When Kross the Midwinter Nite

〜小粋にエレガントPLAY第10回 真冬の夜(マローズ)を越えるとき〜

Movie】【一幕】【二幕】【三幕】


Date# A.D.2072 Prezent Day
Lokation# House of Fredelica, Third times
 ロシアの冷たい月に照らされたフレデリカの屋敷。シルヴィオがテラスに向かった時、ストラディバリウスの音色はもう聞こえてこなかった。
 彼女はテラスにいた。シルヴィオが前に贈ったマフラーを撫でながら、白い息をそっと吐いて空を眺めていた。シルヴィオは懐からエリューナの蒼玉を取り出した。両目で違う彼女の瞳よりも深く、シルヴィオの瞳よりも穏やかに、宝玉は月の光を浴びて輝いていた。
「シルヴィオ‥‥本当に持ってきてくれたのね‥‥」
「なぜ、こんな遠回しの手を使ったんだい」
「巻きこみたくなかったんです。‥‥貴方を」
「今はまだ、君に渡すことはできない。全てが終わったら、委ねるかどうかを決めることにするよ」
 しばしの沈黙が続いた。白金色の髪を揺らし、決心した彼女はシルヴィオに向き直ると話し出した。
 十年前に生き長らえてから、後に軍に入ったこと。ロマノフの遺産を探し出し、その力で氷に閉ざされたこのロシアを変えたかったこと。自分はずっと独りだと思っていたこと。生きていることが分かったたった一人の家族である妹には幸せになって欲しかったこと。情報を抹消し、ソーファには軍の手が回らないようにしたこと。そして今、時は流れ、こうして双珠が揃おうとしていること。
「大切な人を守りたいという気持ちは、誰にでもあるよ」
 シルヴィオはテラスへ出ると、フレデリカを見つめた。「僕だって‥‥」
 言葉に詰まり、そのまま押し黙る。遠い月の光が彼女の髪を照らしていた。軍にいるというのが信じられないような、綺麗な白金色の髪だった。静かな夜だった。そんな過去の物語など存在しないような、静かな大地が広がっていた。
「‥‥寒く‥‥なってきましたね」
 取り繕うように言うと、フレデリカは自分のマフラーを外した。シルヴィオの外套の上から、そっと巻きつける。その胸でゆっくりと回り続けるホロの水晶の飾りが、うつむき加減の彼女の顔を柔らかく照らしていた。
「やれやれやれやれやれやれだぜ!」
 二人の静寂は突然破られた。わざとらしく盛大にドアを蹴飛ばす音を響かせたブレイクが、大股で入って来たのだ。ぼさぼさ頭の後ろで手を組んだ男の突然の乱入に、流石のフレデリカもぎょっとする。
「心配ない。僕の友人だ。聞けばわかりますよ」
 頭を振って笑うと、シルヴィオはレオニードの甥っ子を改めてフレデリカに紹介した。
「あの人は悔やんでいたよ。最後まで父らしいことを何ひとつできなかったってね」
 鳥頭の賞金稼ぎは紫煙を吐き出して一息つく。
「親父もいい娘を持ったもんだな。あんた達から見れば、さしずめオレは兄貴みたいなもんだ。運賃は負けてやる。その遺産への鍵が集まる場所まで、オレが連れていってやるよ‥‥ほら」
 懐の小さな端末のスイッチを押すと、流れるような手つきでテラスのカーテンを引く。その向こうには、衛星通信で自動操縦された輸送機が――ルフ型の“アングラー”が、噴射音と共に地面に着陸しようとしていた。


こうさくいん「シルヴィおにいタマだけひとりラヴラヴ路線でしゅよ〜!o(≧▽≦)9゛ なんでブレイクはもう少し待たないのでしゅかー(笑)」
ボス「くくく。ちなみにフレデリカ・ユーリィ・パヴロヴァのスタイルはミストレス◎●,カゲ,クグツだ。シルヴィオの前に現れる防諜局の“白きフェンリス”の時はカゲ◎、十年前のアーレイの前ではミストレス◎だそうだ」
こうさくいん「彼女は十年前に片目を失い、義眼のレインボーアイリスで紫にしたので、シルヴィオの前では左右で目の色が違うのでしゅー」
ボス「細かい‥‥。全然気付かなんだ‥‥(笑)」
こうさくいん「そ、それはボスの頭が熱に冒されてたからじゃないのでしゅか〜(笑) それよりこれは重罪でしゅよー。おにいタマの罪状を妹のユカプーにガゼン教えるのでしゅ〜」
ボス「と言いたいところだが、平和にやっているとやはり敵襲があるのだ」


Blue Ice


Date# A.D.2072 Prezent Day
Lokation# The upper air of Fredelica'z house
 軍の輸送機の中。降下ハッチの側で、最新式のパワーアシストアーマーに身を包んだ20人の特殊部隊員が命令を待っていた。開いていくハッチの下には、月下のテラスを備えた屋敷が見える。
『ゼロ・アルファ了解。後続の歩兵部隊に先だって作戦を開始する。オペレーション・ノクトウィング開始だ。ハッチ解放。高度区分G、後は通常のHALO手順に従え。降下ッ!』
 他国に比べて兵装の劣るロシア連邦軍の中で、このSV2015型機甲服を備えた部隊はほとんどない。高い機動性と特殊ラバーの強固な装甲、さらに改良された完全な夜間戦闘対応の視覚センサー類。闇に紛れて着地した《ノクトフライヤー》部隊員は滑空用皮膜翼を次々と折り畳み、闇夜に輝く真紅の両目を光らすと機関砲を手に屋敷に肉薄した。
『交戦用意、襲撃待機、襲撃待機。突入! 俺たちが最強の夜戦部隊だと教えてやれッ!』
『ヤー!』


