月の支配者 -月光の元、天にもっとも近い街より一人の吸血鬼が現れた。その携える銃の名は宿命と言うた。
〜ダーククイーン陛下と遊ぼう!〜

【前編】【中編】【後編
n a v i g a t o r

(ルビを使用しているため、IE5.0以上での補完がお勧めです)



 芸術の秋。西方から暗黒女王陛下が来訪することになった為に、鰯合衆国(←こういう時事ネタはやめましょう)では内密のうちに作戦を練った後、首都防衛作戦を展開することになりまちた。
 多忙ゆえ(ニヤリング)陛下はランデヴー地点に時間通り現れなかったものの予定通りピックアップ。事前の索敵‥‥いや友軍情報通りにマックでは元木=あまおか元Maniax連合軍と接触。Arashi軍曹らと最近見つけた超(E)サイトやラブリーなゲムシャ子ちゃんの話で盛り上がる。女王陛下がサキュバス雅寿丸様と熱いベーゼをかわしあった後でメインの作戦が始まるのでちた。


こうさくいん「エレガントに迎撃作戦でしゅね〜」
ボス「うむ。本日は特別ゲストを交えてお送りするぞ。運命の舞台に上がるのは完全無敵の美形吸血鬼、読者の腐‥‥いや婦女子の方々の中には嬉しい向きもござろう。プレイは例によって和気あいあいとしたものだったがアクトの中身はシリアスでゴイスーにスペクタクルでEVAコズムに補完されたものだった。そちらの方をメインにお送りするぞよ。シナリオには一部【Lost Dream】内のオーサカM○●N向上委員会に載っているジバシリとエアーズロックの設定を使わせてもらっている」
こうさくいん「合衆国の懸念事項も解決でしゅね〜」
ボス「うむ。設定や言動に妄想度の高いキャラクターが集まりすぎたような感もあったのだがなんとかなったな」
こうさくいん「もうひとつの懸念事項は完全に補完でしゅよ! キャストもゲストも‥‥(>ω<)」
ボス「Σ( ̄口 ̄;) ええいみなまで言うな。とにかく始まりぢゃあ。N◎VAのレポ初のヴァンパイア登場ということでWoD者は隠されたお遊びにこっそり笑うがいいぞ」
こうさくいん「そんなのマニアックすぎて全然わかんないでしゅよ〜(笑)」





And so, they appeared under the mysterious MOON .....

Handle: “夜光蟲”ルイ・タン (ノクティルーカ,陳 如藝)
Style: カブトワリ◎,アヤカシ,カゲ● Aj: 外見20代/実年齢60 Jender:
 ヌーヴの三合会系組織《緑卓子》(アン・タピ・ヴェール)の香主の息子。聡明な頭脳と瀟洒な物腰、黒銀の瞳の美貌から将来を期待されていたが、香主の座に付いた長兄アルマンの幼妻ジョセフィーヌと禁断の恋に。ルイが離れていくことを恐れたジョセフィーヌの嘆願により、既に不死者であったアルマンに望まぬ闇の抱擁を受ける。凍りついた未来に絶望し、絶対的な兄の支配から逃れる為、ヌーヴを離れて人間世界の闇の中に。
 最も天に近い街キャンベラAXYZの中華街をさ迷うこととなった若きヴァンパイアはアンダーワールドに身を投じ、フリーの銃使いとして不死の生を過ごす。自らをカイン人と呼び慣わし、情熱を凍りつかせたその美貌には今もなお賤民の娘たちが引き寄せられる。亡霊医師レドリックの頼みで、妖月の都に赴くこととなった。
 その手に握られる古風なリボルバーの名は“宿命(ファタリーテ)”。兄へのその復讐の助けとして、妖魔の君、死の王ウールムその人の使いを名乗る娘カザフェにより授けられた、妖魔の都ドルーヒム・ヴァナーシュタの業による魔銃だ。
Player: 篠原透 【NEUROGUE
▼ぬば闇勢やAXYZ星系など大阪方面、マニアクスCONでもRLとして活躍してきたダーククイーン陛下です。最近は関東勢で遂に動き出したdiceにさらっていや、招いてみまちた。
 さて皆さん御存知でしょうか。AXYZ星系版マローズに出てくる、暗黒女王陛下の妄‥‥いや、イマジネーションが完璧な理想となって結集したあのルイ様でしゅよ? お得意の三合会。もちろん美形。その上V:tMコズムそのままの耽美吸血鬼。3本立てでもう言うことナシ、女性読者の前ではほとんど常時無敵状態ですネ。(意味不明)
 完全無欠のドリー夢をさらに満腹にする魔銃ファタリーテはスクリーマー相当のリボルバー。総Expは289、<※血脈:夜の一族>+<※畏怖>+<※必殺>+ムニャムニャの呪文を唱えると火力のほうもかなり人外に達します。
 おフランス生まれとはいえ、トレアドール系というよりはむしろヴェントルー系らしいルイ。(←解り難い例え) ソニア&ダンサー組は果たして食餌の好みに合っているのでしょうか?(ブルブルブル)

Noctiluca: The Chinese Vampire

Handle: “ドラゴンスレイヤー”ソニア・キロスニフ
Style: マヤカシ=マヤカシ◎●,アラシ Aj: 14 Jender:
 ロシア連邦生まれ、金髪の天然美少女。戦災孤児で保護施設で育った後、その卓越したマヤカシの素質を見出されて軍へ。技術者イゴール・キロスニフに養女として保護され、対アストラル試験機のパイロットに抜擢された。
 だが、星の救世主の物語の後、国際法に違反していた研究が発覚して養父は逮捕。軍からも離れ、天涯孤独の身となった。深刻な過去を抱えているが、ひねくれ気味の我侭な天然娘。蔦薔薇のロゼ(バサラ)という秘幽体を操る。
 赴いていたM○●Nで突然ヒルコの強襲があり、その経験を活かしてM○●N傭兵部隊のウォーカー隊部隊長として戦う羽目に陥った。
Player: 九龍
▼そうです。ALL萌‥‥あーいや、華やか〜に行われた星の救世主でドラゴンスレイヤー機を操っていたゲストの少女が再登場なのです。ユカプーの亜種らしいですねえ(ニヤソ)
 ドラスレはペルセウス相当の業物ウォーカー。烈光相当のロケットジャベリン始め各種武装もそのままです。暗黒女王迎撃作戦のプレプレフェイズを練っていた鰯合衆国国防省で出ていた懸念事項も、これで解決です。(謎)

