The Sleeping Beauty

〜小粋にエレガントPLAY第8回 眠り姫〜


ボス「客寄せにしか着ていないとはいえ、やはりチャイナ服じゃのう。席を案内しながら歩くときの、あの長いスリットからほんの一瞬だけちらりと覗く脚がまた‥‥。これが仕事の出張でなかったら‥‥」
部下こうさくいん「わわわわー、ボスー、いきなり何を言い出すのでしゅか〜〜!(@_@)」
ボス「おっといかんいかん。ついさんままん氏のロールプレイをしてしまった。これも青島ビールのせいに違いない。さて久々にエレガントセッションなのだ」
こうさくいん「新キャラも多いでしゅねー。琴音嬢も初登場でしゅー O(≧∇≦O)(O≧∇≦)O」
ボス「確かにそういえば、twiLiteの関係者は何気なくチョイ役で出てきたことは多いがキャストとしては初めてだな。月暦4号掲載とはデータがかなり違うがそこは成長したとでも思っていただきたい。あの頃はMiLion-Liteの設定もなかったのだ」
こうさくいん「運命の天輪の巡りを感じるでしゅね〜〜」




And so, they appeared on the Staj of Wheel of Fortune .....

Handle: “愚かな男(フール・ガイ)”秋月 龍人(あきつき・たつひと)
Style: フェイト◎●,カブト,チャクラ Aj: 32 Jender:
 弱きを助け、強きをくじく正義の私立探偵。あえてXランク市民を選び、スラム街の奥の廃棄ビルに不法居住している。所有特技は<※オシログラフ>のみ。
Player: 夏瀬 ユージ 【エレガント弐式
▼MS-4さんの日記でハンドルが一部変わったのが判明したヒットマンナッチーです。最近探偵小説に目覚めたとか。時間があっていいですなぁ。

Handle: “Sword Dancer”カルメーロ・アンダーローロ
Style: レッガー◎,バサラ,カタナ● Aj: 28 Jender:
 紅蓮、ガリアーノ・ファミリーで知られた腕利きのナイフ使い。常に白いスーツと白い帽子を纏い、余裕ある物腰を崩さない。紅蓮には忠誠を誓っているが、それ以上に戦闘を楽しんでいる傾向がある。無数のナイフを召還し、自在に操るとも言われている。
Player: X 【天真名井にて・改
▼同志エクスノフはなんと新キャスト。外見は漫画『ヘルシング』のアル●ンブラだそうです。アーアー、くそったれのノバラーの皆さん、聞こえますカー?(それ弟) 凶星相当のナイフを<※変化>させて無数に召還すると<※イカサマ><※元力:疾風/正><※修羅>で撃ってきます。ニードファイア相当の煙草に御霊で強化済み、キャスト陣で一番コンスタントに強いです。
この前はヴァンパイアのSTをしてくれた同志は遂にサイトもリニューアル。Year of LotusをはじめとするWoDの強力コンテンツがフォントもまぶしく揃っています。そのうちエレガントセッションでWerewolfをやることも宣言してくれました。(期待期待) 氣エー! カイリンドー!(こればっか)

Handle: “霧の騎士”ゲオルグ・ブレナン
Style: カブト◎●,カゲ,バサラ Aj: 24 Jender:
 霧の古都ロンドンH@ZEからやってきた若き騎士。彼はこの時代においても自分の内なる信念に従い、霧満ちる凍れる魔剣フリムベルグを振るう騎士なのだ。“死の卿”や“盾の乙女”との関わりから、自分の立つべき場所を見つめ直した。全属性の元力を習得し、魔法の盾に魔法の鎧、首にはマーテルクロス(fromブレカナ)をつけている。
Player: 緋(あか) 【THE AFTER LIFE
▼緋親衛隊長です。天羅病の次はAIRに涙したそうです。V:tMセッションではギャンレルー娘をやりました。トレメール魔術師といいコンビ。いえー。
今日も好青年のゲオルグです。PL間の談合によると『ノーザン・クロス』に出てきたレオナ・ソールといずれくっつくことになったとかならないとか。『Under a Blood Red Moon』でアウターゴッドの所に置いてきた黒の剣相当の魔剣シグムンドの代わりはフリムベルグ(Hrimberg)。巨人フリムスルスより霜を表すhrim+フランベルジュのドイツ語flambergだそうです。ふ、深い。

Handle: “クリスタル・シンガー”琴音=フェンデル 【Profile
Style: カブキ◎,クグツ,マヤカシ● Aj: 22 Jender:
 アミューズメントパーク“twiLite”N◎VA本園の受付嬢の一人。E&B連合王国、アイリッシュ系の血を引くポニーテールの娘で、その水晶の歌声に癒しの力を持つ。死去した母の血筋でマヤカシ能力を持ち、守護神はケルト神話の女神ブリジット。魔法の遊園地で力を伸ばした彼女は、運営局ミリオン・ライト社のより多くの秘密を知ることとなった。完全ウェットの彼女を護り現れる秘幽体は、鏡の盾を携えた女戦士、ドーター・オヴ・ブリジット。(カブト)
▼当初は同人誌『MOONSHINE4』のゲストの為に作成し、twiLite Inner Park Informationの案内役を務めている彼女です。99年秋のパレードの様子を収めたBBSログ集の『銀の懐中時計を探して』に出てくるぐらいで出番がいまいちありませんでしたがここにオフラインでも初登場!
 WofD版はBloodlineのドーターズ・オヴ・カコフォニーで歌の力を振るうヴァンパイアでしゅ。(皆さんV:tM買いましょう。て、基本ルールに載ってないやん/笑) 『浮気に怒ってRageしてくるフィアンナ部族のガロウ』というのも同志Xが提案してきます。ぎえぇ〜〜

Ruler: 九龍
▼今回は久々にカレがルーラーです。あちこちで複数の面子を相手に何回かプレイしたこのシナリオを、リファインしてもってきました。いえー。


Little Bird

 