Date# A.D.2072 Prezent Day
Lokation# House of Fredelica, Attakked
 気配に気付き、ブレイクが口元から煙草を離した。二人の顔を見やる。微かな物音にフレデリカは口元に手をやった。
「フレデリカ、防諜局はもう君を敵と見なしているようだね」
 騒がず、シルヴィオは呼吸を落ち着かせると精神を集中した。プルデーレ家に伝わる技、教皇領の冷たい大地の力を操る秘術を心の中に呼び出す。その右耳のロザリオのイヤリングが、冬の空気に満ちた力を収束していく。
 襲撃は突然だった。ドアが破られ、四方八方からType13thアシストアーマーに身を固めた部隊が押し寄せてきた。夜戦仕様の黒い塗装と紅い瞳が不気味に光っている。
 シルヴィオ・プルデーレはかっと目を見開いた。蒼氷の騎士の瞳はロシアの大地よりも深い、本当の蒼色に輝いていた。手を広げ、力を一気に解放する。金髪が逆立ち、力の円が彼を中心に広がっていく。
「本当に最強である夢を見てるんだね」
 本当に一瞬だった。ドアを破った者、階段から接近した者、テラスから侵入してきた者、全ての黒鎧が氷の中に静止していた。吐き出された機関銃の弾丸の一発一発までもが凍りつき、空中に停止している。光学センサーに覆われたマスクの下から発せられた悲鳴と、救援を求めるコールまでもが、全てが氷の棺の中に閉じ込められていた。
 シルヴィオはフレデリカの手を引くと頷き、走り出した。すぐに次が来る。ブレイクはテラスから身を躍らせると、自分の機体に向かって走り出していた。


Blue Ice


Date# A.D.2072 Prezent Day
Lokation# From the roof of hi-rize building
 高層ビルの屋上に吹きあげる風が強い。乱れる灰色かかった金髪をはねのけ、“マローズの檻”は位置についた。黒手袋をはめた手で銃を取り、遥か下方を探す。狙撃用の7.62mmセミ・オートマチック・ライフル“ドラグノフ”の照準が眼下の獲物を求めた。旧世界のソ連という国で造られたドラグノフは、その名前と目的を変えずにニューロエイジにも存在していた。
 防諜局の裏切り者をマーク。二人の男と一緒に、目標は広場でエンジンを吹かしたまま離陸を待っている機体へと走っていた。
『私だ。泳がせていた鯛を始末してから帰到する』
 口元のインカムに向かって囁き、引き金に指を掛ける。パンサー接続の射撃システムがOKを告げた。そのまま射撃。
『くっ‥‥。予定変更だ。標的が一人増える。部隊をクラスヤノスク跡に展開しろ。決着はそこでつける。‥‥ああ、まかせた』
 彼女は緊張を解いた。一撃で白きフェンリスの頭を吹き飛ばすはずだった弾丸がそらされたのだ。目標を抱き寄せた横の男が手をかざし、薄青に光る力場が現れたのが照準の中から見えた。それ以上は見ずに、ライフルを降ろす。
「今に知るがいい、圧倒的な戦力差を。君たちは吹雪におびえる籠の中の鳥のようなものだ。マローズに怯えるロシアと一緒だよ。自らの力では抜け出すこともできないのだからな‥‥」


Date# A.D.2072 Prezent Day
Lokation# Transport-type vehikle "Angler" inside
“アングラー”のエンジン音が一際強まった。ブレイクは操縦席に座り、機体制御を衛星通信のオートから切り替えた。ジャックを自分に繋げると意識を向ける。自分の腕にこだわるVolantは手動でしか操縦しないが、輸送用のこの機体にはWINDSが積んである。
「操縦の経験はあるか?」
 後ろで大きく息を吐いているフレデリカに声を掛ける。
「ええ、マニュアルでなら‥‥」
「よぅし、だったらそこに座りな。行くぜ」
 煙草を銜えたままニヤリとするとコンソールに手を走らせ、機体に命を灯していく。接続された知覚が、狙撃を警戒していたシルヴィオが乗り込んだのを視た。
 ブレイクの意識がスロットルを開いた。空高く舞い上がった機体は防諜局の追撃を逃れ、一路クラスヤノスクへと夜空を駆けていった。


Silver Cross


Date# A.D.2072 Prezent Day
Lokation# Ruin of Violet's house, Krasyanosk
 クラスノヤノスクは駅周辺はかろうじて人の手が入っているものの、街の大部分は十年前の廃墟が広がったままだ。
 ソーファたち一行は亡き母、ヴァイオレットの屋敷跡に向かった。あの吹雪の夜、ソーファとフレデリカが生き別れになった場所だ。
 当時の火災の焦げ跡がまだ残るヴァイオレットの肖像画を動かし、その裏の装置にパスワード――2036.09.12、レオニードの誕生日――を入力する。  隠された小部屋に光が差し込んだ。小さなディスプレイと端末、そして古ぼけたオルゴールが保管してあった。
 ソーファがオルゴールを開くと、封じられていた懐かしいメロディーが溢れ出した。蓋の裏には若い頃のヴァイオレットとレオニードの写真が貼ってあった。若き日のヴァイオレットの微笑みは、ソーファのものによく似ていた。
 何の仕掛けか、ソーファの胸の紅玉にオルゴールが反応した。静かな曲がゆっくりと流れ出し、中の赤い玉が開いた。レオニードの遺志がいま果たされた。
 赤い玉の中にはデータチップが隠されていた。中には子に宛てたメッセージと遺産の鍵の開け方、そして凍結の簡単なアルゴリズムを稼動するソフトが入っていた。
 エリューナの紅玉の6桁、エリューナの蒼玉の6桁、そして一番大事な思い出の中にある8桁、合計20桁。このパスワードで、今はスイス銀行に保管されている莫大なロマノフの遺産を手にすることができる。一定法則に従ってパスワードを周期的に変更するソフトを走らせてしまえば、20個もの数字が偶然揃うことは永遠になくなる。世界に必要ない力を、永遠に眠らせることができるのだ。


Date# A.D.2072 Prezent Day
Lokation# Front of Violet's house, Krasyanosk
 空を見上げると遠くに極光が見えた。白いものが闇夜に混じっていた。半ば廃墟と化した館を包むように、街に眠る遠い記憶を覆い隠すように、大地を覆っていく。
 災厄の街には決して降らない雪。俺の故郷に降るのと同じ雪。
 俺とアーレイは玄関で雪をしのいでいた。静かな夜にすることもなく、俺は懐からタロットカードを取り出した。
 手が滑り、何枚かのカードが俺の手を離れていった。滅多にないことだった。粉雪がすべてを平らに変えていく地面に、落ちたカードが広がっていく。塔、死神、星、そして太陽。何かの予感がした。
「風が騒いでやがるな‥‥」
 夜空を見ていたアーレイが言った。その向こうでミトラス戦役を経験した“白きフェンリス”が主の声を待っていた。狼は戦いの匂いを器用に嗅ぎ付ける。あの機体が必要になる時が近いのかもしれない。彼らの話が正しければ、敵は戦力を集結してここにやってくるだろう。あの死神も現れるはずだ。
 片目の狼は胸から煙草を取り出した。冷えたライターからなかなか火が点かないのか、口元でしきりに手を動かす。
 その時、闇夜から現れた一筋の炎が、アーレイの元に差し出された。