その蔦薔薇は冬の力

Handle: “ダンサー”
Style: マヤカシ◎,レッガー,カタナ● Aj: 20代前半 Jender:
 本名不詳の長身の女戦士。アーミーパンツに軍用コート、褐色の肌に長い銀髪の中東風の出で立ちだが、人種的には日系フランス人。M○●N傭兵部隊からハウンドM○●NBASEに出向中。ざっくばらんな口の聞き方の為に外見が損をしている。
 いつも大きなトランクを持ち歩いており、中に隠された大きな操り人形“エリ=エリ=レマ=サバクタニ”(「神よ、神よ、私を御見捨てになられたのか」)がその武器となり、大型のヒルコやアヤカシ、戦闘車両を相手に戦う。(カゲエニグマ) 舞踏の如きに人形を自在に繰るその様からその名がついた。妖月都市を騒がす、サイバーテロの強行捜査に当たることになったが‥‥?
Player: 最果 【FETHERED IMAGINATION
▼女王迎撃作戦に必要な小人数の精鋭部隊を揃えねばなりません。最近はデビルメイクライでたっぷり緋いダンテを堪能していた最果ぽんを召集しました。当初予定だったBHのレッガー親父警官は吟味の結果変更に。これで国防省の懸念事項を完全にクリアしつつ戦力も補強されました。流石、モエニストは対応が早いですナ?
 ちなみにサンデーでやってる『からくりサーカス』コズムの住人のようです。(そして最新巻だけチェックして話がよく解らない僕)

踊る人形は彼女の戦友

Handle: “呪眼”蒼月 (ノロイメのツァンユェ)
Style: クグツ◎,クロマク,アヤカシ● Aj: 29 Jender:
 黒髪、常にその金銀妖瞳をサングラスの奥に封じた千早重工査察部後方処理課第三班のエージェント。完全ウェットで中華系の血を引く。M○●Nを度々騒がせてきたBIOS社の最近の動向を探りにやってきた。
 金の左目は直死の魔眼、銀の右の妖魅の魔眼の中には呪式で縛られた鬼の腕が封じられている。その眼を見た時――標的は、必ず死ぬ。
Player: 緋(あか) 【THE AFTER LIFE
▼重度の(E)病患者として首都の一部を賑わす緋センセイはクグツ祭り開催中です。アノ大陸鉄道設定はどうですかねえ。んん?(ニヤリング)
 合衆国の中央情報局が首都の各方面から諜報してきたところによると「アクト終了2時間前に自分の中で終わってしまってブーイングの嵐」「毎朝鏡を見るたびに死と向かい合っている」などと噂のクグツに関してはいろいろ囁かれてきたようです。
 死の魔眼は<血脈:龍の一族>の元力相当、鬼の腕はアヤカシ◎,カブト,カゲムシャ●の腹心相当と相変わらずドリィ夢な設定でした。完全ウェットながらレンの眼所持でアクションランクは常に3にドリィ夢に加速状態。ドリィ夢を叶える代償に本人のExpは40台と弱めになっています。最初はバサラでしたがSSS追加特技の<※魔眼>を使うためにアヤカシが入りました。あれもビミョーな特技ですなぁ。(笑)

金の死眼 銀の妖眼

Handle: “デス・ロード”アレックス・タウンゼント 【Profile
Style: カブト=カブト◎,バサラ● Aj: 32? Jender:
 死神の使いを名乗るカブト。E&B陸軍のカウンター・テロ部隊SMFで技術を身に付けた。死神との盟約のため、そして裁きのために、その力と夜の魔法を振るう。極めて冷静なため、一見冷淡にも見える人物。夜色のコートにシールド、北米連合ジュノー社製の大型拳銃と黒銀の鞘に収められた古き魔剣を携えている。
 新生M○●N千早のトップ、篠原郁の人格を宿した少女、原田珠代を護衛するために妖月都市に赴くことになった。
▼舞台はまたしてもM○●N。国防総省ではYear of Martinフェア開催で女王陛下を萎えさせるというのはどうかというプランも出ましたが(大嘘)、アレクぽんが相手をすることになりまちた。だってぇー。陛下がキャスト間コネ欲しいって言うんだもーん。(言い訳)

危機に挑むものが勝利する -GEB陸軍第22SMF連隊徽章

Ruler: (はた)×弐
▼合衆国の危機を救ったのは用意のあったシナリオを準備、エヴァ風RLシーンにCDプレイヤーまで持ってきてくれたハマの星でした。(きらーん) エラーイヽ(´▽`)ノ
 女王陛下のプレイ後の談話によると某星系の皇太子殿下と合わせて「西の可憐、東の可憐」だそうです。まぁー。なんて名言なんでしょう(ニヤリング) 萌えブリンガーは強力ですわん。ストームブリンガーみたいでなんだかカッコイイですね。(ぎこちなく)

 ちなみにハマ大方面のサークル『らいとぽいんたぁ』の後輩のなまさんも協力したので、はたコズム9割+なまコズム1割だそうです。(笑) 元は徹夜明けのファミレスでの馬鹿話から生まれた話だったとか。
シナリオなんて得てしてそういうものですな。チムニーでアマオカるのと同義なのでしょう。(ぽっくん、こっそりとリベンジ)

Noctiluca: The Chinese Vampire






Prelude: SOUND ONLY
-サウンド・オンリー

   日本本国で行われる策謀は常に秘せられ、当事者以外には知り得ない状況下で行われる。
 この会議も同じだった。どんな暗視機器でも見透かすことのできない深い闇の中、一人の男と一人の女が報告のために直立していた。二人をやや見下ろす位置、椅子とも壇とも知れぬ位置にあるのは、人ではなく単純な直線から構成されたモノリスだった。浮遊する4つのモノリスには真紅の文字で [SOUND ONLY] と表示され、ただ老人の声だけが発せられている。
「‥‥重汚染地区のヒルコ集合体(クラスター)の地域に関してですが、攻撃作戦終了後も依然として活動期の状態にあり、引き続き“軍”による監視の必要ありと思われます。
 続きましてY3〜Z9地区のテング集落に対する対応ですが、処理を完了しました。暫定的に時間が稼げるかと思います‥‥。
 ‥‥では、これにて、第百七次定時連絡を終了致します」
 報告を終え、男は一礼した。床の赤い光に照らされ、その顔があらわになる。頭髪のほとんどない頭、恰幅のいい中年の男の顔。
『昂一郎、ご苦労』
 モノリスが老人の声を発した。そう、トーキョーN◎VA司政官を追われ、M○●NのBIOS新社長に就任した天津昂一郎を、この物体たちは呼び捨てにしているのだ。
『続いて美作博士。例の計画の進捗状況を』
「はっ。サンプルデータの解析を終了しました」
 続いて応えたのは白衣の女性だった。女にしては背が高く、照明に紅く染まる黒髪を肩で切り揃えた純粋な日本人だ。
「後は、実物を手に入れるだけです。既に当社地下のセントラル・ドグマ内に設備は準備してあります」
『分かった‥‥。そちらの件に関しては、“帝”にも御進上しておこう』
「はっ。こちらも早速計画に映ります」
 突如、室内は闇に包まれた。妖月の光すら差し込まぬ何処とも知れぬ場所にて、報告会議は前触れなく終了した。



