
〜小粋にエレガントPLAY第12回 百合の咲く場所で〜
-La fleur de lutte-
【前編】【後編】
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こうさくいん「十一話で終わりじゃなかったのでしゅね!(>_<)」 |
And
so, they appeared on the Staj of Wheel of Fortune .....
Handle: “盾の聖女”レオノーレ・アインベルグ 【Profile】
Style: ミストレス◎,カブト,マヤカシ● Aj: 24 Jender: ♀
かつての騎士への憧れから人の想いを護る騎士になることを決意した、ワーデン所属の鋼の左腕持つ若き女ボディガード。ヌーヴ出身。冷静で寡黙に見えるが実は感情的で後先を考えないことがある。恋愛にコンプレックスを持っており、若い娘、盾の乙女としての面を男性に見せることが少ない。
思い出の中の人が作った電脳剣サリーを従え、北十字星の輝く元で、黄昏の遊園地に秘せられた物語の中で、様々な舞台に上がってきたが、遂に魔法的テクノロジーで作られていたサリーがヴァルキリーに認められ、本当の力が顕現。秘幽体として操るようになった。守護神は北欧神話の最高神オーディーン。
Player: 九龍
▼なんか名前が違いますがこの人は果たしてノーザン・クロスなどに登場したレオナ・ソールなのでしょうか。そうなのです! 一度は300Expで妄想度がハゲシ過ぎた夢見バージョンを160に落としたのです。騎士&聖女属性が高まり神話系の色が濃くなっています。電脳剣サリーは槍を携えた戦乙女の姿(カタナのエニグマ)に変わり、本人の<■ク・フレ><■合技>の超必殺技(ナニよそれ)は出なくなったもののドリー夢なのは変わりませんわよ奥様。(ぽわぽわ〜ん)
なんか髪を結んでぐーパンチをしているNEWイラストが10代の別人のようです。読者へのこの媚びようはまるでギャルゲーのよう。ペネル様や麗しのメーティス女史やリエルたんにヒロインの座を奪わてから新しい手に出たのか?
こうさくいん「NEWヒロインなのでしゅか‥‥? (@_@)」 ←バカ
Handle: “魔閃剣”橘 芙蓉(たちばな・ふよう) 【Profile】
Style: カタナ=カタナ◎●,チャクラ Aj: 21 Jender: ♀
N◎VAの闇に棲む売出し中のフリーランスの女カタナ。日本人であり、着流しの格好を好む。まだ若い女性だが、夢幻一刀流を修めたその太刀筋は激しく、多くの敵を一刀の元に屠ってきた。
それもそのはず、芙蓉が剣を学んでいるのは隅田川近くにある『村雨道場』。そう、世界の闇でその腕を振るってきたあの漆黒の剣鬼、夢想神伝流を極めた黒の死神、村雨直々の弟子なのだ。
Player: X 【天真名井にて・改】
▼てなわけで、引退した村雨先生ンとこには若いおなごの弟子が来てるって寸法よ。かみサンもいるってのにどうしやすかい八丁堀!(謎) 遂に村雨ぽんの弟子登場。一言で言うと“女村雨”だそうです。まぁなんて分かりやすい表現でしょう。てゆーか、エクスノフコズムのキャラはみんな村雨の血を引いているように思えるのは氣のせいでしょうか。氣ノセイデスヨネ(ぎこちなく) イメージソースは【ギルティギア】の梅喧のようなカンジだそうです。
敵に攻勢に回られると殺られる前にダンマカを連発するしかなかった、真カタナ特有の弱点を抱えていた村雨。その弱点を克服した弟子の芙蓉はもう怖いものなしです。<※一心不乱>の瞳から放たれるその剣気。<※連撃>で夢幻の舞いを踊るのは<※修羅>に<※鉄拳><※無風剣>の差分2倍攻撃。(ブルブル) 次元刀相当の奥義は「空間を切り裂くので刀では受けられない」とかかなりオカシイことを言ってます。黒の死神を継ぐ剣の華、異教の街にここに咲く!(ぽわぽわ〜ん)
Handle: “名もなき男”
Style: フェイト◎,カリスマ,マヤカシ● Aj: 20代 Jender: ♂
