Dawn of Siberian Xpress -アルプスに見えるけど背景はウラルでしゅ(笑)
〜シベリア鉄道の夜明け〜
いふる漢爵&四季先生と遊ぼう!

不可触編】【前編】【中編】【後編
n a v i g a t o r

(ルビを使用しているため、IE5.0以上での補完がお勧めです)


こうさくいん「というわけでエレガントに迎撃作戦なのでしゅよ〜」
ボス「うむ!『星の救世主』『月の支配者』と来て次に太陽を期待された方々にはスマヌが太陽光は非常に弱いのだ。(笑) 大陸鉄道もオフィシャルになったことだし今回は趣向を変えて北の世界の車窓からアクトである。この物語においては、モスクワから線路を変えて〜ウラル〜クリルタイへと続くシベリア鉄道が存在していることになっているゆえ、その旨を理解して読まれるとよい。本当に氷河期が近づいているならどうやっても人が住めないぐらいに寒いような気もするが、あえてその辺りには目をつぶっておるところもあるぞよ。旅に風情は大事だからなっ!(笑)」
こうさくいん「わーいユカプーもふっかちゅでしゅね〜ヽ(´▽`)ノ」
ボス「シ●コン化の進むシルヴィオお兄タマの理想の妹とは相変わらず反対側にいるがな(笑) そして二代目村雨ぽんに、あの10万Hit記念ページに寄贈いただいたはたマロで叫んでいるクロノスぽんが! 今、北の大地にナノマシンが轟くぞ!」
こうさくいん「そして! ブランゲーネ様はメ、メイドなのでしゅね!(☆w☆) これも初めてでしゅよ!」
さんままん「た、たまらんのう(´∀`;)」
こうさくいん「わーいボスも公認でしゅ〜ヽ(´▽`)ノ」
ボス「Σ( ̄口 ̄;) し、しもうた。うっかりさんままん氏のロールプレイをしてしもうた。ええぃ情緒ある旅のアクトなりテロリズムの中に見え隠れる悲しい復讐劇なり他に言うことはないのか。とにかく始まりじゃあ」
こうさくいん「北の大地にれっつらごーでしゅよ〜(>ω<)」



And so, they appeared under the mysterious world .....


Handle: “IceAge”クロノス・ディア
Style: カゲ◎●,カブト,マヤカシ Aj: 18、9? Jender:
 10年前のロシアの傭兵部隊“シルバーファング”に所属していた傭兵。軍に人体改造を受けており、両手にインプラントされたナノマシン型微細バイオトロンより戦闘モードをシフトするプログラムをインストール可能。“アルテミス”“アレス”の神の名を冠したモードにおいて、兵士の個人戦闘力の限界を超えた力を発揮する。
 サイバー手術の後遺症かかつて体験した事件の衝撃からか、肉体の成長が10年前から止まっており、凍りついた時は未だ彼の外見を若者のままに留めている。
 だが、部隊を壊滅に追い込んだ敵は討たれ、極寒のロシアの真冬の夜に夜明けをもたらす物語は終わった。神の腕を持つ若者は歌姫に一時の別れを告げ、凍った時が溶ける時を求めて世界を旅している。
Player: (はた)×弐
▼ヨコハマ勢のはたクンです。そう、当サイトの10万Hit記念ページにめでたく寄贈してもらった大作レポ はたマロ でも妄想倍数跳ね上がりの大暴れ大活躍をしているあのクロノスの登場ですよ! 外見は格闘ゲーム『ギルティギア』のカイだそうです。
 グラペケが出てから皆さん色々頭を捻ったであろうオカルトでない変種のエニグマ。エニグマ相当のナノマシン形態バイオトロンで本人が<■合技>を繰り出すクロノスぽんはその最たるものです。ほとんどN◎VAシステムの枠を超え気味のこの強さは、ヨコハマでも悪名‥‥いや、名物だとかなんとか。

常駐戦術プログラム、索敵攻撃から殲滅戦仕様に書き換え

Handle: 御門 忠明 (みかど・ただあき)
Style: カブト=カブト◎●,カタナ Aj: 28  Jender:
 古流剣術、八坂神伝流小太刀二刀術の正当な後継者。秘剣使いであり、八坂神伝流の様々な秘伝の技を繰り出す。十七夜(かなぎ)と名づけられた二本の小太刀を携え、黒一色の服に身を包んだ長身の青年。プロのボディガードでストイックな剣士なのだが、やや愛想に欠けている。
Player: X
▼やや久々の同志Xノフスキーがふっかちゅです。ヽ(´▽`)ノ 新型の御門、どことなくっていうか確実にあの黒の死神に似ているような気もしますが武装を変えた改良型なのでしょうか?(←人間です)
 やはり100%純和風コズム健在、今度は小太刀二刀流です。奥義は六の秘剣・薄氷(うすらい)だとか。もしや回天剣舞六連みたいにゴイスーなのか?(ぽわぽわ〜ん)

八坂神伝流小太刀二刀術 -いざ!