月の支配者 -月光の元、ある吸血鬼が天にもっとも近い街より現れた。その者の持つ銃の名は宿命と言うた。

〜月の支配者〜



Opening 1/scene: Green Heaven
-グリーン・ヘヴン


 果てしなく広がるのは、毒々しい色に覆われた自然界にあり得ざる自然。果てしなく響くのは、異形の獣たちの咆哮とウォーカーの機動音、攻撃ヘリの爆音、機銃と爆発音‥‥
 オーサカM○●N西方、セト・ロード重度汚染地帯。そこではクラスターから涌き出て来たヒルコたちと人間の軍隊の苛烈な戦闘が続いていた。互いの生存圏、存在そのものを賭けた戦い。地を這うのは何千もの忌まわしい甲虫たちの群れ、羽音を響かせて空に舞うのは巨大な昆虫めいた蟲、そして機動戦車と互角に戦える強靭な皮膚と筋肉と牙を有した、哺乳類に分類できるのかも分からないような獣が突進してゆく。
 厳しい戦いだった。防毒兵装を剥ぎ取られたり、装甲車輌から転げ落ちてしまった人間の兵士には恐ろしい死に方が待っている。
 だが、最後に勝ったのは人間の力、BIOSと光の帝国の強固な連合軍の力だった。菊の紋章の光る黒いウォーカーから発射された滑空砲がジバシリの戦士種を蹴散らし、新型の攻撃ヘリコプターから放たれた誘導ミサイルが何重にも守られた女王の本陣を精確に爆撃する。戦場のあらゆる情報を高高度から集積していた爆撃機が、最後に1発の爆弾をクラスターのコアに投下した。
 局地戦の終決を決めるN2爆雷。その威力は凄まじく、鮮やかな花の咲き乱れていた異形の大地は焦土に変わった。全ての生物が死に絶え、無数のヒルコが女王を守っていた通称ミズガルズ・スワームと呼ばれる一帯には、巨大なクレーターが残るだけだった。
 ただひとつ――薄緑色に輝く、厚い殻に覆われた巨大な卵だけが、焦土の中に残っていた。



Opening 1/main: Blue Dragoon
-蒼の龍騎士


「おっと、そういえばウォーカー隊の新しい部隊長さんだってな。M○●N傭兵部隊も人手不足がここまで来たかっていう気もするが‥‥嬢ちゃんはどこから来たんだい?」
「‥‥ロシア。軍のテストパイロットをしてたの」
「ロシアねぇ。あっちって言うと旧式の寒冷地用ウォーカーからバラしてきた値段は安いが質が悪いパーツがまず思い浮かぶが‥‥。嬢ちゃんはあんまり、そういう方面には見えないね」
『レーダーに反応! 目視でも確認。ジバシリです。軍曹、危険です。400匹はいますっ!』
「なんだと?! ここはクラスターからずいぶん離れてるはずじゃないか?」
 それから3ヶ月後。ソニア・キロスニフはM○●N傭兵部隊の一員として、M○●Nへ向かう商隊の護衛任務に就いていた。
 ロシア軍に配備されるはずだった、対アストラル戦強化型試験機“ドラゴンスレイヤー”のテストパイロット。弱冠14歳にして強い霊力と天賦の才能を備えた天才カウガール。
 だが、祖国の復興の為に道を誤った技術者イゴール・キロスニフの手によって、試験機には動物の脳を用いた違法のバイオトロンが戦術支援AIとして搭載されていた。計画破棄。本国更迭。里親を失ったソニアは、北の帝国の蒼き龍騎士と共に、再び行き場所を失ったのだった。
 荒くれ者の多い傭兵部隊で、10代の兵士はいやが上でも目立つ。その上ソニアは雪の国の民特有の白く細かな肌にショートの金髪碧眼、ひねくれ気味の美少女といった外見だ。軍用ジャケットもサイズが合うものがなく、間に合わせの上着を羽織っている今はさらに場違いに見えた。
「仕方ない。ウォーカー隊を展開、全方位陣形を組んで反撃に移れ!抜かるなよ! ‥‥嬢ちゃん、頼むぞ」
「了解でーす!」

『エコー・ツーのプルの機体がやられた! チッ、きりがないぜまったく!』
『おい左舷! 何やってる。弾幕が薄いぞ!』
『後方が突破されました。座標 010.504.442、ガンワゴンにジバシリの群れが接近中。来ます!』
『一体どうなってやがる! 連中の巣からはだいぶ遠いはずだろう!』
『軍曹、動体レーダーにさらに反応。今度は‥‥カッパ共ですっ!』

「何だと。複数種類のミュータントが協力して攻撃を‥‥? 馬鹿な」
『索敵完了。パターン:青。‥‥タ、タイラント?!』


 ガンワゴンは貨物車輌の最後部を囮にして切り離し、脱出に成功。だが、護衛部隊で敵地脱出に成功したものは、たったの2割だけだった。太古の地球の恐竜に似た姿のジバシリの群れは何でも食べる。戦場に残された車輌も、骨格だけの残骸になってしまうだろう。

 翌日、M○●Nテンペランス特設会場。M○●N防衛の任に当たっていた傭兵たちは、マダムM○●Nの元に一堂に集められた。マダムの背後の巨大スクリーンには、ここ1ヶ月のセト・ロードでの被害状況が複合グラフになって表示されている。
 自分たちの雇い主を前にしても、傭兵たちは思い思いの格好を変えなかった。帽子を取らない者も、大きく足を組んで椅子に寝そべっている者もいる。彼らは報酬と引き換えに、自分たちの命を賭けて戦っているのだ。
 そんな中、ソニアも椅子のひとつにちょこんと腰掛けて話を聞いていた。
「‥‥この報告からも分かるように、ここ1ヶ月間の被害は甚大なものがあります。被害報告総数も概算して50件から2500件、約50倍。過去の記録と照らし併せてシミュレーションしても、我々は極めて異常な事態に直面していると言えるでしょう」
「あぁ。確かに数も多かったが、連中は完全に俺たちを待ち伏せしていた」
 ソニアが出撃した数日前、決死の脱出行を経て生還してきた部隊の生き残りが口を挟んだ。
「巧妙にセンサーから身を隠していやがったんだ。統率された動きも軍隊並だった。初めてだよ」
「ええ。その報告が複数入っています。また、複数種のミュータントの連携した同時攻撃に遭遇したという報告も。これも、M○●N防衛隊として未曾有の事態です」
 ソニアたちの方にちらりと目をやりながら、マダムM○●Nは静かに言った。傭兵たちはざわめき立っている。
「静かに」 月の貴婦人の脇に控えていた補佐官が続ける。
「ここ最近、テンペランスへと降り注ぐ胞子密度が、平均して急激に情報しています。いわゆる“胞子の日”の影響範囲もより広範囲となり、被害も容易く増えることが予想されます」
「この危機的事態に対し、我々M○●N企業連合はここに緊急事態宣言『E-17』を発令します」
 妖月の都の礎たる貴婦人は厳かに述べた。
「皆さんは部隊に戻ると共に、待機時も警備を強化。十分な情報収集に当たってください。以上」
 ざわめいていた傭兵たちは立ちあがり、一斉に敬礼した。その中をマダムM○●Nは現れた時と同様、中央通路を悠然と歩み去っていった。一人だけ背の低い金髪の少女の姿を認めると、そこで足を止める。
「ソニア・キロスニフ__先日の複数種ミュータント同時攻撃事件の時の部隊員ね」
「はい‥‥?」
「再編成したウォーカー隊の隊長に、再度あなたを任命します」
 老婦人はそっと微笑んだ。
「手はずは全て済んでいるわ。機体は今日輸送されて来ます。今日からはあなたの“ドラゴンスレイヤー”で戦いなさい」