名を持たないフリーのフェイト。名を聞かれた時は、いつもその時店に流れていた曲の名を名乗る。一際目を引く紫色をした左目は“リヴィオラの瞳”。人に見えないものを見通すことができ、人の心の奥底を操ることもできる。彼の言葉はそのまま言霊を操り、言葉を現実とすることができるのだ。リヴィオラの瞳には、「世界で一番」だという女の記憶と共に、大きな秘密が隠されている。
Player: 緋 【THE AFTERLIFE】
▼緋親衛隊長は新フェイトなのです。謎が隠されているらしい左目の正体はリンの眼+トーキーのエニグマ。<※バックステージ・パス>や<■ダイムノヴェル>をしてきます。『夢幻紳士』の外人版だそうですがその作品ボクよく知りません(笑)
サイトもリニューアル、当サイトでもレポートが好評だった超大作シナリオ『真冬の夜(マローズ)を越えるとき』を始め、幾つかのコンテンツ追加が予定されています。最近はファンまでできたそうです。いやー偉い先生のお気に入りらしいし緋さんてすごい人なんだなー。最近どんどんT京理科大ゲ同勢が台頭してきてるしな〜。先輩を見習ってるんだろうな〜。(ニヤリング)
Handle: “天使の子”ジョナサン・コルシオーネ 【Profile】
Style: レッガー=レッガー◎,ハイランダー● Aj: 28? Jender: ♂
N◎VAタタラ街をシマに持つ紅蓮傘下、未亡人レディ・イザベラ率いるコルシオーネ・ファミリーの若頭。記憶をなくして災厄の街を彷徨っていた所を拾われた。荒事を好まぬ優男として界隈の人間には“聖人”ジョニィとして好かれ、裏社会でも不思議な人徳と不可思議な力を持った男として一目置かれている。
カトリック教徒であり、記憶を失った時から持っていたJと刻まれたロザリオを大切に持っている。聖人ジョニィは慈愛の天使ガブリエルの加護を受けた天使の子であり、遠い特別な場所から、運命の舞台に降り立つのだ。
▼いえーい。聖人ジョニィここに復活。RI財団コズムでは強さなんてどうでもいいのデス!ヽ(´▽`)ノ
その背景のためか他のキャスト陣に出番を譲ってばかりでしたがこう見えてけっこう古いです。同志Xノフ初のIRCアクトログTerrible Insectsにも登場しています。そういえば【妖神演舞】のChat桃花源がオープンした時、最初に行ったのもジョニィだったなー。アジームとかと初めて会ったよなー。あれが98年7月、あの頃がWebでのN◎VAムーヴメント黎明期だったなー。(とほひ目)
Ruler: 最果 【FETHERED IMAGINATION】
▼さあ遂に、進行したりへたれて滞ったりしながら造られてきてまたオヤスミしてしまったオリジナル都市設定パラディスCHÅINを舞台にしたアクトの始まり始まりです。o(≧▽≦)9゛ キリスト教的舞台の似合うキャストの調整も済みました。(一人だけだけどネ!)
一体どんな冒険が待っているのでしょう。(期待期待)
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Kaution:
この物語はニューロエイジ世界、ヴィル・ヌーヴのネオ・フランス行政圏にあるという設定のメガ・プレックス、宗教都市パラディスCHÅINを舞台にしています。パラディスに関する全ての設定は今回のRL担当の最果 さんによるものです。サイトの【FETHERED IMAGINATION】(休止中)内部のパラディスCHÅIN(再構築のため休止中)でも、一部構築中ながら設定コンテンツが公開されていました。
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その女は施設から出てきた。追っ手は誰もいない。ただの人間では、彼女たちには対抗できないのだ。
ストリートでよく見かける黒いジャケット、茶色のショートカットの髪の下は白い顔。右目の下には青い涙の形の紋様。冷たい瞳で背後を振り返ると、彼女は手の中のスイッチを押した。
轟音。燃えあがる炎が彼女の瞳に反射し、その奥に押し殺された復讐の炎の色を垣間見せた。
「次の標的に移るわ‥‥」
呟くと、蛇のもとへ堕ちた娘は身を翻した。

名もなき男はいつものBARにいた。静かに音楽が流れ、客がほとんどいない馴染みのバー。クライアントに対する、彼の名が決まる場所。
