Legacy from Starz - What left on the Earth...
レガシー・フロム・スターズ
〜星々の遺産〜
Movie】【前編】【後編】【まにCON編


 ある週末。休日出勤を乗り越え‥‥DVD版発売延期にガクゼンとしつつUNDERWORLDのライブアルバムを買って‥‥薔薇CON後の飲み会へ。MYO専務と西からお忍びで来ていた西の魔人ハラダイ先生がかわしていた中華街BBS第三話の密談内容にガクガクしつつ今度は西からうらやましがる大王様より電話。携帯が回ってきたので「結局シナリオどーすんですか!?」とか言いつつでは明後日と別れて帝都の夜は終わるのだった。まる。ふ。『朝のひととき』要請はもうICQで来てたから諦めているさ。(泣笑)
 さて請われたのでまたオーサカに旅に出ることにしたのです。第18回マニアックスコンベンションの前日は、大阪方面で活動中の【ぬばたまの闇のだんぢょん】の皆さんがまた遊んでくれることになりました。(ちなみにこの呼称は同人誌を出す時しか使わないそうなので正しくありません。そして【キャンベラAXYZ】設定委員会もイコールぬば闇という訳でもありません。うーん奥が深い。/笑)
 行われたのはGFコン in 白浜で行った『金の穂は風に靡くか』の続編。舞台は、またもやオーストラリアの大地です!


And so, they appeared on the Staj of Australia .....

Handle: “ノーフェイス”チャーリー
Style: クグツ◎,ニューロ,カゲ● Aj: ?? Jender:
 オーストラリアTOPのバイオ系企業、キャンディス・フーズ・コーポレーション情報部所属の義体エージェント。あらゆる人間に変装できるプロテウス義体の持ち主であり、その人格は幾つかのチップの中に封じられている。
Player: 古谷
白浜CONで一緒だったリチャードさんの旧友の古谷さん再びなのです。今度はC.F.C.のエージェント、チャーリー。この前のブラボーとは一体どういう関係なのでしょうか。ジツは‥‥

Handle: ラファール 【Profile
Style: アラシ◎,バサラ,カゼ● Aj: 17 Jender:
 オーストラリア、フェザーウィル・インダストリー(FwI)社のテストパイロットをしている少年ウォーカー乗り。抜群の回避性能の秘密は、彼の風を操る力にある。ヨコハマLU$Tのコロッセオでもレイヴンを駆って第2回トーナメントで見事優勝を成し遂げた。金髪巻き毛に緑の目をした美少年で、出身はヴィル・ヌーヴ。
Player: 山田聖 【ぬばたまの闇のだんぢょん】
▼あの! ラファール公子様ですよそこのお姉さん!(またやん)
今回もオーストラリアに帰省中の公子様。今回は業物ウォーカーよりも技能に力をいれてぱわーUpです。もちろん主人公のはずですが一人だけなんか災難続きでした。でもラファール公子様です。いえー。

Handle: “タナトゥスの羽根”ペネロープ 【Lizort Pin-Up
Style: イヌ◎,カブトワリ,ヒルコ● Aj: 20 Jender:
 オーストラリア警察国際犯罪対応チーム“ケルビム”捜査官。棺行来電脳捜査官と共に様々な捜査に当たっている。実は軌道で政府研究機関が行っていた生体強化人間計画で生まれた人造生命であり、全てが闇に消えた時、幸運から地上世界での居場所を得ることができた。現在の職務が自分の存在理由であることにささやかな誇りを感じている。一見物腰が冷めても見えるが、性格は純粋。
 常に黒衣に身を包んだいつも寂しげな表情の細身の少女。天使の持つ純白の死の翼は、未だに自分と人間とを隔てる壁を越えられないのだ。
Player: 堀野
▼あの! ペネル様が生ですよ生で!O(≧∇≦O)(O≧∇≦)O
AXYZのプレイレポートでよく活躍している羽根ユニットの片割れ、ペネロープ。可憐なペネル様はシノハラ殿下いわく「ほりのヒロインの王道」だそうです。うーむなるほど。(ニヤリング)
 N◎VAへ仕事で来た時、twiLiteの天空の星の光降りるイベントcelestia-Liteで幾つかの出会いをし、AXYZへ帰った後という設定です。イヌが二人で被り気味なんてこの面子なら問題になりません。いえー。