その蔦薔薇は冬の力


こうさくいん「ううーウォーカー部隊が絶体絶命でしゅよー(>_<)」
ボス「まあえてしてオープニングとはそういうものだ。なんとこのシーンに舞台裏から“女王”が行う判定もちゃんと決められていたらしいぞ。解説して補完せよ」
こうさくいん「ラジャーでしゅ。最初は<社会:死国>+<+動員:ジバシリ(カタナ)>+<動員:ジバシリ(カブト)>+<動員:ジバシリ(カブトワリ)>。お次は連合軍結成で<社会:死国>+<動員:カッパ(ヒルコ)>。最後は<社会:死国>+<派遣>+<コネ:タイラント>だったそうでしゅ。タ、タイラント出現でしゅよ!Σ( ̄口 ̄;) ていうかパターンは青でいいんでしゅか〜(笑)」
ボス「まぁまぁ。ここはシナリオの思惑に沿ってEVAコズムを補完するのが筋ではないか(笑)
 さて人間の会話がメインで進むTRPGでは、細かな感情の表現や背景のちょっとした描写にはやはりどうしても無理な部分が出てくる。主にRLのナレーションで進むこうしたRLシーンでも同じだな。朗読を頑張るなり今回のようにBGMを流すなり雰囲気を出すには手はあるが。
 メディアが変わってWebコンテンツなり同人誌なりの文字媒体では、ここは逆に強みになる。雰囲気を補完せずして何をするというのか。それに連続した会話の記述のみからなるリプレイほど読みづらいものはないからな。
 というわけで財団のコンテンツでは、いつもそうした場面はいろいろ補完したりお遊びをちりばめているぞよぞよ。読んで楽しくなかったらコンテンツの意味がないのぢゃあ!」
こうさくいん「わーいぽわぽわ〜んと妄想をアクセラレーションするのでしゅね〜ヽ(´▽`)ノ」
ボス「ええい妄想と言うなっ。Σ( ̄口 ̄;) 格調高くイマジネーションと呼称セヨ!(笑)」





Opening 2/scene: The Spider, Erodes
-蜘蛛、侵食

 同日17:50。新ファーサイド西部のM○●N新生ブラックハウンド基地、通称M○●NBASE管制室は大混乱に陥っていた。オーサカM○●Nを守る最後の砦として機能していたハウンド本部の中央メガトロンが、何者かによるハッキングを受けたのだ。
 暗い管制室には非常灯が点滅し、複合型3Dスクリーンは侵入者の腕前が本物のウィザード級であることを告げていた。
『M○●N商工会議所、M○●Nマリオネットより通信。同様の攻撃を受けています。侵入者は我々と同じ模様です!』
『逆探、反応あり。位置はテンペランス、旧ブラックハンド本部。それ以上はデコイが多くて確認できません!』

 オペレーターたちの声は震えていた。既にメガトロン内のデータ抜き取りが発生している。複合スクリーンに示された、ヘキサゴナル・モニターの各所が警告と危険を示す赤色の六角形に変わっていった。みるみるうちにそれはスクリーン全体を覆い尽くしていく。
『侵入に使われているウィルスは自己増殖型です! 暗号強度14、本部ネットワーク内で増殖、アクセスコードを探りながら進化を続けています!』

侵食率 57%

『最終防壁、突破! 駄目です。《スフィンクス》、《ラドン》、《オルトロス》、全てに侵食が始まりました!』
『《スフィンクス》よりシステム・メッセージ。これより3機のコアによる合議が不可能になります』
『システム過負荷、《スフィンクス》がレッド・ゾーンを突破しました。注入ウィルスによる無限論理格子が原因です!』

 演算速度の低下したギガトロンの一機が、侵入者のアイコン情報を再計算した。それは十本脚に十個の眼を備えた、不気味な黒蜘蛛の姿をしていた。
「実働できる隊員はいないの?! 旧ハウンド本部を当たりなさい!」
 御堂三姉妹の中で唯一M○●Nに残った長女の御堂茜は、動揺するオペレーターたちに矢継ぎ早に指示を下していた。
「3ポイントへの同時侵入、そして防壁突破までのこの速度‥‥なんてスピードなの?!」
『安全機構による自発停止、稼動。《スフィンクス》が完全に沈黙しました! 《ラドン》、《オルトロス》も侵食率57%を突破していますっ!』
 新人のオペレーターが恐怖の表情を湛えて御堂茜を振り返った。
「くっ‥‥! 攻勢防壁を緊急展開! ウチのものでも、どこの民間企業のものでもいいわっ!」
『駄目です。展開が間に合いませんっ!』
『くそっ! なんてこった!! ‥‥《スフィンクス》、《ラドン》、《オルトロス》、全て‥‥沈黙しました‥‥』


「天下のハウンドが‥‥脆いものね」
 御堂茜はコンソールの上に手を下ろし、大きく溜め息をついた。3機のメインフレームが停止し、メインスクリーンも黒一色に染まった今、管制室は沈黙に包まれていた。独立稼動の非常用システムのオレンジの光だけが、一同を照らしていた。
「待って。これは‥‥?」
 御堂茜はスクリーンを見上げた。ヘキサゴナル・モニターを構成する正六角形のセルのひとつの中で、灰色の嵐が起こっている。ノイズの切れ目からは奇妙な音が聞こえてきた。何らかの意思を持った、知的生命体の発する声のような音。しかし、人間に理解できる声ではない奇妙な音。
『非常用システムのスタンドアローンのトロンが稼動可能になりました。これで解析してみます』
 忙しくプログラムを走らせていた彼女の後輩の一人は、やがて眉をひそめた。
『なんだ‥‥こいつは‥‥?!』


