When Kross the Midwinter Nite

〜小粋にエレガントPLAY第10回 真冬の夜(マローズ)を越えるとき〜

Movie】【一幕】【二幕】【三幕


部下こうさくいん「遂に行来がペネル様にコクったでしゅよー。AXYZももう終わっちゃうでしゅ〜(>_<) でも新ヒロインは麗しのメーティス様でしゅ〜o(≧▽≦)9゛」
ボス「うむ。大宇宙OFFではチャイナ服も披露されたし大喜びだな。おっと、喜んでいるのはさんままん氏だ。いやそれはともかく記念すべき第十回エレガントN◎VAである。多くの方々にご好評いただき、あの空に不滅の光を遺したノーザン・クロスから約1年。北十字星の輝きを超える、構想に半年以上を掛けた超スゴいシナリオを親衛隊長が持ってきたぞ」
こうさくいん「あああー、開始前からなんか気合が違うでしゅ〜(ブルブル) 登場人物もみんな映画版なのでしゅね!(>_<)」
ボス「うむ! DVD版だから字幕も選べるぞ。プレステ2で見るがよい。いやそれは嘘だ。ドリームバージョンもアリアリ、プレプレアクトで調整に調整を重ねてようやく開催までこぎつけたぞ」
こうさくいん「でもー、キャストが男ばっかでしゅよー。ヒロインはいないのでしゅか〜レオナとフェリシアはどこでしゅか〜」(←バカ)
ボス「い、言うな。このシナリオはキャストの制限が多いのだ。(笑) 役柄によっては女性キャストでも似合うものもあるな。まあそこはほれ、ノーザン・クロスと同様に緋コズム的ヒロインが出てくるのであろう(ニヤリング) 別の面子でまたこのシナリオを遊べばよいこと」
こうさくいん「ロシアの大地にれっつらごーでしゅね〜(≧▽≦)ノ」


And so, they appeared in the midwinter of Russia .....

Handle: “スモーキー”ブレイク
Style: レッガー◎●,カゼ,カブトワリ Aj: 20代後半 Jender:
 一人乗り小型試作気圏戦闘機『Volant』を駆るフリーのジャジーなバウンティハンター。緑がかったぼさぼさの灰色鳥頭に榛色の瞳、煙草を手放さないところからこの名がついた。細身で身軽、賞金が入らないと食事が野菜炒めになる。元組織の一員で、火星での抗争の末に地上のヌーヴに降り、ヌーヴェルフランセの三合会に身を投じた。そこでも内部抗争が起こり、以来世界の空を巡る賞金稼ぎとなった。ロシア滞在時に懇意になったファミリーの偉大な男、レオニード・アルサノフが非業の死を遂げたことを聞きつけ、再びヨコハマからロシアに。普段は飄々としているが、裏には修羅の素顔があるという。
Player: 最果 【FETHERED IMAGINATION
殺人予告申し上げますに出てきたブレイク復活。ビバップコズムは雪のロシアに通用するのか? 今回のシナリオでは恩義あるボスの敵討ちに出かけるレッガーの役になります。Volantはフランス語、トビウオを意味するワイズマン相当の赤い試作機。203Expに改良された映画版のブレイクは<■自動反撃>に御霊相当のMARS SYSTEMも入れています。彼も覚めない夢を見ているだけなのか? 楽園を追われた天使は堕天使になるしかないのでしょうか。うわ、超カックE!(ぽわぽわ〜ん) ←ニューロタング大誤解的妄想音
ピンクコズム最果氏はVampire: The Dark Agesがお気に入りのようです。Transylvania Chroniclesがやりたいとかとかなんとか。えらいえらい。だーくあげでフィーバー。僕またプレイヤー。(悦)

Silver Cross

Handle: “疾風の狼”アーレイ・ドレスデン
Style: アラシ◎●,カブト,カブトワリ Aj: 37 Jender:
 ヨコハマLU$T、コロッセオでも見かけるウォーカー乗り。第二時ミトラス戦役時は砲弾の飛び交う南極大陸を駆け抜けていた。現トライアンフ社長のリチャード・ウォーレスとも当時の戦友である。世界各地の戦争や内乱を転々としていたが、最近は中南米やM○●Nでの仕事が多い。右目に眼帯をした豪快な荒くれ親父だが、面倒見がよいところもあるようだ。共に戦役を戦い抜いた試作高性能機“フェンリス”はその後封印。
 だが、10年前の冬のロシア、クラスヤノスクの戦いで仲間たちを裏切った“邪眼使い”のアークの居場所が遂に判明。鋼の機体に命を灯し、狼はロシアの大地に降り立つ!
Player: X 【天真名井にて・改
▼GMがずっと続いた同志エクスノフです。今回のシナリオは軍人役が必要な為、170expに微調整した映画版アーレイぽん出撃となりました。本核的なウォーカー戦がないのでアラシも1枚に減っています。コロッセオでも乗らない“フェンリス”はアラクネー相当のウォーカー。試作機といったら昔から高性能に決まっています。
 PL自らが「ガゼン死に役です」と公言してはばからないアーレイ。(酷) ロシアの大地に戦争ものっぽく散ってしまうのでしょうか。いや、きっと激シブの傭兵の生き様を見せてくれるに違いありません。超カックE!(ぽわぽわ〜ん)