Date# A.D.2072 Prezent Day
Lokation# Under Snow Fallin' Nite, All Travellers Meets
 差し出されたのは魔法の指輪に灯る小さな炎だった。その向こうで金髪蒼眼の青年が微笑んでいた。その後ろにはソーファの姿を認めて立ち止まるフレデリカ、飄々とした風情で手を振るブレイク。
 十年の時を経て姉妹は再会した。それぞれの道を歩んでいた二人がようやく巡り会ったのだ。静かな真冬の夜、全ての役者が邂逅を果たした。極光の照らす凍れる大地に、全ての運命が交わった。
 一行は互いの経緯を話した。ソーファがタップを取り出し、20桁の暗号を探し始める。目の前の大男の眼帯に気付いたフレデリカは、十年前のあの時、自分の頼みに応えて妹を守ってくれた彼であることを悟る。
「そうですか、貴方がまたソーファを守ってくれて‥‥」
「なぁに、そこの死神の使いのダンナのお陰だよ」
 アーレイは紫煙をくゆらすと、向こうに立つ夜色のコートを翻したカブトを親指で指した。聞こえていないようなアレックスを見るとニヤニヤと続ける。
「もっとも、ほんとに守りたい人は他にいるらしいがな」
 ソーファが不思議そうに姉と顔を見合わせる。聞こえているのかいないのか、本人はロシアに持ってくるのを忘れたらしい煙草を探してコートのポケットを探っていた。
 暗号の最後の8桁は、シルヴィオが推理した通りだった。20621224。パヴロヴァ家の家族だけのクリスマスの写真の日付。鍵は一番大切な想い出の中にあったのだ。
 遺産を永遠に眠らせるため、ソーファが凍結プログラムを走らせる。だがそこで画面に異変が起こった。光の格子の海に突如現れた赤い天使。“マローズの檻”だ。
「お前たちは隠れてろ!」
 偉大な男の娘たちに告げると、ブレイクは身を翻した。「オレはVolantを出す」
 赤いトビウオより速く、アーレイのフェンリスに命が灯った。真冬の夜の戦いが始まろうとしていた。


Winter Wolf


こうさくいん「やっぱりトレースされたのでしゅよー(>_<) 真冬の夜に防諜局側が全員揃うのでしゅ〜」
ボス「シナリオでも、このクラマックスシーンには生き残った敵ゲストが全員出てくることになっている。展開によってはフレデリカが敵に回るのもありだそうだ。今回は局長のマローズの檻、邪眼使いのアーク、フール・フールにインフェルナス、ウォーカー部隊に強化服の歩兵部隊トループまでいたぞ。なんという賑やかさ。ルーラーもプレステ2かX-Box並の処理能力が必要ではないか(笑)
 談合を重ねたExp200級のキャストと互角に戦う為に、敵もオソロシイことになっているぞ。さてまずはアークの隠し玉を明かすのだ」
こうさくいん「ラジャーでしゅー。持ってる特殊サーベルは誰も使わないアバディーン、でも内蔵の9mm銃に込められてるのは炎の元力弾。これで接敵状態から<※ガンフー>で攻撃、アーマー4点無視の爆16(20?)スタートなのでしゅよ! 業物ウォーカーでも一撃で止められる可能性アリでしゅ!」
ボス「これを使われて、アーレイぽんの試作機フェンリスはトループを倒した後にやむなく停止となってしまうのだ。無念‥‥。やはり混乱した戦闘でウォーカーに見せ場を作るのは難しいな」
こうさくいん「それに人間vsウォーカーで戦うとふつうウォーカーの方がワルモノに見えるでしゅよ〜(笑) 最新バージョンだとさらに<※ピンホール・ショット>も重ねるらしいでしゅ。コワイでしゅ〜(怯)」
ボス「爆40スタート、炎の双龍が相手を砕く超必殺技“ドラゴンロア”だそうな。恐ろしや恐ろしや」
こうさくいん「続いて局長のマローズの檻でしゅよー。こっちもコワイでしゅー神業を3つ以上持っているのでしゅー(ブルブルブル)」
ボス「RLが『彼女はマローダーです』と堂々と宣言してきたからな‥‥」
こうさくいん「だいたいマローダーってなんでしゅかー。頭オカシイでしゅよ〜(笑)」
ボス「うむ。オカシイのはもう十分わかっているのだがやはりオカシイぞ(笑)。クロマク◎●,ニューロ,カブトワリ、ボーンヘッド指揮用コンピュータでトループの部下は有利、<※フリップ・フロップ>でイントロン状態から登場。自身の御霊相当IANUS『システム:ユグドラシル』に格納された『ミールシステム』の電子頭脳(ニューロ◎,カゼ,カゲムシャ●)が影武者、そして本当の本体は軌道上にあるという設定だ」
こうさくいん「時代はナイフエッジでしゅよー。<※ファニング>を持ってるのでしゅー」
ボス「元はといえば西部劇でシングル・アクション式の拳銃を連射する方法だったな。テラガンにも出てくるぞ。だがしかし、ビジュアルイメージなど気にせず『演出は後付け』という言葉を免罪符に使うノバラー気取りの諸氏はトンデモナイ銃器でフルオートするのが流行りなのだろうな」
こうさくいん「『ミョルニルの雷』の正体は<※ファニング><※花吹雪>で空から撃ちこまれるエンジェルアーム相当のレーザー掃射なのでしゅよー(グルグル) 全員に爆20スタートでしゅ〜(@_@)」
ボス「これはイメージ的に説明がつく例だが、ガゼン死ねる‥‥(笑)。なにはともあれ、極光きらめく雪原で戦いは始まるのだ」


