
〜さらば、麗しき波濤よ 第二部 さらば、麗しき波濤よ〜
ダーククイーン陛下&フクムラお兄タマと遊ぼう!
| 第一部 挽歌は奔流の如く | 【伝説】【前編】【後編】 |
| 第二部 さらば、麗しき波濤よ | 【幕間】【前編】【後編】 |
-大河の水先案内-
(河霧彦陛下のお達しによりIE5以上で見られたし。)
| 第七章 暗き絶望の波間より |
海の水は凍れるほどに冷たく、そして暗かった。激しい雨が叩きつける水面は遥か頭上に消え、何も見えない。濡れた服の裾で揺れているはずの翡翠の刺繍も、冷たい塩水の中に消えていく涙も。
「憎い、あの女が‥‥。ザルムが憎い‥‥」
強い潮の流れが体を弄び、流してゆく。
『哀れな女。良いわ。わたしの復活のために働くのならば、復讐の機会を与えましょう』
威厳に満ちたその声は、暗い海よりも、何も見えぬ海の底よりも、もっと深い何かに染まった声であった。
古ぼけた告解部屋であった。天上の主への罪の
小さな扉がばんと開き、僧衣に身を包んだ女の司祭が出てきた。泣き続ける女の肩を掴むと告解部屋から引きずり出す。
希望の御子アングルスのしるし、暁の子の鎖に縛られた
濃い金髪を結いあげ、ゆったりとした黒の僧衣に身を包んだ
「よいですか! あなたは、夫を裏切ったのです。その不貞の行いを始めた時のことを思い出してみなさい。拒もうと思えば拒めたはず。でも、貴方は拒まなかった‥‥それは、あなたの心の奥底に、淫らで汚らわしい想いがあったからよッ!」
「司祭さま‥‥あたしは、あたしは罪深い女です‥‥」
色の薄い金髪を乱したままに、女は泣き崩れるままだった。司祭は容赦なく追い討ちを掛けるように、さらに女をなじる。
「子まで為しておきながら、不憫とは思わないのですか。考えてもみなさい。その子は一生、私生児となじられ続け、貴方の不貞のために不幸な人生を送るのよ。貴方はもっと早く、神の元で詫びるべきだった‥‥ッ」
「主よ、お許しください、救世母さま、お慈悲を‥‥」
百人目の女の肩に、司祭はそっと手を置いた。
「‥‥辛いでしょう、こうして生きていくのは。貴方のようなあまりに罪深い人間が取るべき道は、真実の書には記されていないの。でも大丈夫。救世母様はきっとあなたを分かってくださる。だから、決めなさい。迷うことも、痛みを感じることもない。一生の苦しみから、すぐに解放されるのよ‥‥さあ」
「‥‥‥‥はい、司祭さま‥‥‥‥」
先ほどまでの禍禍しさはどこへやら、偽りの司祭ドロテアは一転して安らいだ表情を浮かべた。
安らいだ表情で教会の裏口へ――波が押し寄せる切り立った崖へ――向かう女が決意したのは、真教の聖典『真実の書』には決して記されていない道‥‥すなわち、自らの命を絶つことである。
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その時、教会の古びた大扉が勢いよく開いた。扉は中の壁に当たり、二人しかいない |
普段と変わらぬ調子でハーランドは告げ、軽い驚きから立ち直ったドロテアは態度を取り繕うと問うた。
「好きだった女を、ぶち殺しちまってな」
「‥‥おや、貴方もあの汚らわしい不貞の女に惑わされたのね」
「ウェルテクス様が復活すれば、ザルムは一夜で滅ぶ。もう二度とあんな化物の女は現れないわ」
「ちょっとやそっとの懺悔じゃ足りないぜ」
ハーランドは低く告げ、その鉄色の眼は暗い輝きを帯びた。
「こっちは、徳の高い司祭にも手を上げなきゃならないんだ」
「そうよ。神は許すものと、教えたのはあなたのはず。ドロテア、何故」
その後ろから現れたクレリアが、哀しげな顔で光のない瞳を
「あら、わたくしを罰するつもり? だったらお互い様ね」
司祭は教会では決して見せなかった表情を浮かべた。
「わたくしは貴方を最初に見た時から、その体の聖痕を奪うつもりだったのだから。そう‥‥その透き通るような声をね」
そして、盲目の
「それからそちらの聖騎士様もお久し振りね。魔女討伐の大義、本当によい仕事をしてくれたわ。あの女と戦ってくれたお陰で、わたくしは自分の仕事に専念できたのだから」
「‥‥これ以上、誰も傷つけさせる訳にはいかない」
神聖騎士団員オスヴァルトが抜剣し、数多くの害悪を退けてきたその右手の
そして、対峙する両者の緊張を破るように、鋭い声が死への旅路へ踏み出そうとしている百人目の女に投げ掛けられた。その声は身分ある女王の声のように、不貞の女に掛けられた呪縛を打ち破った。発したのはマリア、力を与えたのは暁の子の聖痕であった。
「早く正気に返って帰んなさいッ! アンタ、クララのお母サンでしょ。あの子が待ってるわよ」
操られるように崖へ踏み出そうとしていたクララの母親がはっと脚を止め、
「あと一人だったというのに‥‥どこまでもどこまでも、邪魔をしてくれるのね」
貴族然とした
「そんなにあの“お友達”が心配なの? 夫を裏切ったあんな愚かな女が? 心配しなくても、すぐに会わせてあげるわ」
「フン」 殺戮者のもたらす圧倒的な気迫にも少しも動じず、夜にこそ輝く美女は言った。
「男に構ってもらえないからって、勝手にしてんじゃないわよ!
だいたい男の一人や二人で絶望する、アンタの方がよっぽど見苦しいわ!」
五十年の昔、絶望により身を投げて果てた
だが息遣いが聞こえるわけでもなく、騎士はなんら人らしい素振りを見せなかった。顔をすっぽりと覆う
司祭ドロテアは首から下げた胸の
「そうよ。わたくしはあの雨の日に、海に身を投げた。雨音さえ聞こえない暗い海の中で、体じゅうのぬくもりを奪われながら、何も見えない海の底に沈んでいったのよ。
この町の港はもうあの暗い波間に沈みつつある‥‥きっと無数の人が私と同じ思いをしているはずよ。わたくしには分かるの。冷たくて、怖くて、苦しくて‥‥。ああ、なんてこの絶望は心地よいのでしょう!」
くつくつと忍び笑いを漏らし、闇に落ちて止まった時の中を過ごした尊い
「あの日、あの忌まわしい女がディートリヒを惑わさなければ、わたくしも父上も死なずに済んだ。なんて汚らわしい、人を堕落させる魔物なんでしょう。わたくしはもう金輪際見たくもない‥‥だから、ザルムは嫌いなの」
神に仕える聖職者が闇に堕ちていたことに衝撃を受けていた公子アリアンは何も言い返すこともできず、愛する男を奪われた女を声もなく見つめるだけだった。