The Sleeping Beauty


 ユカ・プルデーレはその女を見つめていた。長い黒髪、おそらくは自分と同じバサラ能力の持ち主。そばには10歳ぐらいの少女を連れている。コルシオーネ・ファミリーの一員として、“紅の子悪魔”として、ストリートで様々なビズをこなしてきた経験が告げていた。突然現れて刀を抜いたこの女は、とてつもなく危険だ。彼女の持つ炎の力も、さして効いた様子がない。
「だからテメェ、何者だって言ってんだろッ!」
 その名の由来となった煉獄の炎がふたたび燃え上がり、女に撃ち出される。たとえトンプソンの銃弾に重ねなくても、並みの人間は大抵この一撃で‥‥
「無駄だって解ってても縋り付くんだね」
 だが女は笑っていた。彼女の前にぼうっと現れた黒い鏡のごとき幻が、強烈な元力攻撃をそのまま跳ね返したのだ。何が起こったのかよく分からないうちに、重傷を負ったユカ・プルデーレは倒れてしまった。

 “黒き鏡の”ゲルダはあっけなく倒れたレッガーの少女を見やった。他愛もない。これでまた一人、例のクリスタルとやらにこめる燃料が出来上がりだ。
 そして彼女は振り向いた。獲物がもう一人。偶然歩いていてこの光景に出くわしたのか、路地の入り口で凍り付いている。白金色の髪をポニーテールにまとめた若い娘だった。
「ほう‥‥。お前もいたのか」
 はっとして身構える娘が胸のお守りか何かを握り締めた時、その後ろに淡く輝く影が形をとり始めた。影は人の姿をとり、その手には剣と盾――秘幽体だ。ということはこの娘もマヤカシ能力の持ち主だ。ちょうどいい。ついでにもう一人‥‥


"Krystal Singer"Kotone Fendell

 突然の目の前の出来事にまた変化が起こったのは、私がその女の人から思わず後ずさった時でした。突然現れた大きな男の人が倒れた少女の前に立ちふさがり、拳に炎の力を込めながら女を鋭く誰何したのです。
 N◎VA最高の幻術師の弟子として有名なあの人――弾王さんでした。二言三言ことばを交わすと、不利を悟ったのか、女の人は消えていきました。
「あんた、あの遊園地のミリオン・ライトの人だったな。なんでまたこんなとこに?」
 黒焦げになって倒れてる女の子をひょいと担ぎ上げると、弾王さんはぶっきらぼうに声をかけてきました。アルティシオン園長やtwiLiteのことも、師匠からあれこれ聞いているのでしょうか。

「いえ、わ、私はただ通りかかっただけで‥‥そ、それよりその子、大丈夫なんですか?」
「なんとかなるんじゃないか? ま、いちおう病院に放り込んでくるわ」
「あの、だ、だって、そんな酷い怪我してるじゃないですか?!」
 肩の上の女の子は可哀想に、髪の毛も焦がされてたけど、その元は赤かっただろう髪には見覚えがあります。そう、ユカ――“紅の子悪魔”ことユカ・プルデーレ。ふだんは危ない暗黒街をうろついてるけど、この街でも有数の強力な火炎の元力の使い手だって噂ですよね。どうして、この人が狙われたんでしょうか‥‥??

 私の名は琴音=フェンデル。中央区の外れにあるアミューズメント・パーク“twiLite”で働いています。受付をしていることも多いので、もしかしたらお会いしたことのある方もいるかもしれませんね。おかげさまで今ではヨコハマLU$TやキャンベラAXYZ、ロンドンH@ZEやエイジスにも姉妹園ができ、世界の皆さんにご好評をいただいています。
 え、どうしてこの街の術者に詳しいのかって? やだなあ、ミリオン・ライトはこのニューロエイジの夢を守る最後の砦。ただのアミューズメントパーク運営企業では、説明になりませんか?


 朽ち果てたスラム街の片隅、壊れかけた廃棄ビルの一角。ここに、あえて不法居住を選んだ一人の物好きが住んでいる。
 男の名は秋月龍人。別名フール・ガイ。不利を承知で未だにウェットを貫き、堅気の探偵稼業を続ける愚かな男。だが彼は知っている。この世界から消えかけようとしているものの中にこそ、本当の価値があるということを。
「そこの壊れかけのソファでよければ、座ってくれないか」
 今度の依頼人を案内すると、秋月は話を聞いた。依頼人の名はシンジ・ラックフィールド。リンドー・コーポレーションという兵器開発企業の人間だった。まどかという少女を探しているらしい。人探し。よくある話だ。
「その人は大事な人ですか?」
「‥‥娘です」
「‥‥分かった。詳しく話してください」
 写真を差し出す男は心底から娘のことを心配していた。秋月は人の心を見破ることができる。この街に溢れ返った虚偽や裏切りとは、今度の仕事は違う類のもののようだ。まどかは10年前、生まれたばかりの時に、子供のいないラックフィールド夫妻に養女として引き取られたらしい。
 ふと秋月は最近起こっている超常能力者の連続殺人事件を思い出した。10歳ぐらいに見えるこの娘もその線だろうか。そういえば、よくパンを買いにビルの前を歩いていく近所のあの少女も、巻き込まれたりはしないだろうか‥‥?


 タタラ街の高級マンション。窓に面したテラスからは、紅蓮のシマ一帯の夜景がきれいに見渡せる。名誉ある男たちに護られたこの街は、今夜もそのきらびやかな輝きが安泰であることをカルメーロに教えていた。
 “ソード・ダンサー”カルメーロ・アンダーローロ。いつも白一色のスーツで決めたガリアーノの腕利き。銃を使わない彼をあざ笑った愚か者たちは、どこからともなく現れた無数のナイフと死のダンスを踊る羽目になるという。
 ワイングラスを片手に夜の街を眺めていた彼は、DAKからの連絡通知に急いで煙草の火を消すとホロスクリーンの前に立った。通信相手はボスの中のボス、レオニーダ・ガリアーノその人だった。
『‥‥コルシオーネ・ファミリーを知っているな』
「はい、ボス。あの天使の子のいるところですね」
 カルメーロはファミリーが一堂に会したこの前のコンクラーヴェを思い出した。あの聖人気取りの優男たちが、未亡人の女ボスを護っている。
「ああ。あそこの構成員――といってもほんの小娘だが――のユカという女が病院に担ぎ込まれた。女とはいえ、紅蓮の人間は私の家族と同じだ。分かるな」
「ええ、ボス。ほう、あの小生意気なガキがですか。聖人ジョニィの子分が子悪魔とは、酔狂なもんですね」
 大仰に一礼すると、カルメーロは着替えて夜の街に繰り出した。いつもの癖で、家を振り返りつつ帽子の縁に手をやる。
 出際にマフィオーソとすれ違った男がいた。だがカルメーロは振り返っただけで、闇夜に際立つ白いコートを靡かせて去っていった。


