の残りが消えていることに気が付いた。横の金髪の少年と顔を見合わせる。
 陽動だ。ミハル・ジーナはまだバンの中にいる。


 隠れたままレーザー・ナイフでミハル・ジーナを殺そうとしていたアーマー部隊。転移してきたアレックスが必死に彼女を守り、車の外に逃がす。
 だが次の行動は誰にも止められなかった。影の中から現れた最後の一人が、高性能手榴弾をシティベアの中に叩きつけたのだ。


「‥‥!」
 俺はジーナ女史を守ることしかできなかった。だがその時、手榴弾の爆発音の一瞬前に、別の爆発が起こった。
 俺には風の力が満ちたような気がした。バンのオイルにでも引火したのだろうか? 何かがバンの外に放り出され、一瞬の後に本物の爆発がバンを残骸に変えた。
 放り出されたものにあの少年が飛びつく。穴が空いてしまったジェラルミンケース。なんとか全壊は免れたのだ。
 爆音を響かせて戻ってきた天野少年のバイクが特攻し、残った敵をアーマーごと轢き殺す。
 後にはバンの残骸の上で火が燃えているだけだった。襲撃は終わった。少年とジーナ女史が急いで容器を移し変える。バイオ苗は完全な消失をすんでのところで免れた。


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 無事に研究発表会の行われたウィンダム。テンプルトンの社屋で、一堂に会した一行はランディ・テンプルトンから話を聞いた。
 残念なことに空気に触れたために、α-3バイオ小麦の残った1つの苗も損傷を受けていた。このために、肝心の発表会でこの件に関しての発表は控えられた。だが、反日系企業群からの融資は予定通りに確約され、環境は整った。
 開発に数年もかかったこの苗は完全な消滅は免れることができたのだ。あと3年、あと3年あれば、また育てることができるだろう。オーストラリアの大地に、この黄金の稲穂が広がる日が来るのだ‥‥。
 引退後も農地で作物を育て続けているテンプルトン・ライフシステムズ最高経営会議特別顧問は、遠い目をしながら夢を語った。

Ryuuki Amano -illustrated by Sei Yamada@NYD

"Mind Eye" James Han -illustrated by Sei Yamada@NYD

 ジェームズ・ハンはC-OWL AXYZ報道部のデスク前でいつにない大噴火を目の当たりにしていた。
 自分の取材結果を元にC.F.C.の悪行を暴こうとしたハンの作戦は、証拠が不十分だったためにうまくいかなかったのだ。
 天地を揺るがすほどの“爆烈デスク”ボルケイノの怒声を背に、ハンは次なる取材に向かった。
 爆裂デスクの噴火が小康状態に収まった時‥‥その時こそ、ハンの報道が栄誉と共に全オーストラリアに流れる時だろう。

 任務は完了。意気揚揚と夜のウィンダムに繰り出すブラボーは、“ダーティコップ”バーナード・相模にまたもやばったりと出くわす。
「ダ、ダーテ‥‥いやダンディ・コップの相模さんじゃないですか‥‥」
「オウ。お前、今回裏でいろいろやってたんだってな、んん?」
 巧みな誘導尋問に、ついブラボーは自分がやっていたことをぽろっと漏らす。
「まあ飲みに行ってゆっくり話そうじゃないか。ハハハ!」
 新たなカモの肩をバンバンと叩くと、ケルビムの悪徳捜査官は夜の街に繰り出した。

Ajent Bravo -illustrated by Sei Yamada@NYD

from sphere of Nite and Death, alex went to Australia

 テンプルトンの別口からのアレックスへの報酬も約束通りのプラチナ1枚だった。しばし考え、依頼内容は第一にミハル・ジーナの保護、バイオ苗は二の次だったことを確認した彼は、約束通り全額を受け取った。
「‥‥最後に、弊社のミハル・ジーナより伝言を承っています」
「何だ」
「『ありがとうございました』とのことです」
「分かった。十分だ」
 夜の色をしたコートを翻し、デス・ロードは去っていった。


 帰りをどうしようかと考えていた時、電話が鳴った。電話の主は大声で平謝りしてきた。俺がオーストラリアでこの大騒ぎに関わる羽目になった張本人――熱き胸壁のレギオンからだった。
『今回はすまなかった! いろいろあったそうだな‥‥』
 俺は事件の顛末を話した。
「こういう企業間抗争の大騒ぎも、オーストラリアじゃ日常茶飯事かい」
『そうだなあ。1ヶ月に1回ぐらいはあるかな』
「そうかい? 俺は20日に1度と聞いたんだが。フフ、あのガイド、嘘をついたな」
『なんにせよ今回は悪かった。俺もいろいろあって‥‥。ウルルは堪能できたかい』
 よくは知らんが、彼はN◎VAで井澤友里子という医者の女性と大騒動の後に結婚したと聞いている。いや、今も騒動なら続いているらしい。
「あー、俺が聞くようなことじゃないが、奥さん関係でまたどうかしたのかい」
『ま、まあ‥‥そんなところだな。‥‥ちょっと失礼』
 電話の向こうでビンの開く音がした。また、胃薬でも飲んでいるのだろうか。

