
〜深淵の海魔〜
年の瀬近いある日。RIファミリーの最後の偵察は豪華な面子による異色セッションとなったようだ。
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部下こうさくいん「またペネル様の活躍が見れるのでしゅよ〜 o(≧▽≦)9”」 |
And
so, they appeared on the Staj of Wheel of Fortune .....
Handle: “タナトゥスの羽根”ペネロープ 【Lizort Pin-Up】
Style: カブトワリ◎,イヌ,ヒルコ● Aj: 20 Jender: ♀
オーストラリア警察国際犯罪対応チーム、連邦直衛隊“ケルビム”捜査官。(see...【キャンベラAXYZ】)棺行来電脳捜査官と共に様々な捜査に当たっている。実は軌道で政府研究機関が行っていた生体強化人間計画で生まれた人造生命であり、全てが闇に消えた時、幸運から地上世界での居場所を得ることができた。現在の職務が自分の存在理由であることにささやかな誇りを感じている。一見物腰が冷めても見えるが、性格は純粋。
常に黒衣に身を包んだいつも寂しげな表情の細身の少女。天使の持つ純白の死の翼は、未だに自分と人間とを隔てる壁を越えられないのだ。この物語では、任務の為にN◎VA分遣隊として来たところ。サーフェス相当の服で、羽の為に背中に空いた部分をホログラフで隠している。
Player: 堀野
▼「ほりのヒロインの王道」再びなのですよ!(笑) しかし財団が掴んだ情報によると、終幕近付くキャンベラAXYZキャンペーンでは、遂にケルビムの相棒、棺行来にコクハクされて彼女自身にかなりの変化が起きたとか。ペネル様の活躍はもう見れないかもしれないのです!ユグドラシルは本当に墜ちるのか?
こうさくいん「なんでしゅと〜。特別編に期待でしゅ‥‥(涙)」
Handle: “エッジ”ジョニー・クラレンス
Style: レッガー◎,フェイト,カブトワリ● Aj: 20代後半? Jender: ♂
紅蓮危機代行株式会社、レオニーダ・ガリアーノとも親しい腕利き。普段は調査員をしており、ヨコハマLU$Tの最近の雲行きを追っている。BARで出会った吸血鬼の那辺と男女関係にある。愛銃はバースト、フルオートで撃てる9mmオート、北米ジュノー製の【18】ダズル。
しかしそんな“エッジ”の像すらが偽装である。彼の正体は教皇領の司教であり、先達が星幽界に封じた存在を見張るため、LU$T特異点の監視にやってきたのだ。(!)
Player: MYO 【BlueRevolution】
▼ななななんと! 蒼き至高の星ぶるれぼからMYO専務の登場なのです。どうしようー(爆)
新メンバーを多く採用して始まった【サイト妖神演舞】の中華街BBS第3話もRLを担当して話も佳境。キャンベラ国際空港に赴くシーンや北米軍とAXYZ軍の合同演習シーンまで顔を見せています。文章の向こうに広がる深い北米世界の中にぶるれぼコズムを見よ!
クラレンスにそんな秘密があるとは知りませんでした。財団の偵察はオーストラリアの方に偏っていたようです。無念ッ!(自決)
Handle: “霧の騎士”ゲオルグ・ブレナン
Style: カブト◎●,カゲ,バサラ Aj: 24 Jender: ♂
霧の古都ロンドンからやってきた若き騎士。彼はこの時代においても自分の内なる信念に従い、霧満ちる黒の魔剣フリムベルグを振るう騎士なのだ。全属性の元力を習得し、魔法の盾に魔法の鎧、首にはマーテルクロス(fromブレカナ)をつけている。
Ruler: 緋 【THE AFTER LIFE】
▼急なセッションなのでとりえず近いところにいる人を呼びました。いやあ、じもぴーは楽だわ。(笑) ふと見るとゲオルグ以外みんなカブトワリです。カブトワリ祭り開催中。いや、でもXノフコズムだからダイジョウブでしょう。ええ。
Handle: “光の弾丸”静元 星也 【Profile】
Style: イヌ◎,マヤカシ,カブトワリ● Aj: 22 Jender: ♂
ブラックハウンドN◎VA本部生活安全課の若手巡査。射撃の腕は抜群で幻術を操るともいう。生真面目で優しく、誇り高い若者である。LU$TやAXYZやあちこちに遠出するといつもたいてい事件が起こっており、年の離れた姉が心配している。ウォーカーとの遭遇率が高い。