Winter Wolf

Handle: “蒼氷の騎士”シルヴィオ・プルデーレ
Style: バサラ◎,カブト,フェイト● Aj: 20代前半 Jender:
 コルシオーネ・ファミリーの末娘、ユカ・プルデーレの実兄。教皇領から最近N◎VAにやってきた金髪蒼瞳、若干釣り目がちの青年。タタラ街の片隅で探偵事務所を開いたがあまり繁盛していない。
 だが、のんびりした雰囲気の優しい眼差しには強い意志が秘められている。プルデーレ家は代々氷の大地から力を与えられた一族であり、長男であるシルヴィオは特に強い祝福を受けた騎士なのだ。忌むべき火炎の力を備えて生まれ、行方をくらました妾腹の妹を探している。
 かつての事件で協力したロシア軍の女性、フレデリカ・ユーリィ・パヴロヴァの大切な宝玉を探して舞台に上る。
Player: 九龍
▼あのユカプーには兄がいたのです! 今回のシナリオでは依頼人の女性フレデリカを助けるフェイトの役になります。騎士でシスコン気味のお兄タマはなんと武器なし、<※元力:火炎/負>7lv+<※増幅>4lv+<※力学>でブリザードと氷の槍で攻撃してきます。<※障壁>もあるのでコンスタントに強いです。他が映画版ならシルヴィオなんか最初からDVD版。きっと超カックEに違いありません。(ぽわぽわ〜ん)

Blue Ice

Handle: “デス・ロード”アレックス・タウンゼント 【Profile
Style: カブト=カブト◎,バサラ● Aj: 32? Jender:
 死神の使いを名乗るカブト。E&B陸軍のカウンター・テロ部隊SMFで技術を身に付けた。死神との盟約のため、そして裁きのために、その力と夜の魔法を振るう。極めて冷静なため、一見冷淡にも見える人物。
 天使の歌声を持つ少女ソーファ・ユーリィ・パヴロヴァを守る為、はるばる冬のロシアに赴くことに。死神との約定のために、世界の夜を歩んできた死の卿の旅路は、遂に氷の大地にまで達したのだ。
▼ちょっと久々のアレックスでーす。今回のシナリオではカブト役になります。話の中でFF9にインスピレーションを受けたヒロインとの劇中劇のシーンがあるとか。テストプレイでは台詞を用意していないと辛いとの感想がPLから出たそうです。どうしよう。(ブルブルブル)
「今回敵もすごいです。アレクはパンチ力が弱いので元力を15Lvぐらいにしましょう」とか緋親衛隊長がオソロシイことを言ってきます。それは<隠密>を重ねると達成値が上がりすぎてマーヴェラ〜スなカンジなので、映画版は黒の剣相当の魔剣『アズュラーンの威令』を携えることになりました。寒冷地用に拳銃も北米ジュノー製【22】ダズル・バレットに変えています。(とかいって本編で使ってないけどネ!) ぶるれぼコズムともリンク。いえー。

Death & Twin Gem

Ruler: 緋(あか) 【THE AFTER LIFE
▼RI財団のセッション・レポートのひとつの頂点かもしれない『ノーザン・クロス』であの空に不滅の輝きを残した緋隊長です。あれから1年。北十字星を超えるものを目指して造った超大作シナリオを持ってきました。テストプレイも3回あまり重ねたようです。すごいすごい。ていうかこのマローズの話は半年ぐらい前から延々と聞かされてるよキミ!(笑)
プレプレアクトを重ね、キャスト調整はかなり難航しましたがようやくここに落ちつきました。


Kaution:

 この物語では、ニューロエイジにおける現在が西暦2072年になっています。また、話の展開が10年前の過去と現在、複数の場面が入り組んだものになっています。日付が各段落の冒頭に出てきますのでそこで判断してください。
 舞台には『グランド×クロス』で少しだけ記述のあるロシア連邦が登場しますが、公式設定に一部沿っていない部分があります。また現実世界にもロシア西部に存在するサンクト・ペテルスブルグ(旧レニングラード)が、災厄後でもモスクワに続く第二の都市として繁栄していることになっています。シナリオのイメージソースは漫画の『勇午』、ルパン3世の長編アニメ『ロシアより愛を込めて』だそうです。
 また、RLの緋さんは制作に掛かった手間の元をとるために(笑)最低10回はこのシナリオをやる予定だそうです。既に体験者が何人かいますね。
『真冬の夜(マローズ)を越える日』と題されたこのシナリオをオフラインでプレイする機会があるかもしれない帝都方面の方は、汁をしたたらせながら読むのをガマンする/ゆっくり読むけどプレイする時は適度に忘れるからダイジョウブ、などの適切な対応をしてください。粗筋を少し知っているからこそなお楽しめる一面もあると思います。大丈夫。ほら、対内防諜局に頼めば記憶のひとつやふたつ‥‥






Date# A.D.2062 24th, Desember
Lokation# Krasyanosk

 たとえどれほどの時が経ったとしても、変わらない想いがある。過去に縛られることがどれほど愚かに見えたとしても、過去を捨てて生きていけるほど人間は強くないのだ。

 それは一枚の写真だった。微笑む家族の姿、一番大切な思い出となった瞬間を封じ込めたセピア色の写真。ロシアの冬は長く厳しいが、聖夜である今日はその厳しさも和らぐ。
 映っているのは小さな演奏会だった。バイオリンを弾く姉、それに合わせて歌う妹、二人を見守る母親。写真の外の、父がたった一人の観客。
 写真の中の姉が語る。