キリスト教のロザリオを胸に下げた依頼人が立っていた。
「テーブルの脇に立つな。酒が不味くなる」
グラスを置いて呟く男に、依頼人は目の前の席に座った。今時珍しい、紙の手紙の入った封筒をテーブルに置く。
「名前は?」
「‥‥“ベイビィ・トーク”だ」
ちょうど店内に流れていた曲の名を、名もなき男は答えた。
「ふん。名前のない男か」
依頼人は封筒を開いた。手紙と一緒に、ヌーヴのパラディスCHÅIN行きの航空券が出てくる。依頼内容は、CHÅINの聖ヨハネス教会で、ある仕事を請け負ってくれというものだった。
話が終わった後で、名もなき男は改めて依頼人の顔を見た。その紫色の左目、どんな宝石とも違う奇妙な目がきらりと輝く。
「ここには誰もいなくなった」呟くと、依頼人の目から生気が失せていく。“リヴィオラの瞳”は、言葉を現実のものとすることができる。
房総南国際空港。N◎VAと世界のメガ・プレックスを繋ぐ亜軌道ジェットが、轟音を発して飛び立とうとしている。
「パラディスか‥‥危険な街だ」
名もなき男――いや、ベイビィ・トークという名を得た男は、ステーションに向かって歩き出した。

響き渡る琴の音は柔らかく、静けさに調和したものだった。心得のある者でさえも、弾き手が漆黒の剣鬼の弟子、夢幻一刀流を修めた剣客だとはなかなか想像しないだろう。
その師匠と同じ純粋な日本人、平均的な女性よりかなり高い上背に引き締まった体躯。だが、まだ若い橘芙蓉の体から、剣を持つ者特有の殺気は少しも発散されていなかった。目を伏せ、ただ一心に琴の音に耳を済ませている。
はるかヌーヴでの大規模な爆破事件のニュースを流していたDAKが、音声メールの着信を告げた。橘芙蓉の本来の仕事の依頼だった。
「依頼相手を待たせるとは人が悪い」
一つに束ねた長髪、着流し姿で指定の公園に現れた橘芙蓉は相手を一瞥した。アルフレッド・メヒューマンと名乗ったスーツの男はヌーヴ人だった。恐らく件のパラディスCHÅINの人物だろう。
「話の前に聞こう。貴殿の心臓はふたつか?」
「‥‥いや、ひとつだが」
「肋骨は16本か?」
「‥‥ああ。たぶんな」
「ならば話を聞こう」
奇妙な会話が終わり、メヒューマンはポケットロンを取り出すと中のディスプレイを見せた。逆光で顔の見えない、恰幅のいい男がN◎VAの剣客に向かって口を開いた。背景にあるのはどうやら教会か何からしい。
依頼内容はパラディスCHÅINを騒がすテロリストの暗殺だった。都市規模のテロを狙っており、今度こそ大規模な被害が予測される。容疑者はいずれも若い女だった。橘芙蓉とそれほど年も違わぬ娘の顔が、ディスプレイの中から殺し屋の顔を冷たく眺めていた。その名は、アリマセア、シフォン、シュマー。
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こうさくいん「心臓がふたつに肋骨が16? あああー、ストイックなハズの橘芙蓉がのっけから電波ゼリフを言ってるでしゅよーΣ( ̄口 ̄;) 最近多い妄想系キャストだったのでしかー(゚o゚)」 |

ファミリーのシマの中にあるこのカトリック教会は、いつも俺たちの溜まり場になっていた。若い連中が遊んでいる時もあれば、誰かが祈りを捧げるときもあり、神の御許に旅立つことになった“家族”の一員を送り出す時に使われることもあった。実際に祈りを捧げる俺は、珍しい方だがね。
俺の名はジョナサン・コルシオーネ。別名、聖人ジョニィ。そう、俺たちは神とは程遠い場所に生きている。だが、裏社会に生きる人間でも、神に祈りたくなる時はあるのさ。
それに俺は大天使ガブリエルに感謝しなければならなかった。スラムをさ迷っていた俺をファミリーに引き合わせ、そして度々俺を救ってくれる、あの慈愛の天使に。
ステンドグラスの中に羽ばたくアルカンジェリをジョニィが見上げていた時、騒々しい音を立てて礼拝堂の扉が開いた。息せき切って掛けこんできたのはファミリーの若者のサムだった。手にはポケットロンを持っている。
「ジョニィの兄貴! 兄貴に電話だよ。どっか遠くから‥‥でも、何言ってるかわかんねェんだ」
「どうしたんだ‥‥まあ貸してみろ」
