hello
good-bye.
利己的遺伝子の話を淡々と口にできるヤツは大嫌いだ。
けど、嫌いということは、きっと自分はどこかでそれを認めているんだろう。
わかりきったことを口にするなよと、そう言いたいんだろう、俺は。
わかりきっている。
饒舌になるな。
口を塞げ。
はじめから、わかっていたことなんだから。
遺書を今のうちに用意するのも、悪くないと思う。
悪くないというか……無いよりも、あったほうがいいかな。
ただこの遺書は、ある特定の人物、ただ一人だけに渡るようにしておく。
そうすれば、心置きなく生きていける。
忘れてゆくべきものであれば、忘れることができるのか?
忘れたくなくても忘れることはあるし、忘れたくても忘れられないこともあるわけで。
だからそれは、意志が支配することはできないよな。
すべては縁が決めることか。
で、どうなった。
年末は沖縄で過ごす。冬の沖縄は、意外と寒いんだよ。
えー、野間逸平=新宿とか=夜とか、そういうイメージはあると思うのだが、俺は沖縄大好きなんだよ。
夏のクソ暑い島は最高だ!
BUSINを買った。当然、遊ぶ時間など無い。オープニングから30分ほどプレイして中断。続きを遊びたいがそれはまた一体いつのことになるのか。
遊んですぐに、ウィザードリィ・サーガを思い出す。
空気、匂いが似ている。
俺があの世界で描いた冒険者の日常に対して、ずいぶんとウィザードリィファンから罵りの言葉を食らったものだが、いまこうして同じ匂いを漂わせているモノが現れたことを考えると、ああ、嬉しいなあと……思うわけねえだろ!
俺は当たり前の世界を当たり前に書いただけだ。奇をてらったつもりもないし、威嚇する気もない。
当時の俺自身のキャラクターは歪みすぎていて、わかりやすく、阿呆丸出しだった。
あんなヤツだからああいうものを書いた……普通そう思うだろうが、そういうわけじゃないんだよ。
俺は自分の周りの空気や匂いを、あの世界に写し取っただけだ。
ただそれだけ。
青春極道とか何とか言ってるこの俺は、言われなくても知ってる人も多いように天邪鬼なわけで、ふと「学園ものもいいよなあ」とか思ってみたり。
学園つうかさ、ガキものだ。
小説じゃなくてさ、BBSプレイしてみてえなあって思うよ、最近は。
訂正。
俺が好きなのは、正確にいえば、青春「極道」映画です。
ついに手を出してしまった。「古惑仔」シリーズ。DVDで第1巻から買ってしまった。これであと5本買わねばならなくなった。
俺は青春映画が大好きだ。といっても、さわやかな野郎が流れるようなおまんこをキメて、カーテンから射すぬるい午後の陽に微笑むようなクソドラマじゃない。
俺が好きなのは、理不尽な暴力に押し潰され、見返りのない恋に泣き、野良犬のように死んでいく粋がったワカゾウが満載された映画だ。
3年ほど前から香港では、若手のカメラ屋あがりの監督が撮る青春映画が流行っていた。王家衛の登場が火種とされている。海外では香港映画界の救世主とされ、地元の関係者の間では戦犯級の破壊者とされる王監督。
その直属の撮監がメガホンを持ち撮ったのが「古惑仔」だ。まだ見てない。早く見たい。一番の注目はやはりカメラワーク。監督はカーウァイの手下ですからねえ。やはりドイルっぽいのか、それともベタな香港テイストか、もしくはまったくのオリジナルか。
早く週末になってくれよ。頼むからさ。
物語を書くというモチベーションだけがテンパっている。
しかし時間がそれを許さない。
焦るばかりだが、焦れてはいけないことも分かっている。
もっともっと情報が必要だ。リサーチにかけるための時間が要る。
などと逼迫はしているのだが、土曜日は呑気にもPRIDEを観戦しに行ってしまう。
いやいや、俺にはこれもまた必要なことなのだ。
土日にパソコンの前に向かうことが無くなった。
だからこの書き込みも、土日の部分がすっぱり抜けている。
ああ、モチベーションが下がったわけではないので、ご安心を。
会社の引越し。
俺は机が左にひとつスライドするだけ。
全社の引越し費用は阿呆らしくなるほどの額。
何が変わるのか? 何も変わらない。