 N◎VA中央区の外れにあるtwiLite、南西エリアの【メモリー・オヴ・エンプレス】。ゲオルグ・ブレナンは“黄昏の公女”という謎の占い師がいるという占い小屋を探していた。
 MiLion-Lite本社運営広報部長の琳叡貴に護衛の依頼を受けた彼は護衛相手と落ち合う手はずになっていた。相手の娘の名は琴音=フェンデル。ここtwiLiteの受付嬢の一人であり――そして不思議なことにここの職員に多い、超常能力の持ち主でもあった。だからこそ、今回の事件で狙われる可能性があるのだが。

「あ、お待ちしていました。ゲオルグさんですね」
 深紫の小屋の中で応えてきたのは、北原の男爵領を護る夜の女神マルーヴァの声ではなく、若い女の声だった。白い仮面を横に置いた琴音がちょこんと頭を下げ、その後ろでポニーテールが揺れていた。
 しばらく話をし、共に外に出たゲオルグは青い瞳を細めた。
 あらゆるものが混沌の中で交じり合ったこの世界でも、人間の出身地は分かるものだ。ハーフらしいこの娘の頭で揺れている自分と同じ色をした髪、本物の緑の瞳、言葉の微妙なアクセント‥‥ウェールズの片田舎で育った自分と、同じ白銀の大地の空気を吸っていたのだろうか‥‥?

"Krystal Singer"Kotone Fendell

「たしかに物騒な話ですけど、こうして立派な護衛の方についてもらえるのですし、きっと、だいじょうぶですよね。‥‥あの、どうかしましたか?」
「ああ、いや。では、行きましょう」
 きょとんとして自分を見上げる琴音に気付くき、ゲオルグは我に返った。
 彼女は機械に汚されてない水晶の歌声を持つという、同郷の人間だ。汚れた世界から失われつつある高潔な心を持ちたいと願う霧の騎士にとっては――少なくとも、この世界に汚された今までの多くの依頼人たちよりは遥かに――相応しい護衛相手なのかもしれない。
 少し考え直すとゲオルグ・ブレナンは彼女に先を促した。ダークグレーのコートがはためき、近くで寝ている竜のドロイドの鼻先に止まっていた使い魔の大烏ネバーモアが、主の後に続いて飛び立った。


Little Bird


 夢の島の空気は淀み、プラスチックの屑と様々なものが無人の道路の上に散らばっている。だがカルメーロの純白のロングコートは少しも汚れることなく、風も無いのにその後ろにはためいていた。
 馴染みの情報屋の老人に当たっていたカルメーロはふと視線を向けた。先ほども会った日系人のあの男が、また近くにいた。


「ゲオルグさんは立派な剣をお持ちですけど、どこで学ばれたのですか?」
「ウェールズにいた頃です。母が死んだ後、俺はずっと祖父の屋敷で暮らしたんで、そこで習いました」
 魔を打ち払う力のある皮手袋で腰の霧の剣に触れると、ゲオルグさんは故郷の話をしてくれました。私は小さい頃にN◎VAに渡ってきたのでよく覚えてないですけど、やっぱり懐かしい気がします。
 白銀の大地、E&B連合王国。霧の都ロンドンH@ZEを始めとするあの土地からやってきた人たちには、やっぱりN◎VAの人たちとは違うところがあります。銃が当たり前の現代でも敢えて剣を得物にしていたり、何か特別なものを自分のよりどころとしていたり‥‥ゲオルグさんも、そんなところがありますね。
「この辺りです。私、実は特別なケルトのお守りを売ってるお店を探してて‥‥。あんまり、大通りの大きな店には置いていないんですよ。そうしたら、突然この路地で女の子が‥‥」
 例の連続殺傷事件の顛末を話すと、ゲオルグさんは何故か怪訝な顔をしていました。
「‥‥その病院に担ぎ込まれた奴、これくらいの背で、真っ赤な髪をしていて、すごく子生意気な奴じゃありませんでしたか」
「えっ、いえ、生意気かどうかは分かりませんけど、確かに威勢はすごくいい女の子で‥‥でも、一撃でやられちゃったんです。あの、ユカさんとお知り合いなんですか??」
 突然電話を取り出すと、ゲオルグさんは本人に連絡を取りはじめました。彼女は病院で大人しくしているそうです。
「火遊びはよくないぞ」と妹をたしなめるような口調で言うと、電話を切ります。なんでも『腐れ縁』だそうなのですけど、どういうご関係なんでしょう。兄妹にも親戚にも見えないし‥‥??
 元力を跳ね返す力を持ったカタナの女性の無差別の犠牲になったのは、市民ランクXの住人ばかりでした。どこかの企業筋の人間だとか、偽装された何らかの勢力による暗殺というわけではなさそうです。本当に、超常能力を持った人間ばかりが標的でした。
 そうこうしているうちに、また夢の島の方で少年が襲われる事件が起こりました。今度の不幸な犠牲者はジャン・R・シルヴィス。どうしましょう。ジャンくんといったら、よくtwiLiteに芸をしに来てくれていたあの子じゃないですか‥‥。


