自分が裕福で恵まれた人生を送れていることが、ときに恨めしいことがある。
経済的な話ではない。いや、それも含めての話ではあるが。
苦楽の大小を比較することに意味はないかもしれない。けれど、経験が人を作るのは事実で、差を感じる事がある。
もちろん引き換えに、苦い思いをしているからこそで、自分はそういう道は通らずに済んだから、あるいは自ら避けてきたからこそ、今がある。そんな苦労をしても、乗り越えられるとは限らないのだ。
それでも、ときに思う。そういう人々に触れるたびに、壁を感じる。自分だけがのけ者にされているような気持ち。恵まれているからこそ感じる劣等感。
贅沢な話なのだろう、きっと。むしろ浅はかな考えだ。それでも空虚な思いが胸を掠める。
けれども、それは決して艱難辛苦の道に踏み込む勇気にはつながらない。
中途半端に宙ぶらりんなまま、円満な人生がただ過ぎていく。
いつになれば、平凡な人生を受け入れられるのだろう。
いつになれば、それが決して平凡な人生ではないことに気づけるのだろう。
いや、そんなことではないのだ。
ただただ、そんな人々の人生に自分が加わることができない、そう言われているようでひどく寂しい。きっと、ただ、それだけのことなのだ。