LU$T支部の要だった東耀司死去の悲報に泣くハウンドだったが、立ち止まってはいけない。東教官の想いを胸に、若き猟犬は今日も災厄の街に踏み出すのだ。エニグマの名は至天煌(バサラ)。魔剣化された拳銃に宿る守護神だ。
▼「ペネル様だから星也くんでしょう(勝手)」と同志Xノフのお達しがあって彼になりました。またクトゥルフチックな怪物と戦う羽目になるのでしょうか。ブルブル。
Ruler: X 【天真名井にて・改】
▼WoD広め隊隊長の同志Xノフです。ゆらゆら皇子殿下突然の来都、RLを探さねばなりません。おだてたらいや頼んだらやってくれました。さすが!o(≧▽≦)9”
年内終了の【SKYSOFT】35%割引キャンペーンで同志はどれほどWoDのサプリメントを買い込んだのでしょうか。でもアクト当日朝にメールチェックしたら1/14まで延長されていました。(合掌) 僕もだーくあげは買おうっと。

紅蓮危機代行株式会社。タタラ街を中心に根強い基盤を持つファミリーの隠れ蓑。
ジョニー・クラレンスはレオニーダ・ガリアーノの前にいた。ボスその人から、“エッジ”への依頼だったのだ。ガリアーノは立ち上がると、ワイン棚を開いて振り返った。
「ワインはどちらがいい、我が兄弟」
「血の滴る赤を」
流暢に答えながら、ジョニーは内心喜んでいた。滅多に味わえない最上級だ。何年ものだろう?
マフィオーソの話はファミリーの仇討に関するものだった。紅蓮の構成員だった17歳の少女、メアリ・ジョンソンが行方不明になってからしばらく経って、内臓を切り取られた死体で見つかった。
N◎VAの犯罪結社には臓器売買に手を出している所も多い。だが、メアリの死体は外科手術的な人間の手による仕業ではなかったという。
ガリアーノは手掛かりをひとつ与えてくれた。元N.Z.WWW(エヌゼット・スリーダブリュー、New Zealand Water World Works)の天才研究者、オリバー・スゥイフト博士が一枚噛んでいる可能性があるという。
ジョニーは調査員として蓄えてきた自分の知識を反芻した。LIMNETプファイルの情報ソースで最近も見た機関だ。
ニューロエイジの世界は災厄で歪み、海もまた大きな傷を被った。だが海洋開発には養殖による食糧問題解決を始め、多くの可能性が残されている。旧時代、海洋技術の先端に位置していたニュージーランドを受け継ぐN.Z.WWWは世界でも最先端の海洋学研究組織として有名だ。北米とNZの共同で建造されたメガフロートは、NZとエイジスの近海にサーガSATANNにも劣らぬ威容を見せている。
ジョニーはふとその情報の出所を尋ねたが、ガリアーノは笑うだけでそれ以上は言わなかった。何処かからのタレコミだったのだろうか。
舌の上で転がる特上のワインを一通り味わうと、ジョニー・クラレンスは調査に乗り出した。
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ホログラフの星も、夜の魔法の光も照らさない昼間のtwiLiteでも、黒一色の服に身を包んだ彼女は一際目立っていた。どこか寂しげな、異邦人のごとき雰囲気は変わっていなかった。 |
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『皆様、本日は黄昏の遊園地twiLiteにようこそおいでくださいました。魔法の霧に護られたこの地は‥‥』
美しい声の館内アナウンスが流れてきた。知り合いの琴音=フェンデルの声だ。星也が少し複雑な気分でいると、ポケットロンがけたたましく鳴った。ハウンドの専用回線だ。ぎこちなくもしばしの休息を味わっていた二人の表情が、捜査官のものに戻る。
コールの相手はゼロ巡査部長本人だった。今すぐスラムにある真教救世教会にこいという。閉職に追いこまれても少しも動じていなかったゼロが、藤一剣流を極めた最後の猟犬の声が動揺していた。星也はただならぬものを感じ、ペネロープに頷いた。
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「どうしましょう。僕のバイクなら外の駐車場に停めてあります。あれだったらすぐに‥‥」 |
ゲオルグ・ブレナンは自宅の書斎で依頼主と電話で話をしていた。
「またあんたか。護衛なんて必要なのかい?」
