|
「妖術師でも好きに呼ぶがいい。私が求めているものは迷い子には分からないだろうさ」
外見的な特徴:
ヨーロッパ(フランス)系の血が少し入ったアメリカ人。背は比較的小柄で細身。どちらかいうとトラディショナルな格好を好み、暗色のジャケットに魔術書を抱えてよく現れる。袖に隠した血の魔術用の小さなナイフや、血潮の力の込められた指輪などを持ち歩いている。
くすんだ銀灰色の長髪を備えた学者風の青年。闇の生を受けてから視力は以前よりむしろ良好なのだが、定命の頃の癖でいつも丸眼鏡を掛けている。皮肉げに目を細めて微笑むその様はあまり目つきがよいとは言えないが、その藍色の瞳の一番奥には、トレメール魔術師特有の強い意志の炎が燃えている。
略歴:
いつの世にも探求心を持った人間は絶えることがなく、シカゴの繁栄に比べると見劣りのするゲイリーの街でも収穫はあるものだ。素質のある定命の民を求めて図書館を探していたトレメール一族の目に止まったのは、ヘルメス錬金術の秘本を漁っていた大学院の若者だった。
資格ありと判断されたその知識人風の若者は実在していたヘルメス梯団の吸血魔術師一派に迎え入れられ、夜への門を開くこととなった。その後、秘せられた聖戦の中で父はアサマイトの姿なき暗殺者の手に掛かって死亡。危うくケイティフさながらに路頭に迷うところであったが、その素質を認めた第七世代の長老イライアに拾われ、弟子として育てられる。
闇の生に慣れてきた頃、彼は奨学生として学校に来ていた銀の髪の少女に出会う。後に彼女が新市街の暴動に巻き込まれて重傷を追った時、シメオンは事実を話した。身寄りのなかった彼女の意志を確認すると、魔力を持つ自分の血でその唇を濡らす。不老のグールとなった少女コルベールは主と同じ世界の住人となり、整頓を忘れがちなトレメール魔術師の館を維持する役を引き受けた。
抱擁から十数年。年経た長老たちが恐れるほどに科学技術は進み、終末の夜の予兆がかしこに現れる中、新たな千年紀が始まろうとしている。血族社会の諸事にも慣れ、師匠の期待通りの上達を見せたシメオンは権力よりも魔術と知識を求め、ゲイリーの夜を過ごしている。
冷ややかに暗黒の世界を見つめ、無作法な輩を見下す彼は世界の闇の深さと血族に掛けられた呪いの深さ、信用されない妖術師の一族のことなどをよく自虐的に口にする。皮肉げな物言いと謎めいた台詞、ひと睨みするその目つきの悪さは、意地の悪い妖術師そのものだ。
だがその奥には魔術と神秘の追求に身を焦がす探求者の心があり、時を失った血族にはもはや叶わぬと言われていること――何らかの創造を魔術を通してその身で打ち立て、闇の生に何らかのあかしを残したいという密かな渇望がある。
侍従のコルベールに亡き妹の面影を見ていること、ゲイリーの堕落した人間たちよりも高潔な魂を備えた吸血鬼であることも、彼は自覚している。ふだんの冷笑的な態度は仮面舞踏会の延長なのだ。
探求者の常として好奇心が強く、風の噂に聞く最近のトレメール上層部の混乱と暗い噂を彼なりに心配している。信義には厚く約束も守るため、その矛盾した性格を知る同胞にはよくからかわれることもあるようだ。
世紀末に抱擁された若い血族だが、過去と伝統に対しは敬意を持っている。そのためか学究の徒からは血を奪おうとしない。来たるべき終末の夜の必要な時に備えて、強力な雷撃の技や、珍しい予兆の系統魔術の修練にも手を出している。
大いなる父祖カインから遠く離れた第十三世代であることを除けば、シメオンの前途は哀れな幼童たちの中では幾分ましなものだ。師匠にも恵まれ、止まった時の中で前に進める力を本人も有している。運がよければいつかは、トレメール一族の秘儀を受け継いだ強力な魔術師になれるのかもしれない。
やがてはその研究において何かを打ち立て、空虚なる闇の生に何らかのあかしを残すのか。それともいつしか人の心を失い、怪物へと変じてしまうのか。あるいは師匠イライアと七人会議の命により、やがては見えざる闇の聖戦へと身を投じるのか。そして――静かな意志の炎の燃える藍色の瞳に赤き魔星の姿を捉えることができる彼もまた、終末の夜には何らかの役割を果たすべく定められているのだろうか?
時から解放された魔術師の物語は、いずれ語られる夜もあろう。
背景に関する詳細:
▼協力者1
街の市立大学付属図書館で司書をしている老人。古書を求めて熱心に通って来ていた青年は不思議なことに年を取らなくなったが、決まって夜に現れる彼には今も便宜を図ってくれる。
▼資産3
ゲイリー郊外にある広めの一軒家を寝処としている。定命の折の親戚の遺産もあり、生活には困らない蓄えと、書斎を始め整った設備を有している。
▼従者1
屋敷で彼の世話をしているグールが一人。人形の如き整った容貌と流れる銀髪を持ったフランス系の少女コルベール。主に対しては全幅の信頼と恩義と形を変えた愛を捧げている。その容貌はシメオンに人間だった頃に死んだ妹の面影を蘇らせるものだ。主に教わったことにより、彼女は魔術の初歩を扱うことができる。
▼地位1
既に街の公子モーディウス卿には一応の紹介が済み、カマリリャの血族社会においてもあのイライアの弟子の幼童として認識されている。
▼導師3
ゲイリー市立音楽堂に秘せられたトレメール祭儀所の理事、イライア・フォン・エッセン。シカゴのニコライの子、齢250を数える第七世代の長老。元はドイツ貴族の娘であり、近隣で尊敬を集めている指導者である。七人会議直々に技を学んでおり、近しい位置にある。
▼オカルト蔵書3
生前の蔵書、今は亡きサイアの所有物、『ノドの書』の不完全な写本や師イライアから借り受けている『影の踊り手の書』などで構成されるシメオンの書斎。パソコンも置いてあり、古めかしい奇書からCD-ROMまでが混在している。ルール的には「沢山の注目すべきタイトル」に相当。整頓は悪い。
データ、設定作成:いわしまん
See "Blood Magic: Secret of Thaumaturgy", "Clanbook:Tremere Revised".
|