Handle: “光の弾丸”静元 星也 【Profile
Style: イヌ◎,マヤカシ,カブトワリ● Aj: 22 Jender:
 ブラックハウンドN◎VA本部生活安全課の若手巡査。射撃の腕は抜群で幻術を操るともいう。生真面目で優しく、誇り高い若者である。LU$TAXYZやあちこちに遠出するといつもたいてい事件が起こっており、年の離れた姉が心配している。ウォーカーとの遭遇率が高い。
 LU$T支部の要だった東耀司死去の悲報に泣くハウンドだったが、立ち止まってはいけない。東教官の想いを胸に、若き猟犬は今日も災厄の街に踏み出すのだ。エニグマの名は至天煌(バサラ)。魔剣化された拳銃に宿る守護神だ。
▼オーストラリアといえばウォーカー(激しい誤解)。というわけで秘幽体使いVerの星也巡査がまた旅に出るのデース。ちなみに同志Xの協力を得て、守護神は熾盛光如来という菩薩になりました。日本の神々は西洋神話に比べて具体性がないので難しいですね。

Ruler: 九十九光輝(つくも・みつき)
▼名前が変わってRLは九十九さんです。凄い凝ったプロットのシナリオでした。いつもこんなセッションやっているのでしょうか(ブルブルブル)。いえー。 ちなみにこの話は前の話より、しばらく経った後の話となっています。

ぷちペネル様なのでしゅ〜(>_<)
 
 

Legacy from Starz - What left on the Earth...
レガシー・フロム・スターズ
〜星々の遺産〜


 オーストラリアの広大な空に舞うフェザーウィル・インダストリー社(FwI)の新型機。レシプロのプロペラとジェットエンジンを組み合わせたこの機体は、小型の家庭用ながら完全なVTOL機能を備えている。
 テストパイロットとして乗り込んでいるのはまだ若い少年だった。日の光がその金髪をゆるやかに照らしている。
Prince Rafale Dinan
Rafale Dinan

 ラファール・ディナン。第二回ヨコハマLU$Tコロッセオトーナメント優勝の栄誉を勝ち取った若きウォーカー乗り。
 緑の目の公子は白のレイヴンを離れ、飛行機のテストパイロットとしてオーストラリアに戻っていた。この広すぎる空までは、無事を願うあの銀の髪の少女の祈りも届かなかったのかもしれない。  

 遠くに見えていた雨雲らしきものが、急に方向を変えてラファールの機体の方に飛んできた。
「お、おい‥‥風向きが違うじゃないかっ!」
 慌てて旋回するが間に合わない。雨雲は広がり、無気味な音を立てて空を覆い尽くした。
 コクピットのガラスと衝突する音を聞いてラファールは戦慄した。それは雲ではなく、小さなイナゴの大群だったのだ。

蝗君「食べちゃうのでイナゴ〜」

 見ている前で吸気口からイナゴを吸い込んだ翼のエンジンが火を吹き、そして爆発した。脳と接続したWINDSから、高度低下と制御機能低下とあらゆる危険を告げる情報のストリームが流れ込み、コクピットが赤い警告のインジケートで一杯になる。
 ラファールは頭を巡らせた。非常事態においても、街や人家を着地地点から避けるのはパイロットの義務だ。眼下に広がっているのは死せる聖地ウルル――天空の民の不可侵の聖地。
 パイロットの必死の努力で最後の旋回をした試験機は森の切れ目を越え、平地に突っ込むように不時着した。
 必死に操縦席から這い出ると逃げ出したラファールの後ろで、機体が炎に包まれる。
「動くな」
 呆然と機体を見つめていた少年は、気配に気付くことができなかった。拳銃を構えた原住民らしき男たちが数人、座り込んだままの彼を取り囲んでいた。


 トーキョーN◎VA、特務警察ブラックハウンド基地。細野君郎新隊長は、元治安維持軍の少佐だった人物だ。レンズ隊長が去った後も、黒き猟犬を日本に繋ぐ鎖は変わっていない。
「生活安全課の静元、出頭しました」
「よし、入れ」
 ぼくは一呼吸置くと、扉を開けた。

