ヨコハマ中華街&新山手

[ Chinatown BBS Log / No.184〜No.232 ]


ルシファー

Handle : “監視者”壬生(ミブ)   Date : 99/10/03(Sun) 14:22
Style : クグツ◎・チャクラ・カゲ●   Aj/Jender : 30代/男
Post : 日本軍大災厄史編纂室 室長


いち早く行くものは、またすみやかに逝く。

だから君は名乗るな、私は光と。

     ・・・・大岡信 「若いひとに」より


イワサキのエージェント達を退けた3人は、中華街の路地をさらに奥へと進んでいた。
時刻はようやく午後8時をまわったばかりで、治安の悪いこのあたりに酔客の姿は、まだ見えない。
と・・・
先頭を行く真理が突然立ち止まった。
続いて、バージニアの腕をつかみ 美琴が立ち止まる。
「どうしたの」という風に見返す赤毛の少女には答えず、美琴は何かを確認するように真理を見た。
わずかな間、視線が交錯し、頷き会う二人。
「私は用事があるから、先に行って。」
真理が静かに告げる、まるでこの場にいない誰かに伝えるように・・・
「え?」
バージニアは戸惑いもあらわに、彼女に歩み寄ろうとした。
しかし、その腕を再び小さな守護天使がつかむ。
「いきましょう。」
「・・・でも。」
「早く!」
腕を引かれるまま、不承不承走り出すバージニア。
「待ってるから、必ず来てね。」
ポツリと、一度だけ振り返り美琴が呟いた。
それには答えず、紅の瞳は柔らかな微笑を口元に浮かべるのみだ。

しばし、路地裏が外の喧噪を忘れ静寂に包まれる。
ただ、ジッと何かを待つように、立つ真理。
そして
ソレは現れた。
路地の入り口に男が立っている。
ダークグリーンのスーツに身をつつんだ銀髪の男、胸元に鳳の紋章が刺繍されている。
「私は、日本軍大災厄史編纂室、室長をつとめる壬生と申します。」
「はじめまして、ミス・・・秦 真理。」
男、壬生は目元の大半を覆うミラーシェイドを外し、一言、一言区切るように名乗った。
一重の酷薄そうな茶瞳がこちらを見つめる。
日本軍の名を聞き、紅の瞳に殺気がともった。
しかし室長を名乗るエージェントは、黒い手袋につつまれた手を軽くあげると、感情のこもらない どこか絡みつくような口調で、こう言った。
「私はあなたに協力をお願いしに来たのです。」
手元のブラックグラスを持て遊ぶようにして続ける。
「それから、あなた方の行為がいかに無駄であるかを伝えるために。」

・・・つまり、眼前のルシファーはこう言っているのだ。
願いを叶えるかわりに、あなたの魂を頂きたい。
と。

 [ No.232 ]


予感

Handle : 来方 風土(きたかた かざと)   Date : 99/10/03(Sun) 07:55
Style : バサラ●・マヤカシ・チャクラ◎   Aj/Jender : 21歳/男
Post : フリーランス


真理の話を聞いてい風土は、彼女のセリフに苦笑を浮かべる。
「さて、お言葉に甘えて、俺は少し遊んで行くとするか」
そう言うと、風土は笑みを浮かべる。だが、バージニア達はこれから彼が行うは遊びなどでは無く、まさしく死闘と呼ぶにふさわしい物である事を思い出す。だがそんな時でもこの男に浮かぶのは、楽しそうな笑みだった。
風土は手を振りながら店を出て行く。その後ろ姿に、バージニアは声を懸け様と手を上げる。しかしその手を胸元に引き寄せると、口を閉ざす。その肩に真理の手が置かれる。そして二人の目が合う、その目の中にお互い何を見たのか、バージニアは頷きその口を開く。
「あの・・・、気を付けて」
その声を背中に聞きながら、風土は店を出る。その先に見えるのは、扇を広げ構える女性とロングコート姿の剣士だった。
「そこの、オッサン。今からアンタの遊びあいては俺だ」
そう言うと風土は、月村に向かって行く。まるで風の様に。

 [ No.231 ]


WELCOME TO THE “NEUROAJ”

Handle : “紅の瞳”秦 真理   Date : 99/10/03(Sun) 04:37
Style : Mistress●Regger Katana◎   Aj/Jender : 24/femaie
Post : N◎VA三合会


「バーニィ落ち着いて聞いてほしいの…今は、1999年じゃないわ」
 来方の発言に叫んだバージニアをなだめる様に、ゆっくりと落ち着いた優しい口調で真理はいった。
 1999年、災厄直前のカリフォルニアから跳ばされてきた少女。それは災厄直前の世界を知る人間に他ならない。そして、彼女はどうやら時間跳躍能力者だというのだ。
─この危険性を理解しているのはここにいる者達の中でいったい何人いるのだろうか?
 真理が中華街へと買い物にくる前、N◎VAの知り合いの店で一人飲んでいた真理を一人の男が尋ねてきた。─そしてその男は囁いたのだ、真理に…バージニアが中華街に現れるということ以外の『情報』を。
─その男が別れ際にいった台詞が今でも忘れられない。
 戦慄を隠したまま、真理はバージニアを見据えて言の葉を紡ぐ。
「…今は貴女いた場所よりも未来、そうニューロエイジと呼ばれる時代よ」
 驚きに言葉の出ないバージニアに、寄り添う様に立つ美琴に慈愛と決意をともしたままの視線を送ると、真理はバージニアの頬に左手を優しく添えた。表情から微笑みが消え、真剣な表情でバージニアの目を見据える。
「落ち着いてそして答えてほしいの大切なことだから。貴女はどんなことがあっても貴女の思い出がある所に戻りたい?貴女を待っている人の所に帰りたい?」
─真理は戻りたい場所があった、そして帰りたいものがあった。そういう望みがあるからこそ真理は戻ってきた、帰ってこれたのだ。待っている人のいる世界へ……。その寄る辺ない姿にかつての自分を重ね、誰にも心を開けずただ刃を振るう事しか知らなかったゆえに大切なものを失ってから大切だったと気づき、その後様々な人に出会い、経験し、今の真理がいるのだ。
 だとしたら、この数奇な運命に翻弄されていく少女に手を差し伸べてもいいではないだろうか?
 バージニアは困惑したまま、だが力強く頷いたようだ。
「それなら私は…いえ私達は必ず貴女をお守りするわ。そしてその場所へと帰りましょう」
 この、欲望と渾沌に満ちた時代で……同情でもなく、打算だけでなく。
 その、華奢な体躯からは想像もつかないような経験が導き出した、想い。バージニア達はそれをかいま見た気がした。
 バージニアからゆっくりと視線と左手を離すと真理は厳しい現実を知りながら出来うる優しい微笑みを向けた。