ボス「ここでは侵入者のウェブスピナーが《電脳神》を早くも使っているそうな。RLシーンゆえこじつけでも関係ないのだが判定を解説して補完せよ」
こうさくいん「ラジャーでしゅー。最初は舞台裏から<社会:ウェブ>+<ストリームマップ>+<トロン>+<※AI創造>。次は<セキュリティ>+<トロン>+<※SPAM>+<※カタトニー>でしゅよ。多数決するギガトロンもやられちゃうのでしゅ!」
ボス「この物語では旧ブラックハウンド基地にあるメインフレームの名がギリシャ神話の怪物の母からとった《エキドナ》であるということになっている。深淵の魔族の母、蛇姫オラヴィーのイメージソースも恐らくこの辺りだな。
 3頭の魔犬オルトロス、黄金の林檎の番犬ラドン、スフィンクスはいずれもエキドナの子だ。実際には他にもエキドナの子は何柱もいるのだが、この話ではこの3柱が新ブラックハウンド基地のギガトロンの名となっているのだ。RLシーンは補完するのが筋だからしてほれ、多数決をするのはご愛嬌ではないか(ニヤリング)」
こうさくいん「で、でも‥‥ルナティック・オーヴァドライヴでも同じ場面があったでしゅね?」
ボス「(ギク)あ、あれもお遊びだぞ。AXYZのノルンシステムは確かにそうだな。それどころか総帥によると北米連合でも同じような話を聞いた記憶があるらしいぞ。まさかニューロエイジ各地のギガトロンはみんな3権分立なのか?Σ( ̄口 ̄;)」
こうさくいん「ニューロエイジのメインフレーム技術者はみんなアニメファンなのでしゅか‥‥(゚o゚)」
ボス「そ、それはあまりにナニでアレだな‥‥(笑)」





Opening 2/main: DOG DAY MORNING
-猟犬たちの朝

 明朝09:00、事態の収拾もいまだおぼつかないブラックハウンドのM○●NBASE発令所。
 緊急任務中でない実働可能な隊員が集められ、牙王隊長の話を待っていた。
 M○●Nブラックハウンドの任務は多岐に渡り、私服や戦闘服での任務も多い。制服である黄金の猟犬の徽章のついた黒ベースのジャケットを着ていない隊員もまばらにいた。
 だがその中でも、中東の砂の王国の女戦士を思わすダンサーの姿は一際異彩を放つ。セト・ロードでの戦いに適したジャングル迷彩のアーミーパンツに軍用ブーツ、地味な深緑色の軍用コート。その上から褐色の肌と頭を覆い隠すターバン。布から覗いた顔にはくっきりした銀髪が幾筋か垂れ、彫りの深い顔の輪郭が一層際立っている。彼女は日本もヌーヴのフランス地方の血も引いており、その大きな瞳は茶色い。
「皆も聞いていると思うが、我々M○●NBASEの電脳本部のセキュリティが昨晩、突破された」
 全身の半分以上を機械に置き換え、未だ妖月都市への侵攻を食い止めるために戦い続けている牙王隊長が言う。
「新ファーサイドの他地区、ニアサイドでも同様の事件が起こっている。侵入犯の逃亡の際にばらまかれた特殊な自己増殖型の破壊型ウィルスのせいで、未だに完全な復旧はできていない。データベースへの侵入痕跡は明らかだったが、犯人の目的が分かっていない」
 徹夜の作業で疲れを滲ませた御堂茜が、その後を継ぐ。
「今、スタッフが頑張ってシステムを復旧している所なのだけど、存分に荒らされたせいで完全に元通りにするには、少なくとも後3日はかかると思われます。侵入時のノイズを解析したところ、『立ちあがれ、母の元に』という言葉が浮かび上がりました。思想系テロリストの恐れもあります。
 目標に関する情報が不十分である今、本来は行うべきではないのだけど――事態を一刻も早く収拾するために、敵ニューロに対して直接攻撃に移ってください。データストリームの分布解析によると、犯人は旧ブラックハウンド基地の中央ギガトロン・《エキドナ》を使用している模様。旧基地の汚染状況から考えるに、敵勢力は電脳戦強度、物理的火力、耐生物化学装備ともに、重装備のテロリストの恐れがあります」
「そういうわけだ。突入は選抜チーム“ケルベロス”の8人毎の4チーム32人で行い、既に編成は済んでいる。実働可能な他の隊員はバックアップに当たってくれ」
 牙王隊長が最後を締めくくった。
「“胞子の日”対応の警備、及び通常任務のため、これ以上の人員は派遣できない。総員、注意して当たってくれ」
 居並ぶ特務警察隊員はさっと敬礼した。ローブがひととき舞い、褐色の手を出したダンサーも、それに習って崩れた敬礼をおさめた。

 軍用施設にも劣らないハウンド本部のセキュリティが突破されたこと、胞子の濃度が濃くなったことや続発する各種事件のせいで、M○●NBASEは誰もが右往左往を続ける状態が続いていた。
 世界一周旅行もできそうな大きな鋼鉄のトランクを後ろに引きずり、ダンサーはその中を一人悠然と歩んでいた。
「ケッ、こちとらこれから命懸けの仕事だってのに、引越しの準備かよ」
「おいおい、夜逃げだったらもう少し早いとこ荷造りするんだな!」
 すれ違った隊員たちが聞こえるように陰口を叩いていく。M○●N傭兵部隊から一時的に出向している彼女は正規の隊員ではなく、風当たりも一部では強い。
 はしばみ色の瞳で男たちをきっと睨みつけ、ダンサーはそのまま何も言わずに立ち去った。その表情を隠したヴェールがふわりと揺れる。
「‥‥? おい、どうした?」
「あっ、脚が‥‥動かねぇ‥‥ッ!」
 原因不明の激痛に襲われ、口の悪い隊員たちが床にのたうち回った時。その背後でかすかに空気が揺れた。ダンサーの長衣がはためき、その職業に似合わぬ繊細な指先が見えない糸を退いた時、男たちへの天罰は終わった。男たちが不思議そうに辺りを見渡す中、女戦士は長衣を翻して悠然と去っていった。

踊る人形は彼女の戦友



Opening 3/scene: Adam, quickening
-アダム、胎動

 オーサカM○●Nニアサイドに居を構えるBIOSの研究所は、一般人にも知られる地上2000mの超高層ビルだけに留まらない。その地下には、決して人の目に触れることのない施設が幾つも隠されている。
 時にM○●NBASEハッキング事件より1ヶ月前、深夜23:30。その地下施設の最深部、厳重に立ち入りが制限されたフロアの塵一つない廊下を、一人の女性研究者が規則的な足取りで歩いていた。
 女性にしては上背の高い、すらりとした姿勢。黒い髪は肩の少し上で切り揃え、耳元には小さなイヤリングが光っている。紫の混じる瞳には意志の強そうな高い知性の光を湛え、そして左目の下には泣きぼくろがあった。
 白衣を羽織った下の服の襟元には、菊の模様を象った徽章。そのしるしも、すれ違う警備員が全て敬礼していくのも、彼女が日本軍の技術将校である証しだ。