"Flash Bullet" Seiya Shizumto

 かつての牙を見せることのないゼロ部長率いる生活安全課。生まれ変わった光の帝国の猟犬に相応しくない面々の揃う問題部署。
 その中でも若手の静元巡査の手には、LU$T支部の今は亡き教官から渡された一挺の魔銃。その心には、狩り手にはない優しい心を。若き猟犬の旅は、まだ終わらない。

"Flash Bullet"Seiya Shizumoto


 細野隊長の部屋には、星也巡査以外に5人が既に出頭していた。いずれも基地内で見た顔だが、一人だけ知らない人物がいる。
 6人に与えられた極秘任務は、3チームに分かれてオーストラリアへ飛び、2日前から世を騒がせている蝗事件を秘密裏に捜査せよとのものだった。
 席から語る隊長の背後にスクリーンが展開し、かつてのハウンド隊長――N◎VA司政官稲垣光平その人がその顔を見せる。
 今から1年前のオーサカM○●N、BIOS社研究所から極めて重要なDNA情報が盗み出された。今回の事件のバイオ蝗には、その技術が使われているという。当時、盗難事件そのものは闇に葬られたが‥‥警備に当たっていたのはMOONBASEのハウンド隊員たちだったのだ。このままでは責任問題に発展する。
 今朝方、ミトラスにあるテンプルトンの研究所にある新種の農作物プラントが襲われた。次の目標として一番可能性が高いのは――オーストラリア郊外のパースにあるプラントだ。
「状況が悪化すれば、司政官の進退問題にまで発展しかねない」
 消えていくスクリーンに敬礼した細野隊長は6人を見回した。
「君達は選り抜きの隊員として今回選出された。2人1組のチーム分けも済んでいる。現地での行動は各隊員に任せる。すみやかに事態を解決して欲しい」
 星也は自分の相棒となった相手を見た。三鏡貫也(みかがみ・れんや)、26歳。オーサカのMOONBASE出身となっていたが、今まで一度も見たことのない顔だ。星也の警官としての勘が、何かひっかかるものを告げていた。


「分かりました。謹んで拝命します。――ところで隊長。現地警察からの協力は手配されているのですか?」
「ああ、もちろんだ。ケルビムに要請してある。なに、連中に嫌とは言わせんよ」
 細野隊長は笑った。そう、ハウンドは日本直属の特務機関なのだ。事件の解決は大切だけど‥‥ぼくは、そんな気持ちでは彼らと協力したくない。
「それから、今回の事件で一番の功績を上げた人間はケルビムへの1年間研修の資格を得ることができる。ほぼ確実にだ。各自、職務に励むように」
 他警察での長期研修といえば、ハウンド内でも出世コースの近道として暗黙のうちに認識されている。
 オーストラリア。キャンベラAXYZには一度行ったことがあるけど、また星々へ一番近い街を踏むことになった。それに今度は、本物の捜査としてだ。


 オーストラリアのウィンダム、キャンディス・フーズ・コーポレーション本社情報部。チャーリーは課長の前で控えていた。横のパネルには、世界で活動するC.F.C.の様々な秘匿情報が光のストリームとなって流れている。課長は社内ネットワークの機密ランクA情報にアクセスできるのだ。

"No Face" Charlie

“ノーフェイス”チャーリー。電脳対応型フルボーグの非合法エージェントの一人。機械で構成されたその外見は一千の異なる顔を持ち、顔ごとの人格はペルソナ・カードの中に収められている。そして、チャーリーそのものの意識も、そのひとつに過ぎない。

"No Face"Charlie


「誰でも考え付くことだが、今回の事件をC.F.C.の仕業と考えている者がいる」
「‥‥違うのですか?」
「ああ。現在はな。君が現在行っている例の件の隠蔽工作は中止していい。こちらの調査に当たってくれ」
 任務に成功すれば、チャーリーにも機密ランクAの情報へのアクセス権が認められる。完全義体のエージェントは了承すると、自らの意識を電脳世界に伸ばし始めた。
 イナゴという種は災厄前に全滅したはずだ。あのような特異な状況で生物兵器的に使用するには、DNA情報の入手と大幅な改造が必要になる。そして――どうやら本当に、今回の事件はC.F.C.の陰謀ではないようだ。