「……さて、そろそろ移動しましょうか?いつまでもここにいても埒があかないでしょうし」
 窓の外を警戒して確認しながら表情を一変させる。先ほどまで見せていた優しい微笑みではなく彼女がもつ、厳しい顔に。
「恐らく、ここを囲んでいるのはイワサキの露払い程度でしょう、正確にはイワサキですらないかもしれないわね。初期の小競り合い程度の戦力で、押さえられるとは思っていないはず……」
 優しさだけでは生きていけない。打算だけでは強くなれない。そういう時代において真理達は生きている。
 駆込んでくる足音に、思わず緊張が走るがそこに来たのは色を抜いた髪の快活そうな少女だった。少女の必死の叫びに真理は少しだけ考えて意味を汲み取ろうとする。その表情と真理の経験にもとずいた感が少女を『味方』だと告げていた。
 トーキーの少女に渡したと同様にモリーにはアドレスを、そしてバージニアには真理のプライベート用のポケットロンを渡した。
「電話よ。このボタンをおせば私の所にかかるわ、着信はこれを。万が一はぐれたときのことを想定しておきたいのよ」
 バージニアに説明を終えると真理はそういって微笑みを浮かべた。
 店主から簡単な外の状況の説明をうけると真理は、
「移動先は私の隠れ家でいいかしら?…知っている者は少ないし、中華街の奥まった場所にあるから一見さんでは探すのは難しいわね。…尤もそこも安全とは言いきれないのだけどここよりはまし、私がご案内するわ。回りを囲んでいる人間達は突破する事になりそうだけれど…極力、身の安全と逃げ切ることを考えて」
 厳しい表情のまま三人に簡単に場所を説明する。
 相手は数が多い、そしてそのうち増援もくるだろうし、時間を無駄に使うわけにはいかないのだから。そして……。
「モリーさんは、バーニィから出来うるだけ離れないで。……出来うることならあの子に見せたくないのよ」
 最後の方の言葉を美琴に耳打ちする、出来ることならニューロエイジより平和な時代に生きていたであろう彼女に殺戮を見せたくないのだ。そして来方に向き直るとゆっくりと近寄っていった。
「…視線は先ほどから感じていたわ。イワサキの方たちではない…真打とでもいいましょうか。もう遅いかどうかは…賭けね。恐らく…先ほどのお嬢さんたちの方でも何かあったのでしょうね。……貴方が楽しみたいというのなら、それも結構。でも……」
 来方は裏の情報だけでは足りない部分まで知りすぎている。恐らくは企業─千早かイワサキとのつながりをもっているのだろう。
 一瞬だけバーニィ達には見えない様にカタナとしての表情を来方に見せる。暗に自分達に不利な行動をしたら許さないと。
「………日本軍大災厄史編纂室ね…」
 誰にも聞き取れないくらいの小声で真理は口の中で呟く、真理に囁いたある男が真理に与えた『情報』の中にあった真打達。
 彼らの目的を知る真理は、彼らが彼らの目的の為にこれから立ちふさがるであろうことは容易に想像出来た。
 だが、戦慄をもって受け入れられるであろうその事実は…真理にはどこか楽しかった。この点において来方のことをいえないと内心苦笑いをする真理の脳裏に、待っていてくれるものの顔が横切り、真理は自嘲の笑みをみせた。

 状況を見つつ、移動するために音を忍ばせて裏口へと向かう。
「…貴女達には選択肢があるわ、ひとつはこのまま事情を知らずに逃げ回るか。それとも……真実を知り立ち向かうか。尤も、もし貴女達に話すとしたら私の知り得る限りなのだけど」
 事情を知らぬ、美琴とバージニアに小声で諭すように真理はいった。優しさと強さ、厳しさを秘めた真摯な表情で。
「強く在りなさい、強く望みなさいバージニア。それが貴女を強くし、それが貴方を望む場所に帰らせるのだから」
 真理はバージニアの手をとり、真摯な眼差しのままそういった。真理の紅玉の瞳がうっすらと輝きながら。
 バージニアには…どこか母の面影と重なってみえたかもしれない。ふと、真理は思い出した様にこう、付け加えた。
「…そういえば、いってなかったわね。ようこそ、"ニューロエイジ"へ」
 バージニアから手を離すと飛び出すタイミングを計っていた真理はそういって悪戯っぽく微笑んだ。
「いくわよ!!」

 幾多の経験ののち、守るもの、守りたいもの、そして帰るべき場所を持つ紅玉の瞳を持つチャイナドレスの女性は『外』へ飛び出していった。
 剣林弾雨の中を道なき道を踏み越えて。

http://www.freepage.total.co.jp/DeepBlueOcean/canrei.htm [ No.230 ]


焦り

Handle : ”LadyViorett”我那覇 美加   Date : 99/10/03(Sun) 03:05
Style : カブト◎=カゼ●=カブトワリ   Aj/Jender : 28/female
Post : フリーのカブト/元”麗韻暴”二代目頭の兼業主婦