「大好きな妹と一緒に、一番好きな曲を初めて演奏した日。
妹が歌って、お母さんがピアノを弾き、私はバイオリンを弾いた。
観客はお父さんだけ。家族だけのささやかなコンサートだった。
十年前のクリスマス。私たちの一番幸せな日」



When Kross the Midwinter Nite

〜真冬の夜(マローズ)を越えるとき〜


Date# A.D.2072 Prezent Day
Lokation# A Bar in somewhere
 カイビリンガを飲み干すとアーレイ・ドレスデンは立ち上がった。外には封印を解いた“フェンリス”が待っている。ミトラスの大地を走り尽くしたあの戦いが終わった時、あの試作型ウォーカーは封印した。あの牙が必要な時はもう二度と来ないはずだった。闘技場で死人の出ない戦いを続けたのも別の機体だ。だが今、もう一度だけ、あの鋼の狼に命を灯す時が来た。
「どうしても行くのかい」
 戸口へ向かう“疾風の狼”はかく答える。
「ああ。決着をつけるためにな」


Date# A.D.2062 Winter
Lokation# Bar "Esmeralda", Krasyanosk
 傭兵団《シルヴァー・ファング》は名家パヴロヴァ一族の護衛の任に当たっていた。訳ありで夫を失ったらしいヴァイオレット・ソーファ・パヴロヴァ、その娘の14歳の姉フレデリカ、そして6歳の妹ソーファ。
 テロリストの警戒と人を護るのが任務であったため、ウォーカーを走らせるふだんの作戦に比べると部隊の装備も最小限だった。当時はまだ20代だったアーレイ・ドレスデンは、戦友のサムやアークたちとバー《エスメラルダ》でグラスを傾けていた。窓の外では雪が静かに降り続ける。だが、クラスヤノスクの街が、部隊に暖かな居場所を与えていた。フレデリカの弾くバイオリンが穏やかな音色を響かせていた。彼女とその小さな妹は、戦いに生きる狼とその仲間たちに小さな安らぎを与えていた。
「なぁアーレイ。こうして飲むのもこれが最後かもしれねえな」
「よせよ、サム」 眼帯をした狼は一笑に付すと強いウォッカを呷った。「どうせまた地獄で会えるじゃねえか」
 当時のアーレイもそれほどは変わっていない。軍隊式の角刈りの灰色の髪、片方は眼帯の青い瞳、2mを超える巨体に軍用ジャケット。典型的な傭兵のスタイルだ。
 そこへ近付いてくる少女フレデリカ。彼女は銃の撃ち方を教えて欲しいという。自分の母親を守りたいのだという。
「下手に覚えないほうがいい。あんたは十分に強いさ‥‥そら」
 アーレイはいつも自分が使っている艶消しのリボルバーを投げた。生粋の傭兵が好む大型拳銃は少女の腕には重過ぎる。慌てて受け止めたフレデリカはその重量感と感触に慌てていた。
「重いか? 重いだろう。その重さがおまえの預かる命の重さだ。‥‥おっとっと、そっちの嬢ちゃんにはまだ難しい話かな」
 厳しい口調で告げるアーレイ・ドレスデンは頭を掻いた。妹のソーファが入ってきたのだ。後にアルタイルの歌姫として名を馳せることになる彼女は、不思議そうに姉と大男を見上げるだけだった。そして、その胸に輝くは赤い宝玉‥‥


Winter Wolf


Date# A.D.2072 One weeks before
Lokation# "Dream Semetary"
「ドリームパーク建設予定地」と書かれた看板が空しく将来を示すこの廃棄場は、少しも夢の集まる場所ではなかった。夢になることのできなかった灰色のゴミの山が、空しく積もっている。古ぼけた塔にも、回らないメリーゴーランドもにも、無言のピエロにも太陽の光は当たらない。
 その中で二人の男たちが対峙していた。激しく口論。きらめく白刃と拳銃の輝き。白刃の方が速かった。ただ一閃。灰色の地面を紅に染めながら、片方の男がスローモーションのように、ゆっくりと倒れていく。
 動かなくなる男の胸から小さな箱が転がり出た。最後まで曲が流れることもない、壊れかけたオルゴール。開いた中には小さな写真。そして、そこに映っている二人の少女の笑顔‥‥


Date# A.D.2072 Prezent Day
Lokation# Funeral of Leonido Alsanov
 彼は偉大な男だった。時代の流れに聡く、抜け目のないレッガー。そして信義を忘れぬ、約束を違えぬ男。だが、レオニード・アルサノフは死んだ。全身に刃を何本も突き刺され、ドリーム・セメタリー埋立地で死体が発見されたのだ。
 名誉ある男の葬式に参列したのは男ばかりだった。全員が黒服しか着ていない。偉大なロシアン・マフィアの死を誰もが悼んだ。黒服の世界の外に属する者も悼んだ。
 ここにも一人。ロシアにいた頃にマフィオーソに世話になった渡り鳥が一羽。鳥頭のバウンティ・ハンター、“スモーキー”ブレイク。