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こうさくいん「ドロテア司祭は‥‥第一部だと善い人だったのに‥‥(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル」 |
| 第八章 主よ、御身は我らの心の秘密を知り給う |
「ドロテア。あなたには絶望しか見えないというのなら、別の力を見せてあげるわ」
「そうさ。マグダレーナの仇討ちだよ。誰がアンタなんかに負けるかい!」
闇に捕われた司祭、物言わぬ巨大な騎士の圧倒的な気迫に臆せず、二人の女がことばを発する。クレリアの透き通る声に応えて現れたのは、力の術士エフェトスの幻、まったくの
美女の声援を受け、ハーランドとオスヴァルトが同時に巨大な敵に挑み掛かる。振り回される剣を避け、ハーランドは発止とばかりに剛き魔法の
だが、相手は甲冑の中はまったくのがらんどう、
「殴っても‥‥ダメなのか‥‥?!」
銀髪の傭兵は憎々しげに呟き、頭上から振り下ろされる黒い剣を避ける。
「ハーランドさん、ここは私が」 一計を案じたオスヴァルトが前に出た。
「それ以上人を傷つけたいのならば、私の相手をしてみろっ」
教会は高台にあるというのに、壊れた椅子の散らばる
だが、河の力の加護を願った公子本人は今しばし悩んでいた。元はといえば恋多き
悩むアリアンをよそに、司祭ドロテアは海の魔神ウェルテクスに助けを願った。恩寵の印として刻まれた魔神のしるし、使徒エフェクトスの聖痕に等しい破壊のしるしが流れの中から現れる幾本もの
「駄目よ。あなたにはザルムの力は分からないわ‥‥」 |
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打ち鳴らされた黒き大剣が振り下ろされ、掲げられたオスヴァルトの盾が火花を散らせた。凄まじい腕力であった。一歩退いたオスヴァルトは目を険しくした。漆黒の剣と
闇の加護を表す魔神の
クレリアの透き通った
ハーランドは再び渾身の力を込めて魔法の戦槌を振るった。相手が並の人間ならば鉄壁の守りごと地に打ち倒せるだけの力を持った一撃であったが、巨大な黒い甲冑はまたしてもよろめいただけで踏み止まった。
「チッ! 足りねェ、任せるぞ!」
決意したハーランドは横のオスヴァルトに呼びかけた。オスヴァルトが頷いた時、
騎士の剣を手放した
オスヴァルトが戦槌を受け取った途端、ハーランドの姿が霞み始めたのだ。傷跡だらけの体をした大柄な銀髪の傭兵の姿は海上の