(ヤバイ、何か始まったか??)
コートを羽織っている身体に中華街の空気がビリビリと感じる。
どんどん高まっていく緊張感にViorettは駆け出した。
(・・この辺か??)
いくつかの店を通りすぎ角を曲がった後、ある店の前に出た。
夕闇の中、二人の人影とその後ろにしゃがんでいる人影を見つけた。
一人はモスグリーンのロングコートを着て刀を持った男、店の入口を遮るかのように立ちはだかっている女性、
そして後ろで真っ赤な血で染まりながらスーツを着た男性を抱えている少女。
(あの男の服の色・・日本軍?!)
そして男と対峙している女性はちょっと前に結婚して姓が変わったと聞き覚えがある。
無意識にショットガンの弾をスラッグ弾に変える。
彼女の感覚が『危険!』と囁いているからだ。
そして予備に持ってきた武器を確認し、様子を見ながら近くの物陰に近づく。
ミラーシェードの中から相手の何かを見極める様に・・

 [ No.229 ]


follow the white rabbit

Handle : ”Sworn Sword”九条 誠   Date : 99/10/02(Sat) 23:35
Style : エグゼク◎●、カリスマ、レッガー   Aj/Jender : male/30代前半
Post : イワサキ


 ヨコハマのイワサキ支社へと到着する。迎えに来た現地社員から渡された報告書に目を通しながら状況と情報を整理する。
「なるほど、わかりました。では、こういう物を用意してくれませんか?」
 移動中に書いたメモをその社員に渡す。念のための奥の手、使うことはないだろう。
「車を、中華街の方へ。現場に行って状況を自分の目で見ます」
 素直に嘘をつく。そう言った後車に乗り中華街の方へと移動させる。
「白兎を追いかけますか...」

 [ No.228 ]


対峙

Handle : 羽也・バートン   Date : 99/10/02(Sat) 23:23
Style : ミストレス◎カブト=カブト●   Aj/Jender : 26歳/女性
Post : フリーランス


迷っている暇はない。目の前で繰り広げられている戦いに。凶刃に傷つけられた“友人”を。見殺しにする事など、できない!
本能が、彼女の本質ともいえる本能が彼女を突き動かしていた。
金属のぶつかり合う、澄んだ音が響く。
死神の鎌をはじいたのは、閉じられた彼女の扇。骨の部分で受け止め、力を受け流しはじく。惜しむらくは目の前の彼の武器を完全に落す頃が出来なかったことが、少し彼女を悔やませる。それは、刀を落させなかった目の前の人物の力量を“流石”とするしかいいようがないだろう。
…相手の視線を受け止め、彼女ははじめて“敵”を認識する。
神狩を庇う形で彼と対峙し。そうして、『カブト』としての顔を顕わにする。
…羽也は真摯な表情で告げた。
「私には貴方を倒すような力はございませんが…。貴方の行く手をふさぐには、時間を稼ぐには十分だと思いませんか?」
鉄扇を開いて、また閉じて。
「私を倒さない限りは、この先へは進めないと思ってください…」
丁寧にしかし、珍しく挑発的な言葉を羽也は月村に向かって発した。

 [ No.227 ]


フウウンキュウヲツゲル。

Handle : “ボディトーク”火鷹 遊衣   Date : 99/10/02(Sat) 21:22
Style : マネキン◎トーキー=トーキー●   Aj/Jender : 17歳/女
Post : フリーの記者


ドアを、蹴破るような勢いで開ける。
中で、幾つかの顔が振りかえった。
その中で……最も印象に残った若い女性に遊衣は叫ぶように言う。
「逃げて……何処に行けば会える?!」
必要最小限しかない遊衣の言葉から、それでも意味を汲み取ってくれたらしく、彼女は、少し考えてアドレスをくれた。
「秦真理よ」
「火鷹遊衣、生きてたら会おうね」
自分のアドレスを押しつけて、踵を返す。
彼女は、きっと頼りになる。
……周りに居る人も、きっと悪い人じゃないと思う、から。

入って来た正面から、もう一度戻る。
目に付いたのは軍人の頬に三筋の血痕。
『盛り上がって来たね〜…』
ポケットロンを介して、映像を次々と自宅のDAKに転送する。
目の前に斬劇を完璧に捕らえている自分の天才ぶりが、ちょっと鼻高かったりして。
『やっぱあたしって天才…って、げっ』

血飛沫。
動脈を切った血って赤いんだな〜…とか。
目の前の青年が、贅沢な噴水のように血を吹き上げている。
悲鳴が、漏れそうになる…けれど。
「しっかりして!!」
駆け寄って上体を助け起こす。腕が血まみれになる。顔を寄せたから、髪も真っ赤に染まった。
目の前の、断末魔。
「いや、起きてよ…誰か……来てよお!!!」

遊衣の喉から、マイクを通したような声が迸った。

http://village.infoweb.ne.jp/~fwkw6358/yui.htm [ No.226 ]


風を感じながら・・・

Handle : ”街角占い屋”カルラ   Date : 99/10/02(Sat) 20:20
Style : バサラ◎ ミストレス● チャクラ   Aj/Jender : 22/male
Post : フリーランス


 「やれやれ。これだから街角ってヤツは嫌なんだよ。物騒なことが多くて・・・な」
 その店の周りに漂う不穏な空気はずっと感じていた。
 そして、それが企業の人間が持つ特有の匂いだということも。
 「早く始まんねぇかな」
 口元に寂しさを浮かべ、懐からタバコを取り出し火をつける。
 街角占い屋、電信柱の上に立つ。

 [ No.225 ]


幽剣

Handle : “幽剣”月村千角(ツキムラ センカク)   Date : 99/10/02(Sat) 19:32
Style : カタナ◎・カタナ・バサラ●   Aj/Jender : 30歳/男
Post : 日本軍大災厄史編纂室