 激しいサウンドの中で光と闇が交錯し、男女が踊り狂うダンスクラブ。秋月は一番奥のカウンター席でジンビームを頼み、馴染みのマスターと話していた。依頼人が勤めているリンドー・コーポレーションは中規模ながら、奇抜な発想に基づく兵器開発など、様々な事業を手がけている。ストリートでまた何人か、例の連続殺人事件に巻き込まれた者が出てきていた。
 タバコに火をつけようとポケットを探った秋月は、ライターを忘れたのに気が付いた。
 だが、後ろから差し出された手が目の前に炎を点した。煙を吸い込んで一息吹かしてから振り返ると、一人のマフィオーソが白い帽子の縁に手をやっていた。
「夢の島でもお会いしましたな」 カルメーロは帽子の陰からニヤリと笑った。「ええと、ミスタ‥‥」
 笑い返すと、秋月はカウンタでグラスを拭いているマスターを振り返った。「マスター、言ってくれ」
 心得顔でグラスをくるりと回すと、主人は眉を上げた。
「ミスタ・フール・ガイ」そのまま音も無くグラスをテーブルの上に置く。
「秋月さんはそう呼ばれております。本当に愚かかどうかは、この一杯の後にお確かめを」
 カルメーロは秋月探偵の横に座ると、差し出されたジンビームを礼のしるしに軽く掲げた。
「どうやら探しているものは同じのようですな。煙草の礼に手助けといきましょう」
 秋月は共にグラスを掲げると、白のスーツで決めた奇妙な相方を見やった。
「こいつはありがたい‥‥。ご覧の通り、私は紅蓮の者です」
 帽子を取ると、カルメーロは背後の席で交わされている新たな事件の話に耳を傾けた。今度の犠牲者はジャン・R・シルヴィスという少年‥‥道化師ながらその実全系統の元力を自在に操るとも言われる子供だ。今は無風にかくまわれているらしい。
 鏡のごとく力を跳ね返すことのできる術者はそう多くはない。この街で二人が知っている範囲の中にもいた‥‥“黒き鏡の”ゲルダ。降魔刀を振るうストリートのフリーランスだ。
 ひとしきり情報を提供しあい、クラブの中で噂話に耳を傾けたカルメーロは煙草の煙を大きく吐き、火を消した。
「空気が淀んできたようだ。そろそろ場所を変えましょう」


「ええい、大蛇独歩ぉっ!」
「ずいぶん元気そうじゃないか。ユカ」
 病室に入った途端に、包帯を巻いた女の子が妙なポーズからゲオルグさんにとびかかってきました。軽くあしらうとゲオルグさんはひょいと腕を回し、彼女を元通りベッドに寝かせます。ほとんど投げ飛ばしてるみたいですけど、怪我は大丈夫なんでしょうか?
 私が横で困っているのにようやく気付くと、二人はじゃれあうのをやめて、ユカさん事件の時の様子を話してくれました。でも変な二人組ですよね。この子もゲオルグさんのことは本当に相棒だと思ってるみたいですけど。兄妹みたいですけど、どういう経緯でこうなったんでしょう。
「‥‥見てのとおりのこんな奴だが、彼女は俺の大事な相棒なんだ。相棒をこんな目に遭わせた奴を、許すわけにはいかない」
「ええ。その気持ちはわかります」
「さてユカ。お前がもう暴れないように、監視役が必要だな。‥‥ネバーモア!」
 ゲオルグさんは病院の窓を開けると、口笛を吹きました。真っ黒な大烏がどこからともなく飛んでくると、窓のそばにちょこんと止まり、首を傾けてこちらを眺めています。
「いいか、よく聞け。お前がベッドから一歩でも動いたら、この烏がお前を突っつき始めるからな。よく覚えておけよ」
 本気で言うゲオルグさんを前に、ようやくユカさんも神妙に頷くと毛布をかぶります。
 あんな風に主人の命令を護る賢い烏‥‥ただの鳥じゃないし、ましてやドロイドじゃありません。私が飼っているコリブラのような特別な鳥――それともゲオルグさんの使い魔なのでしょうか。
「あ、あの‥‥ユカさん、せっかくだからお見舞いも持ってきたんです。ここに置いておきますね」
 私はtwiLiteでよくおみやげに売っている黄色いひよこくんのぬいぐるみを取り出すと、窓の傍の棚に飾りました。ゲオルグさんの命令を忠実に護る烏も、不思議そうに相棒を眺めています。世界の姉妹園でもひよこくんはずいぶん人気ですし、寂しい病室もこれで華やかになりますよね。
「ほら、これならひよこくんと烏さんで、鳥が二羽で賑やかになりますし、ちょうどいいですよね? お大事にしてくださいね」
「うん。ありがと」
 私たちは彼女と別れると、病院を後にしました。


 偶然病院を通りかかった秋月とカルメーロは、見覚えのあるブリテン系の二人組が出てくるのに気づいた。霧の騎士ゲオルグ・ブレナンと、遊園地の受付嬢琴音=フェンデルは、秋月たち二人も仕事のパートナーや依頼人、それぞれの関係で知り合いだった。
 同じ事件を追っていることを話し、協力を約束すると一旦別れ、夢の島へ向かう。
“ピーターパン”の名で親しまれているアークマスター、無風の版図に果たして道化師のジャン少年はいた。毛布を被ってぶるぶる震えている。その得物の如く鋭い容貌をしたカルメーロにまだ震える少年だったが、親身になって話す秋月探偵にようやく事件の顛末を話し出す。
 “黒き鏡の”ゲルダは過去や礎がどうのと、ジャンには分からないことを口走っていたらしい。スラムの教会で彼女が目撃されたことがあるそうだ。現在は、ジェラルドというカリスマに雇われている。ということは、そのジェラルドという男が背後で事件のすべてを操っているのだろうか?


ボス「今回は様々なキャストがゲスト出演すると予告があったが、その通りになったな」
こうさくいん「コルシオーネ・ファミリーの末娘ユカプーは勿論くりゅりゅんキャスト、去年のtwiLiteのパレードでも活躍したジャンは緋親衛隊長のキャストなのでしゅ。ボスRLのtwiLiteシリーズのアクトには出てくるけどセッションレポートにはあんまり出てこれないでしゅねー(笑)」
ボス「ジャンは15、ユカは16、能力者を狙った連続殺人事件の被害者は10代の子供ばかりのようだ。RLは琴音も18才位なのかと思っていたらしいぞ」
部下こうさくいん「じゃああんまり若くないんですねとかゆってきたでしゅねー(笑)」
ボス「20を超えると若くないとでもいうのか。あやつめ部下の分際でtwiLite本園のアイドルに何ということを言うのだ(笑)」
こうさくいん「ひひひー」



