Legacy from Starz - What left on the Earth...
レガシー・フロム・スターズ
〜星々の遺産〜
Movie】【前編】【後編】【まにCON編


 データチップとキャンディス・コーラの瓶を持ってラファールがジープに戻った時、運転席付属のスクリーンにひとりでに光が灯った。
 誰かが何処かから、映像を転送しているようだ。映っているのは小屋の中だった。
『今が鉛の時代だとしたら、錬金術で金に変えてやるさ!』
 続いて上がる悲鳴。倒れていくのはタムタム長老だった。
 呆然とスクリーンを見守るラファールの耳にも、不吉な音が響いてきた。ヘリのローター音だ。
 咄嗟に伏せた時、30mm機銃弾がジープに降り注いだ。助手席にいた案内の部族民が一瞬で絶命する。

Prince Rafale Dinan

 天空の民の使うジープにはWINDSシステムさえ搭載されていなかった。仕方なく運転席に這い上ったラファールは手動でエンジンを起動させ、アクセルを踏みこむ。
 機銃弾が地面に穴を穿ち、草原の空に草が舞う。危険な逃走劇だった。だが小回りの効くジープと、チャンピオンの操縦の腕が危機を救った。大木の影で急旋回し、急発進と同時に力を解放する。疾風の力が込められた衝撃波が草むらをなぎ倒し、ヘリを直撃した。失速しながら戦闘ヘリは向こうに墜落していった。
 追っ手を考えるとすぐにここを離れた方がいい。緑の目の公子は穴だらけになった車体を見てため息をついた。ここから一番近い町――ネオ・アリス・スプリングスだ。


こうさくいん「ラファール公子様は<※増幅><※元力:疾風/正>なのでしゅねー」
ボス「白きレイヴンを駆る公子、颯爽とオーストラリアの大地を駆ける! はずだったのだがなんか今回は最後まで災難ばかりだぞ。うーむ主人公のはずなのだが(笑)。ちなみにこのイラストは数年経った大人ラファVerだそうなのでお姉さん方はそのように理解するがよい」
こうさくいん「ところでリリー嬢と公子様の共演はないのでしゅか?」
ボス「んんー。さて、先に進もうではないか(笑)」
こうさくいん「んんー。あれれでしゅ〜(笑)」


 三鏡捜査官からはまだ連絡がない。ぼくはハウンド本部にも当たって、彼の経歴を洗ってみた。
 やはり、あの人はハウンドの隊員ではなかった。日本側から送り込まれてきた人間だった。今の特務警察には、黒の猟犬の毛皮を被った別のものが、たくさん潜んでいるのだ。
 稲垣光平司政官の部下という訳ではなく、司政官自身も仕方なく彼を送り込んだらしい。治安維持軍の大佐や、あるいは出雲暗夜あたりの手の者だろうか。
 ペネロープさんがテンプルトンのプロジェクトのことも調べてくれた。β-4には政府も出資しており、何年も前から計画は続いている。前段階となるα-3の発表段階でも、C.F.C.からの執拗な妨害を受けている。当時関わっていたミハル・ジーナ女史はその時、フリーのカブト達に命を救われていた。だが、その後で彼女は事故死している。


 周辺捜査に当たっていた三鏡貫也捜査官がニュースを持って合流した。今朝方アリス・スプリングスの方で民間の小型機が墜落したらしい。消息はいまもって不明だそうだ。
「犠牲が少ないだけでも、よしとすべきですかね」
 乗っていたのが知り合いとは露知らず、星也巡査は感想を述べる。

 研究所内を回っていたペネロープはおかしな施設に気がついた。完全な生物災害用の処置が施された倉庫がやけに目に付く。だがあれは、収穫後の小麦を保存するサイロではないのか?
 施設を眺める彼女に、ベッカード・ファン技術主任が近付いてきた。
「そんなに食料プラントが珍しいですか?」
「ええ。‥‥試験管の中にしか、存在しないと思っていました」
「シャーマニストたちの信仰では、現在は鉛の時代、大地の女神の試練の時だと言われている。だがね、私はこの実りは、人類にはもったいないとさえ思いますよ」