夕闇の中、二つの影が交錯した。
コートの下の軍服に気付き、そして何より二人の発する尋常ではない殺気を感じとり、まるで闘技場を形作るように雑踏が別れていく。
誰が生き、誰が死んでも気にとめない、見ず知らずの少女のために命を賭けている彼らとは対照的な、これもまたこの街の日常の1つなのだ。
再び距離を置き、対峙する二人。
月村の白い頬に三本の爪痕が赤い血化粧を施している。
「そうか・・・お前がヨコハマの夜を駆ける“疾駆の狩人”か。」
神狩が道化師のように大仰なお辞儀をかえした。
「たいしたスピードだ。まさに疾風。しかし・・・」
神狩の首にうっすらと一文字の刀傷が浮かび上がった。
「捉えられん早さでは、ない。」
言うが早いか、月村は袈裟懸けに闇の剣を振るった。
間合いにはまだ、遠い。
しかし、神狩はみえない刃をかわすように、わずかに体を開いた。
後方に駐車してあった車のドアが真っ二つに裂ける。
かわされる事を予測していたのか、月村は数メートルの間合いを一足で詰めると首をめがけて必殺の斬撃をみまった。
仰け反るようにしてかわす神狩。
しかし
反撃に転じようとした瞬間その顔が激痛に歪んだ。
わけがわからず、あわてて間合いを開く彼の腿のあたりがザックリ切り裂かれている。
かわしたはずだ。
鬼の顔にはじめて戸惑いと疑問が浮かんだ。
「我が“幽剣”に実体はない。ゆえに剣筋から軌道を読む事は不可能だ。」
「もちろん・・・」
答えるようにまるで違う方向へ刀を突き出す。
途中から空間に溶けるように消えた闇の刀身は、数メートルはなれた神狩の目の前に現れた。
ドシュッ!
「距離など問題ではない。」
深々と心臓のあたりに突き刺さった肉の感触をたしかめるように、さらに強く突き込むと一気に引き抜いた。
ブシュウ
凄まじい血しぶきとともに、支えを失った神狩が崩れ落ちる。
「狩人よ、さらばだ。」
ビクビクと断末魔の痙攣を繰り返す敵に最後の一瞥をくれると、死神は振り向きざまデスサイズを振るった。
闇の刃が空間を疾しる。
その視線の先には友人を失い、蒼白な顔で立ちつくす羽也の姿があった。

 [ No.224 ]


時間跳躍

Handle : 来方 風土(きたかた かざと)   Date : 99/10/02(Sat) 10:29
Style : バサラ●・マヤカシ・チャクラ◎   Aj/Jender : 21歳/男
Post : フリーランス


「取敢えず、質問には答え様かな。先ずは一つ目、詳しくは解からないだが彼女の持つ”力”の為だ。」
「”力”って、どんな力なのよ?」
そう聞く、真理に風土は肩を竦める。
「詳しくは解からないと言ったろう。俺の推測だが、タイムワープとか、タイムリープとか言われてるやつだ、俗に言う時間跳躍ってやつだな」
風土の言葉に、3人の視線が彼に集中する。
「次に二つ目、俺の立場だけど。守るでもないし、攻撃でまない、傍観するだけなんて持っての他だ。」
「じゃあ、貴方の立場って一体何なのよ?」
泣き止んだ、バージニアが質問する。その顔に浮かぶのは、疑問だった。この突然の闖入者が一体どんな答えを出すか、それは他の二人も同じだった。
「面白そうだからさ!、折角こんな面白そうな事に為ってるんだ、参加しなきゃそんだろ?」
そう言い切った、風土の言葉に3人とも呆れる。
「さあ、俺の立場も解かって貰えたと思うけど。これからどうするだい。このまま、ここ居ると拙い事になると思うけど。」
「全然解からないわよ!」
突然、バージニアが叫ぶ。その見幕に3人が呆然とする中言葉を続ける。
「私が狙われてる、時間跳躍、それの一体何が、面白いのよ!」
そう叫ぶや立ちあがり、右手を振りかぶる。しかし、風土は体を傾けるや、その一撃を事もなげにかわす。バージニアの怒りの視線を受け止めながら、その顔に微笑を浮かべる。
「そんだけ、元気があれば大丈夫だろう。さて、そろそろ移動した方が良いと思うけど。いや・・・もう遅いか」
そう言うと、その体を外に向け、3人を護る様に立つ。

 [ No.223 ]


死神と狩人・第一幕

Handle : “疾駆の狩人”神狩裕也   Date : 99/10/01(Fri) 21:57
Style : チャクラ◎、カゲ、ヒルコ●   Aj/Jender : 23/男
Post : 狩人


その男を見た瞬間、神狩の中の“鬼”が一気に活動を始めた。それほどまでに目の前に立つ男の気配は普通ではなかった。
地獄から尋ねてきた死神、そんな感想を神狩は抱いた。身のこなしから見て腕も相当なものだろう・・・我知らず体が戦闘態勢へと入ってゆく。
「どっちもやなこった!」
男の質問に対して目の前の少女が快活に返答する。瞬間、凄絶な笑みを浮かべ、神狩が疾風のごとく跳躍した。
跳躍と同時に神狩に起こった変化に気づいた物はいただろうか?両の眼は吊り上り手足の筋肉が増強される。そして、両手はまるで肉食獣のそれのように強靭に変化していた。
「くくく・・・さあ、楽しもうではないか!」
血の笑みと共に叫ぶ神狩。そして、上空からの斬撃が月村に襲い掛かった・・・

 [ No.222 ]


味方?

Handle : 『親愛なる天使』モリー美琴   Date : 99/10/01(Fri) 21:15
Style : カブト=カブト=カブト   Aj/Jender : 14/女性
Post : フリーランス


 彼女と2人で話をしようとしていると、見知らぬ女性が入ってくる。
(彼女を狙う者………?)
美琴は、店主を厳しく見つめる。店主の瞳にはわびの色があった。それを見て、ため息をつく。
 そして、表情を険しくする。しかし、それは長くは続かなかった。彼女が自己紹介を行い、話を終えると隣のバーニィが突然泣き始めたのだ。
「え、えっとぉ〜………」
泣き出したバーニィにかける適切な言葉が思いつかなかった。バーニィが泣きながら同じ言葉を何度も繰り返す。そして、自分の事を少しだけ話す………。
 しかし、それを確認している暇はなかった。突然現れる見知らぬ男………。彼が現れると同時に、美琴は頭より先にバーニィをかばいに入った。