『必要だからこうして呼んだのよっ!』
相手はトーキーの若い女性、ステイシー・リーガンだ。気丈な女性だが取材の為には危険も厭わず、過去に何度か護衛の任を務めたことがある。最近頻発している女性の誘拐事件を追うとかで、またゲオルグに頼みたいという。
本日のブレナン宅は平和だった。書斎には叔父の残した数々の貴書が並び、平和を乱す子悪魔ユカもいない。DAKのスクリーンでは遠く中東でタンカーが爆発したというニュースが流れていた。犠牲者の冥福を祈ると、ロンドンからやってきた騎士は剣を取り、護衛相手の元へと出かけることにした。
救世教会の中では、シスター・マリエンヌが青い顔をして待っていた。礼拝堂の椅子を掴み、立っているのがやっとという状態だ。ペネロープさんが声をかけたが、彼女は小さく頷くだけだった。
気のせいかゼロ巡査部長の様子もどこかおかしかった。何も言わず、ただ奥の部屋を指差すと目で合図してくる。
問題の部屋は静まり返っていた。ぼくはペネロープさんを振り返り、彼女が頷き返してから意を決すると両開きのドアを開いた。
今までに見たどんな凶悪事件よりも酷い有様だった。部屋の中は赤く染まり、子供の死体が折り重なるように積み上げられている。人間の死体と呼べないようなものもあった。内蔵や、様々な部分が切り取られたまま、投げ捨てられるように放置されている。
死んでからそう時間は経っていないようだった。腐臭はしなかったが、絡みつくような血の臭いが部屋中に満ちていた。
情けないことに、ぼくたちはしばらく動けなかった。部屋を飛び出してドアを締めたい誘惑にさえ駆られてくる。
なんとか自制を取り戻してペネロープさんと顔を見合わせる。おそらく死体は十数人だろうか。心を落ち着かせてからよく調べると、男の子の死体がほとんどだ。
「‥‥セイヤ、この事件の為に、力を持つあなたが?」
ペネロープさんが問い掛けてくる。オーストラリアに行った時、彼女は見ている。イナゴの死骸から不可解な方法でぼくが手掛かりを導き出したのも、ぼくの銃から溢れ出す不可思議な光も。あの時もうまく説明できなかったが、彼女は信用してくれた。
「ええ。‥‥この事件には、何かの超自然が関わっているかもしれません」
床の血を調べながら、ぼくは唇を噛んで答えた。

ゲオルグ・ブレナンはN◎VAの一角にある待ち合わせ場所でずっと待っていた。打ち合せた時間を過ぎても、ステイシーは一向に現れない。
使い魔のカラス、ネバーモアに餌をやっていたゲオルグは、ふと路地裏に目をやった。何かが見えたような気がした。
餌をやる手を止め、彼は路地裏を確かめた。クレッドクリスが落ちている。その先にポケットロンがあった。そして、ゴミ箱から漏れる廃液やヴィークルの油やその他、街で見かけるどれとも違う、ねっとりとした粘液のようなものがそこかしこに残っている。
本格的に怪しんだゲオルグは先を進んだ。次は鏡と化粧品、その先にハンドバッグが落ちていた。この中身が散らばったらしい。だが、持ち主の姿は影も形もない。
「ステイシー! ステイシー・リーガン! 冗談はやめて出てこいよ」
彼の声は無人の路地裏に消えていくだけだった。拾い物の中にあったデータクリスをポケットロンに差してみるが、プロテクトが掛かっているのか中身が見えない。
試しに彼女の電話番号に掛けてみる。当然の如く不在だった。ゲオルグは本格的に探すことを決意すると、身を翻した。食事がまだ途中だったネバーモアが、主の上で一声鳴いた。
ジョニー・クラレンスはよく利用しているF.E.I.R.の人物情報でオリバー・スゥイフト博士の動向を追った。学校は全て飛び級で卒業、知能指数極めて高し。人格のバランスにいささか不均衡あり。N.Z.WWWでの最終的な地位は海洋生物研究所三班班長。だが、彼の発表した研究論文の内容があまりに荒唐無稽、人格を疑わせるものであった為に内外から非難が続出。N.Z.WWWを追われた後は消息不明になっている。問題の論文のタイトルは『深海における人間型生物存在の可能性 〜その超自然的考察〜』だった。
ジョニーが体験してきた過去の事件を通じて世話になっているレオン・クルーズに連絡を取る。特務警察ブラックハウンドを当たるのでしばらく待ってくれという返事だった。