Date# A.D.2072 Prezent Day
Lokation# Battlefield of Midwinter Nite
『ここまでご苦労だった。姉妹が邂逅を果たせて君たちも満足だろう。さぁ、ナンバーを渡してもらおうか。ロシアの再建のためには、どうしてもあれが必要なのだ』
 襲撃は突然だった。2個分隊に及ぶウォーカー部隊。その先頭で昂然と一行を眺める“マローズの檻”。黒と緑の軍服に身を包んだ女性将校の姿をとった彼女も影武者に過ぎない。本物は衛星軌道上のシステムそのものなのだ。その後ろにはアークもいる。雪の大地から少し高い位置に浮かび上がったフール・フールと、闇色のローブを風にはためかせたインフェルナスも脇に控えていた。
『我々には他に道は用意されていない。我々は凍りついた大地と共に凍え死ぬ訳にはいかない。これは生存の為の闘争なのだ。‥‥私はロシアを護る盾と剣だ。絶対に引く事はできない』
『責任転嫁か。反吐が出るなッ!』
 轟音と共に試作機フェンリスが前に出た。ミトラスの過酷な戦いを耐え抜いた鋼の狼が吠えていた。インカムを通したアーレイの声が、雪の大地に響き渡る。
『てめえが天使だろうが悪魔だろうがその使いだろうが関係ねえ。なんだろうと俺たちの敵だ。行くぞッ』
『これが最後の通告だ。双珠を渡してもらおう』
 マローズの檻の声が、朗々と闇夜に語られる。だが返事はなかった。風に吹かれた粉雪がゆらめくだけだった。
「神にだって妨げられないよ」 宣言するシルヴィオの回りに力が収束する。彼の頭上に降る雪だけがその行く手を譲り、青白い霊気が蒼氷の騎士の周りに満ちた。
その横でアレックスは何も言わず、同じ死と夜の領域に属する相手を認めて剣を抜くだけだった。
 遠くの空で極光が光っていた。雪がほんの少しだけ強まった。

 沈黙を破ったのは赤い閃光だった。トビウオの名を冠した真紅の機体が、ブレイクが手動で操る試作型気圏戦闘機が急降下する。木々を揺らして飛び込んで来た赤いトビウオから、機関砲のフルオートが雪原に降り注いだ。


Silver Cross


『雑魚は必要ないッ!』
 雪を蹴散らして肉薄するフェンリスの強さはその名に相応しいものだった。抜群の機動力で機動戦車分隊と互角に渡り合い、8連ランチャーから一斉に放たれたミサイル群が一気に夜を明るく照らす。あらかたの敵機を沈黙させたフェンリスは本当の敵を探した。鋼の狼の目が、雪原に立つ紅い目の男を認めた。邪眼使いはコートをはねのけ、銃の埋め込まれた紅い特殊サーベルを構えると、臆することなくウォーカーに相対していた。
 あの夜から十年経っていた。アーレイの意志が機体の向きを変えた。アーレイの記憶が狼を疾らせた。
『アークッ! こんな形で戦うことになるとはなッ!』


Winter Wolf


「業火の国へ行くか、インフェルナス」
 だが雪夜に踊る死神は、大鎌に散る火花を残して俺の斬撃をことごとく受けた。銃を使っていても、恐らく同じだっただろう。強くなってきた雪も、獅子の殺気の渦巻く闇色のローブには吸いこまれていくだけだった。そこだけぽっかりと奈落への口が空いているような気がする。雪原の上に立つ奴の姿は、本物の死神のようだった。
「ティル・ナ・ノーグを見たことがあるか、デス・ロード?」
 一際強い炎が神々の大鎌に燃え上がった。降っていた雪が煙に変わり、夜の森が明々と照らし出される。ローブの下で奴は笑っていた。その瞳の中に一千の死が見えた。

Now Death Lord went to Russia

 振り下ろされたクロゥ・クルーアッハに地面の雪が削られ、霧となって辺りに満ちる。木々が一撃で倒れていく苛烈な一撃。だが俺がシールドを構えるより速く、俺の前に現れた青白い霊気が氷の盾となって死の大鎌を防いでくれた。シルヴィオが力を使ってくれたのだ。
「ヴァルハラにもティル・ナ・ノーグにも、お前は行く資格がないぜ」
 奴が現れたのはこれで3度目だ。歌劇の結末を教えてやる。
 俺は右手の剣で攻勢に転じた。インフェルナスは神々の大鎌を退く。その時、俺は夜の魔法を解き放った。


 虚空から現れた黒の大槍。戦乙女白きフェンリスが携えていた同じ形の大槍。雪原に次々と突き刺さってゆく大槍に驚いた死の鎌の主は、その得物で弾いていく。その中の一本が、闇の色をしたローブを雪原に縫いつけた。
 夜の色をしたコートが翻り、デス・ロードの剣が一閃した。遥かな地底、輝ける妖魔の都で鍛えられたと言われる魔剣が、千の死をもたらした殺し屋の体を深々と貫いた。
「死神との約定とワルキューレへの誓い、ふたつの盟約にお前は敗れた」
「ならば‥‥その盟約がいつまで続くか見届けてやる‥‥」
 神々の大鎌が雪原に倒れた。その上を粉雪が覆っていった。

 その時、頭上に光を認めた一同は天を仰いだ。


Death & Twin Gem


 衛星軌道上にある“マローズの檻”の本体がロシア連邦に『ミョルニルの雷』を向けた。天から放たれたレーザー掃射に、一行は苦戦を余儀なくされる。アーレイの操るフェンリスが撃ち出す120mm滑空砲も、美しく大地を照らすレーザーの軌跡を止めることはできなかった。バーニアを吹かして左に急旋回しながらブレイクのVolantが軌道をかいくぐる中、雪原に神の雷が振り下ろされる。単身ウォーカーに肉薄したアークのアバディーンからは至近距離で元力弾が撃ちこまれ、フェンリスは燃料タンクを一撃で破壊されていた。アーレイは機体から脱出を余儀なくされた。
 火星の空を知る気圏戦闘機の機銃掃射を空中で避け、蜂蜜色の髪の少年の姿をした悪魔はマルンバの魔笛を口に当てた。フール・フールの魔法が効き始め、戦場を覆っていく雪が逆に舞い上がり始める。
 だが、そこで呪いのフルートのメロディは止んだ。メロディと共に地上に現れた六芒星型の炎と大時計の幻影も、闇夜の中に消える。高速で飛来した氷の欠片がフルートを弾いたのだ。
「これで2度目だ」
 少年が見下ろす先で、青年が蒼い目に強い光を湛えていた。その外套がはためき、青白い霊気が集まり始める。
 シルヴィオの頭上に幾つもの氷の槍が現れた。蒼氷の騎士の力が天空へと届く速さを槍に与えた。二千年紀を生きた悪魔を落とすべく、次々と蒼い槍が撃ち出されていく。
 だが、少年の姿をした悪魔はそれさえも避けた。ソロモン王の記した72柱のひとりはまだ笑顔を絶やさなかった。