「ならば、わたくしが全てのものに破滅の輝きを与えて差し上げるわ‥‥」
祈る相手は天上の主か海底の魔神か、司祭ドロテアがマテラの言葉で祈りを捧げれば、
合唱の中で戦士たちの戦いは続いた。公子アリアンは迷いながらも河の力の加護を願い、足元に満ちる水が吹き上がるように手元の槍へと吸い込まれる。星の如く五つに広がった
怪力に任せた
声にならない雄叫びを上げ、
オスヴァルトとアリアンは攻勢に転じた。アルカナの歌に導かれ顕現した
戦槌が振るわれ、闇の騎士の棘のついた鎧の破片が弾け飛ぶ。聖なる戦への闇の
続く一撃はさらに剛く、黒い
潮水の女王ウェルテクスから授けられた忠実な部下が倒れたのを見てとると、司祭ドロテアは
「駄目。塵は塵に、土は土に、滅びなさい、騎士よ」
それを遮ったのは透き通るような美しい声、
巨大な甲冑はばらばらになると転がった。戦いの最中と同じく、その面頬の下にも、厚い胸当ての下にも何もなく、ただ海の潮の塊が鎧の裏のそこここにこびりついているだけであった。

くるぶしまで溜まった水を掻きわけ、オスヴァルト卿は重装の騎士としては格段の速度で背徳の
盗み蓄えたエフェクトスの聖痕が水上の爆発となって水しぶきが散るも、神聖騎士団員オスヴァルトは司祭ドロテアにその槌を向けた。だが忠実な部下を失ってもなお殺戮者は闇の気迫を纏い、僧衣の下から抜いた見事な
「死は安らぎよ‥‥わたくしに当てられますか?」
司祭の瞳は五十年前のラインフェルデン伯令嬢と同じ
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一方、甲冑の残骸と化した闇の騎士の前に佇む公子アリアンの胸の内には未だ迷いがあった。河の民一族は陸の人間の分けた旧派新派の区別なく、天上の主アーを尊んでいる。元は河の乙女の為したこと、神に仕える司祭を害してよいものだろうか? |
「‥‥
穂先の
否、河の王国に降り注いだ光を集めて造られた槍は少しも迷うことなく、その五つ又の先を向けた。河の力を纏い、討ち果たすべき相手のもとに一直線に飛んだ。数々の聖痕と数々の魔印、魔神の篤い加護の元に掛けられた魔法の護りを打ち破り、司祭ドロテアの体を深々と貫く。
「まだよ‥‥ザルムには‥‥ザルムにはやられないわ‥‥ッ!」
だが神々の博士フィニスの聖痕が、司祭の命の灯火をふたたび灯した。僧衣を血で濡らしながらも、踏み止まったドロテア司祭は胸から自分の手で槍を引き抜く。
アーの許しを願いながら、そこへオスヴァルトが踏み込んだ。義手の右手の
だがそれは、オズが放浪者だった頃より習い覚えている惑わしの技だった。左の手の戦槌が力強く振るわれた。 |
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「ウェル‥‥テ‥‥クスさま、わたくしの‥‥わたくしの命は、もう、終わ‥‥り‥‥な、の、ですか‥‥っ!」
結い上げていた金髪が乱れ、水に濡らしながら、それでも司祭は数歩だけ海の方に這い進んだ。かつて貴き
地に堕ちた星の欠片が輝き出した。司祭が僧衣の中に隠していた聖痕、五十年もの間盗み蓄え続けた天のしるしが輝き出し、宙に浮かぶ。力を失った
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崖の上の高台に位置する教会からは眼下に公都カルデンブルクを見ることができた。遠目にも波は退き、全てが落ちついたことが見えている。きっと救助活動も始まっていることだろう。 |
「‥‥アンタは自分の想いに殉じて死ねたけど、マグダレーナは――」
僧服の下かと思われるその布に刺繍されてあったのは、古ぼけた
「――できなかった‥‥」
マリアはその布をゆっくりと握り潰した。