博士の研究内容を調べれば、仮にこのN◎VAで博士が動き出すとしてもずいぶん調査の輪を狭めることができる。海洋科学の研究や実験には大規模な施設が必要だ。博士レベルの研究者が望むラボが存在する余地は、N◎VA広しといえどそう大きくはない。
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こうさくいん「N.Z.WWW‥‥ぶるれぼコズムの北米設定本『Lokked Heaven』のオーガニゼーションガイドに設定のある海洋研究組織でしゅね!o(≧▽≦)9”」 |
「Hey、ナイト・オブ・ミスト! コイツの中身をスキャンしたいってワケだな。待ってろよ、魔法の鍵はすぐに‥‥」
ゲオルグはジャンク屋の陽気な主人、リーンフォースの元を訪れていた。本職のニューロが好むパーツの入手先としても情報屋としても、この男は有名だ。決心してステイシー本人のものとおぼしいクレッドクリスの残額を全て差し出すと、すぐにリーンフォースは調べてくれた。
ミラーシェードを通してイントロンしたままなのか、テクノのリズムに合わせるようにテッキーはキーボードを叩く。代わりに天井の隅にあるカメラが、待つゲオルグにズームを合わせてきた。
データの中身がホログラフになって浮かび上がった。N◎VA全域の地図。そこかしこに矢印で示された書き込みや注意を促すマーク。おそらく、ステイシーが個人的に調べた結果なのだろう。そして、Attentionのマークは木更津湖沿岸の倉庫街に集中していた。
「N.Z.WWWが使いそうな設備の揃う貸しラボも、その辺りだな」
同じような情報を求めてリーンフォースの元を訪れていたジョニー・クラレンスが、背後から声を掛ける。
「紅蓮はいつから探偵事務所になったんだい」
過去に何度か厄介事のたびに出会ってきたマフィオーソの出現に、ゲオルグは皮肉げに声を掛けた。
「どこかのお嬢さんが行方不明になったと通報があったそうだが、それかい?」
的確な推測に内心驚きながら、ゲオルグはため息をついた。
「なあ、ジョニー・クラレンス。初めて会った時もそうだったが、あんたはなんてやな奴なんだ!」
「こんな街なんだ。諦めてくれよ」
ジョニーは笑うと苦労続きの若きカブトの肩を叩いた。
「あんたの慧眼に敬意を表して情報交換といこうか、ジョニー」
「ああ。お代はShoot The Movieでコーヒー一杯だな」
二人は互いの事情をかいつまんで話した。ステイシー失踪の現場に残されていた粘液の鑑定結果も出てきた。魚類のもののようだが、どうやら地球には存在しない種などという不穏当な結果が出つつあるらしい。
「そういう妙な手合いは苦手だな‥‥」
ジョニーは左胸に収めた【18】ダズルの重みをふと確かめると、ブリテンからきた騎士を見やった。ゲオルグも剣の腕はかなり立つ。二人で動いた方が、何かと安全かもしれない。
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こうさくいん「ジュノー【18】ダズルは9mmで装弾数10、バーストとフルオート可能。特殊プラスチック製のダズル・シリーズには幾つかあり、現実世界だとグロックに近いのでしゅよー(>w<)」 |
救世教会のシスター・マリエンヌは礼拝堂に座り、少し落ち着きを取り戻したようだった。
「ペネロープさん。あの、女性が聞いたほうがいいかもしれません」
様子を察した星也がささやき、ペネロープは頷くと彼女に声を掛けた。
「シスター。お辛いかもしれませんが‥‥」
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別の教会に用事で出掛け、今朝方帰ってきたばかりのところにこの有様に出くわしたという。現在、教会で預かっていた孤児は少年少女がそれぞれ10人ほど。 |
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本当に頭をおかしくしたサイコなら、こんな手口で人を殺すこともあるかもしれない。ずっと前に一時期対サイバーサイコ部隊に所属していた時も、確かに人間なら考えもつかないような殺し方も見たことはあった。 |
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「セイヤ。私にはよく分からないのだけど‥‥そのあなたの力で、何か分かりますか」