Blue Ice


 フェンリスの後部ザックはまだくすぶっていた。地面へ飛び降りたアーレイは、あの時も携えていたくすんだ色のリボルバーを引き抜いた。
「いつも脇が甘いんだよ、アークッ!」
 アバディーンを構え直す紅い目の男目掛けて、続け様に弾丸を撃ちこむ。だがその血のアヤカシの力を強めていた邪眼のアークは、まだ倒れなかった。
「分かっていたんだ。アーレイ、あんたがあのクラスヤノスクぐらいじゃ死なないってことは。いつか俺を殺しに現れるだろうってことは。だが‥‥あの時戦いは始まった。一旦始まった戦いには、俺は立場を貫きたいのさ」
 その時、夜空がまた白夜の如く輝いた。天からの裁きの雷が、二人の傭兵たちにも降り注ごうとしていた。


Winter Wolf


 長く困難な戦いだった。アーレイのウォーカーは停止し、ブレイクの小型戦闘機も被弾していた。シルヴィオの氷の障壁が俺たちを生き長らえさせているようなものだった。俺の片目のサイバーアイも機能がほぼ停止し、俺自身の傷も深かった。機動戦車部隊は沈黙したがあの強力なレーザー掃射、あの悪魔の時間を操る魔法の笛、敵の手数があまりに多かったのだ。
 超低空飛行してきたVolantの機銃掃射を、あの悪魔はまたも笑いながら避けていく。運悪く地表に近付いた奴に、俺は力を振り絞って斬りかかった。
 力ある魔剣にはそれ自体にアヤカシを退ける力がある。夜の力の剣でさえも、あの悪魔には効いたようだ。この剣でなければ届かなかっただろう。
「これで、楽になれる‥‥」
 見えない翼の力を失い、フール・フールは少年の姿のまま雪原に倒れていった。シルヴィオが厳かに呼び出したただ一本の氷の槍が、その胸を貫き、雪原に縫い止めた。
 その時、空からの神の雷が止んだ。あのマローズの檻という女がライフルを降ろしていた。雪が弱くなってきた雪原が急に静かになった。
「できた!」
 隠れていたソーファが端末を手に飛び出してきた。赤い天使の力を破り、ロマノフの遺産を眠らせることができたのだ。


こうさくいん「よ、4カットに及ぶ激戦だったのでしゅ〜(@_@)」
ボス「つ、辛かった‥‥(グルグル) RLが戦闘バランス見積もりを間違えたとは言っていたが原因は他にもあるな。PL側の手札が非常に悪かったのとキャストのアクションランク増加が遅延したことだ。インフェルナスが倒れた後は脇役っぽくしようとアレックスが手を抜いたのもまずかった。カレの目には第一の敵である死神しか映っていなかったようのだ‥‥(苦悶)」
こうさくいん「そ、それは‥‥ボスの意志力が限界に近付いていたでからしゅ〜(@_@) フラッシュドライヴの起動はブレイクも遅れたでしゅねー」
ボス「うむ‥‥。WINDSに接続中やヴィークル操縦中は本人の反射神経増強は関係ないという考え方もあるがな。高Expになると攻撃がほとんど一撃必殺になるため、1アクションの差が生死を分けてしまうのだ」
こうさくいん「マルンバの魔笛が鳴って『タイム・ウォーク』の魔法が効いちゃったでしゅーレーザー掃射も激強でしゅよ〜(゚o゚)」
ボス「シルヴィオの<※障壁>の力に救われたな。だいたい本来受けカブトであるアレックスが<※カバーリング>に迫られている時点でかなり状況はまずいぞ。だが‥‥だが、彼がアークやマローズを倒してしまったらそれはストーリーとしておかしいのだぁ!(魂の叫び)」
こうさくいん「敵が減ったところでマローズ指揮官が撤退を決定、夜明け前に戦いは終わるのでしゅねー」
ボス「人間切羽詰ると気が回らなくなるものだ。やはり演出等に気を使ってきれいに終わらせるなら、戦闘バランスは緩めくらいの方がよいのかもな」


Death & Twin Gem


Date# A.D.2072 Prezent Day
Lokation# Midwinter Nite ends, Kalm down
 もはや前世紀の遺産への鍵はエリューナの双玉に隠された番号ではない。周期的に変化する無作為な番号だ。ロシア対内防諜局といえども、この扉はもう開けない。
 雪は止んでいた。丘の上の“マローズの檻”は銃を降ろし、アークに戦闘停止を合図すると、口元のインカムで命令を伝えた。
『もう無理か‥‥。撤退する。君たちの力を侮っていたようだ』
「あなたはいつか、本当のマローズ(真冬の夜)に閉じ込められるだろう。蒼氷の騎士の名において予言する」
 蒼い瞳の内を光らせながら、シルヴィオは静かに言った。内なる力の生み出す霊気が広がり、最後の冷風となって主の周りに散った。
『楽しみにしているよ、“蒼氷の騎士”。これで、ロシアの再建がまた10年遅れるだろう‥‥だが、まだ10年だ。いずれ我々は、再び日の当たる国へと再生を果たすのだ。必ずな』
 帽子を直すと、局長は身を翻した。深緑のコートが翻り、ロシアの全てを知る軌道システムの影武者は去っていった。突如辺りに響く、ツインローター独特のエンジン音。彼女の行く手に、迷彩色の脱出用の戦闘ヘリがゆっくりと姿を現した。
「マローズがどんなに寒くても、お前の心ほど寒くはないぜ」
 着陸した傷だらけのVolantから出てきたブレイクが、吐き捨てるように言うと煙草を投げ捨てる。賞金稼ぎは胸ポケットを探った。煙草はもう空だった。
 特殊サーベルを収め、局長の後を追うアークは振り返った。かつて共に戦った片目の狼と目が合う。
 その紅い目が無言で問い掛けていた。「殺さないのか?」と語っていた。だがアーレイ・ドレスデンは、何も言わずにかつての戦友を見返した。疾風の狼の目は何も語らなかった。
 身を翻すと、傭兵団《シルヴァー・ファング》の生き残りは戦闘ヘリの中に消えていった。夜明け前の空に飛び立つと、ヘリはあっという間に何処かに消えていった。