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こうさくいん「司祭は塵に帰り邪悪は滅ぼされても‥‥死んだ人は元には戻らないのでしゅね‥‥(>_<)」 |
| 終章一 星降る詩 |
公都カルデンブルクを津波が襲った日より一ヶ月の時が経った。犠牲者の数は決して少なくはなかったものの、彼らは丁重に葬られた。
沿岸の店は立て直され、船は再び造られた。まだ完全な復興には至っていないものの、
《汽笛亭》にほど近い広場では、ひとりの |
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用事の帰りに足を止めた聖堂の
そんな聴衆を前に、失われた
「今は昔の神の時代。空に星が満ち、温かな太陽の時代。河人の若き王フルスと、海の女王の哀しき物語‥‥」

| 終章二 遺された髪飾り |
彼女が出てきた家は
マリアは荷物を纏め、旅の仕度をしていた。旧友の仇は討たれ、務めは果たされた。賑やかな公都カルデンブルクは仕事の口には困らずに済むし楽しい都であったが、商売敵も多く、また上の締めつけも少々強い。どの町に行っても彼女は困ることはなかった。彼女の踊りに目を奪われる客と彼女の肌を求める男たちが必ずおり、時には彼女を巻き込む厄介ごとと、彼女が導くべき相手もいる。
幾つかある装身具を纏めながら、マリアはふと
「ふふ。‥‥当分は、必要ないわね」
しばしその髪飾りに細い指を這わせてから、
カルデンブルクを離れ、いざ次なる町へ。そしてマリアにはもうひとつやることがあった――世間知らずのあの坊やを、見送らねばならない。

| 終章三 さらば、麗しき波濤よ |
キルヘンの流れは変わらず、澄んだ水が力強く、音を発てながら河口へと流れ込んでゆく。河原の石にぶつかった流れは泡立ち、しばしその姿を留めていた。早瀬の姫が消えていったのと同じ、白い泡。
河原には一人の男が佇んでいた。長身、手入れのされていない銀髪、傷痕の走る隆々とした体。旅装だが荷物も少なく、強力な魔法の
よく見かける無骨な雰囲気を漂わす傭兵姿だったが、その表情はいつになく深い思いに沈んでいた。
その力強い手が動いた。弧を描いて水面に落ちたものは、ごく簡単に布で巻かれた花束だった。とりたてて統一もない季節の花は、流れの中でゆっくりと下流に向かっていった。
「‥‥ザルムはどういう花が好みなのか、あの坊っちゃんに聞いときゃよかったかな」
沈むことなく流れてゆく花束を眺めながら、傭兵は呟いた。
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「一度死んだこんな姿じゃ、会いに来る資格もなかったけどよ。でも、会いに来ちまった」 |

| 終章四 聖盾のもとに |
ゆえにオスヴァルト卿は何の心残りもなく、公都カルデンブルクを単騎離れることができた。はやる心を
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オスヴァルトは王城の詰め所のお気に入りの一角に腰掛け、鎧の下から |
非業の死を遂げた商人ニコラウスは河に棲む
人の気配を感じ、オズは笛を止めた。振り返ると、そこに一人の
かつて少年の頃に邂逅を果たし、未来永劫この人を護って生きようとオズが密かに誓った人物がそこにいた。オズが賜った十字架の主、誉れも高き神聖騎士団
エステルランドを守護する聖なる盾、その