背後から声がして、ぼくは現実世界に引き戻された。黒衣の死天使がそこに立っていた。
あの時もペネロープさんは分かってくれた。またしても説明に困ったが、ぼくは得られたものと推測を話した。この事件は人間の仕業ではない。

夢の島近辺、木更湖に近い倉庫街。ジョニー・クラレンスとゲオルグ・ブレナンは廃ビルにこもり、怪しいとおぼしき地点近辺の監視を続けていた。ジョニーはこの種の仕事に愛用しているスナイパーライフルを窓辺に設置すると、光学スコープの倍率を上げて目標を探す。
見知った顔が十字照星の中に現れ、ジョニーは引き金から指を離した。少し線が細いが精悍な若者は――前に事件でハウンドと情報を融通しあった時の静元巡査だ。一緒にいる娘は黒一色の服をまとい、どこか儚げな感じのする子だった。似合いの二人にも見えるが、あたりを鋭く見渡している彼らはどうにもそんな感じには見えない。事件の臭いを嗅ぎ付けてきたようだ。
同じカブトワリなら通じるものもある。紅蓮の“エッジ”はスナイパーライフルの固定を外すと、沈もうとしている西陽の光をスコープに反射させた。二度、三度。再びスコープを覗き込んだ時、照準の中の若者もこちらを見ていた。
「何も見えませんでしたけど、合図が? すごい‥‥」
「そうでもないですよ。ちょっと心当たりがあります」
ぼくはペネロープさんを案内すると、狙撃地点とおぼしきビルの崩れかけた階段を上った。倉庫街を見渡せる地点に、果たして心当たりの人物がいた。一緒にいるのはゲオルグさんだ。またしても、何かとんでもない事件になるのだろうか。
「相変わらずいい目だね、静元君」 紅蓮筋の調査員、ジョニー・クラレンスが手を差し出してきた。
「撃たれる所でしたよ」 僕が手を握り返すと、彼は歯を見せて微笑んだ。「銃は北米製ですか?」
窓のところには艶消しの黒いライフルの滑らかなシルエットが鎮座していた。北米のライデン【SVD】か‥‥それともリムネットやPeiaが開発を続けているという、軍仕様のものだろうか。
同じ目的の為に動いていることを確認すると、四人は互いの情報を交換しあった。どうやら、ジョニーやペネロープには理解しがたい超自然的な要因がこの事件には絡んでいるようだ。
「教会にあんなことをするなんて‥‥。企業の実験体や、そうしたものの可能性もあるのでしょうか‥‥?」
「ええ。そうかもしれません」
星也の答えにペネロープは表情を暗くした。企業が作った人造の生命であれば、彼女自身と同じだ。彼女の同類が、あんな惨たらしい方法で本物の生命を奪い、何か恐ろしいことを企んでいるのだ‥‥
「大丈夫ですか、ペネロープさん?」
声を掛けた時、僕は自分の失敗に気付いた。そうだ。我々と同じ人間であるとはいえ、彼女の出生には星々の向こうに隠された秘密があり、我々と幾分違う方法で生まれたのかもしれなかった。軽率にこの話は出すべきではなかったかもしれない。
彼女が気になさらずにと答えてきた時、ぼくたちは回りの変化にようやく気がついた。
「チッ‥‥俺たちのシマでいいことしてくれやがる」
ライフルのスコープを覗きこんでいたクラレンスさんが、歯を見せて危険な笑みを浮かべていた。ターゲットに動きがあったようだ。どうやらぼくたちだけが気付かなかったらしい。
スコープの中では客引きとぼおしきチンピラが、ストリートの少女を廃工場らしき建物の中へ招いていた。中で何かが始まるようだ。
ぼくとゲオルグさんは顔を見合わせた。今すぐ乗り込むべきだろうか?
「待って。あの施設のアドレスを検索します」
言うなりペネロープさんがポケットロンのコードをIANUS端子に繋ぐ。小型スクリーンの中に、ドミネートされたセキュリティ・カメラの画像が映っていた。確かにその機能を備えた高機能IANUSからなら直接イントロンも可能だが、それにしても速い。画像の中では室内で誰かからドラッグを受け取った少女が、早速効き具合を試していた。
「すごい装備ですね‥‥!」
「ええ、国家機密ですので」
驚くぼくに彼女はさらりと答え、画像を拡大した。ハイになって意識を失った少女をいきなり抱きかかえ、その人物は建物を出ようとしていた。
画像を静止、該当部分を選択、切り取って拡大、人物の顔の解像度を上げる。その男の顔をペネロープさんは一同に見せた。クラレンスさんたちが追っているオリバー・スゥイフト博士のデータと同一だった。
階段に走り出そうとしたぼくの肩をゲオルグさんが掴んだ。