Little Bird


 偽りの光に満ちた災厄の街の夜が深まろうとしていた。遊園地twiLiteの一角にあるテラスは、松明のごとき淡い輝きに護られていた。
「Hmmmm.....おやすみ 眠りの砂は 夜の王国への門‥‥」
 使い魔のカラス、ネバーモアに心の中で呼びかけながら、ゲオルグは遠い故郷に思いを馳せた。母親に何度も聞かされたブリテンの子守唄がいつのまにか口から漏れ出ていた。
 ブリテンの企業界の人間だった父親、階級主義に反発する革命家だった母親。違う世界に生きた二人の奇跡のような愛から生まれた自分。だが、その母親ももういない。
 使い魔の大烏が新たな任務を終えて、主の元へ飛んできた。人語を話せる彼は情報収集までしてくれる。
 現在は“ブレインウォッシャー”とも呼ばれているジェラルドの腹心の部下は、リンドー・コーポレーション現社長のマリエッタ・リンドーだった。ジェラルドを中心に、自ら高い技術力を持つマリエッタ、能力者狩りの実行犯担当のゲルダ‥‥一体、どんな計画が隠されているのだろうか?
「lalala 小人たちも 悪さをやめて 森の奥に控える‥‥」
 透き通った小さな歌声が響いてきた。いつの間にか途中で止まっていた子守唄の続き。ゲオルグが母から聞いた通り、そして、彼が知らない部分まで、その歌い手は歌っていた。
「この歌、ブリテンの子守唄ですよね。私もむかし、母から聞いたことがあります」
 ポニーテールが娘の頭の上で揺れていた。歩いてきたのは琴音だった。そう、彼女は癒しの力すらある水晶の歌声を持ったクリスタル・シンガーなのだ。
「ええ。‥‥今の俺には、この形見ぐらいしか残っていませんが」
 鎖帷子の下にいつも入れているオルゴール付き懐中時計を手の中で開くと、ゲオルグは続けた。今の歌の前半が、このオルゴールの中に収められている。
「それより、ジェラルドの所へ一緒に来るつもりですか? 危険なのは目に見えています」
「ええ。でも、そうしなければ、元を正すことはできないはずです。私も行かなくてはなりません」
 静かに答える琴音に、ゲオルグの肩の上の烏は了解したように一声鳴いた。
「そうそう、その烏さんは、ゲオルグさんの言葉がわかるんですよね。じゃあ私も、同じ手を使おうかな」
 彼女は一組の古風なタロットカードを取り出した。この遊園地でトワイライト・デッキという名で売られている、幻想世界の住人たちを題材にとったデッキに似ている。
 彼女が3枚のカードを右手で取った時、どこからともなく現れた小さな小鳥が彼女の掌に止まり、中央のカードにをつついて示した。『法皇』のカードだった。
 一声鳴くと、白い小鳥は夕闇の空に飛び立った。そのまま、北西の方角に飛んでいく。
「ジェラルドという男はタタラ街の教会にいるのでしたよね。コリブラが案内してくれます。行きましょう」
 あのコリブラという小鳥も、自分の大烏と同じなのだろうか? どこかマイペースな不思議な女性だが、彼女も、この魔法の遊園地に属する一員なのだ。ゲオルグは改めて思い出すと、彼女を伴って歩き出した。


 秋月とカルメーロの二人組は、スラムの教会へとやってきた。進もうとする秋月を手で制し、カルメーロは煙草の煙を大きく吐いた。
 自分の力を解放し、静まり返った教会の中へと消えていく煙の形を見、中に満ちる大気の香りを探る。罠は無いようだ。秋月に再び合図すると、二人の男は中へ入った。
 果たして、そこには“黒き鏡の”ゲルダがいた。だが二人の追及にも、彼女はのらりくらりとかわすだけだ。
「アタシはただのフリーランスさ。雇い主の仕事を果たすのは当然だろう?」
「襲われたのは全員が不思議な能力を持つ者たちだ。お前が何かしたのかな」
 人の嘘を見破る力を持つ秋月が問い掛ける。
「別に大したことはしてないさ」 ゲルダはある種類のカタナが見せる笑いを浮かべた。
「だけどさー、んー、バサラとかって、斬るとこー、なんか違うんだよねー」
 彼女の現在の雇い主であるジェラルドは、元は普通の人間だった。家を焼かれて家族を失ってから彼の中で何かが変わり、ストリートに潜って現在の“ウォッシャー(洗い屋)”の稼業をするようになったという。彼の中に秘められた何かの目的があり、このゲルダという女はそれに協力しているのだろうか?
「だったらお前にもう用はない。邪魔したな」
 仕事の終幕がここではないことを強く感じながらも、秋月はここは一旦退くことにした。カルメーロも、帽子をひねって挨拶すると女の前から消える。その名を表すナイフの輝きは、白のスーツからは少しも漏れることはなかった。


Little Bird


 コリブラが十字架の上に止まって私たちを待っていました。小さな教会は静まり返り、礼拝に来る人は誰もいません。
 中に入ると、祭壇のところに二人がいました。ジェラルドと、リンドー社社長のマリエッタ・リンドー。私たちに気付くと振り向きます。
「おや、祈りにいらしたのですか」
「いや。祈る言葉なんかないさ」
 私の前に立ったゲオルグさんのコートが揺れ、魔剣がいつでも抜ける位置に現れました。
「その通り。祈るだけなら誰にでもできる」
 礼拝堂横の通用口から、探偵の秋月さんが姿を現しました。白スーツのアンダーローロさんも一緒です。そして――ユカさんやジャンくんを襲い、私にもその力を振るおうとしたあのゲルダという女も、少女を連れてジェラルドたちに加わります。
「だが‥‥世界を救うのは私にしかできないよ。この世界は間違っている。私が救わなければならないのさ。しかも‥‥清めるのはたった一回でいい。マリエッタの理論が遂に完成したのだからね」
 取り憑かれたように話し出すジェラルドの瞳は、狂信者特有の光に満ちていました。可哀想に。彼の中にある想いが、私には伝わってきます。心の中で何かが壊れてから、彼の人生はずっと、この間違った信念に捧げられてきたのでしょうか。
 リンドー社社長のマリエッタが研究していた理論とは、特別な種類の人間の魂を集め、霊的エネルギーの集合として変換する方法についてでした。ゲルダが犠牲者の魂を狩り、そしてマリエッタ社長が魂を集めて作った何かで、この世界を滅ぼすつもりらしいのです。
 さらに、マリエッタ社長は人工のマヤカシ創造に成功したと言ってきます。そんなことが可能なのでしょうか? 太古の神々たちの力、血に流れる祖先からの遺産、修行や研鑚によって得られる魔力‥‥私が女神ブリジット様の加護のもとにあるのも、母方の血のお陰ですし、ミリオン・ライトに魔術師が集まったのも、数少ない能力者たちが互いに助け合えるようにとの願いがあったからです。
 そんな簡単に力が量産できてよいものでしょうか。それに、こんな間違った目的のために‥‥
 そして、マリエッタ社長の影が二つに分かれると、片方が燐光に包まれた人型を取りました。あの人も私と同じ秘幽体使いだったのです。それは作りかけのドロイドのようにも、剥き出しの機械の塊のようにも見えました。私の代わりに剣を取り、立ってくれる『彼女』に比べると、ずいぶん人工的に見えます。


