+Date:: April 28th, A.D.2103
+Lokation:: Earth'z Orbit: Artifisial Satellite "Amaterasu"

 薄暗い中央管制室は騒然としていた。オペレーターたちの前でめまぐるしく計器が揺れ、スクリーンの中のデータは絶え間なく変化している。操作を続ける職員、忙しく行き交う軍人たち。そして強化ガラスの向こうには死の虚空が広がり、その下には傾いたひとつの世界。
「本国からの秘匿回線を通じ通達があった。地上標準時間○五○○時をもって、作戦を開始する。本作戦は演習ではない。繰り返す。本作戦は演習ではない」
 司令官の声に部屋の照明が切り替わり、冷たい虚空の星々の光だけが管制室を照らした。
「直ちにエネルギー充填に入れ。照射目標は該当メガプレックスの中央公園、災厄終結祭会場。観測急げッ!」
『了解。地上へのマイクロウェーブ照射を一時中断。“ヤマタノオロチ改”、エネルギー充填フェイズに移行します』
『フェイズ移行に問題なし。充填完了まで30時間‥‥』
 眼下の星の赤道直下、列島の中で最も高い山と鋼鉄の星を結んでいたピンク色のエネルギー波が、突如として止んだ。人工の星は虚空で僅かに身じろぎし、その位置を変えた。
『照射目標地点へ固定。周回軌道の重力計算を試算中。初期観測終了しました』
「いいか、間違っても我が国の本土に影響が及ぶような事は許されんぞ。その代わり、あの街はどうなっても構わないと幕僚本部からの仰せだ」
 日出ずる国に忠誠を誓う司令官は冷たく告げ、部下たちは忠実に命令を実行した。
『了解。拡散率を調整。照射目標を中央区・ホワイトエリア全域に拡大します』
『“ヤマタノオロチ改”、エネルギー充填フェイズ順調。現在の充填率0.73%、0.75%、0.77%‥‥』
『30時間後の天候シミュレーション実行。照射目標の上空は快晴と思われます。大気中のレーザー減衰率を再計算中‥‥』
 日出ずる国の技術の粋を集めて建造された巨大人工衛星アマテラスは赤道上の静止軌道に存在しており、常に神の瞳の如くその眼下を見下ろしている。目標の座標を調整された超精密カメラのひとつがその解像率を上げ、眼下の映像を捉えた。

 その地軸と色さえも変容してしまったひとつの惑星。雲の下、大陸とひとつとなった旧日本列島。かつてその首都が存在した列島の一角。カメラは更に解像率を上げ、赤道直下に建造されたひとつのメガ・プレックスの全景を捉える。

 その街の名は‥‥



日、堕つる国の旅人 - 災厄の真実を求める旅が、今始まる




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