「ああ。きっとヌーヴのどっかだ。オレ、イタリア語もわかんなくてサ」
ジョニィが電話を取った途端、彼を守護する隠れバディが子に恵みを与えた。遥かパラディスCHÅINから、フランス語の挨拶の言葉が、馴染み深い言葉となってN◎VAの教会へ届く。
画面に出たのはウェーブがかった茶色の髪を流した若い娘だった。まだそばかすの残る顔立ちはまだ10代のものだ。
「マリア‥‥マリア・ビルダットか?」
『あの時以来ね、ジョニィ。兄のことを覚えている?』
「ああ。覚えている」
『そうよね。私のことも覚えていてくれたんですもの。兄が――ビクトルが――死んだの』
もう何年前だろうか。随分前の話だ。ビクトルとマリアの兄妹は、俺がまだ青二才だった頃の知り合いだった。兄妹とも孤児院の生まれで、ストリートを駆け回っていた俺とはいい友達だった。骨太のビクトルは、いつも年の離れたマリアをかばっていた。
「なあジョニィ。お前はこれから、どうするつもりなんだ」
二人がいた孤児院は18歳になると、出て行く決まりになっていた。
「そうだな。世話になった人たちがいるんだ。そこで仕事が貰えるかもしれないんで、当たってみようと思ってる。お前は?」
まだ若かったレディ・イザベラと、あの時はまだその横にいたボス。ファミリーのために働くのが、当時の俺には憧れだった。
「ああ。前にも言ったけど、オレは人を助けたい。神様がいつも見守ってくれるところに行こうと思ってる」
「そうか。頑張れよ」
あの頃からビクトルは腕っ節が俺より強かった。握手を交わした俺たちの上で、教会の鐘の音が鳴っていた‥‥
「‥‥そうか‥‥。死んだのか‥‥。主よ、彼の者が安らかに眠りますように」
小さく十字を切るジョニィと同じ動作を、画面の向こうのマリアも繰り返す。
『あなたにはこうして伝えようと思ったの。ジョニィ、墓参りに来てくれる? いつでもいい、あなたに来て欲しいの』
「‥‥ああ。仕事が片付いたら行くよ」
シマの店のことで文句をつけてきた連中の件が片付いた後で、俺はしばらくN◎VAを留守にすることにした。考えてみると確かに、こういう稼業で遠くまで旅することは珍しい。
教会の前で見送るサムの帽子の埃をはたくと、俺は少年の頭に載せた。
「じゃあな、サム。しばらく頼むぞ。ユカの言うことをちゃんと聞くんだぞ?」
「ええっ、なんであんなヤツの言うこと聞かなきゃなんないんだよ! おおい、ジョニィの兄貴ってば!」

ホテルの窓からはパラディスCHÅINが一望できた。すぐ近くにある地中庭園twiLiteパラディスの入口、広がるどこかゴシック風の街並み、遥か遠くの中央部にある神の塔エテメナンキ。
レオノーレは任務も終わり、ふかふかのベッドで枕を抱くとごろごろ過ごしていた。“盾の聖女”といえど、ふだんの様子は若い娘のものと同じだ。その横では、彼女の長年の友人であり護衛相手であった銀髪の娘が、TVで流れるテロ事件のニュースをじっと眺めていた。
“盾の聖女”レオノーレ・アインベルグと、フェリシア・サテンドール。
MiLion-Lite(ミリオン・ライト)パラディス支社まで重要な届け物と共に赴いたフェリシアを護衛するのが、レオノーレの仕事だった。何事もなく仕事は終わったが、どうやら街は物騒なことになっているらしい。
ミラーシェードをつけたまま事件の続報を見ていたフェリシアは、素早くポケットロンを取り出すと素早くボタンを押し始めた。表情は極めて冷静だが、その右手の人差し指の動きは速い。
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「レオナ。あなたに仕事をもうひとつ頼むことになりそう。正式な依頼元はMiLion-Liteパラディスのエリクシオン様だわ」 |

「ここが重力井戸の底か‥‥物騒な街だな」
サングラスを拭くとベイビィ・トークは辺りを見渡した。紫色の“リヴィエラの瞳”は特別な左目だ。霊的な都市であるパラディスCHÅINからはは、何か別のものも見える。
聖ヨハネス教会は幾つかある教会の中でもかなりの大きさだった。穏やかな微笑を浮かべた“笑顔の枢機卿”ことヨハネスが、N◎VAからやってきた探偵を出迎えた。この男は教会の“四聖人”の一人に数えられている。