 ゲオルグに護られた背後で身構える琴音の横にも、淡い輝きに包まれた影が現れた。鏡の如く磨き上げられた鏡に銀の剣、銀の剣に遥かな昔のダナーン一族の戦衣。その顔立ちはどことなくあるじに似ていたが、琴音より背が高く、長い白金の髪を後ろに流している。
「ご立派な演説ですな」
 ジェラルドの主張を黙って聞いていたカルメーロは拍手をすると、帽子の縁に手をやった。
「そんなに澄んだ世界が欲しかったら‥‥麗しの地獄へ行ったらどうですか」
 マフィオーソの唇の端に危険な笑みが浮かぶ。その背後にどこからか一千もの短剣が浮かび上がり、風に舞い始めた。
「大望の前に目の前の敵を排除するのが先か‥‥」
 ジェラルドは目を細めた。あらかじめ呼んでいたのか、数十人の部下が左右のドアから現れた。


Little Bird


ボス「さてクライマックスだ。SSSづいている今日の話の敵ゲストは当然の如く新特技のオンパレードで攻撃してきたな。解説をするのだ」
こうさくいん「ラジャーでしゅー。降魔刀を振るう“黒き鏡の”ゲルダはカタナバサラカブキ。元力を跳ね返す<※反鏡>に、接敵前にカタナの<※一心不乱>で手札を増やしてくるのでしゅ」
ボス「<※二天一流>による手札からの攻撃や、手札から出す<※見切り>が多いであろうことを考えるとカタナの強化には嬉しいかもしれんな。しかし、複数のゲストを操るRLがこれを使った時はどうするのだ? やはり手札増加は全員に反映されていいのだろうが‥‥」
こうさくいん「続いてマリエッタ・リンドー社長はエグゼクタタラマヤカシ、メカメカしいエニグマはミストレス。<※幻覚>+手札を減らす<※弱点看破>に、<■合技>+エニグマ分の<※一喝>でコンビネーション攻撃してくるでしゅよー(ブルブル)」
ボス「今度は手札を減らす攻撃だったな。やはりゲスト側に使ったら全員に反映されるのだろうが‥‥(笑) 入り乱れると訳が分からなくなってくるな」
こうさくいん「ジェラルドはカリスマミストレスクロマク、コンスタントに<※ゲシュタルト崩壊>で精神攻撃しつつ<※盾の乙女>も使ってくるのでしゅー。秋月探偵の探していた女の子のまどかは<※幽体離脱>+<※実体化>していたので、この礼拝堂にいるのは本物じゃなかったのでしゅ。あとの<※聖戦>で強化されたトループは予想通り、最初に《天変地異》で倒されちゃったでしゅね」
ボス「うむ。また特技が増えたが弱いというかなんというか妙なのも多いな。イヌの<※銭投げ>など、ダメキャスト御用達の予感がするぞ‥‥(笑)」
こうさくいん「軌道合金製チップや借金の恨みのこもったクレッドクリスで殴40。そんなの投げられたらボクも死にきれないでしゅ〜(泣笑)」


「間違った思想だ。強い奴や正しい奴が生き残る訳じゃない。この世界は平等なんだ。ファフニールの吐息を――受けるがいいッ!」
 ゲオルグが抜いた魔剣フリムベルクが礼拝堂の床に魔法陣を描いた。魔法陣はそのまま広がり、教会の中に雪嵐が吹き荒れる。その中をカルメーロの短剣が飛び、数十人のカブトとカタナを全滅させる。
 そのまま方向を変えた一千の短剣はゲルダに襲い掛かった。その中のただ一本だけが、疾風の力を集中した本物だ。
「甘いんだよっ!」
 だが、同じ元力使いである黒き鏡のゲルダはその一本を見破った。炎を走らせた降魔刀が閃き、主の元にナイフが正確に跳ね返されるのを見て、さすがのカルメーロも顔色を変える。マリエッタ・リンドーの人造エニグマは主の元に控え、共に幻像を作り出すと一行を撹乱してきた。
 本気を出したカルメーロがナイフを舞わせながら攻勢に転じ、ゲオルグがカバーに入る。ジェラルドの力ある呪詛の言葉を秋月が静かに打ち消す戦いが始まった。
「あんた、本当にまだ迷ってるのか? 本当に正しいことは分かってるはずだ」
 主人のジェラルドに加勢しながらも、まだためらいのあるマリエッタ・リンドーの心のうちを見破った秋月は、機械の分身を従えたリンドー社社長に鋭く問い掛ける。
「そうよ。あなたの持つ力は偽りだわ。偽りの力には、神々は加護を与えてくれないの!」
 ブリジットの娘が主と同じ姿勢を取り、掲げた剣でマリエッタを指す。その横で琴音が一枚のタロットカードを示していた。カードに描かれていたのは『月』――偽りと幻影のカードだった。
 一瞬だけたじろぐマリエッタ。だが横からジェラルドが入り、呪詛のことばを投げつける。
 カルメーロの主催する舞踏会が終わろうとしていた。召喚されたナイフの踊りが激しさを増し、黒き鏡のゲルダを切り裂く。彼女の胸で護符が燃え上がり、そして多くの能力者を殺めてきたカタナは倒れた。
 魔剣フリムベルクを手に、灰色のコートを靡かせてゲオルグがジェラルドに斬り掛かる。霧の力のこもった深く冷たい刃が正確無比にカリスマの体を貫き、絶命させた。
「‥‥たった一回で‥‥この世界は清められる‥‥お前に邪魔されるわけには‥‥」
 倒れながらも、ゲオルグの耳に力あることばを囁くジェラルド。だがその時、礼拝堂に何かが落ちる音と羽ばたきが聞こえ、一行は振り向いた。
「コリブラ! 助けにきてくれたの?!」
 琴音の声が響く。礼拝堂の天窓で埃と一緒に羽毛を撒き散らして騒いでいたのは、彼女が連れている小鳥だった。ゲオルグが振り返ると、既にジェラルドは絶命していた。