 ヘリが消えていった逆の方向から、朝日がゆっくりと昇ろうとしていた。夜の森が、想い出の眠るヴァイオレットの屋敷跡が、傷跡残る白い戦場が、ゆっくりと夜の時間から解放されていく。大気に混じる氷がきらきらと輝き、傷だらけの鋼のフェンリスと赤いトビウオを優しく照らしていた。
 雪に包まれたロシア連邦。災厄によって苦々しい運命を甘受するしかなかった国。絶望の夜の続く大地。

 だがその暖かい日差しは、真冬の夜(マローズ)がいつか終わることを予感させるものだった。


Blue Ice


Date# A.D.2072 Prezent Day
Lokation# Midwinter Nite haz gone, Daybreak kome...
 照らされていく冷たい大地を眺め、マローズの檻はかく語る。
「‥‥圧倒的な戦力差をもってしても、どれだけ絶望的な状況でも、彼らは私に勝ったのだ。
我々が“真冬の夜”と思っていたものも、実は暖かな日差しなのかもしれない」





Silver Cross




Date# A.D.2072 Prezent Day
Lokation# Graveyard, Where komradez sleep
 疾風の狼は世界の戦場を巡ってきた。雪のロシアを去る時がやってきた。
 ソーファ・ユーリィ・パブロヴァに別れを告げたアーレイ・ドレスデンは、傭兵団《シルヴァー・ファング》の面々の眠る墓地を探した。街の共同墓地の片隅に、彼らは眠っていた。空は晴れ渡り、墓は吹雪に苦しめられることもなかった。
 まだ若かった頃に世話になった傭兵隊長の墓の前でアーレイは立ち止まり、しばしかつての戦いに想いを馳せた。いつも的確な指示で団を動かしてきた隊長。索敵でいつも一番だったサム。報酬の出た日に弟のことを語るアーク。風よりも速く疾る脚、嵐の中でも利く鼻が疾風の狼に備わっているのは、あの頃の経験があるからだ。
「地獄で会ったら、またあんたの元で働くぜ」
 ウォッカの大瓶を墓の前に置くと、子守りも得意な狼は笑い、立ち上がった。あの時と同じ銘柄の煙草に火を点けると、歴戦のパンツァーボーイは身を翻した。軍用ブーツの立てる音が、静かな共同墓地から遠ざかっていった。


Winter Wolf


Date# A.D.2072 Prezent Day
Lokation# Nephew iz with Daughterz of Godfather
 それぞれが元の生活に戻る時が来た。ソーファは再び《アルタイル》へ。ロシアの人々の心に本当の夜明けを伝えるために、彼女の歌が必要だ。だが姉のフレデリカは、一人去ろうとしていた。
「それで? わが妹は、いつ帰るんだ?」
 上着を肩に掛けながら、ブレイクは呆れたように説明する。彼やミハイルやファミリーが手を回し、事実は隠された。姉妹にはこれ以上怨恨が及ぶことはなく、フレデリカも軍から離れて生きていけるのだ。
「勘違いしてないか? 大事な家族がいるじゃないか」
 頭を掻きながら煙を吐き出すブレイク。ようやくフレデリカは承諾した。ソーファと共に戻り、失った十年を取り戻すため、しばらく一緒に暮らすことを約束する。偉大な男の甥っ子がしてやれることは、これで済んだ。
「何かあったら、兄貴分のオレが一発くれてやるからな?」 冗談めかして続ける。
「何せ、偉大なるゴッドファーザーの娘たちなんだからな」
 並んで手を振る姉妹を後に、痩身の賞金稼ぎは愛機へと向かった。赤い気圏戦闘機は空に舞い上がり、軽やかに旋回すると消えていく。約束の場所はもうひとつあった。


Silver Cross


Date# A.D.2072 Prezent Day
Lokation# Opera House "Altair", Death Lord leaves Valkyrie
 荘厳なる《アルタイル》。何も上演されていない中央ホールはがらんとしていた。壇上には白きフェンリスもフィン・マックールもおらず、もう、筋書きと異なる死神が現れることもない。
 支配人ウィリアム・ロズモンドが見守る前で、臨時の騎士役を務めた黒衣の戦士は、胸に真紅の涙を止めた歌姫と別れを告げようとしていた。

「ほんとうに、ありがとうございました」
「いや、ワルキューレとの誓いは果たさねばならない。あの時あの幕で、約束してしまったからな」
「いつかまた、アレックスさんも来てくれますよね。それとも、もう無理でしょうか。いらしてくれることがあったら、席を空けておきます。一番前の席を、必ず」
 荷物の箱を脇に抱えると、アレックスは右手を差し伸べた。歌姫の胸に変わらず輝く紅玉にそっと触れると、ソーファは黙って彼の顔を見返した。死神との約定の護り手、死神の裁きの下し手として知られる男は静かに告げた。
「ソーファ。エリューナの紅玉の光は君の内なる光だ。君にはその光で人々を導く力がある。ソーファという星がロシアの空に輝くよう、死と夜の領域に属するデス・ロードの名において祈ろう。さようなら、プリマヴィスタ」
 デス・ロードは身を翻した。二人を後に、荘厳なる大ホールを一人歩いてゆく。夜そのものの色を宿したコートがゆっくりとはためき、その後に続いた。シャンデリアの白い光が去りゆく死神の使いを照らし、その黒衣をロシアの雪の夜の如く輝かせる。
 土産なのか、アレックスは小脇に包みを携えていた。伝統的なプラトーク――細かな民族刺繍の織り込まれた女物のスカーフが、箱からその鮮やかな紫色を覗かせていた。