 キャンベラAXYZ中枢、AXYZ市警察ビル21階。オーストラリア国際犯罪対策チーム“ケルビム”分室。
 ペネロープが見渡すオフィスはがらんとしていた。ケルビム捜査官はオーストラリア全土で独自捜査に、現地警察との合同捜査に駆けまわっている。出払っているのはいつものことだ。相棒の棺行来電脳捜査官の姿もない。

"Wing of Thanatos"Penelope
"Wing of Thanatos" Penelope

“タナトゥスの羽根”ペネロープ。黒衣に身を包んだ寂しげな死天使。警告してからでないと裁きの弾を撃てないケルビム捜査官。軌道施設で生まれた彼女は政府の庇護なくしては存在できず、ケルビム以外に行くところもない。
 だが彼女は人と異なる生を受け、記憶に多くの空白を持つ身だからこそ、人を理解し、人として正しい道を歩もうと模索している。それが彼女の立つべき理由だから。その人にはない翼が、地上世界に残されているものを探す助けとなる証だから。


 ふと見ると、顔見知りのAXYZ市警が知らせを持ってきた。イナゴによるプラント襲撃事件のことで、遥かN◎VAから特務警察が派遣されてくるという。フレドリック・ベイカー隊長の指示は彼らのフォローを優先せよとのことだった。
 派遣されてくる隊員は3チーム6人。4人にはオーストラリア側で照合した詳細なデータがあったが、最後の2人だけは簡単な記述しかない。生粋の日本人といった風貌の男に‥‥そして、見覚えのある若者がひとり。
「(セイヤ‥‥? 確か生活安全課と聞いたけど、部署が変わったの?)」
 ペネロープは目を丸くした。国際犯罪組織を追って初めてN◎VAに行った時、初めてのオフの夜の遊園地で、親切に自分を助けてくれたあの若者だった。
「まあ彼らなら我々の足を引っ張るはずもない。頼むよ」
「了解しました。‥‥ところで、今日はカメラがよく動きますね」
 彼女が見上げる先で、実はチャーリーが乗っ取っている監視カメラががらんとした分室内を捉えていた。

ぷちペネル様なのでしゅ〜(>_<)


部下こうさくいん「いえーでしゅー」
ボス「フフフ。RIファミリーによる余計なおまけトーク復活なのだ。レポートコンテンツをジツは注意深く読んでいる聡明な読者諸兄、もしくは財団マニアの気があるWeb者ならば、どのページに我々が登場しているか分かるはず」
こうさくいん「ある程度近い位置にいる親しい人が相手のセッションの時で、遠方の人や礼節をもって接するべき人が相手の時は出て来ないのでしゅねー」
ボス「うむ。だかしかし、AXYZ星系のぴか中星のぴか中太郎氏との談話の結果、ジツはここをかなり意識されていることが判明したのだ」
こうさくいん「本文より先にこっちだけ読んでるらしいでしゅよ〜」
ボス「待て。それでは意味がないではないか(笑) 好評のうちに4話が公開されているAXYZのプレイレポートでは裏話的部分が隠蔽されているが、ノルンシステムが隠している裏ではいろいろとあるらしいぞ」
こうさくいん「“ダーク・エッジ”のバスタードが自分の名を告げつつ一人プロっぽく闇に消えていく場面も! 実際ではなんかいろいろあるらしいでしゅよ〜!」
ボス「ずるい。ずるいではないか。向こうもガゼン乗せるべきだ。いやまあいい、ということで復活なのだ。イラスト満載の豪華コンテンツの合間に覗かれるがよい。噂ではペネロープが水着で登場するリゾートセッションも、お前のリクエストを汲んだらしいぞ。感謝せよ」
こうさくいん「やったでしゅ〜(>_<)」