「待て。こっちだ」
彼が“力”を使い、ぼくたちは博士を追った。
月が昇った木更津の夜。星也が援護する先で、ゲオルグは魔剣フリムベルグに手を掛け、オリバー博士と対峙していた。不気味に月光の照らす博士の顔は、エキセントリックという言葉の範疇を超えた何かの情念に支配されていた。
「ステイシー・リーガンという女性を知らないか」
「フン。知らんね」
答えながら背後の巨大な用水路に、連れてきた少女を沈める。水面に不自然な泡が集まり始めた。
「N◎VA全域の中でこの一帯が一番、失踪事件がよく起こっている」
ふらりと現れたジョニー・クラレンスが迫力のある声で続ける。「その女をどうするつもりだ?」
「‥‥くそッ」
不利と見た博士は身を翻し、ばちゃばちゃと音を立てながら水の中に踏みこむ。その時盛大な音と共に、不自然な泡の主たちが水面に姿を現した。
奇怪な生き物だった。ずんぐりした手足にはひれがつき、ぬめぬめと湿った体表は月光を反射して鱗のように光っている。魚のようでありながら、それはねじくれた人間のようなシルエットを持っていた。牙の生えた口と魚類の目を持っていながら、頭部はまだ人間のものの名残を残している。人間の頭を左右から押し潰したような醜悪な容貌だ。
悪夢の中に出てきそうな怪物だった。災厄が起こる前の20世紀、一部で脚光を浴びた怪奇小説作家の描いた作品に出てくる半魚人そのものだ。
呆気に取られる一行の前で、半魚人たちは気絶した少女と博士を連れ、再び水の中に潜ると姿を消した。
「大気に住まう空の精よ、道を開き給え!」
ようやく衝撃から立ち直ったゲオルグが呪文を唱え、力を解放する。手をかざした先の水が退いていき、一陣の道の先に木更津湖の底が姿を現す。
人工の用水路の出口から出た先、そこには幾つかある小山に無数の穴が開いた、蟻の巣のような、奇妙な構造物があった。半魚人たちは今しもそこに消えていくところだった。
ゲオルグに導かれ、一行は魔力で作り出された道を急いだ。
「‥‥そうよね。マナはどこにだって満ちているわよね」
無理やり自分を納得させると、最後尾のペネロープは後に続いた。

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構造物の中は地下用水路のようなトンネルだった。ずいぶん歩く。もうN◎VAの地下から離れて、海の底に近いかもしれない。 |
後続のペネロープと共に進むゲオルグは、広まった洞窟のようなところで立ち止まった。四方の壁にいくつも、卵のような奇妙な盛り上がりができている。
まるで卵の殻を破るように、ゲオルグの側のひとつが破裂した。卵の中身のように、とろりと、粘着質の気味の悪い液体が中から溢れ出してくる。暗緑色の液体と共に、何かがどさりと落ちてきた。
それは半裸の人間の女性だった。緑の液体と得体の知れない何かに汚されて顔がよく分からないが、まだ若い。自分が探しているステイシーよりも下かもしれない。
女性の下腹部は異常なほどに膨れ上がっていた。出産直前の妊婦のように、だが、もっと大きい。
そしてなんとも冒涜的なことに――腹の中で何かが暴れていた。人間の胎児ではない何かが動いている様子が、腹の上からはっきりと見えた。
息も絶え絶えの女性は小さく、苦痛の悲鳴を上げ続けていた。衝撃的な光景を前にゲオルグは魔剣フリムベルグを抜いた。
「‥‥止めがいるか」
相手は必死に頷いた。ゲオルグは自分の信ずる神への祈りの言葉を呟くと、手をかざして一撃で首を刎ねた。
のたうつ彼女の体が動くのを止めた時、腹が食い破られ、人間の腹を借りた禍禍しい子供が姿を現した。全身が鱗に被われた奇怪な半魚人の子だった。小さくとも牙を備えた口で、子はゲオルグに向かって敵意ある叫び声を上げた。ゲオルグは一撃でその口を貫いた。
気が付くと、四方八方で同じことが起こっていた。悪夢の卵が割れ続け、死を求める小さな悲鳴と半魚人の子の唸り声が響いていた。
「行きましょう。剣では間に合わないわ」
剣を手に身構えるゲオルグに声が掛けられた。
「しかし‥‥!」
「あなたには私より多くのものが見えるでしょう。でも私にも分かります。ここは‥‥」
黒衣の死天使の声は静かな悲しみに満ちていた。彼女に従ってようやく退いたゲオルグは最後に使役の護符を取り出した。炎の精霊を召喚し、すべてを焼き尽くすよう命じる。存在してはならない光景が、炎の中に消えていった。