ボス「キャスト陣を見越して、さほど強くないながらも精神戦系の撹乱で粘るゲストが多かったな。<※自動防御>に入ったエニグマを1回ぐらい使いたかった‥‥御霊入りマフィオーソに気など使わずさっさと<※BGMチェンジ>してしまえばよかったな」
こうさくいん「ひひひのひー。でもそうするとゲオルグ様もぱわーダウンでしゅー。けっこう戦闘に時間が掛かったでしゅね」
ボス「うむ。部下くりゅんめ、どれが誰のプロットかだんだん混乱してきてあわあわしておったぞ(笑)
 さてこのように、どんなに細かいルールに煩い御仁があれやこれやで議論しようとも、プレイアビリティの問題は厳然として存在する。いざ実際に戦闘でもしてみると、どんなに細かく作りこんだゲストでも気を回しきれない部分が出てくるのだ」
こうさくいん「一度に操れる人数には限界があるでしゅからねー」
ボス「うむ。それにプレイ中のテンションの維持や、スムーズなセッションの進行も、正しいルール解釈と同等あるいはそれ以上に大事なものだからな。ちなみにわしなら常に同等以上だ。それを考えると、ただでさえ混乱しがちな特技がこれ以上乱造されて増えるのはあまり好ましくはないのかもしれん」
こうさくいん「これは、4thに期待でしゅかー?」
ボス「くくく(邪笑)。あれは将来出ると仮定して勝手にユーザーサイドの一部が話をしているだけだ。無用な期待はせぬほうがよいぞ(笑)」


 『彼女』は剣を収めると私に振り向き、微笑むと消えていきました。同時に、ただひとり生き残ったマリエッタ・リンドーの傍にいた秘幽体もかき消すように姿を消します。
 ゲルダが連れていた女の子は急に姿を消し、奥の扉から呆然とした本物の彼女が現れました。この部屋にいたのはどうやら、星幽体から実体化したもうひとりの彼女のようでした。今まで操られていたのか、彼女は訳が分からないといった表情をしています。
 祭壇の奥の小部屋には、複雑な装置と中央に淡く輝くクリスタルの棒が置かれていました。棒を包んでいるものの形からして、爆弾か砲弾か、何かの兵器にでも使うつもりなのでしょうか。
「ゲオルグさん、これは‥‥」
 厳しい顔でクリスタルを見つめるゲオルグさんと、私は顔を見合わせました。私たちには分かります。この中に封じられた、たくさんの罪なき犠牲者たちの魂の泣き叫ぶ声が。この怨念が純粋なエネルギーとなり、何かの兵器に使われたら‥‥ほんとうに、この街やこの世界を滅ぼすことができるのかもしれません。
 ゲオルグさんがクリスタルの棒を取り上げてコートで包むと、私たちは部屋を後にしました。
「‥‥私が正しいこと‥‥何をすればいい?」
 仕えてきた主を失い、呆然と膝をつくマリエッタ・リンドーが一人、静かになった礼拝堂に残っていました。


「あなたが死ぬには十分な理由だ。だけど、死んでも何にもならない。あなたができることはひとつ――死んでしまった人の分も生きることだ」
 魔剣を鞘に収めると、ゲオルグさんはそれだけ言い残してコートを翻すと去ってゆきます。私は放心したように佇んでいる彼女を振り返りました。
 私はそんなに長く生きてきていないし、何か大切なものを背負ったり、何か貴重なものを失ったり、とてつもないことを体験してきた人間に、何かを断言できるほど経験を積んできたわけではありません。審判のカードは私ではなく、あの人の心の中にあることでしょう。
 手に止まってきたコリブラが先を促していました。私は何も言わずに、ゲオルグさんに続いて教会を後にしました。

"Krystal Singer"Kotone Fendell


 秋月龍人はまどかという少女を確かに保護すると、二人で去っていった。
 甘い人間たちはすべからく舞台から消えた。今度は本当の男が仕事を片付ける番だ。
 カルメーロの白いコートがはためき、その背後で一千の短剣がマリエッタに切っ先を向ける。
 だが、ガリアーノの“ソード・ダンサー”が手を振ってマスカレードの終わりを合図すると、一千の踊り手たちは忽然と姿を消した。
 カルメーロ・アンダーローロは落ちていた白い帽子を取ると、埃を払い、いつものように斜めに被った。
「終わりにしておきましょう」 マフィオーソは帽子の陰で笑った。
「今のあなたを殺すのは、かえって救いになりそうですからね」


Little Bird


 能力者を狙った連続殺人事件がぴたりと止んでから一週間後。霧の騎士ゲオルグ・ブレナンは久しぶりに故郷へ帰っていた。大都市から離れた深い森の中‥‥人間も動物もそれ以外の存在もいない静かな森の中で、魔剣フリムベルクを抜き放つ。
 ただ一閃。砕け散ったクリスタルからは満ちていた負のエネルギーが解放され、物凄い光と衝撃となって爆発した。その光はロンドンH@ZEからも見え、正体不明の光の話は数週間、世をにぎわせることとなった。
 予め描いておいた防護の魔法陣のお陰で、ゲオルグは難を逃れた。爆発が収まった時、囚われていた魂が四方八方に広がっていくのが見えた――だが、ここはブリテンだ。永遠の王の末裔たちの住まう白銀の大地と妖精たちの広い森には、汚れた災厄の街よりも遥かに大きな力が未だに満ちている。魂たちはきっと、行くべき場所にたどり着くことができるだろう。