 突然現れた男は、日常会話をしているように、外が囲まれていることを告げてくる。
 美琴は少しだけ考えた。そして、店主に表を確認するように告げた後、男に告げる。
「何で彼女は狙われているの? そして、あなたは彼女を守る、攻撃する…どういう意味でもね、傍観『だけ』する…どの立場にあるのかしら………少なくとも、今段階では………」
そして、隣の女性を見つめた。どうやら、彼女はバーニィを守るという立場では信頼してもいいようである。
 美琴には、情報が必要だった。彼女はバーニィが狙われる理由を全く知らなかった。だからこそ、情報、そして、信頼できる相手が必要なのだ……。美琴は、彼女を守る立場にいるつもりである。少なくとも、彼女自身の意思を尊重するという意味では………。しかし、目の前にいる男は………。

 少しだけ顔色を変えて、店主が戻ってきた。
 どうやら、男のいっていることは間違ってはいないようだ。
「………ってことみたいですけど、どうします?」
小さく笑いながら、美琴は真理に告げた。
 

 [ No.221 ]


異邦人

Handle : バージニア・ヴァレンタイン   Date : 99/10/01(Fri) 19:58
Style : マネキン◎●・マネキン・ハイランダー   Aj/Jender : 17歳/女
Post : ?


バージニアが泣いていた。
真理が申し出を告げた直後、セキをきったように泣き出したのだ。
小さな守護天使は戸惑いをあらわに、突然あらわれたチャイナ服の女性をうらめしそうに見た。
真理は慈愛と微かな哀愁を帯びたまなざしを泣きじゃくる少女に向けた。
そして、ゆっくりと怯える子猫をなだめるように手を少女の頭に置き、優しく撫でた。
その寄る辺ない姿にかつての自分を重ねていたのかもしれない。
「ここは・・・どこなの?どうして、私が命を狙われるような目にあわなくてはいけないの?」
緊張の糸がとぎれた反動か、幼い子供のようにバージニアは何度も質問を繰り返す。
「わ・・私はアーネスト・ヴァレンタインとマティルダ・ヴァレンタインの娘で、カリフォルニア州ロベリア・フォールズのハイスクールに通う、ごく平凡な学生でしかないのよ。」
カリフォルニア?ロベリア・フォールズ?聞き慣れない単語に美琴の心がざわめいた。
何かが、おかしい。・・・イヤな予感がする。
「いくら、世紀末だからといってこんな目に会うなんて・・・」
「!」
「まって。」
「こんな・・・え?」
突然の静止にバージニアは顔を上げた。
真理が真剣な表情で少女を見つめ返す。
「今、“世紀末”と言ったの?」
一語一語区切るように、今度は真理が質問を返した。
バージニアはワケが解らないという風に、首をかしげる。
「そうよ、・・・今は1999年の10月でしょ?」
「!」
真理と美琴の表情がこわばる。
「違うの?」
少女の顔からは冗談をいっている様子は伺えない、当たり前の事を言ったのに、という風だ。
「今は・・・」
真理がなんとか答えを返そうとした、その時。
部屋のドアが再び開いた。
「始めまして、俺は来方 風土、新星帝都大の3回生なんだけど。この店、イワサキの連中に囲まれてるぜ。どうする?」
現れた、どこか飄々とした 雰囲気を持った青年はなんでもない事を告げるようにそういった。

 [ No.220 ]


深淵

Handle : “銀狼” 神楽 愼司   Date : 99/10/01(Fri) 16:40
Style : カゼ◎、カゼ●、タタラ   Aj/Jender : 推定年齢26 / 男性
Post : シルバーレスキュー グラウンドスタッフ


それはちょうど、舌が焼けそうなほどに熱い麻婆豆腐に手をつけた時だった。
隣の椅子においてあったメットのインカムが空電音を上げる。
「こちら03」
「シルバーウィッチからシルバーウルフへ。新規契約発生。SAPSより契約条項を確認」
食事の時にもお構い無しかと舌打ちしながら、メットを抱え、大急ぎで目の前の湯気を上げる皿を空にして店主に声を掛けて席を立つ。
「旨い香り、かぐわしい香り、嫌な香り・・・銀狼にとっては血の香りも同じかい?」
ちょうど奥から店主が顔を出してきた。
そして意味ありげに笑みを浮かべながらシンジに声を掛けてくる。
「香りなんて・・・何だっていつだって最後には全て一つさ」事も無げに笑いを返しながら、唇をなめた。「なぜ、気付かない?」
テーブルを回って代金を渡して玄関に歩きながら、あぁこの爺さんが気付かないはずもない、知らないはずも無いと自嘲しながら、店を出る。
「それに・・・地獄耳だゼ」
シンジは静かに笑った。

真っ直ぐにバイクへと近づく。
『Hey! ブラザー。不用意に俺に近づくんじゃない。電撃を食らいたいのか?!』
センサーが働き、いつもの様にメモリーされた機械的な声で警告がされる。「たまには黙れよ、じゃじゃ馬」素早くセンサーを覗き込んで網膜と指紋、声紋でロックを解きメットをかぶりながら、A-Killerと自分を結線してSAPSをコールした。
「よぉ、デス・スター」
仄かに明るい蒼い光がバイザーを通して、接続完了をシンジに告げる。
シンジは結線を通して新たな契約情報を呼び出しながら、辺りを見回した。
何かがおかしい。
いつものリズムと違う。
シンジは雑多な人種が行き交う、いつもの交差点をみつめながら呟いた。黒いレザーを通しても肌を感じる様な違和感が漂っている。
街を行き交う人々のかを一人一人を知っている訳でもないのに、見知らぬ人影が増えているように感じてならない。いつもの街角もその合間に見える空の色も何かが違う。
妙な胸騒ぎに半ば胸躍らせる様に、シンジは鮫の様に無表情に口元を歪める。
やがて軌道衛星から降りてきたデータが目の前のバイザーに展開されると、シンジは視線を固めた。
「娘か」
目の前のバイザーに老人の横でひかえめに微笑む少女の姿が映し出される。
くせのある赤髪がショートカットにまとめられて、それはまるで小さな炎の様に見える。が、その温かさとは正反対の深海の様なダークブルーの瞳がこちらを見ていた。
「・・・まるで・・・深淵だな」
口を衝いて出た言葉に、思わず笑う。
やがてデス・スターから契約内容が渡されてきた。