「名前は?」
パイプオルガンの音色が鳴り止み、外の何処かから、あの店と同じ馴染みの曲が流れていた。
「俺はベイビィだ」
聖人ヨハネスは肩を叩き、詳しい話を始めた。手配中のテロリスト3人の女の探索。パラディス外の人間を雇ったのには訳がありそうだった。この都市では教会は大きな力を持っている。ただ主を敬う以外のことも、裏で行っているはずだ。
墓地は静かだった。俺には馴染みの深い十字架が、向こうまで続いている。こういう場所は、どの街でも変わらないようだ。
無人のように思えた墓地には先客がいた。若い女が墓のひとつの前で腰を下ろしていた。ストリートでよく見かける黒いフリースに、茶色の髪。気になった俺はふと声を掛けた。
「ああ君。ビクトル・ビルダットの墓を知らないか」
「‥‥ここだよ。あたしの前のこの墓だ」
俺は立ち止まり、墓石を確かめた。マリアの兄の名がそこに刻まれていた。
「ということは君も、彼の知り合いか何かかな」
「まあね」
少し探りを入れてみたが、女は何も答えてくれなかった。どういう関係だったのだろうか。ビクトルは、この街でどんな人生を送ってきたのだろうか。
「あんた、名前は」
「ジョニィ。セント・ジョニィだ」
「“聖人”だって? 自分からそんな大層な名を名乗るなんて、自意識過剰なんじゃない? ‥‥ま、この街にはそんなヤツ腐るほどいるけどね」
ここがコルシオーネ・ファミリーのシマだったら、この女はその言葉に相応しい代価を払うことになっただろう。だがここはパラディスCHÅIN、異国の街だ。俺は眉を上げただけで、去っていく女を見送った。
「待て。名前は」
「シフォンよ」
夕暮れの光の中で、その女は何処かに去って行った。あの時はまだ、この若い女がテロリストだとは分からなかった。
それからしばらく経って、俺は別の人の気配に気付いて振り返った。そばかす顔の少女がそこに立っていた。長いウェーブの髪を風が揺らしていた。あれからだいぶ経っていたが、誰だか分かった。俺は初めて帽子を取った。
「ジョニィ‥‥来てくれたのね」
高そうな黒のスーツにワインレッドのネクタイ。一見裏社会の人間に見えない優男風の容貌。帽子を取って驚いたように自分を見返す金髪の青年に、マリア・ビルダットは駆け寄った。
だが、再会を喜び合う二人を、突如大音響が襲った。墓地の向こうにある大きな建物の残骸が土煙を上げていた。
マリアを背後に庇うジョニィの元へ、一人の少女がゆっくりと歩いて来た。その背後でまさに煙が上がっている。マリアよりもまだ若い位の娘だったが、シフォンと名乗った先ほどの女と同様、何かただならぬ雰囲気を纏っている。物語から抜け出てきたような喪服の如き黒いドレス、長い黒髪、手には古びたバイオリンのケースを持っていた。
「これで7個目だわ」
呟き、二人の横を通り過ぎていく黒衣の少女。
「パラディスCHÅINが主の御心のもとにある街だとしたら――死者を安らかに眠らせることもできないのかい」
後ろから静かに、しかし鋭く問い掛けるジョニィに、少女は振り向くと答えた。
「いいえ。‥‥安らかなる葬送ではなく心安からぬ騒奏を。死者を眠らせてやる優しさは、この都市にはないわ」

爆破テロ事件の現場を調べていたベイビィ・トークは、リヴィエラの瞳の力を使おうとしていた。野次馬やトーキーたちを遠ざける警備員の壁も、名もなき男には通用しない。
「大事な調査だからね。所属の方も確認させてもらうよ」
「ああ‥‥分かった‥‥その連れは誰だ?」
紫の左目が光った一瞬で、警備員の目が生気を失い、瞼が重なりそうになる。その胸ポケットから慣れた手つきで手帳をくすねた時、相手はそれでも、ベイビィの後に続いたスーツ姿の背の高い女を誰何した。
「彼女はまだ新任なんだよ。よろしく」
軽く肩を叩くと、ベイビィはまんまと中に入りこんだ。誰もいなくなってから、自分の後に続いた女を見やる。N◎VAで事件を調査した時、何回か会った相手だ。
「いつもの格好はどうした、大和撫子」
「ここではいささか目立ちすぎるのでな」