 やはりサイロを怪しんだチャーリーは、テンプルトンの内部情報ネットワークにアクセスした。防壁を破り、β-4計画の社外秘情報に電子のプローブを伸ばす。
 β-4で作られた小麦には致命的な欠陥があった。収穫後、茎部分に自然界にはない毒素が自然発生してしまうのだ。72通りの方法が試されたが、毒素を分解する方法は存在しなかった。現行では、厳重に隔離された施設なりに麦そのものを保存しておくしかない。
 さらにおかしなことに、あのイナゴが因果関係を持っていた。イナゴに食い荒らされた麦は、その死体が溶けて分解した後、何故か毒素が中和されていたという‥‥。

"No Face"Charlie


 パースでこれ以上の収穫はなさそうだ。ぼくは本部からバックアップがあったことを話して、ネオ・アリス・スプリングスに向かうことを提案した。
「電脳サポート班がもうそこまで掴んだのですか? すごい‥‥」
 ペネロープさんは本気で感心していた。
「ああ、そうでもないですよ」 ぼくは言った。「いまどき、あんな名前を使う人なんて‥‥」
「えっ?」
「あーいや、チャーター便をお願いします」
 きょとんとしていた彼女が手配をし、僕らは次の目的地へ飛んだ。


 ようやく街道に出た。アリス・スプリングスまでもう少しだ。
 安堵の息をついてジープを走らせるラファールは、道端でヒッチハイクのジェスチャーをしている金髪の女性に速度を緩める。
 だがこちらは弾痕だらけの車に死体も一緒だ。謝ると、ラファールはまた速度を上げた。

ぷちペネル様なのでしゅ〜(>_<)


「彼女の開発コードはGだ。GlobalG
「今度こそマトリクス効果が‥‥」


 飛行機の中で、ペネロープはまた不思議なビジョンを見た。
「ペネロープさん、本当に大丈夫ですか?」
「ええ、私、どうしたんでしょう。疲れてるはずもないのに‥‥」
 静元巡査の前で恥じ入るように顔を伏せるペネロープ捜査官。だが、三鏡貫也に不信感を抱き始めた彼女は、同じように言葉を掛けてくる彼には冷たく接する。
「なあ静元君。俺、何か悪いこと言ったかな」
 現地の警察署で話をつけに行った彼女を見送りながら、三鏡貫也が呟く。
「‥‥初対面の人に、いきなり美人とか言うのはどうかと思いますよ。あーいや、べつに悪いことはなにもないです」
 二人の頭上で武装した2機の警察ヘリが飛び立とうとしていた。ぼろぼろのジープで駆け込んで来た若者の通報で、天空の民の自治領で起こった殺人事件が判明したのだ。


こうさくいん「ペネル様の失われた記憶が少しだけ垣間えるのでしゅー。ハイランダーちっくでしゅー(>_<)」
ボス「軌道で作られた人造生命‥‥ヒルコというとインプラントで強化しまくった怪物じみたキャラばかり短絡的に考えつきがちだが、そうでないところが趣があるな。インプラントも<※変態>で隠されたWAS相当の一対の翼だけだ。ちなみに相棒の棺行来電脳捜査官はWebのアイコンが翼の生えたエジプト十字架。二人合わせて羽根ユニットだそうだ(笑)」
こうさくいん「IANUSは御霊相当の軌道製“スキルニル”。FBI捜査官チックな9-WH相当の小型拳銃に風の元力弾相当の軌道製荷重力弾で、<■自動反撃><※生存本能>でスタン攻撃も可能でしゅよー?」
ボス「なんと、前にお邪魔したときのミステリーTの非エニグマンサーVer星也が参考になったそうな。財団キャストは全員イメージ重視で作っているゆえあまり参考にならぬのだが‥‥
さて、よく見ると実は<※携帯許可>も持っているぞよ」
こうさくいん「Σ( ̄口 ̄;) まさか、ダメ星也のようにホワトエリアにウォーカー持ち込んだりしてくるのでしゅか? ダメワールド突入でしゅー。そんなの許さないでしゅー(>_<)」
ボス「フフフ。AXYZ勢がそのような無粋なプレイをするはずもあるまい。確かめたところ『自分自身が違法物品なのでそのために持っている』そうだ。切ない。切なすぎる‥‥(笑)」
こうさくいん「儚いのでしゅ〜(>_<)」