依頼されている契約内容を見て思わず声を上げる。
そして同時に視野の半分にLU$Tの方面地図が重なり、発砲事件、通報、等の文字を纏った輝点が幾つも現れては踊り始めたソレをみつめながら、歯を食いしばる。
「何なんだ_____一体」
素早くキーを挿し込み、機関を一気にハイテンションへと引き上げる。
高回転の軌道音が駐車場を満たし始めた。
「シンジさん」
不意に後ろから掛けられた声に驚いて後ろを振り返る。
西江樓の主人が目を細めて微笑みながらそこに立っていた。

http://www.din.or.jp/~niino/ [ No.219 ]


包囲網

Handle : 来方 風土(きたかた かざと)   Date : 99/10/01(Fri) 07:02
Style : バサラ●・マヤカシ・チャクラ◎   Aj/Jender : 21歳/男
Post : フリーランス


「それじゃ、そう言う事でヨロシク」
そう言うと風土はポケットロンを仕舞い歩き出す。
「赤毛の天使、赤毛の天使と」
そう呟きながら歩く姿は、とても誰かを探してる様には見えなかった。しかし、その歩みには一寸の迷いも、無く確実に目的地に向かって歩みを進めている。
中華街の裏路地にその姿が消えて行く、その歩む先に有るのは、バージニア達が姿を潜める店であった。店の前まで行くとその歩みを止める、一度辺りを見回すと一人笑みを浮かべる。その顔に浮かぶ笑みはまるで、子供が面白い遊びを考えついた様だった。
風土は店の中に入ると、声をかけてくる来る店主に挨拶をしながらバージニア達が囲む卓に近ずいて行く。話をする3人の前まで行くと真理と美琴が同じに顔上げる。
「その子が、赤毛の天使か」
風土が発したその言葉に、三者二様の表情を浮かべる。当惑と警戒だ。風土はまるで、その表情を楽しむかの様に言葉を続ける。
「始めまして、俺は来方 風土、新星帝都大の3回生なんだけど。この店、イワサキの連中に囲まれてるぜどうする?」

 [ No.218 ]


イノチノオモサ

Handle : “ボディトーク”火鷹 遊衣   Date : 99/10/01(Fri) 02:34
Style : マネキン◎トーキー=トーキー●   Aj/Jender : 17歳/女
Post : フリーの記者


偉そうな男は嫌い。
遊衣がとっさに思ったのはそれだった。
あ〜…嫌、こう言う顔。
人を見下してて…ムカツク。

「あたしには何の事かわかんない……なんて言っても許してくれなさそうね〜…?」
緊張感の無い声をわざと出しながら、遊衣は、瞳に仕込まれたアイ・オブ・ザ・タイガーと、耳に仕込んだイア・オブ・ザ・ドラゴンを起動させた。
トーキーは…自分の命より、ニュースを取ってしまう、はたから見たら馬鹿らしいとさえ思えるような行動を…取ってしまう種族なのだ。
時として…命を擲ってでも、伝えなきゃならないものがある。

『これで、自分が生き残らなくても、情報は生き残る。』

男の示した選択肢のひとつは、はなから選ぶ気は無かった。
一緒にいる二人も同じ気持ちだろう。
遊衣は、だから、男に対してひときわ華やかに笑って見せた。

「どっちもやなこった!」

そう言って遊衣が横に飛んだ瞬間、後ろからさっきの青年の影が跳んだ。
……初めてにしては息が合ってるな。
そっちはだからもう心配ない。
あとはあの女の子達をどうするか…だけど…。

そんな目を遊衣は、目の前の女性にむけた。

http://village.infoweb.ne.jp/~fwkw6358/yui.htm [ No.217 ]


ザンジュウケン登場

Handle : “バトロイド”斬銃拳   Date : 99/10/01(Fri) 00:16
Style : カタナ◎● カブトワリ チャクラ   Aj/Jender : 25歳/男性
Post : フリーランス/ソロ


・・・中華街のちょっとした高級レストランで斬銃拳は食事を摂っていた。
レアステーキを口に運ぶその傍らには老人と少女の顔の映されたポケットロンがひとつ。
食事を終えたら探しに行こう。
なあに、こういう時は少し遅れてやってきたほうが良いのだ。
ソロの力が必要になるヤツがたくさんいるだろう。
・・・。
気がつくとステーキは無くなっていた。
さて、行きますか。
眼鏡を人差し指でくいと上げ、一見紳士に見える男は街へ出た。

 [ No.216 ]


死の卿と黒の団

Handle : “デス・ロード”アレックス・タウンゼント   Date : 99/09/30(Thu) 23:07
Style : カブト=カブト◎●,バサラ   Aj/Jender : 32?/Male
Post : Servant of Death


 拡張されたサイバーの聴覚に、黒服の男達の囁き声が紛れ込んできた。かなり焦っているようだ。それほどの手勢とも思えない。まずは、小手調べというところなのだろうか。
 カブトのような職業についていれば、ボーイズ・イン・ブラックも自然と見分けられるようになる。黒やその他の地味なスーツ。顔のない男たちと、視線を隠すミラーグラス。そして――そのグラスの下から漏れてしまう、微妙な視線の投げ方。上着の下に武器を隠した時の、微妙な動作の違い‥‥。
 すれ違った男たちはそのまま去っていった。しばらく前から気付いていたが、この中華街に何者かが大挙して来ているようだ。そういえば――ナイト・ワーデンには、ある少女の保護依頼がかなりの報酬で来ているそうではないか?
 勿論、ワーデンからプラチナムを掠める気はなかった。銀の守護者は尊敬に値する超一流のカブトだが、あの騎士団と自分は関係ない。デス・ロードは死神の使いなのだから。
 魔法使いの血統の力が、アレックスに教えていた。何かとてつもなく大きい力がこの街に迷い込んでいることを。夜は長くなりそうなことを。あのお兄さん達が探しているものは、ずいぶんと貴重なものなのかもしれない。
――また、知った顔に会うことになるかもしれんな。
 アレックスは煙草に火を点けると、男達が走ってきた方向に向かって歩き出した。路地裏では何かの物音がし、電柱のそばでは若い男が夜空を見上げていた。
 剣戟の音が聞こえたような気がした。何か胸騒ぎがして、アレックスは先を急いだ。何かがこの先で起こっているような気がする。誰かが待っているような気がする。彼と同じ――夜の力を振るう何者かが。

http://www2s.biglobe.ne.jp/~iwasiman/foundation/nova/stajR/alex.htm [ No.215 ]