   
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 キャンベラ新国際空港発の亜軌道ジェット。夕方発のこの便の離陸時には、星ぼしに一番近い街の夜景が一際美しく見える。夜空へと連なるユグドラシル。宝石を散らしたように広がるAXYZ市街。
 機内はずいぶんと空いていた。窓の外から目を移したラファールは、通路の向かいの席に見覚えのある人物を認めた。あの仕事で共にウィンダムまで一緒に行った、黒衣のカブト。だがLU$Tコロッセオの若きチャンピオンはその時、別のことを思い出した。
 あの少女のことを頭の隅に追いやり、ひたすら戦っていたあの頃。チャンピオンの彼を取材にきたあの快活な女性レポーター。彼女はラファールが世界でただ一人の相手に向けて語った言葉を、光の海から伝えてくれた。あの時、彼女の背後で護衛として控えていたのも、あの同じ彼だったではないか。
 ラファールは手を振って、自分を認めた相手に呼び掛けた。
「あれ‥‥そうか、あの時、静元さんと一緒にいた?!」
「‥‥そうか、君だったのか」
 その女性の名が彼にとって特別な意味を持っているにも関わらず、少しも動揺せずにアレックスは答えた。


 再会したのがオーストラリアでなくヨコハマでだったら、もっと早く思い出したのだろう。そうだ、この少年は若くしてチャンピオンの栄冠に輝いたあの時のパンツァーボーイだったのだ。
 言葉を交わす俺たちの前で、機内スクリーンにC-OWLのニュースが流れ出した。発表が取り消されたテンプルトンのバイオ小麦。だが数年後に、またその技術は実を結びそうだという。

「苗が1本だけ助かったのは君の力のようだね。さすがだ、チャンピオン」
「ああ!」
 俺の出した手を、ラファールは握り返してきた。その時、俺には見えた。彼の周りに見えざる風の力が満ちているのを。この少年も魔法使いだったのだ。
 N◎VAまでの道すがらいろいろな話をしてきたが、彼はカブトの心得まで聞いてきた。フフ、この少年はウォーカー乗りのはずだが、何故だろうか。

from sphere of Nite and Death, alex went to Australia


Rafale -illustrated by Sei Yamada@NYD


「そう、3年後に、黄金の稲穂が実るといいな! その光景を、みんなに見せてあげたいよ」
 そう語るラファールの頭に浮かぶのは、オーストラリアの大地に実る黄金色の稲穂の中を自分と歩く、銀の髪を颯爽と翻した一人の少女の姿だった。


Rafale'z sweetheart...


And Here, The curtain dropped,
in the fateful hand of NORN ....
-XYZ-

Spesial Thanks to:
Canberra AXYZ
ノルンの御手のもとに、多くの物語が紡がれますように‥‥


 リチャード・ウォンさんによるとこの話は件の培養食料を扱ったキャンペーンの第一話、キャンベラAXYZ関連でシナリオのメインネタ用に幾つかある大ネタのひとつだそうです。ほぼ全てアドリブでやった割にはずいぶんうまく行ったので、自分的には80%でかなり満足とのこと。んんー、僕は勝手がいろいろ違って演技が不十分だったので自分的には70%かな(笑)
 NYDではこういう感じでアドリブメインでやることも多いようですね。僕は準備しないとマスターやらないのでいろいろ新鮮でした。
 ぜひ続きをまたいつかやりましょうとのことでしたが‥‥遠いので簡単にはできないでしゅ(泣)


VioletBtn
 


 さァ、いよいよ白浜GFコンも二日目。ゲーム開始が08:30というGF始まって以来の早朝スケジュール。急にRLを頼まれたのでキシャ〜!な感じでしたが、相手が声優さん達とあらば受けて立たねば。
ゲームとしてのN◎VAを遊ぶのはほとんど初めてだそうですが、今年末発売予定ののN◎VAのCDドラマにも当然主役で出演です。ここは僕の名にかけてもガゼン完全成功させねば‥‥っ!
 ‥‥とかいってもうすぐ朝の5時だよ。ソファーで少し休むかなぁ。空が青いなぁ、ハハハハッ(ぎこちない笑い)

‥‥【2日目編】へ


Animation Bar (Blue)
...... Riso'cha in Shirahama: Part.2 ......

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