Death & Twin Gem


Date# A.D.2072 Prezent Day
Lokation# In Airport, Icy Knite leaves from White Fenris
 亜軌道ジェットが空に消えていく国際空港。同じく冬に支配された教皇領へ、常春を謳歌する災厄の街へ、世界へとここから旅立つことができる。
 冬の空港でシルヴィオ・プルデーレを見送るのは一人の女性だった。黒い外套にシルヴィオの贈ったマフラー、帽子から溢れる白金色の髪。紫と青の不思議な瞳。フレデリカは軍を辞め、ソーファと一緒にしばらく静かに暮らすのだという。
「僕はN◎VAに戻るよ。君と違って、僕にはまだ守れていないものがたくさんある。それに‥‥‥‥」
 シルヴィオは言うべき言葉に詰まって黙り込んだ。蒼氷の寒さは自在に操られても、心の奥に湧き上がる熱さは表現できなかった。
「‥‥いいや」教皇領から来た青年は頭を振った。
「また来る。また、君に会いに来る。この大地に、春が訪れるのを確めに」
 シルヴィオはフレデリカの瞳を見つめた。紫と青の色違いの瞳。その中に、冬の終わりの兆しが見えた。
「真冬の夜を、越えたときに」
「‥‥ええ。待っています」
 同じく言葉に詰まっていたフレデリカはそれだけ答えるとさっと駆け寄った。身を寄せ、青年の肩に手を置くと額にそっと口付けする。
 どうしていいか分からずにいるシルヴィオの前で、フレデリカは微笑んだ。その血の氷の力を自在に操る蒼氷の騎士の体に、炎よりも温かい感覚が広がっていった。
 シルヴィオはまた何も言えなかった。しばらくまた沈黙が続いた。飛行機の発進を告げるアナウンスが響き、ようやく二人は動き出した。


Blue Ice


Date# A.D.2072 Prezent Day
Lokation# Funeral of Leonido Alsanov
 サンクト・ペテルスブルグの墓地。偉大な男の死を悼む黒服たちで埋め尽くされた葬式も終わり、今はもう誰もいない。
 ブレイクはレオニード・アルサノフの墓の前に佇んでいた。イェレミーヤの命を奪った十字架を取り出し、銀の鎖を墓に掛ける。復讐は果たされた。偉大なる父の名誉は守られ、娘たちの無事を祈った最後の頼みは果たされた。甥がしてやれるのはこれくらいだ。殺し屋はもう辞めた。賞金稼ぎは、娘たちを守るには相応しくない。
 胸から取り出したサングラスを掛けると、ブレイクは墓を後にした。墓地の入口で、同じくサングラスを掛けたミハイル・フラトコフが待っていた。
「報告は終わったか?」
「ああ。今、終わった」
 痩身の賞金稼ぎは煙草に火を点けた。
「で、これからどうするんだ」
「東へ西へ、空を駆けるさ」
 紫煙を大きく吐き出すと、ブレイクは頭を掻いた。と、向こうの木々が大きくざわめき、二人のギャングスターは視線を向けた。
 渡り鳥が一斉に飛び立つところだった。ロシアの冬は厳しいが、それでも鳥たちはこの国へやってくる。そしてまた去ってゆくのだ、真に自由な鳥たちは。
「‥‥ミハイル。オレには渡り鳥が性に合ってるんだ」
 共に父の復讐を果たした相棒はしばし無言だった。飛んでいく鳥の群れがグラスに映っていた。そして帽子の縁を直すと、ひょろりとした賞金稼ぎの肩を叩く。
「じゃあ気に入ったら、また来てくれよ。オー・ヴォワー(さようなら)」
「ああ。オー・ヴォワー」
 ブレイクは抱擁をかわし、肩を叩きあった。軽い足取りで歩き出すと、ポケットの中のスイッチを入れる。草の植えられた地面が一斉に揺れた。自動操縦の輸送機が、渡り鳥を世界に運んでいくアングラーがその姿を現し、その主のぼさぼさの髪をさらに乱し始めた。


Silver Cross


Date# A.D.2072 *Future*
Lokation# Honorable staj of "Altair"
 一枚の写真。映っているのはオペラ座の貸し切りの上映会だ。荘厳なる大ホールに、客はたった数人しかいなかった。
 晴れ舞台に立つ妹を見守る姉と、そのそばに寄りそう青年。夜色のコートを手にただ悠然と席につく男。その後ろの席では、煙草に火を点けようとした痩身の鳥頭の青年が、眼帯の大男に横からたしなめられている。
 そんな面々を前に、壇上ではロシアの星が歌っていた。響き渡るは天使の声、歌に語るは春の兆し。アルタイルの歌姫の胸には、変わらず真紅の涙が、その主の内なる光を宿して輝いていた。

 
 
And Here, The kurtain dropped,
under sign of spring that aurola shows ...
-XYZ-


Winter Wolf

Spesial thanks to:
redman

for ur Ultra-Neuro Adventure!


こうさくいん「超カックEでしゅ〜〜!O(≧∇≦O)(O≧∇≦)O 感想やひとことはtwiLite Bakkstaj BBSにガゼンお願いなのでしゅよ〜」
ボス「終わった‥‥ほとんどキャンペーン並、通常のセッションの2倍も3倍も密度のある話であった。コンテンツにするのに掛かる労力も実際の容量も2倍3倍になったがな。とにかく終わったのだ」
こうさくいん「ボスはあの時風邪をおして参加していたのでしゅね〜(>_<) そのあと倒れちゃったじゃないでしゅか〜(@_@)」
ボス「い、いや‥‥。このシナリオの話は半年以上も前から延々と言われ続けてきたぞ。そこまで準備したアクトだというならば、その期待に応えるプレイングを見せることをもってPLの礼儀とすべきもの。だがとにかく無事に終わったのだ。白き大地において、春の兆しが人々の心の内にある証しはなされた。人の心をここまで動かせる証しとなったこの物語は、極光の如くWebにいつまでも輝くだろう。思い残すことはもうない。ワシはもう逝く‥‥(バタッ)」
こうさくいん「わわわわー、ボスー、逝っちゃダメでしゅよ〜(@_@) ていうかその言い回しはやばいでしゅ〜(笑)」


〜関連サイト〜

  • 緋さんの【THE AFTER LIFE

  • (RI財団寄贈のタイトルバナーも揃って加筆された大作シナリオノーザン・クロスに続いて、この『真冬の夜(マローズ)を越える日』もシナリオとしてUp予定。極光きらめく氷の大地の物語を‥‥貴方の手に!)