「たむけだぜ‥‥おっと、これはあんたの好みじゃなかったな」
 瓶を後ろに放り投げると、ブレイクは懐から別のウォッカの小瓶を取り出した。口で栓を抜くと、一口飲んでから墓石に注ぐ。
「また飲もうな、親父」
「天に召された英雄に乾杯だ、」
 レオニードの腹心だったミハイル・フラトコフが面々に合図し、ファミリーの一同は頭を垂れた。
「なぁブレイク」 ロシアに居た頃、ブレイクとも親しかったミハイルが続ける。
「俺たちは家族だ。父が殺されたとき、どうすればいい」
「当然だろう‥‥」
 ふらふらと墓地を後にしながら、ブレイクは手を振った。殺った相手も分かっている。敵対組織《リューリク》の幹部、イェレミーヤ・ゲールマンだ。
「今朝方情報が入った。イェレミーヤはオペラ座の《アルタイル》でオペラを見てやがる」
 バイクの包みを解いてマシンガンを取り出したブレイクは頷いた。榛色の瞳に炎が灯る。
「行くか‥‥?」
 回してきた黒塗りのリムジンのドアをミハイルがゆっくりと開いた。ブレイクは後部座席に乗り込んだ。男たちの復讐が始まろうとしていた。


Silver Cross


Date# A.D.2072 Prezent Day
Lokation# Russian Internal Intellijense Beaurou "Krimzon Blade"
 ロシア対内防諜局の“白きフェンリス”の名はそのまま彼女の姿を現している。今年24になる彼女の髪は透き通るような白い金髪で、肌も白い。片方が義眼であるため、左右の瞳は色が違う。
 『LEGACY』というファイル名でくくられた10年前の事件の一連の情報は今、端末を操作する彼女の手で抹消されようとしていた。生きていた彼女の大切な家族の情報もロシア軍対内防諜局のデータベースから消えていった。彼女はただひとこと「ソーファ‥‥」と呟く。
 だが、彼女が去った後に画面に現れるコンストラクトが一つ。赤い天使のアイコンはばらばらになった情報のストリームをかき集め、破片を再生していった。聳えるゴエルロのように、全てがひとつに繋がり、その意味を取り戻す。
 赤い天使は何も語らない。彼女は“マローズの檻”の意志なのだから。


Blue Ice


Date# A.D.2072 Prezent Day
Lokation# A shootin' ranj of Tokyo NOVA ->St.Petersburg, Russian
 目の中で赤い十字照星が焦点を結んだ。俺の意志と同時に13mm弾を発射。続け様に3発。紙の標的がちぎれ、ゆっくりとこちらに向かって近付いてくる。悪くない。新品のスマートガン・リンクの動作も完璧だ。
「あの距離で3発全弾‥‥あんた、何者だ?!」
 隣でリボルバーを撃っていた中年の男がバイザーを外し、問い掛けてくる。シューティング・レンジでもこの銃は珍しく映るだろうか。
「確かに反動が少ないな‥‥いい銃だ」
 俺はそれだけ言うと右手で構えていた銃を降ろした。男も無用の詮索をやめ、見慣れない大型拳銃を見つめている。
 【22】ダズル・バレット。北米ジュノー社のダズル・シリーズの大型モデル、バーストも可能な13mmオートマ。徹底的にガス・ベントを工夫したこのモデルは、大口径銃特有の大きな反動を抑えることに成功している。腕を置換していない非サイバー素体の射撃者でも困難なく撃てるのだ。右腕を置換している俺にはそれほど恩恵があるわけではないが、精度が上がるのはありがたい。
 ジュノーの製品特有の滑らかな一体型フォルムはこのモデルでも受け継がれていた。ポリ・カーボネイト仕様のグリップはX線にも探知されない。無骨そのもののBOMBより取り回しもしやすいし、携帯も楽だ。それに謳い文句通り、凍らないプラスチック製部品の多いこのシリーズは寒冷地での使用には最適なのだ――常春の街以外で戦ったことのある人間なら、劣悪な環境での武器の信頼性がどれほど重要か、よく知っている。
 ニューロエイジの戦いは技の戦いだ。前世紀と同様に銃を使う者もいれば、刀やサイバー武器で同等以上に渡り合う者もいる。俺は銃も剣も両方使うが、性能のよい装備を揃えるに越したことはない。
 俺の名はアレックス。カブトの銃に必要な力は、どれだけの範囲に弾をバラ撒けるかどうかや、携帯性を度外視した火力ではない。それを考えると、こうした大型拳銃が任務の際に選ばれることも多い。デス・ロードが手にしたのは北米の新製品だったという訳だ。


 シューティング・レンジへコール。翻る夜の色をしたコートの中に銃は消え、アレックスは備えつけの電話へ向かった。
 電話の主はフィクサーのマイケル・グローリーだった。よくある護衛の依頼‥‥だが行く先はロシアだという。
 ロシア連邦第二の都市サンクト・ペテルスブルグで有名なオペラ座《アルタイル》。舞台で歌う若き歌姫ソーファ・ユーリィ・パヴロヴァが護衛を欲していた。敵勢力の手の回らない国外の人間をというのが条件だった。
『あなたの言い回しを借りれば、運命の導きというやつですよ』
 意外そうな顔をするアレックスにマイケルは続けた。
『ずいぶん騒がしいですが‥‥射撃場かどこかですか?』
「ああ。たまたま銃を替えてね。実地試験には丁度いいかもしれんな‥‥」

