b2d 02

 さらに二発。またふたり倒れた。
 さらに三発。男が三人吹き飛ぶ。
 連中はまるで射的のマトだった。次は四発。そろそろ連中も気づいてくるはずだ。やつらに向けられた銃が、普通じゃないってことに。
「大哥!」
 背後から黄の声。俺は横に口を開けていたバスルームへと飛び込んだ。肩をかすめてこぶし大の塊が飛んでいった。リビングで一瞬の炸裂音。俺はバスルームから飛び出した。白煙が廊下にまで充満している。黄の投げた煙幕弾のせいで連中はパニックを起こしている。まさかたったふたりの男が、ここまで無茶をやるとは考えていなかったろう。
「大哥、奥よ」
 先行した黄が手招きする。俺たちはガスマスクもなしにリビングを通り抜け、さらに何人かを弾き、マトが潜んでいるベッドルームへと突っ込んだ。ガウンをまとった痩せた男がベッドの横に立ち、こちらをにらみつけていた。護衛はなし。ずいぶんな自信だ。
「おまえたち、どこの飛仔だ」
 綺麗な広東語。黄にも俺にも理解できた。だが俺たちは北京語で応えてやった。
「チンピラの素性なんか知ってもしょうがねえだろ、おっさん」

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