 ガード用ドロイドによるスキャニング、人的スタッフによる入念なチェック、6重のセキュリティを通過し、彼女は巨大な扉の前に立った。レベル3以上の生物災害(バイオハザード)にも耐え得る強固な扉。万が一内部で何かが起こった場合は、この扉の閉鎖で全てを食い止めることができる。
 3桁連番の付けられた研究室はBIOSでも特に大規模なプロジェクトに使われているが、111から555までしか存在しない。この扉の中央に記された研究室の名は、BIOSの一般社員が決して知らないはずの――存在しないはずの名であった。

BIOSセントラルドグマ 666研究室

 美作唯(みまさか・ゆい)博士を“666研究室”が招き入れると、そこには地下とは思えない、別世界とも思えるほどの広大な研究室が広がっていた。
 民間では手に入らない最新鋭の超高性能トロン、各種の設備、そして作業を続ける研究者たちと軍人たちが彼女を出迎える。
「美作(みまさか)博士、サンプリングの準備が完了しました。実験へはいつでも入れます」
「ご苦労。“アダム”のご機嫌の方はいかが?」
 合成プラスティック用紙に打ち出されたレポートを受け取りつつ、美作唯博士は研究室の奥へと歩き出す。
「はい、すこぶる平穏状態を保っています。揺りかごの中でぐっすりと眠っていますよ。監視プログラムの報告も異常ありません」
 その先には、特注で造られた巨大な特殊プラスチック製のポッドが鎮座していた。中は青い液体で満たされ、巨大な胎児のような生き物が眠っていた。小さな、だが折り曲がった触覚のような四肢。大きな頭部、複眼を形成中のようにも見える閉じられた目。人間とも昆虫ともつかぬ、生まれる前の姿をしたその名状しがたい生き物の体には各所にコードが取り付けられ、24時間稼動のメインフレームがデータを解析し続けている。
「いいわ。サンプリングを開始。制御遺伝子、促成遺伝子の注入を始めて」
「了解。ドミネートセル、オーバーセル、同時に注入を開始します」
 ロボットアームが青い液体の中を進み、大きな犠牲を払ってヒルコの世界から奪取してきた胎児の体に電流が走った。
「マイトーシスの増幅を確認しました。すごい‥‥驚異的なレートです。推定60000秒後に試験体は成体になると思われます。誤差、プラスマイナス900秒」
「順調ね。続けて教育遺伝子の注入を‥‥」
「博士、その件ですが」
 目立たない暗色のスーツを着たカンパニー・マンが美作博士をやんわりと遮った。
「まだ千早から、例の物の回収が済んでおりません」
「‥‥グズね」 束の間、瞳に苛立ちの色を浮かべて頭を垂れた後に、美作博士はいつもの表情に戻ると顔を上げた。
「いいわ。計画のフェイズ2を一部変更。このままデータの収集を続けなさい」
「了解しました」
 居並ぶ研究者の背後で、青い水槽の中から水泡が湧き上がった。単眼とも複眼ともつかぬ胎児のまだ開かない瞳に、一瞬だけ紅い光が灯った。


ボス「そしてまた豪華にRLシーンが続くぞよ。ここで美作唯博士は《タイムリー》を使うそうな」
こうさくいん「博士の外見は赤○リツ子博士系らしいでしゅよ〜。原案では狂った老人だったそうでしゅ。補完してるでしゅね〜o(≧▽≦)9゛」
ボス「ええいみなまで言うな。Σ( ̄口 ̄;) 耽美吸血鬼のルイ様の相手がジジィでは絵にならぬではないか。この辺がXノフコズムと違って面白いな。(ニヤリング)
 さてここはBIOSガーデンビルかどこかの地下と推定される。M○●Nで絶大な力を持つあのBIOSだ、セントラルドグマぐらい作ってもらおう。ところでグラペケのBIOSロゴはVAIOっぽくてなんかアレだな」
こうさくいん「薄型バイオトロンでも創ってるのでしゅよ〜(笑)」





Opening 3/main: Under the Pale Blue Moon
-青白い月のもとで

「同志ヨ‥‥こそワレraGaセカいの覇者TOなる時がキたnoda‥‥。イマコソ、立ちAGあre」
 人との共生。人の支配。二つへと分裂する何か。

 そのメッセージは世界に発信された。ヒルコにしか受信できない波長と振幅、ヒルコにしか理解できない言語。ヒルコでない知性体には、それは不可思議なひとときの夢となって現れ、消えていった。

 奇妙な夢を見ていた。優しく頬を撫でる風の吹く昼下がりの草原の温かさ、もはや浮力を失って久しい体が大海原の上を漂う感覚。正常な生命の種を得、母の胎内でまどろむ感覚。
 そして湧きあがってくるのはひとつの感情だった。自らの内なる獣性のたぎり、もはや体内を巡ることを止めた血のざわめき。大地を、空を、大海原を駆ける獣たちのイメージ。
 鼓動。
「同志よ、目覚めるのだ」
 鼓動。
「自らに流れる血に抗ってはならぬ」
 鼓動。
「今こそ我らが、覇者となる時。目覚めよ」

 吸血鬼が昼間に陥る眠りは深く、夢を見る頻度は定命の者よりも少ない。見たとしてもそれは、不死の生を得る前とは幾分異なるものだ。だがその日の夢は非常に鮮明であり、強い心象をもって目覚めた後も記憶に残っているのだった。

 夕暮れを過ぎた妖月都市の光が窓から差しこむ中、ホテルの一室でまどろんでいた美影身がその身を起こした。頭を振って奇妙な夢を追い払い、鳴り続ける電話を取ると致命的な日光の去った窓の元へと歩いていく。

ルイ、カイン人の貴公子、ファタリーテの主

 ルイ・タン。フランスで生と不死の生を受けた華人のヴァンパイア。賤民の娘たちが熱に浮かされたように引き寄せられる黒銀の瞳の美貌の持ち主。闇の抱擁を受けてより三十余年、彼は二十代の若者の外見の中に凍りついた情熱を封じ、闇に舞う夜光蟲(ノクティルーカ)として定命の民の世界をさ迷ってきた。
「ああ、ごめん‥‥休んでいたところだったんだ」
『すみません。起こしてしまったかしら?』
 電話の相手は美作麻耶(みまさか・まや)、ルイをこの妖月都市に呼んだ依頼人だった。
「夜行便は寝心地が悪くてね。分かった。約束の店で落ち合おう」
 ルイは目を凝らした。頑強なドームに守られたファーサイド、青白い月に照らされたM○●Nの夜景が眼下に広がっていた。