| 終章五 瑠璃の騎士 |
静かに流れるキルヘンの川縁では、ここでも別れの時が来ようとしていた。川縁に佇む金髪の美女と、その前にいる色黒の若者。そして二人の後ろでは、盲目の
「じゃあね、坊や。次に来る時は、ちゃんと食べて、もっと大きくなってから来るんだよ。もう少し背が伸びないと、
マリアは笑うと、王侯貴族と見紛うばかりの美しい少年の濡れたような黝い髪をくしゃくしゃに撫でた。女王もかくやの
「‥‥ところで、マリアさん」 澄んだ河底の如き
「今回のことは、元を正せばぼくたちザルムの、河の乙女が人を好きになったことが原因でした。
‥‥男と女の愛というのは、そんなに複雑なものなのでしょうか」
「そうね」 たくさんの男と女の情愛を見てきた
「でも、決めちまえば簡単よ。だから、アンタも好きな子ができたら、さっさと言っちまった方がいいのよ」
「はぁ。そうします」
麗しき夜の踊り子は正しくもあり間違ってもいることを答え、河の世界の若き公子は神妙に頷いた。
やがて、アリアンは水の中に足を踏み出した。元から薄着の服、右手には星の光を集めた槍が姿を変えた
「それでは、世話になりました。我らがクラール王と、金色外套王アイルハルトが交わしたいにしえの盟約は、今も続いています」
異国の王子の如き初々しい高貴さを漂わす若者は言った。 |
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「ああ、アリアン」 |
とんでもなく世間知らずの公子は、瀟洒で純粋なザルム族の美しい若者は、水の中へと歩んでいった。最後の瞬間、その手が口に掛かり、見守る二人の前で
一瞬だけ、

立ち昇る泡の中、深い深い海の底、かがやきに満ちた海の宮殿。もはや忘れ去られた玉座に座するは麗しき潮水の女王、力あるアルカイ、聖レオナに封ぜられし異教の魔神。
その前にいるのは若いザルムであった。多くの河の民が命を落とした大海嘯で、民を守り散った王がそこにいた。
『女王よ、何故あそこまでお怒りになったのか。かつては巡礼を欠かさなかった我らが民に、あまりに酷い仕打ち』
女王は言った。
『王よ、私はそなたに心惹かれていたのだ。年が変わるごと、一族を率いて我が宮殿に参るそなたを。私はいつしかそなたを愛していた。歳月の中で忘れ去られようとも構わぬ。私はただひとこと、そなたの別れの言葉が聞きたかったのだ』
アリアンは答えに困った。次なる王となるべき定めにある長子でもなく、賢王ヴォーケンの子たる王子の一人というわけでもなく、ましてや未だ年若く、愛も知らない若い公子に、一体何が答えられようか?
アリアンが? みたび否、そのような名ではない。その名はフルス、“清水彦”フルス、誇り高き河の民の一族の歴史が語られるとき、王国を襲った戦の折りに民の存続の為に散った王、初代の王とも伝えられる名である。
しばし悩んだのち、王は言った。
『ならば今こそ答えよう、麗しき女王よ――』
河の王国でまどろんでいたアリアンは仰天して目覚めた。見たのは奇妙な夢だった。太古のザルム王が語り掛ける夢、ザルム王が一体となる幻視。
王の息子でもない公子の前世か、あるいは巡り巡った来世がかつての王だというのだろうか。それともそんな大それたことではなく、古代の王が何かを伝えようとしていたのだろうか。
しかしてここは
Und, Erzählung von Schöne Welle enden,
auf Strom in Kirchen ...
かくて、キルヘンの流れの中に麗しき波濤の物語は幕を閉じる。
Mit vielem Dank für:
Toll Shinohara [NEUROGUE]
Kazuhiro Hukumura [KAZZ TECH]
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ボス「というわけで、麗しき波濤の物語は無事に終わることができたのだ(´ー`)」 |
〜アルカナの歌は今や九つの巻〜
闇クレリア「そう、私は失われた歌を探しています。アルカナの力が秘められた歌を。今の私が知る歌は八つなのです」
ハーランド「へー。ディアボルスの歌はまだないんだな」
闇クレリア「そうことですから、貴方も私の魔獣になってくださらない?(ニヤソ)」
ハーランド「(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル」