Handle: “真紅の魔弾”ユカ・プルデーレ
Style: レッガー◎,カブトワリ,バサラ● Aj: 18 Jender:
 N◎VAタタラ街にあるレディ・イザベラ率いるコルシオーネ・ファミリーの末娘にして、悪魔を気取る煉獄の使徒。赤一色の癖っ毛の不良少女だが、小娘と侮った相手はトンプソンから吐き出される燃え狂う弾丸に後悔することになる。
真紅の小悪魔が現世で暴れ出してから2年、彼女も少し背が伸び、そのハンドルも大人びたものに変わった。とはいえその本質はあまり変わっていない。こう見えても“聖人”ジョニィの手下。
Player: 九龍
▼お兄タマがどんどんダメになっていく中、妹のユカプーがふっかちゅです。既にマスタークラスの<元力:火炎/正>8Lvは十分にアイタタタですが更に凶悪なことに、ヨコハマ方面でのアクトをくぐり抜けて<※ピンホール・ショット>が生えてきました。(ブルブルブル) これが完全に決まるとヴィークルも余裕で倒せたり敵がアヤカシだと有利が増えてゴイスーなことになります。ギャー。死ぬー。悪魔の力だぁ!(怯)

コルシオーネの小さな悪魔

Handle: “ブランゲーネ”
Style: カブキ◎●,タタラ,カゲ Aj: 24 Jender:
 メイド派遣会社に勤めるベテランメイド。北米、ヌーヴのあちこちの名家の護りを勤め、今はグレートエール&ブリテンのグランツ家を預かっている。
結い上げた銀髪に眼鏡、エプロンドレスの魅惑的な姿だが、惑わされてはいけない。ドレスの下のどこかに隠された拳銃にボウガン、各種爆弾の山に瞬間的に現れるトラップと、家事全般以外にも密かな実力の持ち主なのだ。
Player: いふる
▼桃花源にもずいぶん前からいたWebノバラーの中でも実は古株のいふる漢爵が帝都を来訪です。どうして漢爵なのかはよく分かりません。(笑)
 な、なんと眼鏡っ娘のメイドらしいでしゅよ。(くわっ!) SPOONコート相当のエプロンドレスに武器の隠された二十面相相当の勝負下着のガーターベルトがお、お約束だそうでしゅ。(くわっ!) ダメなのかドリィ夢なのかよく分かりませんが、こ、こういうのを趣味全開のキャストと言うのでしょうか?
 彼女の名は財団の偵察通り戯曲『トリスタンとイゾルデ』の侍女の名のようです。<芸術:歌劇>も持っています。すると今回のトリスタンは誰なのかな?(ぽわぽわ〜ん)

何か御用はありませんか?

Handle: “広報部の華”静元 涼子 【Profile
Style: クグツ◎,トーキー,ミストレス● Aj: 30? Jender:
 オーストラリア本社の中堅企業ニューセンチュリー・バイオテック・コーポレーションのN◎VA支社、広報部2課対外取材班の主任。自分の立場と仕事を楽しむキャリアウーマン。好奇心の強い快活な女性で、社内でも慕われている。ハウンドに勤める弟がいる。カブトの肩を持つことが何故か多いらしい。
▼星也巡査のお姉さんがシベリア鉄道のセレモニー取材に北に旅することになりました。敵は不良小娘系にメイド+眼鏡っ娘のハイブリッド。もう三十(ZapZapZap)の彼女は圧倒的に不利です。‥‥嘘です。そんな争奪戦イヤです。弟と誰かが嘆きましゅ。

独立した女性 -Musik by Destiny's Child

Ruler: 四季
▼前回はPLだった死季センセーが今度はRLです。いふる漢爵と同じく考えてみれば知り合ったのもけっこう前からですなあ。(遠い目) 今回は多少のブランクもなんのその、シナリオを持ってきてくれました。ヽ(´▽`)ノ
 今回のキャスト女性陣をしっかりモノの長女、物静かな次女、ムードメーカーの三女あたりで姉妹になぞらえたらどうかというネタが出た途端、センセー、大いに語り出します。似てない三姉妹はよく登場するんだそうです。年上系も隠しシナリオで攻略可能だったりなかったりするそうで。うーん何の話か全然わかんにゃいにゃ〜(笑)




Dawn of Siberian Xpress -アルプスに見えるけど背景はウラルでしゅ(笑)
〜シベリア鉄道の夜明け〜



Opening 1: Footsteps
- フットステップ


 吹雪の中を歩いているのはクロノス一人だった。
 駈け出しの傭兵として混成部隊に参加した今回の作戦は悲惨なものだった。モスクワを出発した時は約3個大隊規模だった舞台は激しい吹雪とグレムリン・エフェクトに見舞われ、ほぼ壊滅状態となっていた。
 動かなくなっている戦闘車両の側でうずくまっている仲間がいた。クロノスは肩を貸すと、二人で雪に埋もれていく車両を後にした。
「早く、本隊に連絡するんだ」
「ええ。早く離脱しましょう‥‥」
 GPSの画面も吹雪で視認が難しい。二人の苦労をよそに、吹雪はいっそう強く吹きつけ、二人分の足跡も見るまに白一色の平原に埋もれていった。