橘芙蓉は軽く微笑んで返した。鋭さを内に秘めた毅然とした顔立ち、平均よりも吊り上がり気味の目。彼女の長物は大きな袋の中に収められていた。
「どうも犯人はストリートの方に逃げたようだ。こっちは調査するのが依頼だが、そっちは始末かい」
瓦礫となった回りを見ながら、ベイビィは続けた。
「互いの目的は離れていないと見える。今なら護衛の特別サービス中だぞ」
ベイビィは自分の財布の中身を数えると、「乗った」と応えた。
この街で狙われているのは社交界やそこでの有名人、宗教者、エネルギー関係の施設だった。パラディスCHÅINで有名なテロ組織は幾つかある‥‥M∵C∵Aの系列で現在は停止している“Gray
Gloom”(曇天の憂い)。教皇領の権利独占に反発する真教系もひとつ。アヤカシのような人外の者が潜んでいるという『深闇(しんあん)』。そして、パラディスを教会支配から解放しようと企む“Fallen
Snakes”(堕ちたる蛇)。 その上層部には、本物の堕天使が混じっているという。
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ボス「パラディスの住人はその多くがフランス系のアングロサクソン、移民時に流入した華僑やユダヤ系もいるそうな。その中でXノフコズムを貫くために敢えて着流しで登場するかと期待していたがさすがにしなかった‥‥無念ぢゃのう(笑)」 |
パラディス市内にあるカフェで、俺はマリアに話を聞いていた。店の外にある席の側には植木が植えられ、白いテーブルの真中の柱の上には、青と白の揃いのパラソルが開いている。
ビクトル・ビルダットは孤児院を出たあと、神父を目指していたのだった。ニューロエイジの混乱は宗教にも及んでいる。真教の台頭、ローマ法王の失踪、教皇領との微妙な関係、その他幾つもの新しい宗教。その中で、創主に仕えるカトリックの神父を正式に認定できるのはこのパラディスCHÅINだけになっている。――認定されていない神父もいるかもしれないが、少なくともネオ・フランス法王はそう主張している。
そして妹と共にこの街に渡ってきたビクトルは、当時の教会内部に横行していた権威主義に失望し、神の道を捨てると市井にくだり、ボランティアへ。しばらく前に失踪し、その後の行方がどうしても分からず、遂にマリアは死んだものとして墓を作ったのだという。
「そうだったのか‥‥。裏社会に進んだ俺とは、大違いだな」
ぽつぽつと語るマリアは紅茶のカップを両手で持つと、その表面に映る自分の顔を眺めていた。いつの間にか冷めているのにようやく気付くと、口をつける。
ストリートで活動していた頃、ビクトルにはスラムで知り合った年下の恋人がいたという。ダンスクラブでDJをしていた女だったそうだ。だがその女のことも、マリアはよく知らなかった。
「じゃあ彼に恋人ができた頃は‥‥君にとっては、放っておかれたようなものだったのか」
「ううん。寂しくはなかったわ。兄さんが幸せになることは、私にとっても幸せなことだもの」
「そうか。流石は、聖母マリア様と同じ名をもつだけのことはあるな」
「そんなことはないわ‥‥今まで、耐えてきただけだもの」
彼女の表情にちらりと陰が差した。俺はその手に触れると口調を変えた。
「分かった。彼がまだ生きているのか死んだのか、どちらにせよ、できる限り消息は確かめるようにしよう」
その時、俺たちの後ろを何か前衛的な色合いで飾ったタクシーが通り過ぎていった。テーブルの上のパラソルがふわりと揺れ、植木の花が抗議の身振りをしていった。
俺は目を転じた。このパラディスは旧ヨーロッパ、元々のフランス系出身者が多い。自然と、午前の平和な街の風景もN◎VAとはどこか違うものになっていた。洒落た格好の人間も多かった。奇抜な格好が流行っているらしく――ストリートの方で見かけたが――パンクたちの中には、伝説上の怪物を真似た格好をしている者までいた。教会を始め、ゴシック風の建築物も多い。カフェの通りの向かい側の建物のてっぺんからも、頬杖をついた怪物が朝の平和な風景を眼下に見下ろしていた。
「パラディスの朝はいつもこんな風なのかい」
マリアはティーカップを置くと、微笑を取り戻した。
「ええ。ときどき‥‥騒がしくなる時もあるけど」