 両手を頭の後ろに組んだラファールは仕方なく天空の民たちに従った。近くに停めてあったジープへ、そして彼らの集落へ。よく見れば彼らの拳銃にはセーフティが掛かったままだし、持ち方もあまり慣れていない。とはいえ油断は禁物だ。
 様々なハイテク素材が使われた奇妙な小屋を抜け、ひときわ古い小屋の前で一行は立ち止まった。
「これからお前会う、タムタム様、長老の一人。お前、会えるの、とても光栄。とても光栄」
「わ、わかりましたっ!」
 即座に頷き、恐る恐る小屋に入るラファール。薄暗い小屋の中には焚火が燃え、その向こうに大いなる空の精霊の描かれたタペストリーと一人の老人が座っていた。
 緊張するラファールの前で老人は微笑むと、聖なる森の中に飛行機が墜落するのを避けてくれたことに丁寧に感謝の意を示した。
そして、タムタム長老は煙管に火を入れると天空の民の伝説を語る。遥かな過去の金の時代、銀の時代、銅の時代から世界は続いている。現在の苦難の時は鉛の時代だ。災厄直後の混乱期、シャーマニズム文化圏の人々はオーストラリアの復興に大きな役割を果たした。企業が台頭し、自然保護が軽んぜられるようになった後も、彼らは天空の民として結束し、現在に至っている。そしてこの苦難の時を乗り越えた時、恵みの時代がくるはずだと‥‥
 老人は勇敢な少年に石のお守りを授けた。青白い不思議な石は微かな輝きに満ちている。
 聖地ウルル近辺の植物は数%ながら、遺伝子変化を起こしている。数万年レベルでのゆっくりした変化が、十年レベルで僅かながら起こっているのだ。それを引き起こすのはハイラックスという放射性元素で、政府も調査しているはずだ。もしかして、目の前のこの石もそれではないのか‥‥?
 だが、ここで断るのは民族学的にとてもまずい。ラファールは恐る恐るお守りを受け取ると、村のどこかにはあるはずの電話で連絡を取らせてもらえるよう頼んだ。

 生活安全課の懲りない面々に挨拶し、手続きを済ませた星也は家に帰ると準備に掛かった。
 姉に手紙でしばらくN◎VAを離れることを告げ、ペット代行業者に飼っている犬の世話を依頼しておく。
「‥‥最近豆腐ばっかりで悪かったけど、元気でな」
「ワン!」
 いつもより豪華な夕御飯をあげると、柴犬のジンは嬉しそうに鳴いた。

ジン「ごはんに豆腐が多くて寂しいのだワン〜」

 房総国際空港から亜軌道ジェットでキャンベラ新国際空港へ。機内では切っていたポケットロンを入れると、一足先にAXYZに飛んでいた三鏡さんから連絡が入っていた。ぼくらのチームに現地で協力するケルビム捜査官は女性――名はペネロープ捜査官と記してあった。
 ぼくは顔を上げた。ゲートの向こうに2人が待っていた。長身の三鏡捜査官と、そのそばに佇んでいる、どこか憂いを帯びた黒衣の女性。
 そこにいるのはあの夜、あの遊園地で偶然出会った半分迷子の娘ではなかった。オーストラリアの警察機構の中でもとびきり優秀な、ケルビム所属のペネロープ捜査官だった。
 儀礼的に挨拶をかわした後、三鏡さんが告げる。
AXYZでの調査は済んだ。ここには何もなさそうだ。問題がなかったら、もうパースに行こう」
「分かりました。そうしましょう」
「あの‥‥小型機のチャーターでしたら、私がすぐに予約できます」
 控えめに彼女が口を挟む。
「分かりました。お願いします‥‥その、ペネロープ捜査官」


 手配が整ってもぎこちなく沈黙気味の2人を察したのか、三鏡貫也は所用があると言って空港内に姿を消した。
 2人きりになっても沈黙気味だったが、やがてペネロープが顔を上げる。
「お久し振りです、セイヤ。お変わりは、ありませんか」
「ええ、大丈夫です。その‥‥ぼくも、お会いできて嬉しいです」
「ええ‥‥あの、そろそろ任務に戻らないと」
「そ、そうですよね。‥‥三鏡さん、一体どこ行っちゃったんだろう」

 AXYZ国際空港のセキュリティシステムに侵入したチャーリーは監視カメラを乗っ取り、客をスキャンしていた。知り合いのペネロープと、N◎VAに行った時の客だった静元星也がぎこちない会話を続けている。さらにカメラを回すと、近くの壁の反対側にもたれて、連れらしい男がやれやれと煙草を吹かしていた。

ぷちペネル様なのでしゅ〜(>_<)