〜全てを見通す瞳の巻〜
闇クレリア「この町にアルカナの力が集まりつつあります。偶然という運命に集いし力が、河の魔女を打ち払うことでしょう。私には光が見えるのです」
オズぽん「なるほど、さきの詩人殿。光がないからこそ見えるものもあるか‥‥」
闇クレリア「ええ。だから貴方の胸のマーテルクロスの秘密も、全て見えていますのよ(ニヤソ)」
オズぽん「(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル」

〜夜の踊り手の人生設計の巻〜
闇クレリア「将来はいずれ、どうなさるのですか? いつまでも踊り子という訳にもいかないでしょう」
闇マリア「そうさねえ。いいオトコをさっさと捕まえるつもりだよ」
闇クレリア「お金持ちの方が、何かと都合がよろしいですね(邪笑) あの騎士様は心に決めた方がいるようですし‥‥」
闇マリア「なんだかんだいって王族だし、もう少し大きくなりゃ、あの坊やもイケそうだね(ニヤソ)」
アリアンぽん「(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル」

〜少女の挑戦の巻〜
闇クレリア「あらクララ、食べないの?」
クララ「クララ、おさかなが嫌いなの」
闇クレリア「駄目よ、ちゃんと食べなければ。そう、私が歌を歌ってあげましょう。アルカナの歌、使徒フルキフェルの歌を。
『♪サ●ナサ●ナサ●ナ〜 サ●ナ〜を食べ〜よう〜(以下略)』」
アリアンぽん「(゚Д゚;)ガーン!」

〜物語は常に変転すの巻〜
一行はハーランドを先頭に洞窟に入った。湿った洞窟は足元を水が流れていく。平たい一帯には髪を互いに結ばれた男と女の遺体が並べられている。そして、一行の背後に影が‥‥
ハーランド「シオナ!? そこにいるのか?」
超巨大ザムエルたん「フハハハ。当然そう思っただろうがここでシナリオ変更だ。ブレカナ公式シナリオの中で最も愛されている麿であるこの俺が相手をしてやる。ありがたいと思え」
マリア「なんだって? これもアタシたちが周知プレイだからっていう暗黒女王の陰謀なのかい? それにしてもなんて脈絡のない‥‥」
ハーランド「貴様! シオナを返せ! うぉぉッ!(突撃!)」
オズ「我が同胞たちが彼奴を倒すこと幾度、彼奴を操って得た経験点が私の血肉となること幾度。私は相対するのは初めてだが、さらにここでひとたび倒すのみか‥‥ノエル団長、どうか加護を!(抜剣!)」
超巨大ザムエルたん「グハハハハ。ジェズイートなどいなくても俺一人で十分よ。オレが愛される限り宴は続くのだ。逝くぞ! 捧げよ聖痕、今宵は殺戮の宴なりッ!!」
クレリア「落ちついて皆さん。力を合わせて戦えば、この面子の戦力なら勝てます。必要な時間は1ザムエル*1もいりません。私には見えます。およそ0.5ザムエル。ですから貴方も頑張って‥‥あら、アリアン?」
アリアン「‥‥ぼく、もう帰ります」
※1 1ザムエル:約2時間に相当する時間単位。公式シナリオ「処刑都市」「黒風再来」で悪役ザムエルを倒すまでの平均時間から名付けられた。地域によっては「1処刑都市」の言い方もする。(ハイデルランド大誤解より)