"Wing of Thanatos"Penelope

「あなただったの‥‥?」
 通報人の金髪の少年――ラファールを見て、ペネロープは驚いた。あの魔法の夜が終わった後にか別の日か、N◎VAの遊園地で出会った少年だった。やはりオーストラリアから来たのだという彼は、銀髪の可愛らしい少女と一緒だった。
「ああ、どうも。うちの姉が世話になったようで」
 どうやら、生真面目な星也巡査の姉――中華街のBARでペネロープを元気付けてくれたトーキーともこの少年は顔見知りらしい。

 ラファール少年のジープへ映像を送りつけてきたのは軌道通信からだった。回収してきたイナゴの死体を鑑識に回すことはできる。だが、流石のケルビムの捜査もやや手詰まりだった。それまでずっと捜査のリードをとってきたペネロープ捜査官も考え込む。


 イナゴが誰かに作られたものなら、その霊的な糸を辿ることができるかもしれない。ぼくは例の液を出してもらうと、机に置いた。
 熾盛光如来に力を乞い願い、首のお守りに触れて精神を集中する。意識を外界から切り離し、内なる声に耳を傾ける。
 見えた。女性‥‥金髪の女性だ。彼女の声。強い、ひとつの意志。『喰らいつくせ』というひとつの意志。それが、たくさんのものからなる存在に語り掛けている。
 ぼくは目を開いた。コーラの瓶が、淡い光に包まれていた。ペネロープさんは呆気にとられていたが、ラファールは納得したようにぼくを見ていた。きっと、彼も能力者なのだろう。
「モンタージュを用意してもらえますか」
 警察署員が慌てて用意に走り出す。ややあって、ぼくの頭の中に浮かんだのと同じ女性の顔が、合成写真の中に構成された。
 見ていたラファール声を上げた。この町に走ってくる途中に、見た顔だという。

"Flash Bullet"Seiya Shizumoto


 人物照会に慌しくなる署内。ペネロープ捜査官は目を丸くして、日本の特務警察の巡査に問い掛けた。
「あの、イナゴの死骸を見て、手を翳しただけなのに‥‥どうして?」
「いや、ええと‥‥勘に頼る捜査官もまだ多いんですよ。いや、少なくともぼくの部署ではですけどね」
「わ、分かりましたっ」 まったく納得のいかないペネロープはそれでも答えた。
「方法ではなく、あなたを信用します。あなたを」

 ケイトという容疑者の名が判明し、面々が署から外に出た時。
 アリス総合大学の冒険部の学生だという若者――実は偽装したチャーリーが署員に保護されていた。小麦の茎を生で食べた連れが死んでしまったという。現場の小麦はイナゴに食い荒らされていた。その後の調査で、茎の毒素はテンプルトン社の新種作物のものと同じことが判明する。
 容疑者の割り出しが終了したケルビムは、ペネロープ捜査官の名においてケイト容疑者を指名手配した。情報部が動き出し、市内のどこかにいるはずの彼女を洗い出す。


 チャーリーはウィンダムのC.F.C.本社情報部に戻った。上司に、競合先であるテンプルトン社のβ-4計画に致命的な欠陥があることを報告する。
「実に愚かな研究員だ」 課長は頷いた。「だが、これだけの欠陥を持ちながら、テンプルトンが気付かないはずがない。開発者個人によるなんらかの介入も考えられる」
 義体エージェントへの次なる指令は、調査続行、適当なところで退けとのものだった。
 そして新たな事実が判明した――β-4開発者のベッカード・フォン技術主任はテンプルトンの技術者ではなく、軌道の人間だった。軌道のある計画から何かを持ち逃げし、地上世界に紛れこんだらしい。
 ケルビム情報部の捜査も続く。ケイト容疑者はベッカードへの怨恨から彼の妨害を企んでいた。彼女もまた軌道の出身で、何者かの手引きで地上に逃がしてもらったらしい‥‥

ぷちペネル様なのでしゅ〜(>_<)