 クロノス・ディアは目を覚ました。寝ていたのは致命的な雪の中ではなく、N◎VAの自室だった。夢だ。十年以上も前、彼が19歳の外見のまま歳月を氷の時(アイスエイジ)の中に閉じこめるようになったのよりもっと昔、駆け出しの頃の記憶の一部が永久凍土の底から漏れ、夢の中で溶け出していたのだ。
 両手を見やる。少しもかじかんだところはなかった。自分では原理も知らない超高性能のナノマシン型バイオトロンを埋めこまれた両腕がそこにあり、戦闘プログラムのインストール時に輝く手の甲には何の紋章も現れてはいなかった。
 電話が鳴った。前に懇意にしていたロシア政府のチャービル・イワノフ国視正からだった。電話で話すのはずいぶん久し振りになる。
「シベリア鉄道に乗って欲しいって? どういう風の吹き回しだい」
『テロの可能性があるのだよ‥‥。“雪の使者”というグループは君も知っているだろう』
「テロね」 各国の国家組織が着目している遊牧民に端を欲するテログループの名を記憶の中から呼び覚ますと、クロノスは苦笑した。
「N◎VAでも、イワヤトが吹っ飛びかけたりしたよ」
『そちらも大変だったな‥‥。来てくれるな? 列車はグレートエール&ブリテン(GEB)を発ち、モスクワからシベリア鉄道独自の路線に入る。GEBで女性に会って欲しい』
了解(ポジティヴ)だ。10時間後に会うよ」
 ロシアの大平原と同じ色の銀髪をかきあげると、クロノスは準備を始めた。

常駐戦術プログラム、索敵攻撃から殲滅戦仕様に書き換え



Opening 2: Live and Let Die
- 死ぬのは奴らだ


 ユカ・プルデーレは最後の打ち合わせをしていた。話が来たのはコルシオーネ・ファミリーのさらに上、紅蓮の重鎮勢からだった。
 3枚の写真の中で倒れているのはいずれもST☆Rで活動していた紅蓮の構成員。脳天をぶち抜かれ、頭の中身と赤いものでねっとりした池を頭の回りに作り出している。
 殺った犯人も分かっていた。テロ組織“雪の使者”所属の素性不明の天才スナイパー、“イーグルアイ”と呼ばれる殺し屋だ。世界に散っている紅蓮のファミリーがその足取りを掴んでいた。“イーグルアイ”はブリテンからシベリア鉄道に乗り込み、何かを為す手はずになっていた。乗客名簿の中の誰なのかは皆目見当がついていなかったが、その中に確実に紛れこんでいるのだ。
「そいつがシベリアで何をやらかすつもりだろうが関係ねぇ」 連絡係は支払保証済みのゴールドのカードを滑らせた。「奴の頭によく風が通るようにしてやるんだ」
「大丈夫だって」 ユカは前金をしまいこむと立ち上がった。「じゃ、行ってくるよ」
 コルシオーネには火を吐く子悪魔がいると近隣の裏社会の人間に恐れられるようになってからしばらく経つ。アイスの好きな子悪魔は少しだけ大きくなり、炎の吐息よりほんの少しだけ分別が増した真紅の魔弾を撃ち込む射手となっていた。
 喫茶店のガラスの壁面に映る自分の姿を認める。北へ行くと聞いたので服装も変えてみた。赤みかかった黒のカーディガンにロングスカート、その力を表す深い赤の髪と同じ色をしたスカーフ。この格好でまずはロンドンに飛ぶのだ。
 懐から英国情報部(MI-6)と同じ名前の多機能サングラスを取り出すと掛けてみる。ガラスの向こうに映ったヒットマンの姿はなかなかにクールで (E) 感じだった。自分の中で満足すると、成長中の子悪魔は足早に歩き出した。

コルシオーネの小さな悪魔



Opening 3: Indepentent Women
- インデペンデント・ウーメン

「しーずもーとくーん!」
 ‥‥あの課長、オフィスじゅうに響くような声で私の名前を呼んで来た。恥ずかしいったらありゃしないわよねー。どうしてこういつも上司に恵まれないのかしら‥‥?
 わたくしの名は静元涼子。豪州のアデレードに本社のあるニューセンチュリー・バイオテック・コーポレーションのN◎VA支社、広報部2課対外取材班の主任です――っていうといつも聞き返されるのだけど、大きな組織って得てしてそういうものなのよね。

Independent Woman -Ms.Shizumoto

 元は生命工学の研究所から始まったうちの会社はいろんな事業を始めて、社名そのままの企業ではなくなってきています。子会社の製薬会社とか、ヨコハマの方であのLIMNETと頑張っているプラグドNC・ドットコムとか。
 円滑な人間関係や柔軟な対応力の為に、組織の常として定期的な人事移動があるのはよくあること。でもねー、人畜無害なおじさんならまだしも、なんでよりによってあんなのが突然うちにやってくるのよ‥‥