〜お・ま・け〜

こうさくいん「元ネタのカレにはどうしても勝てないから、ブレイクぽんはしばらく封印されちゃうらしいでしゅねー。逝っちゃダメでしゅよ〜(笑)」
ボス「さて、セッション・レポートが執筆され公開され好評を博した後の今頃になって、このシリーズに登場したゲストにジツはそれぞれモデルがいることがRLの緋親衛隊長から明かされた。記念に順に述べていくがよい。
 ちなみにあくまでこれはモデルの一例だ。やったセッションで創り出された物語それぞれにおいて、参加者が心の中に思い描いたイメージそれぞれにおいて、実際に登場した人物は異なるものだろう。もちろんこのアクトでもこのレポートでも違っている。そこだけ念頭におくとよいぞ」
こうさくいん「ラジャーでスタートでしゅー。冷徹で合理的な軍人の“マローズの檻”は『攻殻機動隊』の草薙素子と『ヴァレリア・ファイル』のヴァレリア。遊園地に相応しい敵として登場した悪魔フール・フールは『ジーザス』の悪魔、『カウボーイ・ビバップ』の悪魔の子供。邪眼使いのアークは『ジーザス』のリック・バウマンと『闇のイージス』の盾カリト、『聖闘士星矢』のカミュ。伝説の殺し屋“デスサイズ”インフェルナスは緋'zキャストの姿なきイフリートに『ヘルシング』のアーカードでしゅー」
ボス「もう既に分からないのがあるが‥‥それよりあのアルタイルの晴れ舞台に出てきたのはアーカードだったのか?防諜局に『了解したマイマスター』とか言っていたのか? (がびーん)」
こうさくいん「レッガーのイェレミーヤは『魔神学園』(アスミック)の九段に『ビバップ』のビシャス、レオニード・アルサノフは映画『デンバーに死す時』の主人公の聖人ジミーだそうでしゅ。財団キャストの聖人ジョニィのモデルでしゅね〜」
ボス「イェレミーヤがビシャスなのは明らかだしブレイクぽんもその‥‥(ごにょごにょ)これは両人ビバップコズムで戦って丁度いいのだが。だいたいレオニードはOPで既に死んでいるから出番がないぞ。分かりようがないではないか‥‥(笑)」
こうさくいん「主役のヒロインが意外なのでしゅよ! “白きフェンリス”フレデリカ・ユーリィ・パヴロヴァは外見:『ビバップ』のスパイクの恋人ジュリア、役割:漫画『勇午』のオリガ、演出:九龍'zキャストのレオナ・ソール、更に『ノーザン・クロス』に出てきたレッドアイが入ってるらしいでしゅ。
 アルタイルの歌姫ソーファ・ユーリィ・パヴロヴァはもっと意外でしゅ。外見:『サクラ大戦3』のヒロインエリカ・フォンティーヌ、役割:『RED』のスカーレット、演出:『ブレイド・オブ・アルカナ』の有名NPCのエルフのアルダだったそうでしゅ。遂にサクラ3でしゅよ〜巴里歌劇団なのでしゅーo(≧▽≦)9゛」
ボス「な、なに〜〜! シルヴィおにいタマやはたクン殿のアイスエイジの前に現れるフレデリカはなんとなくそんな感じがしていたが。アレックスや緑殿の凪月扇の前で歌っていたソーファはあの子風だったのか? 全然違った‥‥(がびーん)」
こうさくいん「まだあるでしゅよー。『ノーザン・クロス』に出てきたエリィ・ファロンもモデルがいるそうでしゅ。まずアレックスの死んだ恋人のジュディ・ラニアー。あとは『ゼノギアス』のヒロインのエリィを服を変えて優しくしたカンジだそうでしゅ〜」
ボス「そんな私的な設定上の人物をモデルにしても大体ジュディは情報量が皆無に等しいぞ。(笑) ゼノギアスはどこのゲームだったかな?」
こうさくいんスクエアでしゅよー。アーカイブの中にゼノギアスも、エレハイム・ヴァン・ホーテンの紹介もイラストもあるでしゅよーo(≧▽≦)9゛」
ボス「少し前のゲームなのか‥‥。な、なにっ。切り裂きジャックの魔の手から救われたエリィは、、ヒースロー国際空港でデス・ロードを見送ったエリィの外見はこの子に似たカンジだったのか?(がびーん)」
こうさくいん「ひひひのひ〜」
ボス「RI財団のセッション・レポートに登場する人物の描写については、Webコンテンツやtxtにあれば設定のチェック、あればBBS/Chat等での観察、当日受けた印象やBBS/ICQなどでの事後の多少のすりあわせなど、断片的な情報を総合したイメージを基に行われている。儂の持っていたイメージが違ったということはきっとひよこ総帥も違ったに違いない。ということはセッション・レポートの描写も違ったということだぁ!(心の叫び)」
こうさくいん「ひひひ〜。前もって教えられてたら変わったかもしれないでしゅね〜。いつも人物描写に困らないだけの情報が準備されてるでしゅか?」
ボス「いや、PCもNPCも情報は概して不足していることが非常に多いらしいぞ。おかげで想像だけで描くことがなんと多いことか。(笑) しかしひよこ総帥によると今までに全然違うと言われたことはほとんどないそうな。修正があっても台詞の細かい言葉尻や持っていた武器の種類やその場面で使った技などその程度のレベルだ。事前事後にもっともっとイメージを伝えてほしいところだな」
こうさくいん「今から少し直す手もあるでしゅよ。ついでに遊べばいいのでしゅ。サクラ3でしゅよー今度は華やかに巴里でしゅよー。(>_<) でも財団本部はサターンからPSに乗り換えたからもう遊べないじゃないでしゅか〜(+_+)」
ボス「な、何を言う。パブリックイメェジが壊れるではないか」
こうさくいん「1も2も対戦コラムスもやったじゃないでしゅかー。今ならドリキャスも安いでしゅーセガに貢献するのでしゅよーo(≧▽≦)9゛」



‥‥【Movie】【一幕】【二幕】【三幕】

Bar from V:tM
...... When Kross the Midwinter Nite / Paj.3 ......

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