「博士。遺伝子変化を起こしたロスト・ナンバーは逃がしました。ご希望通りに」
「コードGの彼女は地上では政府の庇護下に置かれます。監視をつけるということでよろしいですね。彼女は生き長らえるでしょう」


 ペネロープの失われた記憶の断片が夢の中で舞い、ビジョンに掛かる靄を払う。ケイトという容疑者の女性も自分と同じく、軌道施設で作られたのだ。実験に失敗し遺伝子変化を起こした彼女を博士は隠したが、裏切り者のベッカードがそれを軌道の他勢力に暴露した。そして、ベッカードは軌道のテクノロジーを盗み、地上に持ち出した。
 三鏡貫也の顔もビジョンの中にあった。ケイトを地上世界に逃がす手助けをしたのも彼だった。彼はさる勢力に属する軌道世界の住人であり、ペネロープの失われた記憶の空白の中に、登場する人物だったのだ。


 心配そうに見守る一行の前で、ペネロープは意識を取り戻した。
決心した彼女は車中で、あやふやな自分の過去とそこからの推測を話した。人造生命の研究に取り組んでいたウォールハワード博士――彼女の父。博士の研究計画は後に中止され、彼女も地上世界で生きる場所を得ることができた。
 おそらくは実験体だったケイトにとってもウォールハワード博士は父だ。それなら、彼女がベッカードに恨みを持つのも説明がつく。

 チャーリーは再びテンプルトンの社内情報へのアクセスを試みた。防壁を突破し、幾重ものセキュリティをかいくぐり、奥へ、奥へ。
 ベッカード・フォン技術主任はβ-4の遺伝子変化を狙っていた。バイオ小麦計画の前段階のα-3において、担当のミハル・ジーナを偽装殺害したのも彼だった。だが毒素を発生させてしまうβ-4計画の小麦も、子孫の代になれば特性が変化してしまうかもしれない。計算外だったイナゴによる妨害のせいで、現在はもうβ-4計画そのものの抹消を考えているという。おそらく、彼の正体は軌道のどこかの勢力の手先であり、最初からテンプルトンに潜入して密かに計画を座礁させるつもりだったのだろう。
 だが、優秀なニューロであるチャーリーの方が先だ。β-4計画の全容が収められたファイルは光のストリームとなり、電子の海を飛翔する彼の中に吸い込まれ――彼の義体の中の記憶素子にその全てが格納された。
 チャーリーの動く道は決まった。そして彼は、例の偽名を使い、ブラックハウンドにもその情報を提供する。


 電脳班ゴーストハウンドの“フォックスハウンド”から報告が入った。有り難い。これだけ情報が揃えば、テンプルトンの研究所に踏みこむことができる。だけど‥‥あまりにもタイミングが良すぎる。
 ポケットロンで会話しながら、ぼくは車の方を振り返った。ペネロープさんは車の中で休んでいる。車のそばでぶらぶらしながら、C.F.C.のチャーリー氏がラファールに何事か話している。
 無意識のうちにか、彼の唇が動いていた。ぼくと目が合った瞬間の不自然な逃げ方。やっぱりそうだった。
「は、ははは‥‥フォックスハウンドも、私の持っている人格カードのひとつなんだよ」
 首のスロットからチップを抜き出すと手で弄びながら、彼は誤魔化すように笑った。なんて人だ。現実世界でふつうに活動しながら、まったく同時にIANUSから電脳世界にもアクセスしていたんだ。
「協力には大変感謝します、チャーリーさん。‥‥でも特務警察ブラックハウンドに、いまどきそんなネーミングセンスの人はいませんよ?」
 ベッカード・フォン容疑者をこれで拘束できる。もうひとつの問題は、まだ現れない三鏡貫也捜査官だ。――いや、きっとあの人は捜査官ですらないのだろう。
 治安維持軍の一部が組み込まれた今のハウンドには、沢山の思惑が渦巻き、猟犬の姿に化けたそれ以外のものが蠢いている。
 軌道世界に操られるのも、与するのもぼくは御免だ。ぼくは警官としての本分と、そしてその前に人間としての本分をまっとうしたい。