レオノーレ・アインベルグは道に迷っていた。盾の聖女と謳われ、その腕をワルキューレに認められた戦士も、戦場に辿りつけなくては仕方ない。彼女の秘幽体であるサリーはその姿を現し、主と共に辺りを見回していた。「アキハバラ」と勢いのある太い字で右から左に書かれた看板を見て、二人は顔を見合わせた。本物の日本の文化に造詣が深ければ、落語で見かける書体の間違った使い方だと分かったのだが、両人とも心当たりがない。
彼女が迷いこんだのは東地区、治安の悪いスラムが近いエリアだった。少し幸運なことに、今いるのは北端にあるトロン街だ。百を超えるソフトウェアショップや路地裏のパーツショップが並び、ニューロ立ちの御用達となっている。もう少し奥の“ソドム街”まで入りこんでいたら、娼館とカジノと、ワルキューレの戦士には相応しくない相手が彼女を待ち構えていただろう。
「レオノーレではないか。奇遇だな」
彼女が振り返ると、長い包みを抱えた、長身の日本人女性がそこに立っていた。スーツを着てはいても、きつめの目元に黒の長髪の橘芙蓉の姿は、フランス系の人々の中では一際目立つ。その横には、不思議な紫の左目を備えた男がいた。
「あんたがあの有名な“盾の聖女”か! ごっつい女とばかり思ってたが」
ベイビィは手を出した。「あんたと同じぐらい綺麗な女は今まで見た中で一人‥‥」
芙蓉をちらりと振り返ると訂正する。「いや、二人だな。‥‥ん?」
何かが名もなき探偵の足に衝突した。摘み上げると黒一色のタップを脇に抱えた小さな少年だった。
「ご、ごめんよー」
身の回りを確認するが、何か盗まれた様子もない。その時、あたふたと弁明する少年の頭が、金色の煙管で小突かれた。
「やれやれ、そんなに急いで逃げちゃ、うちかこのお客さんから盗みを働いたように思われても仕方ないよ」
橘芙蓉が煙管の先に目をやると、そこには豊かな金髪をもったフランス美女が立っていた。長身でスタイルもかなりよかったが、着ているのは振り袖だ。
「あんたは四番目だな、マダム・イングレット」
“アキハバラ”の主に挨拶すると、ベイビィは少年をつまんでいた手を放した。
「このまま逃げてたら、お前がフラットラインだったな」
謝りながら雑踏に少年は消えていく。店内に入った一行はプロ・ジャポネス(日本贔屓)のイングレットとして知られる有名人、イングレット・美麻としばし会話した。ベイビィが幾らかの金を渡すと、イングレットは話に応じてくれた。
「生憎だがタップを買いに来たのではないのだ。蛇がなかなか、冬眠してくれなくてな」
アンバランスな美女と間違った日本感覚で満たされた店内に苦笑しながら、橘芙蓉が問い掛ける。
「だったらソドム街まで行くといい。あそこにはどんな娯楽もあるし、クラブ・テネブレにはどんな情報も集まる。吸血鬼や狼男がいるんだ、蛇の親戚だっているだろうさ」
テロ組織“Fallen Snakes”は一部の高級幹部を除き、スラム方面で個人ベースで破壊活動を繰り返していることが多いという。手掛かりもあるだろう。

俺はソドム街を歩いていた。パラディス最大の歓楽街だというこのエリアの、入口近辺を固めているのは安い娼館やそれに相応しい街娼だ。柄の悪そうな客引きもいた。手を振って微笑み掛けてくる女たちの中には、犬や猫や兎、果ては虎や狼のボディ・スカルプトで決めた女も多かった。堕落と退廃の香りで満ちた通りに、猫や兎の耳が誘っている。この街にはアヤカシのポーザーが流行っているようだ。
俺は適当に手を振ってあしらいながらぶらぶらと歩いていた。ファミリーのシマに帰れば、俺の世話になった娼婦の女は何人もいるが、ここではただの観光客だ。
現在大きな動きを確認されているのは、“Fallen Snakes”という組織に属している三人のテロリストの女だ。シュマー、シフォン、アリマセア。黒いボディスーツで身を固めた戦闘屋だというシュマーは消息不明だが、問題は後の二人だった。黒のカーゴパンツにフリース、ストリートのDJ風の風体をしているというシフォン。古風なドレスにバイオリンケース、14,5歳の少女の外見をしたアヤカシのアリマセア。この二人は‥‥墓地で俺が見かけたあの二人なのだろうか?