Now Death Lord went to Russia


Date# A.D.2072 Prezent Day
Lokation# St.Petersburg, Russia
 オペラ座《アルタイル》の造形美は見事なものだった。ロシアじゅうに鳴り響いているここには、軍の高官からマフィアの大物まで、様々な客が詰め掛ける。
 古い教会などに見られるロシアの建築様式は独特のものだ。俺の生まれたロンドンとも似ていないし、災厄前に西側――今はもう位置的にも無意味だが――と呼ばれていた諸国とは明らかに違う。それでいてどこか遠い異国で見たような――不思議な印象をもつものだった。
 ロシアの都市の例に漏れず、サンクト・ペテルスブルグも大きなゴエルロを中心に、石造りの街が近隣に伸びる形で構成されている。大陸鉄道の駅も街の中にある。旧世界ではレニングラードと呼ばれていたこの都市も名高い古都であり、鉱山から掘り出される金や水晶、発電による利益で、ゴエルロ群の中ではかなり裕福な部類に入っていた。戦争はもう終わったし、人が住めば都も変わる。ロシアの民もゴエルロの中で餓死を待っていただけではないだろう。
 俺は支配人のウィリアム・ロズモンドと話をしていた。ソーファ・ユーリィ・パヴロヴァ――ロシア正教会の孤児だった天使の声を持つ少女が今回の護衛相手だ。彼女が胸から下げている宝石を狙って、何者かが動いているという。
 練習が終わった彼女が俺たちのところに近付いてきた。白金の髪を今は後ろで結び、青い瞳は生気に輝いている。本番用でない普段着にも、少女の胸の紅玉はひときわ映えていた。“エリューナの紅玉”。帝政ロシアの時代に連なる、いわくのある品だというのだが‥‥


Death & Twin Gem


Date# A.D.2072 Prezent Day
Lokation# House of Fredelica, Russia
 シルヴィオ・プルデーレが依頼人を探して館の2階に上がった時、美しいバイオリンの音色が流れてきた。有名な歌劇『真冬の夜を越えるとき』の3幕目、“白きフェンリス”のメロディだ。
 テラスの向こうには雪の止んだ夜空と、ロシアの月が地上を照らしていた。そして名器ストラディバリウスの主は、ゆっくりと弦を離すと遠方の客人を出迎えた。白金色の髪を粉雪の混じる風がふわりと流し、彼女の吐いた白い息が月夜の中にに消えていく。
「久し振りだね」
 シルヴィオはホログラフの水晶の形をした留め飾りを外し、外套の前を開いた。軒並みな挨拶しか思いつかず、それだけ言って巻いていたマフラーを解く。少し寒そうにしていた彼女の肩にそっと掛けると、青と紫の不思議な瞳が驚きの色を湛えた。マフラーに手を触れ、彼女はそっと微笑んだ。
 ロシア軍所属の“白きフェンリス”フレデリカ。溢れる白金の髪、左右で違う不思議な目をした女性。前にある将校による武器の横流し事件で出会った彼女とは行動を共にすることになり、事件を共に解決した。軍にいるのが似合わないような、儚い強さを持った女性――というのがシルヴィオが当時抱いた印象だった。互いに好意を持ちつつもその時は別れ、今またしばらく振りで会ったが、今感じる印象もあまり変わらない。
 教皇領出身の探偵に託された頼みは、“エリューナの双珠”と呼ばれる宝石の行方を追ってほしいというものだった。エリューナの紅玉とエリューナの蒼珠、ふたつの宝石の組からなるこの至宝。大昔にキエフを救ったキリスト教の聖人の名にちなんでつけられたこの宝石は、災厄後の混乱の中で世界の表舞台から姿を消した。だが、実はあるものへの鍵となっているというのだが‥‥。
「女の子はいったいどんな種類の宝石に興味があるのかな」
 答えるシルヴィオの鼻先を粉雪がかすめていった。大切な想い出のある宝物だから、フレデリカは彼に探してほしいのだという。
「いいよ。こういうことぐらいしか、君の役に立てないからね」


Blue Ice


こうさくいん「軍人役だけ10年前。みんな導入もばらばらでしゅね。いきなりすごいでしゅ〜o(≧▽≦)9゛」
ボス「うむ‥‥この後軍人役は他キャストが求める謎となる10年前の事件を追体験し、レッガー役とカブト役はイベントの進行、フェイト役がシナリオ全体を統括する鍵となる情報の探索へと進んでゆくカンジだな。情報シートというスゴいアイテムまで用意してあったぞ。キャスト調整にあれだけ時間を掛けただけのことはあった‥‥」
こうさくいん「なんでレオナやフェリーは選ばれないのでしゅか〜(>_<) あーでもクグツは確かにダメでしゅねー」
ボス「さて映画や小説もそうだしTRPGもそうだが、登場人物にはそれぞれ立つに相応しい舞台というものがある。このシナリオはキャストのスタイル等の制限がもともと厳しいが、それ以外に世界を旅し、遥かなロシアの大地に立つ資格のあるキャストであることも大事だな。今後プレイすることのある御仁はそのへんを考えておくとよかろう。ヘタレ系キャストではちときつい。今回はフェイト役がいなくて困った‥‥」
こうさくいん「確かにエレガントはフェイト少ないでしゅね?」
ボス「うむ。ハードボイルドな私立探偵のイメージは既に確立しているし皆がよく考えつきそうなものだからな。そういう訳でシルヴィおにいタマだけ新規作成と相成ったのだ。許せ」
こうさくいん「ボスは、フェイトいないのでしか?」
ボス「いや探せばいなくはないが‥‥ダメだ。バツイチの刑事が白きロシアの月夜のテラスに現れたりしては断じてならんのだ‥‥(笑)」