 ペネロープらがアリス・スプリングスの警察署に戻り、話をしていた時。
 部屋の壁の大鏡が光り、その中から三鏡貫也が現れた。軌道世界からの密使は、バサラ能力の持ち主でもあったのだ。
「俺に見覚えがあるのも当然だ‥‥だが、どの段階で覚醒したんだね。知りたければ、この場で教えてやろうか」
 謎めいた笑みを浮かべる三鏡貫也に、ペネロープは頬を染めると無言で激しく睨みつける。
 降参したように手を振ると話題を変え、エージェントは彼らの推理が正しいことを告げた。ケイト容疑者がイナゴ事件の首謀者であり、1年前にBIOSから持ち出された自己崩壊機能つきの群体の遺伝子が彼女に組み込まれている。イナゴは彼女自身から生まれ出たのだ。そして、軌道で変異を起こした人造生命である彼女は抗体を体内で生み出しており、イナゴがβ-4の毒素を中和できたのはそのせいだ。だが、自己崩壊機能が組み込まれている彼女はいずれ死んでしまうということだ。
 彼女の父もペネロープの父と同じで正しかった。軌道でドクターを売ったことで、ベッカードを激しく憎んでいるという。ロストナンバーとして消滅させられるはずだった彼女を地上に降ろす手伝いをしたのも三鏡だった。
「そうやって、全てを駒として操っているつもりかっ!」
 拳を固めて殴り掛かるラファール。だが、軌道から来た男は、いとも簡単にそれを避けた。
「しかし誤算もありますな。β-4は私が既に確保した‥‥私の中にね」
 チャーリーは自分の頭を指で叩く。三鏡貫也は「食えん男だ」と苦笑いした。
「‥‥で? あなたはいつハウンドからいなくなるんですか」 静元星也巡査の声はいつになく冷淡だった。
「ぼくがN◎VAに戻った頃には、あなたはもう消えている手はずなんじゃないですかね」


 チャーリーは一行と別れてエスペランスへ向かった。C.F.C.の事実上の主要対抗勢力であるテンプルトン・ライフシステムズ総本社へ。
 正面からすべてのセキュリティをパスし、上層部の私室があるビル上方へ。普段は農場にいる最高経営会議特別顧問も、今は本社に着ているはずだ。
 高層エレベーターの中で、彼は『チャーリー』という人物の埋め込まれた人格カードを抜き取った。代わりにもう一枚のカードを装着する。
 そこにいるのはもはやチャーリーではなかった。“ノーフェイス”ブラボー。テンプルトン社最高経営会議特別顧問ランディ・テンプルトンその人に仕える完全義体エージェント。千の異なる顔を持つダブルスパイ。彼もまた、オーストラリア世界の力の均衡を守っている。
 特別顧問の前で、ブラボーはパース研究所のベッカード・フォン技術主任の全てを暴露した。
 黙って全てを聞いていたランディ・テンプルトンはしばし考えた後、β-4計画が消えるのは自社にとって損害が大きいことを告げた。彼が手を回し、ケルビムはケイト容疑者の事件を最優先で追うこととなった。


こうさくいん「やっと‥‥クライマックスでしゅね‥‥」
ボス「うむ‥‥読めば分かる通り、今回はプロットが込み入りまくりの凝った話だったのだ。PL陣の頭脳もオーバーフロー気味だったぞ‥‥(笑)。ストーリー以外にも、ロールプレイや演出やその他の要素を意識したセッションを行おうと思ったら、プロットの複雑さは抑えておいた方がよいな。
ジツはコンテンツにしておいてなんだが、3人のゲストの行動理由にまだ多少不明点が残っている。そのへんはあやふやということにしていただきたい。九十九氏に尋ねたところ、どうやら軌道の壮大な計画を扱った物語構想のごく一部がこの話のようだ」
こうさくいん「軌道の謎は常に空の向こうにあるのでしゅね〜(笑)」

ぷちペネル様なのでしゅ〜(>_<)