死神

Handle : “幽剣”月村千角(ツキムラ センカク)   Date : 99/09/30(Thu) 21:20
Style : カタナ◎・カタナ・バサラ●   Aj/Jender : 30歳/男
Post : 日本軍大災厄史編纂室


最初にその男に気がついたのは神狩だった。
彼の様子の変化に気付き、羽也と遊衣が視線を追って振り返る。
男が一人、こちらを向いて立っていた。
地面に触れそうな長いモスグリーンのロングコート、中に着ているのは軍服だろうか?
病的なほどの白い肌に長い黒髪が対照的だ。
頬はこけており、全体的に精気に欠ける印象をうけるが、目だけが、ギラギラと剣呑な光りを宿し、こちらを見ていた。
ユラリ。
陽炎のような奇妙な足裁きで男はこちらに近づいてきた。
「お前達には二つの道が用意されている。」
淡々と、低い掠れた声が告げる。
「いらぬ好奇心を忘れ、すぐこの場を立ち去るか。」
数メートルの距離を残し、男が立ち止まった。
「ここに屍をさらすか、だ。」
「時間をやる。選べ。」
闇を凝縮したような、黒い刀身の刀を抜き、男は言った。

 [ No.214 ]


動きはじめた狩人

Handle : “疾駆の狩人”神狩裕也   Date : 99/09/30(Thu) 15:05
Style : チャクラ◎、カゲ、ヒルコ●   Aj/Jender : 23/male
Post : イワサキ製薬ブラックオプ


「全く奴等も間が抜けていることだな」
明後日の方向へ駆けていった黒服の男達。それを見つめる二人の女性。そこに背後から唐突に声がかかってきた。
驚いて振り向くと、そこにはスーツを着込んだ日系の男性。眼鏡越しの鋭い視線、皮肉な笑みを浮かべた口元。整った容貌と落ち着き払った物腰。そして何より・・・鋭すぎる刀を思わせるその雰囲気。神狩裕也である。
「とはいえ、対症療法にすぎんな。奴等は数が多い。すぐにでもここを見つけるぞ」
急に現れた神狩に戸惑う羽也と火鷹に構わず言葉を続ける。それと同時に今の状況に関する情報を想起しだした。
先日見た資料では、皆が追う赤毛の少女は軌道の重役の娘ということだった。だが、それだけのはずはない。ただの家出娘を捕まえるにしては騒ぎの規模が大きすぎる。裏ルートではとある場所まで彼女を連れて行けば多額の報酬をえられる、と言われているそうだ。そして何より、神狩はこの件にどこか危険な匂いを感じ取っていた。
(くくく・・・幸いこの件に関しては仕事の依頼は受けていない。精々楽しませてもらうとするか・・・)
そう考え、我知らず薄い笑みを浮かべる。その笑みは“鬼”を思わせるものだった。

http://www.aurora.dti.ne.jp/~jasu/irc/mycast/kagari.htm [ No.213 ]


Wake up...

Handle : “紅の瞳”秦 真理   Date : 99/09/30(Thu) 13:37
Style : Mistress●Regger Katana◎   Aj/Jender : 24/femaie
Post : N◎VA三合会


中華街の裏路地の店内で、遺された点心と空いてしまった座席を見ながら朱色のチャイナドレスを身にまとった真理は友人の余りの人のよさに肩を竦めて深々とため息をついた。
夜の闇の中に出ていく前にちらりとこちらを見た視線は、追われていた女性達の保護を自らに求めたものだろう。
そして、今ごろその台詞をその場にいない真理に向かっていっているに違いない。
真理は友人と歩いている間、一度だけ追われていた少女の姿を見た。しかし、厄介事はご免とばかりにわざと見ないふりをしたというのに……。
遺された紙袋の中にある真理が見たてた青いチャイナドレスを一瞥して真理は再びため息をついた。

真理の記憶に間違いがなければ、見かけた少女は裏で法外な大金で手配されていたはずだった。それも少女の捜索と“保護”─恐らく生きたままだろう─と引渡し時間の指定。
依頼人はイワサキのパトロン。……これが怪しいといわずしてなんというのだろうか?
つい先日、親しいクロマクからこの話を聞いた真理は鼻で笑ったものだ。
自分は今長い休みを取っていてそんな仕事をやるつもりはないと。

それにしても…と真理は思う。どうして中華街にくるたびにこういう騒動に巻き込まれるのだろうか?かなり前にここで起きた騒動では殺人鬼と対峙することにはなるし、少し前には狂気の人形師に材料として狙われる羽目になった。もっとも、火の粉は払ったのだが。
そのたびに人に救われ、そのたびに人と縁が出来た。
ふと、思い出した様にハンドバックの中から一枚のタロットを取り出し、何気なく指でくるくると回して思考を続けた。運命の天輪の様に─“死の卿”から預かった死神のカードを。
ふと我に返ると、店の主人が連れの分は下げてもいいのかといいたそうにこちらを見ていた。微笑んで下げてもらおうと店主に微笑みかけようとした時、 手から死神のカードを取り落とした。落としたカードを拾おうと床に手を伸ばす。床に落ちたカードは死神の正位置。
…どうすればいい?このまま関わらなければ、羽也の援護に回り二人は見つからなかったといえば、厄介事にまきこまれなくてすむかもしれない。しかし……羽也は怒るだろう。
そして……自分はあの少女を見捨てられるのか?
少女達がはいった向かいの店をちらりとみる…そして、自問自答の答えをみつけて立ちあがると真理は死神のカードを拾い、店主にお勘定をはらって向かいの店へと足早に移動した。