ぼくはクラレンスさんと先を急いでいた。通路の先が広くなり、仄かな光が漏れている。ここが洞窟の最深部なのだろうか? どうやら半魚人たちの大元の巣というよりは、地上世界に繋がる本拠地のような場所のようだ。
洞窟の中を覗う。縛られた少女達が奥の方にうずくまっている。ほとんどは無言に近かったが、一人、盛大に悪態をついている声がした。大人の女性が混じっているらしい。その前に例のオリバー博士がおり、そして――近くの池から出てきた半魚人たちが、悪態をついている女性に奇妙な唸り声を浴びせている。
ぼくは一息つくと視線を戻した。ブラックハウンドに入隊してから、様々な事件に遭遇してきた。墓場から蘇った死神に銃を向けたこともあったし、ウォーカーと対峙したこともあった。オーストラリアの平原を横切って豆腐を運んだこともあったし、狼男や、得体の知れない外宇宙の神とやらと戦ったこともあった。でも、今度は半魚人だ。
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「‥‥クラレンスさんは、神を信じますか」 |
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踏みこんだジョニー・クラレンスは、オリバー博士に鋭く誰何の声を浴びせた。同時に手の先に銃が現れる。ダズル・シリーズの滑らかなフォルムと一体となった、マズルブレーキ付きのロングバレル。特徴的な先端の四面スリット。銃身に刻まれたJunoh Industrial Satelliteの文字。スリットからガスを効率的に逃がすことで、ジュノー【18】ダズルは、精密な連射行動を可能にしている。
「フン。この世の無能共は誰一人として真実を見ようとしない。私はもう見つけていたのだ。10年前のあの論文でな! だがN.Z.WWWの奴らは信じなかったッ! 無能共のたむろする研究所にいる理由などないッ! だから私はこうして海洋の知的生命体に協力しているのだ。母体の提供を通して、彼らの種の生存を助けているのだよ!」
高度な知性を有した人間は時として、狂気の淵の先へとたやすく転がりこむ。ジョニーが向けた銃の先でとうとうと語る元天才博士オリバー・スゥイフトは、完全に常軌を逸脱していた。
暗がりに紛れたゲオルグ・ブレナンは、悪態をつつき続けるステイシー・リーガンの後ろに現れた。霜の魔剣フリムベルグが一閃し、戒めを解き放つ。
「遅くなったな。今から護衛を開始する」
「助かればそれでいいのよ。あー、手が痺れてカメラが持てないわっ!」
気丈な若き女性トーキーの意外な返事に、ゲオルグは面食らいながらも盾を掲げた。
「いい暗闇ドキュメンタリーが撮れるぜ、記者さん」
ジョニーはニッと笑いかけながら、左手でも銃を抜いた。

「何なの? あの反応速度は?!」
ペネロープが思わず声を上げる。ジョニーの両手のダズルが神速の速さで火を吹き、半魚人の一匹を捕らえる。だが驚くべきことに、深淵からやってきた海魔は驚異的な反射神経で両方の銃弾を避けていた。
「‥‥博士。あなたは命を貶めたわ」
隠しホルスターに止めていた9-WHがケルビム捜査官の手に滑り落ちた。その横で、ハウンドの巡査も秘幽体特有の燐光を放つ銃を向けていた。
「こちらは特務警察ブラックハウンド並びにケルビムの合同捜査チームです。オリバー博士、死刑を覚悟してください。降伏はまだ間に合いますよ」
実体を持たない光の弾丸が博士の回りに踊る。だが、どこからか取り出したメスをきらめかすと、オリバー博士は飛びかかってきた。
不快な唸り声を上げて、半魚人がゲオルグたちに襲いかかる。霧の騎士が呼び出した元力の壁と、星也の秘幽体の不思議な壁が鋭い鉤爪を防いだ。突然星也の背後から煌いた博士のメスは、熾盛光如来の加護の力が防ぐ。
目標を変えてペネロープに迫ってきた鉤爪をゲオルグの盾が防いだ時、十分に狙いをつけた彼女の射撃が半魚人の眉間を貫いた。深海から来た知的生命体は洞窟じゅうに響く苦痛の叫び声を上げ、出てきた池――いや、その先は海と言うべきか――の中にばしゃんと落ちた。
しばらくして水面が泡立ち、水面下が騒がしくなったかと思うと、人間のものと違う色の血と肉片のようなものが浮かび上がってきた。まさか、半魚人には共食いの性質まであるのだろうか?