奥へ進むと、歓楽街なりの気品というのか、少し雰囲気が変わってきた。このソドム街は奥へいくほどディープだが――同時に高級になってくる。最奥部には、ヌーヴェルフランセでもっとも美しい十三人の蝶が待つ超高級娼館があるそうだ。
「ジョニィさん?」
きょろきょろしている場違いな娘に声を掛けられ、俺はそちらを見やった。
「なるほど‥‥パラディスCHÅINが神の御元に近い街だとしたら、聖女がいてもおかしくないな」
レオノーレ・アインベルグ。N◎VAで売り出し中のカブトだ。だが回りの風景から浮いている分もあるのか、俺には随分印象が違って見えた。頭の上で結んだ髪、周りのボンテージの娼婦達とは対称的な萌葱色のロングスカートの衣装、そして剣。随分と年の離れた別人のようにも見える。今頃サムと喧嘩でもしているのだろうか、ファミリーのユカ・プルデーレと同い年ぐらいの10代の娘にしか、俺の目には見えなかった。
彼女も俺と同じような目的でこの街を訪れたらしい。他にも二人、N◎VAからやってきた人物がいるそうだ。
「“聖人”ジョニィといえど、この街には見知らぬ危険があるかもしれません。ヴァルキリーの加護を与えましょう」
彼女が抜き身の剣を振ると、剣の精とでも言うのだろうか、戦鎧と長槍を携えた戦乙女の格好をした分身が現れた。前にも見たことがある。その口の悪さは主と正反対だ。
「ふふ。慈愛の天使に護られた聖人ジョニィが、異教の神の力を借りるとはな。まあその時が来たら頼むとしようか。それはともかく」
俺は辺りを見渡した。レオノーレを見ると囁きあっている男たちが目に入る。
「場所を変えよう。ここは聖女の来る場所じゃないぜ。どうしてこんなところに辿りついたんだ?」
「その‥‥また道に迷っちゃいました‥‥」
彼女のような娘なら、ここに来るまでに何回も声を掛けられただろう。それともあの口の悪いヴァルキリーが、男どもを全員蹴散らしてきたのだろうか。
「君がもう少し大人だったら、恋人同士の振りもできるんだがな」
俺は肩を竦めると、冒涜の街の出口とおぼしき方向へ向かって二人で歩き出した。

隠れた大蛇を探し出す時は、時として餌を蒔いた方が早い時もある。ベイビィ・トークと橘芙蓉は、“Fallen Snakes”を自分たちが嗅ぎ回っていることを、ストリートで流していた。
「先ほどので12件目のはずだな。おや早速‥‥いや、依頼人殿からだ」
橘芙蓉への依頼人であった、アルフレッド・メヒューマンからだった。指定の公園でコンタクトするとの連絡だった。
この依頼人の男も、果たしてどのような勢力に属しているのかまだ分かっていない。罠や、込み入った陰謀の一端であることも十分に考えられる。
「行くのかい? 前に待っているのは処刑人かもしれないぜ」
「私は行く。必要とあらばこの剣が役に立とう」
「アンタと同じことを言っていた女がいた。そう言って一人で進んで、死んだよ。この左目の持ち主さ。もう二度と、死なせやしない」
橘芙蓉は軽く驚き、相棒の顔を見返した。黒衣の探偵の不思議な左目は何も語らなかった。自分の名を持たぬこの男の過去には、一体何が眠っているのだろう?
だが、鳩が戯れる公園で二人を待っていたのは予想していたようなものではなかった。アルフレッド・メヒューマンは自分がソドム街のガーディアン・ギャング“グレゴール”の一員であることを明かし、自分達のリーダーと接触するよう告げてきた。座天使である指導者がいるのは、パラディス最大のダンスクラブだという。

「せっかくだから、蝶の一人の顔だけでも拝んでおきたかったね」
軽口を叩くマフィオーソの優男を伴い、歓楽街を後にしたレオノーレは、爆破犯の手掛かりを追ってパラディスをさ迷っていた。
エネルギー施設等を狙った爆破には計画性がなく、犯人の気紛れで無作為に行われているようだった。そして、爆破の現場には、白い霊的な光が目撃されたという。事故が元で発狂した犠牲者には、「ここの地下に天使がいる」と証言したものがいたそうだ。中世、宗教画や信仰心厚い聖者の周りで目撃された発光現象と同じ白い光。何か、神聖なエネルギーがこのパラディスCHÅINを循環し、何かを起こしている。
レオノーレのポケットロンが鳴った。画面に出たのはくすんだ銀髪にミラーシェードの女。友人であるフェリシアだった。
「フィー、貴方は別件があるんじゃなかったの?」
『今は蛇を探しているのよ』 異世界の魔族の加護を受けたミリオン・ライトのエージェントは言った。
『容疑者の情報を送るわ。それから、この場所のダンスクラブを当たって。ソドム街のガーディアン・ギャング、“グレゴール”の本拠地にもなっているわ』
重要な情報だった。テロリストの一人シフォンは、ビクトル・ビルダットの恋人だったのだ。そして送られてきたアドレスには、闇夜のパラディスに浮かぶ宮殿をあしらった広告が光っていた。
“クラブ・テネブレ”(夜)。パラディスで最も大きいダンスクラブ、東地区の様々な勢力の集う中立地域だ。

【前編】【後編】
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