 パースへと向かう小型機の中。ペネロープはまどろみの中で、珍しく夢を見ていた。

 白一色の施設。厚い窓の外の夜空。不思議と懐かしい記憶。
「‥‥レベル27。遺伝子は100%複製されています」
「博士。これで成功ですね!」
「待ちたまえ。今反応があった。この子には私達の声が聞こえているのか?」
「いえ、この段階で聞こえるはずがありません‥‥」


「‥‥ペネロープさん? 大丈夫ですか?」
 彼女は我に帰った。すでに飛行機は到着しており、星也が心配そうに自分の顔を覗きこんでいた。
 任務中に眠り込むなどまったくといってなかったことだった。不思議な夢だった――それに、星也のパートナーの三鏡貫也捜査官には、遠い昔、どこかで会ったような記憶がある。
 パースから捜査を始める。三鏡捜査官の提案は、自分が周辺捜査、2人は直接テンプルトンの研究所を当たるのはどうだというものだった。
「分かりました。そうしましょう」
「俺はツテも幾つかあるんでね」
「‥‥オーストラリアは、初めてではないので?」
 三鏡貫也に疑念を抱き始めたペネロープは、軽く問い掛けてみた。
「ああ、何度か来たことがある」
「‥‥前に、どこかでお会いしたことはありませんでしたか」
「ああ、そうかもしれないな。貴方のような美人を忘れるはずがないさ」
 冗談めかして答える三鏡捜査官。静元星也巡査は我知らずむっとすると、パートナーの顔を睨みつけていた。

スカッと爽やかキャンディス・コーラ。もれなく遺伝子変異率Up(嘘)

 ラファールは天空の民の集落から墜落現場へ戻った。FwIの新型エンジンは見るも無残に破壊されていた。だが、WINDSの解析データが保存されたブラックボックスは無事だった。これさえあれば、試験飛行の成果はゼロではないだろう。
 不思議なことに、試験機を襲ったイナゴの死骸はどこにもなく――妙な液体だけが機体表面に付着していた。死ぬと溶ける昆虫などこの世にいるだろうか?
 転がっていたC.F.C.のキャンディス・コーラの瓶を見つけたラファールは、その中に溶けた死体を入れて持って帰ることにした。これなら、ちょっとした皮肉になる。


「あなたは‥‥あの時の家庭用常備薬の営業の方?」
 研究所へと向かうペネロープと星也の前に一人のクグツが現れる。チャーリーはC.F.C.パース支社に寄ってきたところだったのだ。
「へぇ、偶然ですね。ぼくもN◎VAでこの人に会いました」
「なるほど‥‥。街にはウォーカーも配備、捜査官もお出ましとは、イナゴ事件も大掛かりになってきましたな。それでは」
 二人の若い捜査官を煙に巻いて、謎の義体エージェントはコートを翻して去っていこうとした。
「待ってください」 一歩踏み出す星也に、チャーリーは振り返る。
「あー、あの時の犬用の予防薬、役に立ちましたよ」
 C.F.C.の営業は礼を言うと再び身を翻した。
「いえ、そうではなく」 ペネロープが後を継ぐ。「私達はまだ何も言っていないのに、どうしてイナゴ事件の捜査だと?」
 だがエージェントは笑って手を振ると、顔を見合わせる二人の前から姿を消した。

 完全に2人をまいてから、チャーリーはスロットに差し込んだ人格カードを交換した。同時に全身が変形を始め、中年女性の姿に変わっていく。自在に形を変えるSPOONコートが揺らめき、薄緑色の清掃服に変わっていく。
 彼女はこれから清掃スタッフとして、テンプルトン研究所内で仕事に取りかかるところだ。


こうさくいん「天下のC.F.C.所属のチャーリーは変装自在のプロテウス義体なのでしゅねー。人格カードがたくさんあるのでしゅー」
ボス「うむ。白浜CONの『金の穂は風に靡くか』の時からはフェイト→ニューロに変わっている。<※フリップフロップ>でシーン背景のカメラがとりあえず動きまくるのは割と馴染みのある風景だな」
こうさくいん「ていうかテンプルトン所属のブラボーと同一人物なんでしゅかー? 第一翌日のボスがRLの時は千早のエージェントだったはずでしゅ〜(笑)」
ボス「まさかニューロエイジの主だった企業の数だけ人格カードがあったりしたら‥‥(ブルブルブル)
さて彼の正体は後半で明かされるぞ。下手をすれば都合がチョーいいだけになってしまう設定だが、きちんと他キャストを助け、物語の盛り上がりに合っているところがよいな」
こうさくいん「でもアヤしい変装でしゅ。なんで星也もペネル様も怪しまないんでしゅか〜(笑)」