Date# A.D.2062 Winter
Lokation# "Silver Fang" Base, Krasyanosk
 吹雪に取り囲まれたクラスヤノスクの街。傭兵部隊《シルヴァー・ファング》は吹雪の中に潜む3個師団には気付かないまま、警護を続けていた。
『スリーパー、お前の力が必要だ。本日2300時に本体が到着する。その時点までに支配の“力”を使い、奴らを沈黙させろ。それまでに選ぶがいい』
 弾薬庫の前に立つ隊員が一人。手には燃えさし。
 “邪眼使い”アークはかく語る。
「俺には年が一回りも離れた弟がいた。絶対に治らない難病に掛かってた弟が。奴らは弟を助けてやると取引を持ちかけてきたんだ。
取引の代償はいつだって最悪だ。
だから俺は仲間を売った。
――生きながら腐るとは我のことか」


 地面に落ちた燃えさしは撒かれた油に火をつけた。すぐに弾薬庫に回り、大音響。この最初の爆発で、傭兵部隊《シルヴァー・ファング》の隊員の大半が死んだ。
「てめェ、アークッ! 何やってやがるんだ!」
 遠くから響く怒号。そして銃声。


Winter Wolf


Date# A.D.2062 Winter
Lokation# In the kommand vehikle, Russian Army
 大型メインフレームと衛星通信装置の並べられた軍用車両内。吹雪の中を偽装して進む部隊の準備は整っていた。指揮官のアレクサンドル・ハリトノフが敬礼する画面の中の相手は、空の向こうにいる本当の司令官。
「予定通り部隊を配置しました。2300時に目標地点に到達します」
『目標の戦力はどの程度だ?』
「対人任務用に、最低限の装備しか備えていないのは確認済みです。内部からの撹乱に呼応して攻撃すれば、すぐに殲滅できるでしょう」
『エリューナの双珠の探索が最優先だ。状況に応じて迅速な対応を行いなさい。以上』
 後の世に“クラスノヤスクの惨劇”として知られる夜が始まろうとしていた。指揮官はマイクを手に取り、出撃を命令する。
「クラスヤノスクに進軍する。敵部隊、民間人を問わず全てを殲滅しろ。動くものは土に返せ。私も前線に出る」


Date# A.D.2062 Winter
Lokation# Battlefield, Krasyanosk
 クラスヤノスクが燃えていた。吹雪の中で燃えていた。
 突然の爆発と同士討ち。夜陰に紛れた3個師団の機動戦車と歩兵。テロ警備の軽装しか用意していなかった《シルヴァー・ファング》に勝ち目はゼロだった。
 部屋から飛び出したアーレイ・ドレスデンは、戦友のラビットアイが倒れているのを見つけた。腹の傷が深かった。軍用ジャケットがどす黒く染まっていた。もう何もできない。
「サム‥‥悪ぃがお前は手遅れだ。何があった」
「アークの‥‥アークの野郎が裏切ったのさ‥‥。なぁ、アーレイ、最後の頼みだ。煙草、切らせちまったんだよ」
 アーレイは観念すると、ミトラスでもいつも持っていた煙草を銜えさせた。
「この分のツケは地獄で払ってもらうぜ、サム」
「お前までくんじゃねえ。あぁ、うめえや‥‥」
 火の点いたままの煙草がぽとりと落ちた。片方しかない疾風の狼の青い目に炎が灯った。彼は銃声と怒号の渦巻く外へと飛び出していった。

 燃え上がる屋敷。侵攻部隊の指揮官の前で頑として口を閉ざす婦人。その後ろでは、倒れた姉を幼い妹が支えている。
「そうか。話さないなら死ね」
 婦人を射殺。姉妹らしい二人の子供に銃を向けると、小さい方が立ちはだかってきた。傷付いた姉を守っているらしい。
 そこへ狼の鉄拳が襲いかかってきた。当時から身長2mを超えていたアーレイの腕力はかなり効く。一撃で銃を弾き飛ばされ、軍人は雪の上にはいつくばった。アーレイはくすんだ色のリボルバーをベルトから引き抜くと、その頭に向けて引き金を引いた。一瞬で片がついた。
「来て‥‥くれたんですね‥‥。母を殺されて、初めて銃を取りました‥‥」
 震える声で姉のフレデリカは言った。白金の髪も煙に汚され、くしゃくしゃになっている。流れ弾に当ったのか、押さえた片目からは血が流れていた。
「これを使ってください。妹を助けて欲しいんです」
 彼女は自分が身につけていた青い宝石を取り出した。汚れてしまった彼女の瞳と同じ色の精緻な宝玉。パヴロヴァ家といえば災厄前のロシア皇家の血を遠くに引く身だ。何かいわくのある品かも知れない。
「‥‥分かった。預かっとくぜ。そら、行こう」
 宝石を受け取ると、アーレイは小さな妹ソーファを左肩の上に担ぎ上げた。続いて姉のフレデリカにも手を差し出す。だが、目を押さえてうずくまったままの彼女は動こうとしなかった。
「おい‥‥?」
「ちょっと‥‥疲れました。私はいいです。しばらく休んでますから‥‥どうか、妹を‥‥」
 消え入りそうな声で呟く彼女は無事な方の目も閉じ、動かない。
「またこれかよ‥‥」
 くわえていた煙草をいまいましげに投げ捨てると、アーレイは仕方なくソーファを連れて駆け出した。