 早朝のタタラ街。目指すボスはいつもの床屋にいた。特別製の椅子の上で、髭剃りクリームをつけられ、顔にタオルを乗せられて鏡の前でじっとしている。
「カルメーロか。早かったな」
「ええ。夜を明かしましたからね」
「仕事は済んだか」
「ええ、ボス。ちょろいもんです」
「そうか。ご苦労だった」
 カルメーロは帽子に手をやって一礼すると、床屋を後にした。髭剃りを研いでいた馴染みの主人が、カルメーロに会釈すると毎朝の仕事に取り掛かろうとしていた。



 N◎VAの超常能力者だけを狙った一連の連続殺人事件は、異常者であるゲルダ容疑者一人による犯行だったと巷には発表された。真実を少しだけ歪めたのはN◎VA中央区に威容を誇る列強各社の圧力でも犯罪結社の裏工作でもなく――アミューズメントパークを運営する中規模企業の掛けた魔法だった。
 そしてリンドー・コーポレーションのマリエッタ社長には、MiLion-Liteの黄金獅子の紋章の記された手紙と、同封されたtwiLiteへの招待券が届いていた。独創的な発想で知られる貴社の開発力を、当園でのアトラクションに活かしてくれないかという誘い‥‥同時にその手紙には、今回の情報隠蔽が貸しのひとつであることが、行間に匂わされていた。

 twiLite本園の北端にあるミリオン・ライトの本社。琴音=フェンデルは運営広報部長の“孤月”こと琳叡貴部長と話をしていた。肩まである髪に丸眼鏡の人の善さそうな年齢不詳の青年――だが、その瞳の銀の輝きが常人のものではないことを、琴音はうすうす感づいている。
「ご苦労様だったね。今回のような仕事は、慣れていない君には――それに君のような人間には、辛い仕事だったかもしれない」
「いえ、大丈夫です」 琴音は微笑んだ。
「確かに‥‥この世界は、間違いだらけかもしれません。でも、このtwiLiteが、その間違いを正すきっかけになることを、私も信じてます」
 退出すると、琴音は園内に向かった。今日は、クリスタル・シンガーの水晶の歌声が園内放送で響く日だ。


 私が器材を運んでいると、羽ばたきの音が聞こえてきました。舞い降りてきたのはこの遊園地に満ちているホログラフではなく、コリブラでした。
 一人のお客さんの傍の梢に止まったコリブラは、私を呼ぶように一声鳴きます。こんな早くに、誰でしょう? ゲオルグさんはまだブリテンから帰ってきていないし――そういえばあの星也巡査さんも、遠くオーストラリアに行っていましたね。
 驚いたようにコリブラを見ていたのは一人の女性‥‥あのマリエッタ・リンドー社長でした。あの礼拝堂で対峙した時の険しい表情も消え、手にはひよこくんのマークの入ったtwiLiteへの招待券を持っています。こうした場所に慣れていないのか、それともミリオン・ライトからの接触が意外だったのか、多少戸惑ったように辺りを眺めていました。

"Krystal Singer"Kotone Fendell

「今日は会社は、お休みですか?」
「ええ‥‥経営を立て直すにも時間が掛かりますし、しばらくは休養することにしました」
 ミリオン・ライト社からの手紙を読んだマリエッタ社長はいささか当惑していた。リンドー・コープは借りをひとつ作ってしまったわけだが、それでいてアミューズメント事業に参入しないかというのは、どんな思惑があるのだろうか?
「そうなんですか‥‥。でも、たまにはこういう場所でゆっくりするのも、いいですよ」
 彼女の困惑を吹き払うように、魔法の遊園地の水晶の声を持つ受付嬢はにっこりと笑った。
「今までは気付かなかったものが、見えるようになるかもしれませんしね」




 まどかは無事、養父シンジ・ラックフィールドの元へ帰ることができた。秋月探偵の仕事は終わった。廃棄ビルの事務所での、元通りの生活が始まる。
 紙の新聞を読んでいた秋月は三面の記事に目を止めた。E&B連合王国で謎の光が目撃されたという。そしてその横には――N◎VAのリンドー・コーポレーションが、遊園地のtwiLiteN◎VA本園での事業に参入するという記事が載っていた。
 秋月は新聞を畳むと立ち上がり、窓の外に目をやった。どこまでも続くスラムの町並み。その遥か遠くに、空を貫く超高層ビルの群れが見える。だが秋月は、この災厄の街の表から消えた大切なものを知っている。
「‥‥強くなければ生きていけない。でも優しくなければ、生きていく資格がないのさ」
 探偵は呟くと、コーヒーを淹れに窓から離れた。




And Here, The curtain dropped,
in the view of Super Nova City ....
-XYZ-


こうさくいん「というわけで、今月のエレガントセッションは終わりでしゅー」
ボス「うむ。秋月探偵の最後の台詞はチャンドラーだな。あれはとても有名なので儂も知っておるぞよ。さらば、愛しき女よ。ハードボイルドの代表作だな」
こうさくいん「いっぽう琴音のハンドルはアン・マキャフリィの小説のタイトルでしゅねー」
ボス「おおそういえば。談合の噂を聞いたぞ。霧の騎士ゲオルグは最後はレオナ・ソールとくっつくことになったそうな。レオナは10代の頃、恋人を殺された時の記憶にずっと囚われてきたので、そろそろ幸せにしてやりたいとのことだ。Shield Maidenが盾に閉ざされたその心を許すのは、やはり高潔な騎士になのか‥‥(ニヤリング)」
こうさくいん「なんでしゅとー! レオナはともかくゲオルグが幸せになるのはダメでしゅ〜!(←酷)」
ボス「まあそう興奮するな。ほれ、西方から70K記念にゆらゆら皇子殿下がイラストをくださったぞ。ペネロープが載っているではないか」
こうさくいん「でもペネル様が背景なのでしゅ。背景は星也巡査だけでいいのでしゅ〜(>_<)」 ←バカ

Image of Little Bird is from Pet Shop in"ことりchyanタウン", Birds related web-material site. Thanks.

---Bar from V:tM---
...... The Sleeping Beauty / Elegant 8th ......

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