 ベッカード・フォンはまだパースの研究所にいた。情報を受けたぼくらは急行した。
 ペネロープさんが智天使のバッジを見せ、所内に突入する。
 護衛を伴った技術主任はぼくらを見ると、自分を取り繕うともしなかった。そばにはケイト容疑者が倒れていた。だが、様子が変だ。彼女の体には何かの液体が浴びせられ、薬品の匂いがする。
「‥‥セイヤ」
 ペネロープさんが目で合図をする。ハウンドの顔を立ててくれているのだろうか。ぼくは銃を抜いた。
「ケルビムとの合同捜査班です。殺人示唆、バイオ倫理法違反、その他の容疑であなたを逮捕する」
 盾を構えて彼の前に動く護衛の男に銃口をずらす。「‥‥今ならまだ、間に合いますよ」
「久し振りだな‥‥君が私の元を離れてから」
 ベッカード容疑者はペネロープさんに声を掛けてきた。
「どうして私の元に来ないのだ? 私は君らとは異なる世界に属し、異なる力を持っている。それに私は‥‥君が生まれた場所のことをよく知っているのだよ。君には私に服従する権利がある」
 ぼくは横に目をやった。だが、ペネロープ捜査官が迷いなく伸ばした腕の先には、小型拳銃が静かに光っていた。
「あなたの駒になるために、世界樹を下ってきたんじゃないわ!」
 凛とした声だった。「あなたには黙秘権があり、弁護士を呼ぶ権利があります。しかし捜査官の警告を無視し、危害を加える恐れがある場合には、実力行使を厭いません」
 そこにいたのはあの魔法の夜の遊園地で、ぼくの前に現れた寂しげな異邦人の娘ではなかった。自分の力で地上世界に立った、翼のない天使の姿だった。


「N◎VAの特務警察にその脅しは通用しませんよ。動くな!」
 星也の魔銃『至天煌』から幻の弾丸が飛び、ベッカードの動きを封じる。同時に銃そのものが光り出し、秘幽体が力を得る。主の内面の意志を反映したのか、エニグマは少しも手加減せずに光の槍を次々に撃ち出した。新型の光学兵器とも思えぬ目の前の光景にペネロープは目を丸くするが、そこに援護を加える。
 数瞬のうちに幾つもの閃光が飛び交った。主の前に立ち塞がっていた護衛の男は、猛攻を耐え切れずにやがて盾と共に倒れた。
 倒れていたケイトには恐ろしいことが起こっていた。その体が変異し、巨大なイナゴめいた怪物へと変わっていたのだ。
 ペネロープが急所を外した軌道製の荷重力弾を撃ちこむが、数瞬の活動停止と共に、再び怪物は動き出す。
 そこへドアの一部を盛大に壊し、内部警備用に用意されていたウォーカーに乗り込んだラファールが現れた。息をのむ二人の前に立ちはだかり、怪物と対峙する。
 だがチャンピオンは思わぬ苦戦を強いられた。アームを伸ばした途端、ヒルコは一千もの小さなイナゴに分裂すると、ウォーカーに張り付いてきたのだ。群体能力か?!


 ぼくが駆け寄った時、ベッカード容疑者は薄笑いを浮かべて消えていくところだった。地上世界には理解できない力。淡い光に包まれて、彼の姿がゆっくりと上へ、上へと上っていく。
「テンプルトンでの仕事は終わった‥‥私は穢れた地上からは離れることにするよ」
「地上世界の人間は、あなたの駒なんかじゃないぞ!」
 彼はぼくを見下ろしたまま、光の中に消えてしまった。ハウンドから国際指名手配をすることもできる。だが、あの男まで届くだろうか? どちらにしろ、その結果はぼくの見えるところには現れないのだろう。
 振り返る。なんとか怪物を撃退したウォーカーはぼろぼろになっていた。コクピット密閉型の機体だったせいで、ラファールは無事のようだ。なんだか、彼には災難ばかりだな。
 人間の形に戻ったケイトを、ペネロープさんが研究所の奥へ連れていく。ここには施設もある。彼女は人間として助かりそうだった。

ぷちペネル様なのでしゅ〜(>_<)