 その後で動かないフレデリカに近付く影がひとつ。まだ彼女に息があるのを確かめた彼は、彼女を抱え上げると戦場から消えていった。
 後にロシア対内防諜局の要となるアークも何も語らない。成長した“白きフェンリス”もまた、その一員として働くことになるのだから。


Winter Wolf


Date# A.D.2072 Prezent Day
Lokation# Lobby of Opera House "Altair"
 滑るように進んだリムジンは《アルタイル》の正面に止まった。運転席から飛び出すミハイル。その後ろから踊るように階段を掛け上がるブレイク。
 オペラ座の回りには警備の軍人が立っていたが、男たちの目にはそんなものは入らなかった。今こそ父の復讐を果たすのだ。歌劇『真冬の夜を越えるとき』の荘厳なメロディの流れるこの《アルタイル》で。
 ロシア連邦最大と言われるオペラ座の内装も見事なものだ。高い天井に燦然と輝くシャンデリア。幾重ものカーテンの向こうに広がる中央ホール。フィアナ騎士団のフィン・マックールと哀しきワルキューレの言葉が、ホールの隅々に吸いこまれていく。
 奴がいた。中央奥、右よりの貴賓席。黒服で決めた赤い髪のレッガーが、イェレミーヤ・ゲールマンがオペラを見ている。今の劇の主役の少女に特別な関心を払っているというあの男が、レオニードを残忍に殺したあの男が、舞台の上で繰り広げられる悲恋を眺めていた。偉大な男に何本もの刀を無残につき立てたあの男は、ワルキューレの物語に何かを感じることがあるのだろうか? だがイェレミーヤは微動だにせず、舞台の方を眺めていた。
『‥‥戦乙女の涙は癒しの涙。人を治す為に泣き続けて、私はもう泣けなくなった』
 主役の少女のよく通る声が舞台から響いた。強い殺気を感じてブレイクは振り返った。舞台に何かがいる。


Silver Cross


Date# A.D.2072 Prezent Day, few minutes before
Lokation# Resting room of Opera House "Altair"
「アレックスさんは、世界を巡ってこられたんですよね。私はロシアしか知りませんけど、話にだけは聞いています。他の国は、どうなのですか?」
「いろいろだな‥‥常春の――本当に春のような気候になった街もある。このロシアのように雪に閉ざされた国もある。俺の生まれた国もそうだった」
 歌劇の二幕目が終わった彼女は舞台裏で一休みしていた。例の紅い宝石は同じだが、扮装も戦乙女のままだ。慣れているのか、舞台での演技も堂々としたものだった。立派なものだ。
「だったら、雪の国の話を劇にするのもおかしいかもしれませんね。私がこうして演じていますけど、フェンリスは最後は死んでしまうし」
「古代の伝説には真偽が分からないものも多い。ハッピーエンドだったのかもしれないよ。フェンリスは本当は、フィン・マックールと幸せに暮らしたのかもしれないさ」
「そうですよね‥‥。第三幕、頑張ってきます」
 プリマヴィスタ(大切な想い出)。天使の声を持つ白金の髪の歌姫。胸に真紅の涙を止め、悲しき戦乙女の別れを歌う――というのがソーファ・ユーリィ・パヴロヴァの謳い文句だったが、少しも間違っていなかった。彼女の声には力がある。その歌声で人々を動かす力がある。芸術の世界にあまり縁のない俺でも、それは分かるものだった。
 舞台に向かう彼女を見送ると、俺はホール周辺を見回りに出掛けた。


Date# A.D.2072 Prezent Day
Lokation# Anterroom of Opera House "Altair"
 《アルタイル》ホール舞台袖の待合室。古代の扮装をまとった二人の男が待っていた。片やフィアナ騎士団の騎士フィン・マックール、片や戦乙女に忍び寄る黒き死神。だが出番の始まっていない二人の間に闘いはなく、あるのは和やかな談笑だけだ。
 その背後に突如立つローブの男。現れるのは暗い闇の渦より。その闇色は死神役の扮装よりもなお深く、その瞳には本物の一千の死が満ちている。携えるはクロゥ・クルーアッハ、人々の魂を刈り取る神々の大鎌。
「ニヴルヘイムの眠りの粉よ、かの雪狼も寝床に戻らん」
 死神が太古の呪文を呟くと、二人の役者は途端に意識を失い崩れおちた。世界中に死を与えてきたこの男は、世界中の魔法に通じている。死神は第三幕の開幕を待つ舞台の方を振り返った。
 千の死をもたらしてきた殺し屋、“デスサイズ”インフェルナスはかく語る。
「もう少しだな」


Death & Twin Gem


Date# A.D.2072 Prezent Day
Lokation# Somewhere in nite, Russia
 雪降るロシアの夜を歩いていたシルヴィオ・プルデーレは、白い外套についた雪を払うと《トラザルディ》と書かれた看板をくぐった。ここで会える“耳の早い”ラットという情報屋は、裏世界の事情にも通じたその名の通りの男だ。
「よう、いらっしゃい」
「こんな探偵、誰も覚えてませんよ」
 自嘲気味に笑う蒼瞳の青年に、マスターはニヤリと笑った。
「じゃあ線の細い探偵さんに、こいつが飲めるかな‥‥? ほれ、待ち合わせの相手ならそこの奥だ」
 いきなり取り出された銘酒ドラゴン殺しに焦りながら、シルヴィオは奥の情報屋の前についた。