さて細かいところまでお読みいただいた方だけにお送りする恒例のおまけのおまけのひみつメモの時間でーす。(てへ) 今回はPL陣もシナリオもぐっとオトナで一味違うものとなりました。ヽ(´▽`)ノ
| ★ | タイトル画像に使われているフォント Vivian Cacophony は篠原さんのプレプレアクト用ページの画像に使われているものと合わせました。そう、V:tMのカマリリャの血脈、 |
| ★ | このふたつのシナリオのイメージソングが鬼束ちひろであることは最初に触れましたが、どうもこの人の独特の歌詞、ブレカナファンには割と共感できるところがあって有名らしいです。定番ブレカナ系サイト、まいけるさんのアルカナ・フラグメンツにある用語集をチェックだ! |
| ★ | 各章たいとる。「星を帯びし者」はマキプリップの「イルスの竪琴」シリーズ1巻、「夜の片隅で」はミステリの名前、「血の如く赤く」はタニス・リーの短編集タイトル、「探求者の誓い」は《真実の剣》シリーズの中の一作、「制覇せよ、光輝の海を!」はSFのスコーリア戦記、「この世の彼方の海」はエルリック・サーガ、「茨の海」は前述の鬼束ちひろのヒットソング。そして「天の使いは来たり」「われは思いを巡らさん」「主よ、御身は我らの心の秘密を知り給う」は主を称える祈りの歌とグレゴリオ聖歌の曲名でちた。 |
| ★ | イラストからなんとなく分かるかもしれませんが、本作に登場する吟遊詩人クレリアたんのイメージソースは、かのロードス島戦記に登場する司祭レイリアだそうです。本体は額の魔器サークレットですよ冒険者の皆サン!(違) |
| ★ | 本作に登場する夜の踊り子マリアおねえさまのイメージソースは、月刊アワーズで連載中、コミックス1巻も出た漫画『ピルグリム・イェーガー』の、コミックスにまだなってない5月号の最後に3コマ出てくる屋根で葡萄を食べてアデールたちを見下ろしている女の人マルガレーテです。(長いなこれ・笑) 暗示タロットは《恋人》と見せかけて《女帝》。 16世紀イタリア、歴史の影での異能者たちの戦いを描いたこの作品、時代考証も深いし雰囲気もぐっとダークでなかなかよいです。主人公たち《三十枚の銀貨》はなんとそれぞれの異能力が全部大アルカナ(もちろんイタリア語)に象徴されており偶然とはいえチョーブレカナっぽい! ぽっくんは《恋人》の傭兵隊長ジョヴァンニを見た瞬間、拙作『雪色花の歌』に登場するシノハラコズム全開の聖グラウディシア騎士団員ヴィンケンティウス卿が思い浮かびましたゾ!(ニヤリング) |
| ★ | 第一部に出てくる情熱の河の乙女シオナ姫の外見のイメージソースを考案願ったところ、女優のモニカ・ベルッチが返ってきました。『ジェヴォーダンの獣』で扇からシャキーンのあの高級娼婦を演じた美人ですよ! そして令嬢アウグスタ/司祭ドロテアは女優のグウィネス・パルトローだそうです。ソースに映画が出てきてボクうれちー。 |
| ★ | そして第二部に出てきたマテウス・レピドゥス司教は暗黒女王陛下の御好みが結実して大人版ハリー・ポッターだそうでしゅ。マテウス司教の額に稲妻型の傷痕があるのはもちろんギャグです。(ニヤソ) |
| ★ | ちなみにザルム族の公子アリアンの名前はケルト神話の女神アリアンロッドから取りまちた。(てへ) 月と運命の女神ですが星の銀輪で海を掻き回している‥‥というところが偶然ですがちょっと似ていたので。人名としてはアリアドネから仏語ではアリアンとなり、やはり女性名のようです。 |
| ★ | 第二部のオープニングにちょっとだけ流れるムービーは最新版のFLASH MXを買った記念に製作しました。いちおう使った新機能の紹介をすると Lebewohl, Schöne Welleの文字が流れるモーションタイポグラフィー:ワンタッチでのテキストの分解、各レイヤーに分配 よく見るとURL欄にアンカーが表示:ムービーの途中をブックマーク登録が可能に ファイルサイズが小さい:主にActionScript多用のムービーに効くムービー圧縮 (本作は86%に減った) 背景で波が広がりながら手前で星型のマスクが別々に移動:オブジェクト単位のマスク でもこれが分かる人ってきっとぽっくんの友人の中で2,3人だけでしゅ。(ショボンヌ) |
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