乱戦だった。ぼくの至天煌がひとりでに霊弾を撃ち、ゲオルグさんは依頼人を背後に庇い、剣で隙を狙う。クラレンスさんの銃が再び同時に火を吹き、続いてのペネロープさんの一発がもう一体の半魚人を仕留めた。
残ったのはオリバー博士だ。彼は諦めた様子もなく、光るメスを構えながらこちらを睨んでいた。ぼくは至天煌の狙いを定めたまま、一歩近付いた。
「‥‥降伏を勧告したはずですよ、博士」
あの時の射撃は‥‥至天煌が勝手に撃ったのだろうか。それともぼくが引き金を引いたのだろうか。ぼくは博士はここで死ぬべきだと考えていたのだろうか。
オリバー博士が動いた瞬間、至天煌から放たれた一瞬の光の槍が、その首筋を撃ち抜いていた。
「この世界の全ての者に罪はあるさ」
ジョニーが応急キットを取り出し、横たわる博士を治療しようとしていた。放っておけば、すぐに死ぬだろう。
「でも、人に原罪があるのだとしたら、神はどうして人を作ったのでしょう‥‥」
神ではなく、紛れもなく人の手でその命を産み出されたペネロープが、暗い表情でジョニーを見守る。
「駄目だっ。この男にはここで死を与えるべきだ。それだけのことをしたのだから」
ゲオルグは霜の魔剣を手に歩み寄ろうとした。確かに、死に値することをこの男はしてきた。その横で肝心の星也も、何も言えずに迷っている。
だがブリテンの騎士を手で制すると、紅蓮の調査員ジョニー・クラレンスは懐から小さな装置を取り出した。篠原司法や警察機構しか所有していないはずの、ターミネーター・プラグ。
「神は自ら死を選ぶ者の告解を聞きはせぬよ」
厳かに告げると、ジョニーは博士の首筋にあるジャックにプラグを差しこんだ。IANUS生命維持以外の動作を停止し、狂気の天才博士の体は電流が流れたように一瞬震え、その後に動かなくなった。
無事だった人質は救世教会の孤児の少女や、N◎VA各所で誘拐されてきた子たちだった。彼女たちを解放し、一行は海底の洞窟を後にした。
最後尾に残ったペネロープは洞窟を振り返ると、恐らく天井を支えているのだろう核となる柱に目をやった。密かに9-WHを抜き、弾装を交換するとただ一発。サイレンサーを付けたこの銃は、必要な時にはほとんど音を立てずに撃てる。支えを失った洞窟に、微かな振動が響き始めた。
「行きましょう。じきにここは浸水するわ」
一行に先を促すと、ケルビムの死天使は地下洞窟を後にした。

遺留品となるところだったハンドバッグとその中身を本人に返し、ゲオルグ・ブレナンは元気な依頼人とN◎VAを歩いていた。人間でないものに誘拐されたはずだが、この闊達なトーキーはぴんぴんしている。
「しかし、本当に遅れてすまなかった」
「結果的には遅れたからあれだけの取材もできたんだし、いいんじゃない? ワタシからすれば記事にできたんだから、これで万事解決よ!」
今回の仕事は、騎士とその護るたおやかな姫君というわけにはいかなかったようだ。このステイシー・リーガンは、一体どんな派手な番組を流すつもりなんだろう?
そして、何かと苦労の多いゲオルグ・ブレナンの予想は裏切られなかった。
仕事が終わったジョニー・クラレンスは、再びレオニーダ・ガリアーノの元に招かれていた。仕事始めに味わった最上級のワインは、まだ瓶の中にしこたま残っていた。脇のスクリーンでは、例のステイシー・リーガンという元気なトーキーが大々的に暴露したニュースが流れている。だが、紅蓮が関わったという痕跡はきれいに消去されていた。
「‥‥というところです。N◎VAでもまだまだ、我々が動く余裕があるようです」
「そういうことだ、我が兄弟」 ボスの中のボスは立ち上ると窓辺に立ち、振り返った。
「私がこの街にまだいる理由が分かっただろう」
ジョニーも立ち上がると、広がるN◎VAの夜景に目をやった。LU$Tの一件も大がかりなことになったが、この街にも騒動の種は幾らも転がっている。
「ええ。‥‥願わくばこの街が、我らの力が望む味を見せてくれることを」
紅蓮の“エッジ”も笑うと、真紅のワインの注がれたグラスを夜景に掲げた。
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真教救世教会。二人の捜査官はシスター・マリエンヌに真実を話すべく、礼拝堂に赴いていた。ここでも黒一色のペネロープの衣装は、犠牲者たちの冥福を祈る喪服の如きだった。 |
逮捕されたオリバー・スィフト博士は死刑が確定した。だが、存在するはずのない深海の知的生命体のことが明るみに出れば、世間が混乱することは必死だ。ブラックハウンド隊長の細野君朗の手で事件は闇に葬られ、博士は密やかに命を絶たれることになった。
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「ええと、どこまでいったんでしたっけ」 |
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And
Here, The curtain dropped,
at the shape of Anjel in Blakk ....
-XYZ-

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こうさくいん「でもこの後AXYZに帰ったペネル様はコクハクされていろいろあってキャンペーンが終わっちゃうのでしゅよー。ぜんぜんハッピーエンドじゃないでしゅー(T_T)」 |
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