 ペネロープさんが身分証を見せると、すぐにぼくらは門を通された。政府直属のケルビムの威光と信用は大きいようだ。
 案内された先の会議室には二人の壮年男性――保安責任者のロッシーニ・トリニトと技術主任のベッカード・ファンが待っていた。
「お仕事、お疲れ様です」
「ああ、後ろ、ちょっと通りますよ」
 入口の床は清掃中だった。ひとりの女性が掃除機を回している。妙な格好なのは、バイオ施設の清掃もするからなのだろうか?

クリーンおばさんもミラーシェード。こいつがテンプルトンのやり方さ(嘘)


 何かと2人に気を使っているロッシーニ保安部長に比べると、ベッカード技術主任の態度はどこかよそよそしいものだった。
 今回狙われているのはこの研究所のプラントにあるβ-4技術を用いた新種の寒冷地用小麦だった。2人の前に透き通ったホログラフの映像が現れ、過去2回の襲撃に使われたイナゴが大写しになる。回転し、細部を見せたイナゴは自己崩壊を始め、微量の液体となって消滅してしまった。明らかに自然界の産物ではない。
「横槍で仕方なくこのことも情報公開する羽目になってね」
 日本の特務警察から来た若者を冷たく眺めながら、ベッカードが語る。

蝗君「食べちゃうのでイナゴ〜」

 しばらく考えてから、仕方なく星也は関連性を明かした。1年前のM○●N、BIOSラボ襲撃の際に奪われたDNA情報の中に、その自己崩壊の技術があった。
「‥‥セイヤ‥‥」
「いいんです。現在の事件解決の方が先ですよ」
 ペネロープは自分を信用してくれた特務警察の巡査に、少なからず感動を覚える。


「襲撃に心当たりはないのですか? ‥‥たとえば、貴社の対抗企業といったような」
 明らかに言外にC.F.C.を匂わせたペネロープ捜査官の問いに、ベッカードは首を振る。イナゴの遺伝子は現在、この世界の四箇所に保管されており、C.F.C.はその中にない。もしも所有しているならバイオ倫理委員会にその事実を報告するはずであり、いくらC.F.C.といえどもそのような重大事項を隠蔽するとは考えられない。
 ホログラフには続いて軌道上から撮影した衛星写真が浮かび上がった。ニューロエイジのオーストラリア大陸の中に確認された黒い染み。災厄前にエアーズロックと呼ばれた地域に突如現れたその黒い雲は、約1時間後に忽然と姿を消している。

 一方中年女性に変装したまま掃除を続けながら、チャーリーは意識だけを電脳空間に飛ばした。オーストラリア全土を繋ぐ光の海の中で、興味深い情報の貝殻を拾い上げる。
 どこかの非合法エージェントのものとおぼしき通信だった。目標物がネオ・アリス・スプリングスに向かって移動中だという。遠隔地から動かしているイントロン用TAPの推論エンジンの結果では、この事件との関連性も多いにありえる。


 この施設のセキュリティもそれなりには整備してあった。ぼくはロッシーニ・トリニト保安部長に迎撃体制の話を聞いた。コクピット密閉型のウォーカーを出し、火炎放射器で焼き払うつもりらしい。妥当な線だ。収穫期まではあと一週間しかないという。
 会議室を後にした時、ぼくのポケットロンにコールが入った。
『静元巡査。本部からあなたのサポートを命じられました。私は電脳担当班ゴーストハウンドの‥‥フォックスハウンドです! 早速ですが情報が‥‥』
「‥‥‥‥フォックスハウンド?!」
 そう名乗った隊員の情報は、ネオ・アリス・スプリングスで動きがあるというものだった。それはありがたいけど、聞いたこともない名前だ。一体誰なんだろう?
 本部の葵さんにでも聞いてみようか。‥‥いや、駄目だ。ぼくが笑われてしまう。

ぷちペネル様なのでしゅ〜(>_<)



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...... Legacy from Starz / Paj.1 ......

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