 内心後ずさり気味にミーティングスペースにやってきた静元女史の前で、新課長は意気揚揚と電子ホワイトボードに一筆したためた。


“男のロマン! シベリア鉄道一週間の旅”


「これだよ! これを君に密着取材してもらおうと、思うッ!」
「‥‥課長。男のロマンはたいへんに結構ですけど、女性読者のことは考えておられます?」
 冷静に指摘する実取材担当者の前で、新課長は下の方に書かれた但し書きをとんとんと指差した。
 北方を悩ます謎のグレムリン・エフェクトの影響を受けない、単純かつ力強くそして古式ゆかしい蒸気機関車。シベリア鉄道はグレートエール&ブリテン連合王国を出発し、前世紀から続くロシアの都モスクワ、そして氷河を渡りウラルを横断してゆくという。建造に大きく携わったチャービル・イワノフ国視正自身も列車に乗りこむそうだ。
「(‥‥そうね。煙を吐きながら純白の大地をひた走る蒸気機関車。窓の外にどこまでも続く雪原に想いを馳せる女性記者‥‥なんて、ちょっと絵になるものね)」
 しばし頭の中で空想旅行の図に浸っていた涼子は、準備金と切符と各種書類を受け取った。
「分かりました。わたくしがやりましょう。掛かった経費はきちんと計算してあとで請求させていただきますので、フォローお願いしますわね」
「うんうん。頼むぞ静元君。君だけが頼りだっ!」
 感涙にむせび、新課長は小柄なベテラン女性主任の肩をがしがしと叩いた。
「‥‥課長。それ、セクハラと思われますわよ」
 その場を抜け出して涼子は身を翻し、ボブカットの髪を揺らして颯爽と朝のオフィスの中を去ってゆこうとした。そこへ、ひとつ言い忘れた課長が後ろから呑気に声を掛ける。
「ああ、そうそう静元君。申し込み用紙は挟んどいたけど、生命保険に入っといたほうがいいよー」
 席に戻ろうとしていたキャリア・ウーマンは顔を半分引きつらせ、微妙な笑顔を浮かべながら振り向いた。
「‥‥か、課長。まさか、最近話題になってる、テロ関連ですとか?」
 急ぎ足で戻ってくる涼子に、新課長はシベリア鉄道を狙っているというテロ組織の一連の話をする。
 頼みの綱は鉄道の出発地ブリテンだった。鉄道建設に携わったディル・グランツ女性技師は名家グランツ家の血筋に連なり、ブリテンで屋敷に住んでいる。ロシアのチャービル国視正も親しくしているとのことだ。メイド派遣会社から派遣され、現在そのグランツ家を維持しているメイド長がブランゲーネという、前にNCB社と関係のあった人物だった。
「‥‥あの、ふつう、そういう危険な任務の際には、こう、か弱い女性を護ってくれる護衛の男の人を雇ったりするものじゃありません?」
「いやー。今期の予算もあるし、私も自慢じゃないがこう見えて顔が狭くてねー。その人を当たってくれたまえ」
 ファイルの中では薄い金色の髪を結い上げ、灰色の瞳に控えめな微笑を浮かべた眼鏡の北欧美人が写っていた。
「(‥‥あの派手な下着の人だったかしら?)」
 涼子は何かの大きなイベントの時に会った女性のことを思い出した。スタイル抜群、てきぱきとした完璧な仕事ぶり、よく似合うメイド服。だが一番印象に残っているのは、更衣室でばったり出くわした時に目撃した、勝負下着だとでもいうのだろうか――男どもの悦びそうな赤いガーターベルトだった。
 記憶を思い起こしながら、涼子は席に帰っていった。
「じゃあな、たーのーむーぞー」
 新課長はハンカチを振ると、異国へひとり赴く女性記者を万感の想いを込めて課長席から見送っていた。


 こういうわけで、私は旅立つことになってしまったの。はー、なんでこう上司に恵まれないのかしらねー。
 まあ出発はあのブリテンだし、会社のお金でただで海外旅行できるんだし、よしとしましょう。あーあ、これで仕事でなくてあの人が一緒だったらなおいいんだけど‥‥

独立した女性 -Musik by Destiny's Child



Opening 4: B L A D E
- ブレイド


 災厄の街トーキョーN◎VAにおいて、引退した凄腕カブトが開いたボディガード斡旋企業は事実上の業界標準となっている。ナイト・ワーデンには盾に誓いを立てた騎士も、そうでないものも多くが契約を結び、自らの力を振るう時を待っていた。
 御門忠明もその一人だった。世界が傾く前、鉄砲が猛威を振るうようになるよりさらに昔、日出ずる国の武士たちが伝えた古流剣術、八坂神伝流小太刀二刀術。今の世界では使い手の絶えて久しい、いにしえの技の正統後継者。
 ブロッカーの開いた騎士団は剣の種類を選ばない。二刀流の剣士はワーデンと契約を結び、プロフェッショナルとして摩天楼の谷間でその刃を振るっているのだった。