 彼も無為に時を過ごしていた訳ではない。フレデリカが友人として頼んできた“エリューナの蒼玉”の探索は――単なる宝捜しではなかった。
 アナスタシアとその子孫が代々受け継いできた“エリューナの紅玉”“エリューナの蒼玉”、ふたつを称した“エリューナの双珠”。たびたびロシアの酒の席で話の種に上がるこの行方不明の宝玉には、大きな謎が隠されている。災厄前のロシアに存在したロマノフ王朝、その隠された遺産への鍵が隠されていたのだ。時を経て利子がさらにつき、遺産の相当金額は莫大なものに膨れ上がっていた。トーキョーN◎VAで流通しているYen単位に直せば数千兆円以上、楽に世界大戦を起こせるだけの金額だ。それだけの金が誰かの手に渡れば、確かに世界が変わる。
 情報屋に頼んでおいた探りで動いている勢力が分かった。ロシア最大勢力のマフィア《リューリク》の幹部、イェレミーヤ・ゲールマン。彼は何らかの手がかりを有しているらしく、最近オペラ座《アルタイル》の歌姫ソーファ・ユーリィ・パヴロヴァに関心を寄せているという。
 そして、ロシアンマフィアと軍が一時的な共闘関係にあった。ロシア対内防諜局《クリムゾン・ブレイド》。“マローズの檻”と呼ばれる謎の女性に率いられた防諜局が、双珠を探している。彼らが求めているのは財宝によるロシアの復権だろう。確かにあれだけの金額があれば、ニューロエイジを変えることができる。
 ソーファという少女は孤児で、身元が確認されている。だが十年前の《クラスヤノスクの惨劇》と呼ばれた戦いで、同名の人間が死んでいる。そこで死んだソーファはパヴロヴァ家、ロシア皇家に連なる名家の末裔だ。例の双珠のことを知っていたことも十分に考えられる。
 そしてシルヴィオが何より気になるのは、双珠の片割れの探索を頼んできたフレデリカ自身のことだった。“白きフェンリス”の名を持つ現在の彼女はロシア軍に勤めているが、十年前のクラスヤノスクで、やはりフレデリカ・ユーリィ・パヴロヴァという人物が死んでいる。
 クラスノヤノスクの戦いは、死のベルト地帯の放射能に汚染され発狂した傭兵部隊の同士討ちに始まり、仕方なくロシア連邦軍が街ごと焼き払ったことになっている。実際は傭兵部隊は捨石にされたのだ。ロシア軍はエリューナの双珠を探していた。結局彼らは混乱の中で発見することができなかったのだ。
 そして記録では――戦いの混乱の中、フレデリカは惨劇の首謀者でもある傭兵に殺されたということになっている。シルヴィオがそれが作られた事実であることを知っていた。彼女を殺したことになっているアーレイ・ドレスデンという男を、その本人を知っているのだから。


Blue Ice


Date# A.D.2072 Prezent Day
Lokation# Anterroom of Opera House "Altair"
 ロッカーのドアが不自然に曲がっていた。何か引っかかるものを感じた俺が開けた時、掃除用具の代わりに二人の男が転がり出てきた。二人とも劇衣装をつけたままだ。
 首筋に手を当てる。二人とも脈はあった。外傷がない。超自然的な手段で気絶させられたのだ。フィアナ騎士団の鎧に黒い死神のローブ。俺も劇の台本を暗記した訳ではないが、次に登場するはずの役であることはすぐに分かる。
 舌打ちした俺は舞台へ急いだ。階段を駆け上がり、待合室を抜け、繰り広げられる壇上の展開に静まり返っているホールへの扉を開く。

『‥‥戦乙女の涙は癒しの涙。人を治す為に泣き続けて、私はもう泣けなくなった。命を粗末にしすぎたから、大事な時に泣けなくなった』
 “白きフェンリス”が哀しみの声を上げていた。ソーファのよく通る美しい声は、客席の一番後ろの俺のところにもよく聞こえた。その声に応じ、予定通り中空から突然死神に扮した男が姿を現す。俺のコートよりも濃い闇色のローブ。その左手に召喚された大きな死の鎌。その背後にゆらめく闇の大気。
 舞台からの強烈な波動に観客はどよめいた。奴の殺気だとは気付いていないようだ。舞台演出と思っているのだろうか。予定と違う点がひとつだけ――あの死神は本物だ。
『‥‥死神は答えた。“夜の闇に包まれて、命の火は消えてしまった。さぁ、貴方の息吹を分けておくれ”』
 鎌を背後に振り上げ、死神は戦乙女の胸元に手を伸ばした。その先でエリューナの紅玉がきらりと輝いた。


Death & Twin Gem


こうさくいん「わわー、噂の劇中劇シーンでしゅ〜。こ、こんな台詞とっさに出てこないでしゅよ〜準備しなきゃでしゅ〜(笑)」
ボス「スゴイぞ。緋コズムには欠かせないFFシリーズの香りたっぷりだ。FF9序盤のイベントがイメージソースだそうな。事前にわざわざ偵察しておいたぞ」
こうさくいん「もうすぐ10も出るでしゅねー。ヒロインの顔が8に似てるでしゅー。ボスはエンディング見たのでしか?」
ボス「いや‥‥2枚目の頭で止まったままなのだ‥‥(死)」



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