Prince Rafale Dinan

 試験機の破損は痛手だったが、その大元は解決した。元のFwIテストパイロットとして復帰したラファールは、自分が墜落した近くにあった天空の民の集落へと寄った。貴重な放射性元素を狙った軌道勢力の手の者の襲撃で、村は破壊されたのだった。
 タムタム長老は殺されたが、その長老自らが贈ったお守りを持ったラファールを見ると、何人もの生き残りが駆け寄ってきた。村の再興も進み、なんとかやっていける状態になったという。
 今度こそ非礼を詫び、民たちは長老が認めた勇気ある若者に、今度は何かあったら手助けをすることを約束する。
 ラファールは再会を約束し、彼らと別れた。今度こそ、FwIの新型機は、何にも邪魔されることなく、大空を舞うことだろう。


 チャーリーはウィンダムのC.F.C.本社にいた。しばらくブラボーであった彼の人格は、幾つもあるチップの中に封じられている。
 情報部課長は彼の任務報告に満足し、社内ネットワークのAレベル機密情報の権限を与えた。これで、世界で活動するC.F.C.に隠された多くの秘密に、触れることができる。
「君とは1年契約の特別エージェントだったな。期限も迫ってきたが、また1年、契約更新するかね」
 フルボーグの秘密工作官は頷き、幾つかある所属先のひとつとして、C.F.C.との関係がまた続くこととなった。千の顔を持つ彼の活動がまた、オーストラリア大陸の力の均衡にいくらかの助けとなるだろう。

"No Face"Charlie

 部屋を出た彼を、三鏡貫也が待っていた。C.F.C.本社の社内であるのに、軌道から来た男は自然にそこに立っていた。
 君は実に興味深い人物だと三鏡貫也は話し、今後もよい関係を続けようと持ち掛ける。チャーリーは頷き、奇妙な知り合いがまた一人、顔を持たぬ義体エージェントに増えることとなった。
 アースノイドに力を与えすぎるα-3計画に干渉すべく動いていた彼は、ヴァン神族に対抗する天の“高天原”に属するエージェントなのだが、それが明かされるのは未だ語られぬ大いなる物語の中においてである。



 黒き猟犬の力はまだ天までも届いたようだ。軌道に逃げたベッカード・フォン容疑者はその後失脚し、死亡したという情報がハウンドの元に届いた。軌道の何処かの勢力に捨てられたのだろうか。
 再び、特務警察ブラックハウンド隊長・細野君郎隊長室。
 出頭した生活安全課の静元星也巡査の前で、隊長は報告受領を告げ、手を組むと改めて切り出した。
「さて‥‥ケルビム一年研修の件だが、どうする。これだけの功績なら、十分な資格となるぞ」
 それは出世の階段への早道を意味し、同時にもしかしたら――猟犬の毛皮を被った別のものたちとの接触をも意味する。
 星也の頭の中を様々な情景が駆け巡った。広大なオーストラリアの大地、星々に一番近い街の夜景。そして、いつもどこか陰りのある表情をしていた、あの黒衣のケルビム捜査官。
 だが、星也を星也たらしめている何かが、彼に取るべき道を選ばせた。

「お気持ちはありがたいのですが、隊長。今回の事件に関しては、現地警察ケルビムのペネロープ捜査官、そしてパートナーの三鏡貫也捜査官の多大な協力を受けました。栄誉が与えられるべきだとしたら、それはまず彼らにでしょう」
「‥‥ほう、死者に栄光あれという訳か」
 ぼくは少なからず衝撃を受けた。三鏡貫也の姿は忽然と消えていたが、それはハウンド退職ですらなく、任務中の死亡という扱いだったのだ。きっと今頃、別の名と別の姿で、この世界の何処かにいるのだろう。
「あれは不幸な事故だったのだ。分かるな」
 隊長は意味ありげに目を細めた。
「‥‥はい。とにかく、自分には相応しくありません」
 ぼくは敬礼をすると、隊長の前から退室した。これでいいんだ。

"Flash Bullet"Seiya Shizumoto



「‥‥ウォールハワード博士。それでは計画は本当に、何もかもが消えてしまいます。それでよろしいのですか?」
「‥‥過ぎたことだ。だが、私に望みがあるとしたら‥‥あの子には、あの子には、自分の意志で生きていってほしい‥‥」