『有給休暇中だったな。調子はどうだい。永久休暇じゃないけどな』
 自分と世間のイメージとずいぶん違う社長の言葉に、御門は眉をひそめた。
「‥‥社長。社長になられてから、少し変わっていませんか」
「いやいやいや。心の余裕だよ。さて肝心の仕事の話だが‥‥」
 任務はGEB行きだった。護衛相手はロンドンH@ZEに屋敷を構える名家グランツ家の車両技師、ディル・グランツ嬢。彼女が携わったシベリア鉄道に乗りこみ、終着駅のホロシリまで護衛すること。主な障害として予想できるのは、テログループ“雪の使者”による妨害だ。元々は雪の民という遊牧民出身のこの集団はかつての内紛の頃にシベリアに侵攻してきたロシア軍に虐殺を受け、激しくロシアを憎んでいる。
「テロか‥‥」
 御門は呟き、鉛色に曇ったN◎VAの空を見上げた。

八坂神伝流小太刀二刀術 -いざ!

 鉛色の空の下、グランツ家の邸宅は広がっていた。面積に限りがあるN◎VAと異なり、GEBのロンドンH@ZE郊外の土地をふんだんに使った敷地内には建物の他にもゆったりした庭や噴水が広がり、城と見まごうばかりになっている。
 正門を抜け、進む黒衣の剣士はプロ特有の視線を周囲に放った。正門始め庭植の中にも監視カメラが備えてある。だが本職の目から見ると、この屋敷のセキュリティ設備はかなり甘いものだった。
 静かなエンジンの音を認め、御門はそちらを見やった。広い屋敷を移動するのに使うのだろうか、低速のみの4輪の小型移動車が近付いてくる。運転しているのは清楚なメイド服に身を包んだ眼鏡の女性だった。
「これはどうも、御門様。以前は北米でお会いしましたね」
「お久し振りです。ミス・ブランゲーネ」
 車から降りてきたブランゲーネは丁寧にお辞儀をした。結い上げた銀髪の波打つ前髪が垂れ、ちょこんと乗ったカチューシャが頭の動きに合わせて揺れた。深緑のワンピースを覆うフリルのついた胸までのエプロンドレスというお城から抜け出してきたような典雅な格好は申し分なく、膝までのスカートの下からはストッキングに包まれた脚が優美な曲線を描いて伸びている。
 控えめに微笑む彼女は完璧なメイドだったが、日本剣術と日本文化に心酔している御門忠明はただ会釈を返すだけだった。

 エプロンドレスを翻して先導するブランゲーネに従い、二刀流の剣士は書斎に案内された。護衛相手のディル・グランツと面会し、旅行の詳細を打ち合せる。グランツ家の跡取は三十路前、少しやつれた感じのするショートヘアの女性だった。シベリア鉄道における危険は不確定用素が多い。彼女に及ぶ危険はある種予想がつかない面があった。
「御門さん、どうぞ」
 考え事に没頭していた御門ははっと顔をあげた。穏やかに微笑んだブランゲーネがお茶を持って控えていた。
「‥‥ああ、ありがとう」
 プロフェッショナルである御門忠明がまったく気付かないうちに刀の間合いの内まで近付かれていた。いつ淹れたのかと思うほど早く、しかも彼の好みを覚えていたのかレモンを添えた紅茶であるところまで完璧だった。内心驚嘆しながら、黒衣の剣士は一息つくことにした。


ボス「さて各自のオープニングも終わっていよいよ揃った感じだな。ブラーネ様のお茶は<※超スピード作業><隠密><心理>を<制作:料理>で出しているそうだぞ。<※早変わり>もあるので完璧だ。考えてみるとこのセッションレポートにはタタラがあまり出てこない気がするがそれだけに一層際立つな(笑)」
こうさくいん「<社会:メイド>も持っている本職でしゅよー。Postにも堂々とメイドと書いてあるでしゅ〜(>_<) しかも! いふる漢爵の談話によると! 持ちキャストの中でメイドだけで一個中隊が編成できるそうでしゅ!“8(≧▽≦8)」
ボス「い、一個中隊‥‥Σ( ̄口 ̄;) 概算しても30名か。恐るべきいふるコズム‥‥奇襲作戦が実行されたら財団の電脳諜報部が軽く制圧されてしまいそうだ‥‥」
こうさくいん「そんな制圧なら喜んで降伏するでしゅよ〜ヽ(´▽`)ノ」
ボス「ええい戦う前から負けるなぁ。脱線しすぎじゃあ。主役キャストの一人である彼女がセッション全体の中で脇役的に退いて振舞ってくれたことが、実際のアクトの中でもこのレポートコンテンツでも助かったな。オープニングも御門ぽんと共通なのだ。ちなみにN◎VA者はミカドというとクリルタイのアノ人関係や軌道のアノ一族関係をつい思い浮かべてしまいがちだが、彼は関係ないので気をつけてたもれ(笑)」
こうさくいん「んんーやっぱり村雨ぽんに通ずるところがあるでしゅね〜(笑) ユカプーも御姉様もなんか少し妄想してるでしゅ〜o(≧▽≦)9゛」
ボス「んんー(笑) さて本編なのだ」

何か御用はありませんか?