「頼みたいのは地下街のA-3からC-3エリアの調査だ。旧ハウンド基地のある一帯だな。場所が場所だけに、危険は予想できるが、彼女の立っての依頼だ」
「そんなに悪化してるのかい?」
 いつものように注文したキール・ロワイヤルに口をつけながら、ルイは亡霊医師レドリック・アッシャーの話を聞いていた。その横には依頼人の美作麻耶が立っている。肩で切り揃えた髪を金色に染めた、高い知性を感じさせる女性だった。その紫がかった瞳と、左の瞳の下にあるほくろがルイの注意を引いた。
 とはいえ、ルイは誰構わず人間の女に声を掛けるようなタイプではない。長兄の幼妻と互いに惹かれ合い、代償として不死の呪いを受けた時から、女にはもう懲りているのだ。
「ええ。公的機関への最近の報告では、そのエリアでの新種のミュータントの報告例が異常に多くなっています。かなり物騒になっているとも。企業が実験を行っている可能性もあります」
 麻耶は調査費用のクレッドクリスを手渡した。
「別に謝礼はいいよ」
 だが苦笑したレドリック・アッシャーに促され、ルイはクリスを受け取った。
人間であった時からアン・タピ・ヴェールの香主の息子として何不自由なく暮らし、時が止まった後もそれを引きずっているルイには金銭感覚が著しく欠落している。今でもAXYZ成竜門近辺の住処には財産にものを言わせて専属のコックや侍女を雇い、優雅な暮らしを営んでいるのだ。
「なるべく手遅れにならないうちに‥‥お願いします。ある事を、確かめたいのです」
 頷き、若き血族は約束のバーを後にした。夜の眷属たちの時間が始まろうとしていた。

Noctiluca: The Chinese Vampire



Opening 4/scene: NITEVIJION
-ナイトヴィジョン

 ニアサイド、夕方のニュースラッシュを控えたM○●Nマリオネット編成局。奥の壁一面を占領する巨大モニターは分割され、M○●N内外の様々な映像が写っていた。

【皆さん! BIOSとM○●Nは不可分、運命共同体であります! 私、天津昂一郎はこのBIOS社長就任の大役を仰せつかった今、全てのM○●N市民の皆さんに‥‥】
【こんにちはっ! 『M○●N Express』レポーター、ヒカル・古館です! 今回はM○●Nの名物スポットのひとつ、テンペランスの緑林街に来ていま〜す。ヒューヒュー! ここは、M○●Nでもっとも死国に近いところとして有名なのですが‥‥、をを?! あそこにテングのお姉さんがいますね。早速話を聞いてみましょう。ちょっとすみません、そこのお姉すわぁん‥‥】

 突然、分割された全ての画面にノイズが走った。全ての映像が消え、砂嵐が一面を覆う。
「おい、どうした? 電波障害か?」
「判りません! 突然操作不能になりまして‥‥あっと、建物全体で供給電力が落ちているそうです。まるでどこかに吸い取られているみたいだって‥‥??」
「ともかく、一刻も早く復旧しろ!」
 数分後、システムは復旧した。モニターからは嵐が去り、何事もなかったように夕方のニュースが流れている。
【では天気予報です。今週末のM○●Nの空模様ですが、高気圧の接近により、乾燥した空模様になると思われます。また死国で発生した磁気嵐の影響により、新瀬戸内空港発の航空ダイヤには乱れが出る模様です。続いて、今週の『胞子の日』予報ですが‥‥】


ボス「パンツァーガールにしろがね系人形使いにウワサのカイン人の貴公子が登場したところでまたまた豪華にRLシーンなのだ。さてここでちらりと出てくるレポーターのヒカル・古館嬢はただのエキストラではないらしいのう。おまけに解説して補完せよ(ニヤリング)」
こうさくいん「ラジャーでしゅーo(≧▽≦)9゛ スタイルはトーキー◎,マヤカシ,カブキ●、19歳女性。災厄前のかのイチロー=フルタチの血をひいた実況中継命のレポーター。各種特技に加えてミストレスのエニグマ、CheerfulAngelは小さな天使。鼓舞応援しながら口癖は『ヒュー♪ヒュー♪ガンバッテー♪』だそうでしゅよ。シーでしゅよ〜巴里でしゅよ〜ヽ(´▽`)ノ」
ボス「ええいそのネタはやめいΣ( ̄口 ̄;) というわけで正体は典型的なはたコズムのキャストの特別出演だったというわけだ(ニヤリング)」
こうさくいん「装備や外見まで分かっちゃったでしゅよー。ハマ方面もこれでカバーでしゅ〜」
ボス「ふふふ。内部に情報提供者がいると諜報活動もジツに楽だのう(ニヤソ)」
こうさくいん「そうでしゅね〜(ニヤソ)」





Opening 4/main: Immediate Aktion
-即時行動

 M○●Nニアサイド南東部、月華院大学付属中学校。
 裕福な企業社員層の子供を中心に多数の生徒を抱えるこの学校は、潤沢な予算と良質の設備に恵まれ、ミュータントたちの攻めぎあう外世界とは隔絶した環境の中で生徒たちを育てていた。
 折しも放課後を告げるチャイムが鳴り、校舎から一斉に制服姿の生徒たちが吐き出される。校門までの道のりは黄色い歓声で一杯になった。
「そうそう、で、その店がすごく美味しいの! もう“プラッツ”のドーナツなんかよりガゼンって感じで」
「輸入物の本物のお茶も飲んでみたいよねー」
「あれ、珠代ちゃんて、今日もお迎えだっけ?」
「うん。じゃ、また今度時間があった時に、そのお店行こうね。ばいばーい」
 女子中学生の列から一人が別れ、鞄を手に軽やかに駆けてきた。深い緑が基調のジャケットとミニスカートの清楚な制服、胸には白いリボンが揺れている。その先に待つのは防弾装甲つきの最高級のリムジン。公式には千早重工のさる重要な社員の息女として育てられている原田珠代には、クラスメートの知らない重要な職務があるのだ。
 手を振る彼女に気付き、運転手が雑誌を脇に置く。車の側で煙草を吹かしていた護衛の男は彼女を認め、煙草を投げ捨てた。サイバーアイに置換後も青く鋭い目、やや陰のあるブリテン系の風貌。護衛相手を護り、死神との約定を果たす為の各種の武器を隠した深い黒のコートはゆらりと揺れ、その主が夜の力そのものを引きずっているようにも思わせる。
 千早重工M○●N支社長、篠原郁と同義である女子中学生、原田珠代には今、デス・ロードがその護衛の任に就いていた。
 軽い足取りで珠代が歩いてきた時、校舎の方で何かが光った。

「‥‥伏せろ」
 視界の隅で何かが動いた時、俺の体が半ば自動的に動いた。彼女の身を屈ませ、光を操作して隠しておいたシールドを引き寄せる。
 どんな交戦状況下でも、経験があれば自然と動けるものだ。N◎VAと世界の街で体験した戦いが、GEBの戦場と連隊本部(クレムリン)殺戮の館(キリング・ハウス)での訓練で染みついた反応が、俺の体を動かした。
「車の陰へ回れ。早くッ」
「は、はいっ」
 俺たちが遮蔽を取った時、二発目の銃声が聞こえた。狙撃された時の反応の基本は、今なお遮蔽を取ることだ。銃弾はリムジンを揺らしていた。幸いにして最高級の防弾仕様だが、大口径のライフル弾や特殊弾を使われたり、相手がよほどの腕効きだった場合には話も変わる。