昼飯に肉を食った。ビフテキだ。狂牛だか何だかしらないが、俺には関係ない。
俺が書きたいのは、街の屑。
生々しい欲望の神に帰依した狂信者。醜く呪詛に満ち溢れた、美しい屑だ。
いま書きたい物語。人間の獣性、欲望に破壊された魂、一片の嘘もない純粋なエゴ。
9年前、デビュー作として書いたウルティマ・アンダーワールドから、気持ちは変わっていない。あれはオブラートに包み過ぎていたが、9年という時間はそいつを溶かすのに十分だった。
俺はやはり、夢や希望にデコレートされたものは描きたくないのだ。
それを完全に呑み込むのに、9年もかかった。もう誤魔化すのはたくさんだ。
世界中に唾を吐きかけて、呪詛をぶちまけよう。その時が来たのだ。
俺の職場の上司は、元ヤンキーだった。俺よりも八つ年上だが、地元が近所だったこともあって、かわいがってもらっている。
ヤンキー時代の彼は、「極悪」という族で親衛隊をやっていた。極悪といえば、関東の単独チームでは一寸法師と並ぶ喧嘩上等のカタいチームだ。当時、族は連合体を組織することが流行だった。CRSや関東連合、キラー連合、全狂連。単独じゃやっていけないチームが、デカい勢力に飲み込まれ、冗談のように膨れ上がっていくのが当時の族の姿だった。
連合体が恐竜だとすれば、単独の族はアリも同然だった。それでも連合と対等に渡り合える単騎の族は、それだけレベルの高い悪ガキの集団だということだ。当然、彼も、それなりに戦歴を誇っていた。集会のルートでよその族とカチ合えば、先頭を切って突っ込むのが彼の仕事だった。族史の中でも有名な新宿事件。彼も参加しており、護送車にも乗った。悪い奴が本当に怖かった時代。今から20年も前の話だ。
ゆうべ渋谷のセンター街を歩いた。女子高生が頭のイカレたおやじと喧嘩していた。女子高生は10人ほどのグループ、おやじはひとり。手を出すわけでもなく、口で罵りあっている。頭のイカレたおやじが女子高生の耳元に、罵声を浴びせた。女子高生はキレた。キレておやじの耳元にバカでかい呪詛の言葉を浴びせた。今度はおやじがキレる番だった。上下ともシミだらけの白いスウェットのおやじは、片手にスポーツバッグを持っていた。それを振り上げ、何事かを叫びながら女子高生に襲いかかろうとした。女子高生たちは、その途端に嬌声をあげて逃げた。恐怖の悲鳴ではなく、いたずらを見つかった子供のように、キャッキャとはしゃいでいた。逃げるときは一列になって走っていた。センター街の夜の雑踏を、虫のように一列になって。
イカレたおやじは追ってはこなかった。女子高生たちは一列になったまま、笑い声をあげて走りつづけた。まるでガキだ。ガキはガキなのだが、あのガキたちは小学校の廊下を走り抜ける子供と同じだ。夜のセンター街は、小学校の廊下と同じなのだ。
昔ヤンキーだった職場の上司。彼は、今ではものの分別がしっかりとつく、利口なおとなになっている。昔、族だったというおとなは、意外とたくさんいる。族あがりがなんでSEやってるんだ。族は板金塗装工なんじゃないのか。最初はそう思った。間違いだった。20年前の悪ガキは、成長するということを知っていた。彼らは年を経るということがどういうことなのか、きちんと分かっていた。
いまのガキはたぶん、このままガキなんだろう。ゆうべの女子高生を見て思った。
文章を書くことも芸事と同じで、芸事とは日々の練磨をストップさせた途端に錆びてゆくものだ。書かなければ書かないだけ錆びる。俺は今の仕事を始めてから、もう4年もまともに書いていない。「b2d」を書きはしたが、あれは習作のようなもので、集中して短時間で書いたものの作品の持つ密度は薄い。4年間。この空白を埋め直すには、どれほどの時間が必要なものか。気が滅入る。物語を書くという気持ちに、大きな穴が空いている。そいつを埋めようと、ようやく俺の細胞が動き始めてきたようだ。細胞ども──連中を加速させねばならない。リハビリが必要だ。とにかく書き続けることだ。速く、速く、とにかく書き続けることが必要だ。だから俺はここに、書き続けるために必要なノイズを、ぶちまけていこう。
ヒビ。俺の皹、俺の日々。気が向いた時、気が滅入る時、ここに声を刻みつける。
テスト