Chapter 01: Kome on Get up
- カム・オン・ゲット・アップ


 クロノス・ディアは内心困っていた。ブリテンについたはいいが、グランツ家までの道のりがいまいちよく分からない。ロンドンH@ZEは何もかも勝手が違った。生憎、タクシーも何故か近くにやってこない。雪の戦場で発揮される不屈のサバイバル能力も、異国の街中では役に立たなかった。
「あら、クロノスくーん!」
 聞き覚えのある声に、街角をうろうろしていたクロノスは手を振って駆けてくる相手を認めた。明るい色の女性用コート、その下のビジネスジャケットと紫のスカーフ。ハンドバッグと地図を手に、低いヒールで元気に駆けてくるその様はいかにも闊達な女性に見えるが、少し小柄なのが記憶に残っている。
「ああ‥‥静元じゃないか」
 前に行動を共にしたことのある日系人のトーキーが近付いてくると、好奇心旺盛なその紫の瞳と同色の飾りが両耳で揺れていた。
 クロノスが懇意にしているチャービル国視正のことに触れると、静元涼子は意外そうな顔をした。同じ目的のようだ。
 軍用ジャケットを着たまま所在なげにしているクロノスを上から下まで眺めると、NCB広報部のキャリアウーマンは悪戯っぽく微笑んだ。
「ははーん。あなた、もしかして道に迷ってるの?」
「その‥‥まあ、そんなところだ」
 図星を突かれ、クロノスは渋い顔をした。執拗な追撃が始まるのかと思いきや、彼女は両手を合わせると懇願してきた。
「じゃあ、一緒に行きましょう。お願い! 知り合いということで、私も一緒に中に入れてくれない?」

常駐戦術プログラム、索敵攻撃から殲滅戦仕様に書き換え

「さーて、挨拶と観光ついでに情報収集かー!」
 冬仕様にカーディガンにロングスカート、深紅色(クリムゾン)の視線を隠すサングラス。なかなかにKoolで (E) 紅蓮のヒットマンのなりで固めたユカ・プルデーレは、いくぶん順番の間違った台詞を呟きつつ散歩していた。
 “イーグル・アイ”は完璧な素性不明のスナイパーであり、今までのどんな仕事でもその正体が割れたことがなかった。テログループ“雪の使者”に属していること、今回のシベリア鉄道に乗車することだけが確実だ。
 そして、このスナイパーと組んで仕事を行っているもう一人の実行人員がいるという。こちらも、素性は完全に不明だった。
 待ち合わせ場所の公園に赴く。時間通りに男が現れた。紅蓮の息のかかったスコットランドヤード内部の人間だ。
「まさか走ってる列車に突然現れたりできるような奴でなきゃあ、この乗客名簿で分かるはずです」
 ベンチで座りながら、封筒を手早くユカの方へ渡す。確かにそんなバサラ能力を持つ超常能力者や魔法使いの類であれば、探すのは余計難しくなる。幸い“イーグル・アイ”の噂にそうした点はなかった。本物の方もマンデインであることを祈るしかない。
 ユカはふと、火炎使いである自分の身の回りにいるそうした能力者を並べてみた。世話などいらない自分の面倒見役のつもりでいるらしいシスコン気味の兄シルヴィオ・プルデーレ。相変わらず優柔不断なゲオルグ・ブレナン。なんとかして弱みを握ってあの態度を崩してやりたいアレックス・タウンゼント。考えてみるとずいぶん多い。
「こいつはどうも、優秀なヤードさん」
 サングラスを下ろして目配せすると、ユカは周りに気を配りつつ去ってゆく男を見送った。
 18歳の女ヒットマンはさっそく乗客名簿の写しを開いた。ロシアのお偉いさんや名家に続いて一般乗客の名が連なっている。戦闘屋のビズで一緒になった元ロシア傭兵のクロノス。荒事のビズで仕方なく相棒になったカブトの御門忠明。取材記者として乗り込むことになっている静元涼子の名も‥‥名字になんだか聞き覚えがあるような気がする。蒸気列車の相客は知っている名前ばかりだった。

コルシオーネの小さな悪魔



Chapter 02: Meet at London
- ロンドンで会いましょう


「いらっしゃいませ、クロノス・ディア様。チャービル国視正が応接室でお待ちです」
 ぶらりとグランツ家の屋敷を訪ねてきた銀髪の若者に、ブランゲーネは丁寧にお辞儀をした。ぶっきらぼうな若者もまた御門忠明と同じように、彼女の格好にはさして目を奪われた様子がない。
 グランツ家を守る優秀なメイド嬢は眼鏡を直すと、長身の若者の横にちょこんといる小柄なスーツ姿の女性を認めた。
「これは、静元様もお久し振りです」
「あらブランゲーネさん、相変わらず綺麗な格好ね」
 微笑みあう二人の間に、果たして見えない火花は散ったのか。ブランゲーネは二人を中に案内した。
「彼女はアポイントメントを取っていないらしいんだが、いいかな」
「ご友人でしたら、構わないと思いますよ」
「ごめんなさいねー。知り合いがいるとほんと助かるわよねー」
 三人は長い廊下を進み、応接室へと向かった。