"Death Lord"

 俺はダズルを抜いた。モデル番号【22】のジュノー製13mmオートはいつものように滑らかに手に収まり、ボンネットの上から向けられるべき方向を速やかにポイントした。
 余計な突起のない一体型ポリ・カーボネイトのフォルムは、服やポケットに隠匿した状態から即座に抜くことになる都市での使用には非常に適している。北米のN.A.P.D.で支持されるわけだ。
 スマートリンク用のコネクタが手に触れ、銃の見ている画像が視界の中に重なった。医務室から狙撃用ライフルとおぼしき長物を構えていた男は既に長い銃身を引き、撤退の姿勢に入っている。
「今の校医さんは誰だい」
「いえ、でもあんな人知りません!」
 ある程度の人数で2チームに分かれて警護しているならともかく、ここでの深追いは危険だ。俺は反撃を止めて拳銃を下ろした。護衛対象を安全な場所に移送するのが先だ。
「車に乗って」 鞄を抱えた彼女を後部ドアから押しこみ、運転手に合図する。「出せ」
 ドアが閉まるよりも早く、リムジンは発進した。銃声に驚いて集まってきた人だかりを後に、大通りを千早アークに向かって速度を上げる。
 リアウィンドウから遠くなっていく現場の様子を眺めながら、俺はダズル・バレットを安全に戻した。パンサーが機能を停止し、視界の中から照星が消える。
 娘一人にはずいぶん大きい対座式のコンパートメントで、彼女は大きく息をしていた。無理もない。もう一人の彼女は襲撃には慣れていても、目の前の彼女は違うだろう。
「初めて見る人でした。いつのまに‥‥」
「物騒な学校だな‥‥」

危機に挑むものが勝利する -GEB陸軍第22SMF連隊徽章



Opening 5/scene: Unbreakable
-突破不能

 光学式カメラを完全に騙せる高性能光学迷彩に身を包み、ペネトレーション要員達は速やかに内部侵入を果たした。二日前に清掃員に化けた工作員がネジを外しておいた通風孔から侵入、ゴーグルのスイッチを入れ、網の目のように張り巡らされた赤外線センサーの位置を確認する。電脳班が入手したフロアレイアウト通り。
 決められた通りの経路で全ての監視カメラとレーダーをかわし、ワイヤーによる移動で床の重力センサーをやり過ごす。
 整然かつ速やかに、影のように進む彼らは目標地点に到達した。IANUSのオプション機器に関する秘匿性の高い研究が行われているC2の第216研究室だ。
 2時間に1回変わるパスワードを入手済みのアルゴリズムで突破、ドアを開けて暗い室内に忍び込む。機密情報の収められたメインフレームは目の前だった。

[社外秘] 閲覧には分類S-4の機密取扱資格が必要です

完全独立型人格カードにおけるペルソナの保存:理論と実例

-C2 Konfidential-
Identifikation Input_
Login:
Axess Kode:

 要員の一人が携帯型超高性能トロンのカバーを開き、コネクト。 侵入者の情報を完全に隠匿する偽証プログラムの殻を纏い、データ内部に手を伸ばす。

##### Axess Denied #####

 光量が抑えられていた室内に突如明かりが灯った。けたたましい警告音が鳴り響き、廊下に足音がこだまする。
 侵入者たちは声を立てずに息を飲んだ。計画は完璧だった。今回のミッションの為に入念に準備し、この為に何週間もの専門教育を受けてきたのだから。どこかに間違いが起こったのだ。
「‥‥ここまでか」
 閃光が走った。警備用ドロイドと人間の警備員が走ってきたとき、研究室内部は破壊されていた。侵入者が何人だったのか判別もできないほどに中は一掃され、かつて人間であったものの破片がわずかに床に散らばっていた。



Opening 5/main: Man on the Moon
-マン・オン・ザ・ムーン

 千早重工M○●N支社長室。少女の姿でM○●N千早を動かす篠原郁がスクリーンに示したのは、ただ一文 "Projekt: Konquest" の文字だった。
「半年前からBIOS内に潜入していた諜報員が消息を絶った。我が社に最後に送信された暗号メールの内容がこれよ」
「プロジェクト・コンクエストねぇ‥‥反日派の連中がデッチ上げたヨタ話じゃないんですか?」 ツァンイェはサングラスの陰で笑った。
「実在したとしても、あの“大佐”が許すとは思えませんがね」
 N◎VA本社査察部後方処理課、“呪眼”の蒼月。ノロイメのツァンイェ。大陸の血を引くカンパニー・マン。常にサングラスで隠されたそのふたつの妖瞳の持つ力は、要人警護にも情報工作にも向かない。1班でも2班でもなく――裏世界にその名の轟く3班が動き出す積極的な“処理”において、もっとも活用できる力だ。
 そのプロジェクトは日本本国の中の一部の急進派が画策していると言われる、世界に対する日本のさらなる進出計画。支配基盤をさらに強固にする軍備拡張、仮想敵国を対象とした作戦行動の指針。完全な統治下となった属国における極めて統一された思想教育。
 災厄が起こる前、神風の吹く大日本帝国が愚かにも唱えたと言う“大東亜共栄圏”の構想にそれは似ていた。その思想をより過激に、地球規模に広げたとも言える。
 安っぽい世界征服計画と言えなくもないが、現在の日本にはそれを実際に実行できる力があるだけに、ただの冗談としては笑えない部分があった。

「しばらく前、N◎VAのC2研究所がBIOSの部隊に強襲を受けたわ。失敗に終わったけど、狙っていたのはスタンドアローンの人格カードだったの。これからも私だけを執拗に狙ってくるつもりかもしれない」
「昨日も賊に襲われたそうで。社長、心中お察し致します」
 後方処理課員は慇懃に頭を下げた。「ですが、貴方は運がいい。襲われたその時、隣に彼がいたんですからね」
 そのまま視線を、脇に控えている男にやる。屈強な体と介入を拒む抑制されたプロの雰囲気を深い黒のコートに包み、支社長のボディガードに雇われた男がそこにいた。
「アレックスさんでしたね。よろしく」
 ツァンイェは本心を隠すサングラスを直した。
「なんでも、死の領域に属してるそうじゃないですか。後で、教えて欲しいもんですね」
「フン」 死神の使いは不敵に微笑むだけだった。
「‥‥面白いな。最近の千早重工は、重要な部署に純粋な日本人以外も雇うのかい」
「こんなご時世だ。千早も固いことは言ってられないんですよ」
 華人のコーポレートはおどけたように肩を竦めた。
「今や世界全体がひとつの舞台みたいなもんですからね。私たちにとって見れば、こいつぁ、マジカルミステリーツアーみたいなもんだ」

金の死眼 銀の妖眼


【前編】【中編】【後編
n a v i g a t o r

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...... Ruler of the Moon / (Paj.1) ......

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