 ペネロープは目を覚ました。備え付けのDAKから小鳥のさえずりが聞こえ、棚の上からぬいぐるみのキリンとカンガルーが彼女を見つめていた。行政府アーコロジーの窓の外には朝のキャンベラAXYZの全景。目を転ずれば広い割にがらんとした室内。彼女が支給されている住居は設備も整っているが、時間がないせいで丁度類にはそれほど手を入れられずにいる。
 夢の中のビジョンはまたしてもあやふやで、手の届かない霧の中に隠されているようだった。だがとても、懐かしい気分がしていた。
 自分の眠りを護ってくれたぬいぐるみのコアラとひよこくん達をあるべき位置に並べると、彼女はベッドから立ちあがった。今日も仕事が待っている。
 ケイトという女性はその後、命を取り留めた。ペネロープの埋め込んでいる軌道製IANUS“スキルニル”に格納されていたウィルス抗体の基礎データが役に立ったのだ。遺伝子変異によって得ていた群体やイナゴの因子などの特殊能力は全て失われたが、人間と同じようにAXYZ市民権を得ることができ、政府の庇護下で生活することとなった。それはペネロープ自身と同じく、政府の所有物として生きることを意味するのだが。

"Wing of Thanatos"Penelope

 支度を終え、家を出ようとした時。DAKWeb回線からメールが届いていることを告げ、プラスチックのコピーを吐き出した。それは遠くトーキョーN◎VAの特務警察に属する、あの若者からだった。
 手紙には自分がケルビムへの長期研修を断ったこと、世話になった礼が述べられており、最後にこう記されていた。

『‥‥もしもこの地上世界に正義がないのだとしたら、ぼくは自分の中の正義に従います。生活安全課は、残念ながらハウンドの模範的部署ではありませんからね』


 ペネロープはそっと微笑み、ハードコピーを小さくたたむと身を翻した。
 今日も勤めを果たさなければならない。この星々に一番近い街と――この地上世界にまだ残されている、幾つかの大切なもののために。



And Here, The curtain dropped,
in the fateful hand of NORN ....
-XYZ-

Spesial Thanks to:
Canberra AXYZ
ノルンの御手のもとに、多くの物語が紡がれますように‥‥

Quoted Illusts are pictured by:
Sei Yamada@NYD: CFC Cola Can, Charlie, Clean Lady, Mr.Inago,
and Prince Rafale
Horino@NYD: Penelope, Petit Penel, Ga-zen Seiya,
and Serjent Seiya (Thanks, He iz same az my imaj !)

こうさくいん「というわけで最後はペネル様で余韻を持たせて終わりなのでしゅー(>_<)」
ボス「うむ。ちなみにシナリオタイトルはいまもって不明というか無題だ。タイトル『星々の遺産』は財団がつけたコンテンツのタイトルなのでその旨を了解していただきたい。星々が意味するところがシナリオの背景以外にも多くあることを汲みとってもらえれば幸いである」
こうさくいん「70000Hit記念に早々とペネル様の画像Getでしゅよー。わわわーなんかセクシーでしゅよー(@_@)」
ボス「描いてくれたシノハラ殿下からは爆弾発言があったぞ。AXYZセッションの最終話の手前で行来がペネロープにコクるというウワサは本当らしい。告白して断られたら腹いせに最終話でユグドラシルをブッ壊すとかなんとか。ケルビム乱心。おそろしやおそろしや」
こうさくいん「そんなの許さないでしゅー。ニセ星也を撃ち殺しに行かせるのでしゅー(>_<)」 ←待て



〜お・ま・け〜

 そのあとは合流したシノハラ殿下やしまやんさんや設定委員会のガンツムさんとぴか中太郎さん、そしてやや計画不足気味のまま大阪出撃を強行していた部下くりゅん君&レイジさんと飲み会へ。
「ゾヲン萌え」「ペネル萌え」「サムライ・アフロ萌え」「ダーク・エッジ燃え」それからチャイナ‥‥あーいや、AXYZプレイレポートに隠された真実や設定裏話やぴか中星からの財団コロニーへの注目の深さなどなど、様々な秘密の情報と大宇宙のパワァが飛び交った模様だ。まる。

「あら星也くん、何を嘆いてるの?」


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