「よく来てくれた、クロノス。じかに会うのは久し振りだな」
 壁際に控える御門忠明の前で、チャービル・イワノフ国視正が待っていた。恰幅のよい体を包む幅広の制服、白髪に短い口髭。外交官としての特権によって、国視正は一個中隊規模の私設軍を所有する権利を持っており、今日も背後には二人の男女が控えていた。マグワート特務大佐とマレイン・フォルクス・ガナード大尉。御門忠明はずっと彼らに注意を払っていたが、高度に訓練されたその実力の片鱗を見せることもなく、押し黙って控えている。
 シベリア鉄道建造に直接携わったディル・グランツ女性技師も、国視正の横で黙って座っていた。その背後には雇われた日系人の長身のカブト――御門忠明が無言で控えている。
「君の力を借りることになりそうだ。例のテログループは確実にこのシベリア鉄道を狙っておるのだよ」
 懇意にしている若者とひとしきり話すと、国視正はその横にちょこんと座ると待っている女性に目をやった。スーツの中の鮮やかな紫色のスカーフが、堅苦しい室内の中で華やいだ印象を与えている。
「ええと、約束はないようだが‥‥」


「おほん。わたくし、ニューセンチュリー・バイオテック・コーポレーション広報部から参りました静元と申します」
 まったく課長は突撃取材とか適当なこと言ってたけど、いい気なものよね。この人は人もよさそうだし、なんとかなりそうだけど‥‥
「もちろんわたくしとしましても、あくまで公正な立場を守りつつ、できるだけ好意ある取材をしたいと思っております。事前に正式な約束がなかったのは申し訳ないんですけど、ここはひとつよろしくお願いしたいところなのですけど‥‥」
「ああ、そうかね。こちらもこの鉄道のことは全世界に知ってほしいのですよ」
「国視正。この人は俺の知り合いなんだ。頼むよ」
 絶妙のタイミングで後ろから合いの手が入ってくれた。そうよ、クロノスくん、ナイスフォローよ!


 静元女史が後ろ手で示した、親指を立てた勝利のサインは部屋中の人間が見ていたが、それはさておき元より気さくなチャービル・イワノフ国視正は取材旅行を快く了承した。
 対面は終わり、ふたたびブランゲーネに導かれて一同は部屋を出た。屋敷の中それぞれの方向へ散って行く。
 彫刻の並ぶゆったりした廊下は、大都会に暮らす人間たちにとっては博物館並に珍しい場所だ。静元涼子は特別製のカメラを取り出すと、記念に一枚その情景を収めた。一緒に映った国視正の護衛の特務大佐は明るく呼び掛けたにも関わらず、むっつりと表情を変えないままだった。

独立した女性 -Musik by Destiny's Child



Chapter 03: Departure
- デパーチャー


 GEB本社の大陸横断鉄道公社が運営する同鉄道が開通し、ニューロエイジ世界の陸の旅はひとつに繋がった。実際には大陸間横断鉄道と呼称してもおかしくないこの鉄道はGEB連合王国を発ち、ロシアを回り、果ては海中に設置されたトンネルを通って豪州大陸、キャンベラAXYZまで達する。
 シベリア鉄道はこの路線を借り、ロンドンからモスクワまでは大陸鉄道の特別便という扱いで同じ線路を走る。そこから先は、4本の線路の上を走る特別製の蒸気機関車の孤独な旅だ。ウラルの山々と氷原を超え、終着駅のホロシーはクリルタイ連邦の国境に近いところに存在している。
 大陸鉄道と出発点を兼ねていることもあり、広いホームは人でごった返していた。
 大きなトランクに料理とお茶の用具一式、その他主人の身の回りの世話の用意、そして幾つかの緊急用の用意を忍ばせ、ブランゲーネは主と同行者たちを待っていた。専門の派遣企業から遣わされた本職のメイドの仕事は、旅行中も変わらない。羽織ったコートの下はいつものエプロンドレス、編み上げ靴の代わりに今だけはウォーキングシューズのその格好は行きかう乗客たちの中で一際目立っている。だが彼女は少しも動じることなく立ち、人込みの中を渡ってこようと苦戦している少し小柄な日本人女性を待っていた。
「どうぞ、静元さん。こちらです」
「あら、悪いわねー」
 頭上の標識がなかったら混乱しそうなホームで正しい方向を指し示すと、ブランゲーネは先頭に立ってゆっくり歩き出した。大きなトランクを持ち運ぶのに既に大苦戦していた涼子は一も二もなくそれに続き、安堵のため息をもらした。

何か御用はありませんか?


 あまり多くもない荷物の袋を肩に担ぎ、クロノスは長い大陸鉄道の1両を使ったVIP車両へ向かって歩いていた。
 ふと見ると、売り子らしい小柄な若い娘が大きなワゴンを押していた。ピンクのウェイトレス服にエプロンスカートという、ブランゲーネにも負けず劣らずの見事な制服からすらりと脚が伸びている。金髪を頭の上でふたつの房に分けて垂らしたその顔立ちは十分に可愛かったが、普通に魅力的な娘というよりも、何か故意に売上の増加でも狙っているようにさえ見える。
「あの、VIP車両はそこの1両先でよかったですよね?」
 制服の胸のスタッフ章にはサフラン・アルフィーネと記されていた。
「ああ、そうだよ」
 二十歳前の若者の外見でより多くの歳月を過ごしてきたクロノスは、それほど感慨を受けた風でもなく答えた。娘はにっこり笑うと彼とすれ違い、飲み物と酒と昼食と様々なものが満載されたワゴンを押して列車最後部の方へ歩いていった。ブランゲーネに劣らない美人が同じ列車に乗ることが判明した以外にも何か引っ掛かるものを感じ、クロノスはその姿をちらりと振り返るのだった。


こうさくいん「をを? ブランゲーネ様に続いてまた制服なのでしゅよ!(☆w☆) ダブルポニテでしゅ〜o(≧へ≦)9゛」
ボス「売り子のサフランは頭の上の方で結んでおるそうじゃからな。ダブルポニテは頭の上、首の付け根に近い方で結ぶのはツインテールだそうな。しかし四季センセーと漢爵閣下始め一部がこの話題になると熱く語り出すのはなぜなのかのう(ニヤリング)」
こうさくいん「わーいシベリア鉄道は華やかでしゅね〜ヽ(´▽`)ノ」
ボス「ここでクロノスは彼女のペルソナがチャクラであることに感付いている。これにも理由があるのだが、それはいずれ明かされよう」

常駐戦術プログラム、索敵攻撃から殲滅戦仕様に書き換え

 一方。ユカ・プルデーレはふてくされてホームを歩いていた。ファミリーの面々に送るおみやげは配送サービスでN◎VAに手配済み。意気揚揚と乗車しようとしたところ、仕事に使うつもりだった大型ライフルが見事に発見されて没収されてしまったのだ。
 あまりに悔しいので人込みの中で力を使う。尻尾のない子悪魔の姿は宙に浮いた一瞬の炎の輪と共に消え、乗客用入口の側に現れる。手に入れた切符は3両目を使ったVIP専用車両だ。駅員に切符を見せて、階段を上がる。
「!?」
 入ろうとした途端、目の前で散った白刃の煌きにユカは息を呑んだ。Koolで (E) サングラスがずりおち、驚いた深紅色の眼が頭上を見つめる先には、黒一色の衣装の無愛想なカブトがふたつの刀を行く手と喉元に突きつけていた。
「なんだよー。ここは、紳士淑女のシャコウバだろ」
「その台詞、淑女になってからにしろ」
 表情を少しも変えずに御門忠明は答えた。ふたつの刃は再び煌くと、驚くべき速さで鞘に収まり、古流剣術を操る剣士の服の下にどこへともなく消えた。
 外に目をやってから、御門がユカに中に入るように合図する。ようやく紅蓮のヒットマンは大柄な男の脇から中に入り、廊下からドアを開けた。
 大陸鉄道の客車の幅は広い。VIP用車両はとりわけゆったりと余裕を持って作られ、共同用の部屋はさながら高級ホテルの一室のようである。
 幾つもある荷物の整理をしているメイド、机の一角に陣取るとタップの準備をしているスーツの女。そのそばの椅子の上では、軍用ブーツを履いた長い脚を組み、首にチョークをあしらった銀髪の若者が外を眺めていた。いささか場違いな赤い髪の娘がVIP車両に入ってくると、全員の視線が集まる。
「よお、クロノス」 前に荒事を一緒にやってのけた傭兵を見つけ、ユカは気安く声を掛けた。
「よう」 若者は笑った。「ここは、紳士淑女の集まる場だろ?」
「‥‥だったら、邪魔にならないようにすりゃいいんだろ」
 声に煉獄の炎を滲ませ、ユカは低く答えた。
「ねえクロノスくん、あの子だあれ?」
 タップをいじっていた企業人風の女が、何か面白いものでも見つけたようにそばの若者に顔を近づけると問い掛ける。
「ああ。ただの紅蓮の小娘だよ」
「へー。知り合いが幅広いのねぇ」
 感心したように答えるクグツの女の声も、ぶっきらぼうなクロノスの声も、ユカには十分に聞こえた。紅蓮から送り込まれてきた最凶ヒットマンは、銃を取り上げられたことで燃え上がった内なる炎にさらに油を注ぐのだった。

コルシオーネの小さな悪魔


不可触編】【前編】【中編】【後編
n a v i g a t o r

---Bar from V:tM---

...... Dawn of Siberian Railroad ......

レポートのページへ戻る

dice-jp.com > Iwasi Studio > Report > Dawn of Siberian Xpress 1
Back to RI-Foundation TOP > NOVA