幸いこの当たりの店は真理のなじみの店が多い。そして良くこちらの中華街にくるせいか、それとも以前の事件で噂が流れたせいか、顔なじみが多いのだ。
真理と同じくチャイナドレスを着た女性と活発そうな赤毛の少女が掛けこんだ店もそういった店のひとつだった……運命の天輪を呪いたくもなるが。
にこやかに笑って挨拶してくる店の親父に微笑みながら挨拶を返すと真理はこれまでにない真摯な表情で話掛けた。
「私の“顔”を立てると思って、先ほどのお嬢さんたちに会わせてもらえないかしら?時間が余りないのよ」

店主に案内されて、急に入ってきた真理に二人は表情をこわばらせただろう。しかし、真理はこれまでにない真摯でそしてどこか厳しい優しさを持つ表情のまま二人に告げる。
「急に驚かせてしまってご免なさいね、私は秦 真理と申します。…追われている貴女がたを見て私の友人が先程追手を食い止めにいったわ。ほおっておけなくて…貴方が何故追われているのかは私は知りませんが、どうして追いかける人間がいるのかは知っています。ここも長時間に置いては安全と言いきれない……」
そういって真理は一旦言葉を区切る。
「私が、いえ私個人が出来うる限り時間の稼げる場所に貴女たちをご案内するわ。……あんなに大勢の人に追われていきなり知らない人間にこんなことをいわれても信用できないでしょうけど信じてほしいの、貴女の為に命を賭けに言った羽也さんを……私達が貴女たちを必ずお助けしますから」
見捨てることなど出来はしないのだ、今の自分には……。
美しくすら見える真摯で厳しい優しさを持つ表情のまま真理は、少女とチャイナドレスの女性を見つめた。瞳の奥に優しい光をともして。

貴婦人が余りにも短い休息から目覚めようとしていた。
それは……ひとつのはじまりにすぎないかもしれなかった。

http://www.freepage.total.co.jp/DeepBlueOcean/canrei.htm [ No.212 ]


[ Non Title ]

Handle : 来方 風土(きたかた かざと)   Date : 99/09/30(Thu) 09:15
Style : バサラ●・マヤカシ・チャクラ◎   Aj/Jender : 21歳/男
Post : フリーランス


「二人連れの少女を探しているのかな?」
少女達を見失った男達にそう声がかけられた。その声に男達が振り向くと、路地裏の入り口付近に男が佇んでいた。
その顔には、男達の無言の殺気を浴びながら、それを気にした様子は無く笑みを浮かべていた。
「赤毛の子の方は、中々強い”力”を持ってる様だけど。目的はあの子かな?」
「イワサキの手の者か」男達の一人がそう質問を発する。答え次第では、手荒な手段に訴えるのだろうか、男達の幾人かはスーツの中に手を滑り込ませる。
「違う、違う。俺は、俺はだよ。何処の手の者でも無いし、誰かに雇われてる訳でも無いしね」
その答えに対して、男達の顔に一様に同じ顔が浮かぶ。それは疑問だ、なら何故この男は我々に関わって来るのか。
「面白そうだからさ。折角、愉しそうな事してるだから、混ぜてもらうかなと思ってね」
その答えに、男達の一人がス−ツ中から銃を取り出すと男に狙いを定める。男はそんな状況に有っても、顔に笑み絶やさずその場に佇んでいた。
「名前は?」死への手向けなのか、男達の一人がそう尋ねる。
「来方 風土さ!」
その答えに、答える様に男達は銃のトリガー引く。愚かな道化を、その場から退場させるために。しかし、男達は知る事になる。その道化に脚本を書き変える力が有る事を、銃弾が当たる瞬間にその姿が掻き消える事で。
「イキナリ打つ何て、危ないな」
背後から、その声に男達が振り向いた瞬間その場に、一陣の風が吹き荒れる。風が収まると、その場には倒れ付した男達の姿が有った。
「さてと」
そう呟くと風土は、男達の一人の額に手を置くと、目を閉じる。その閉じられた目に何が写るのか、風土は一人頷くと目を開けると一言呟く
「天使ね」

 [ No.211 ]


ルーンコインに誘われて・・・

Handle : ”街角占い屋”カルラ   Date : 99/09/30(Thu) 06:46
Style : Basara◎ Mistress● Chakra    Aj/Jender : 22/male
Post : フリーランス


男はそこにたたずんでいた。
着流しの上に皮のジャンパー。黒いジャンパーには<↑>一文字か刺繍されている。
彼の求める勝利の象徴、<ティール>だ。
「<ウィルド>に<ハガル>、ここで何かが起こっている・・・」
男は呟くと、懐にそっと手を伸ばす。
包みの中から出てきたのは、買ったばかりのブタまん。
それは彼にとって、中華街のお気に入りの一つでもあった。
「腹が減っては戦はできぬ、か」
ブタまんを頬張り、空を見上げる。
電信柱に身を委せ、男はそこにたたずんでいた。

 [ No.210 ]


ショータイム

Handle : “ボディトーク”火鷹 遊衣   Date : 99/09/30(Thu) 03:53
Style : マネキン◎トーキー=トーキー●   Aj/Jender : 17歳/女
Post : フリーの記者


ダメじゃないの、可愛いお嬢さん。

店に入って行く二人連れの少女を見つけてしまって、遊衣は心の中でそう呟いた。
ああいう類の男はしつこいのよ、とか、あ〜…なんか明らかに怪しい黒服が居るなあ…とか。
……ここで黙って見てれば血の雨振るかな、とか……
お誂え向けに綺麗な女の人も出てきたし…

しかし気付いたときには、体が違う行動を取っていた。

自分に、十分な視覚効果があるのは、意識してる。
別に誇るとかじゃないけど、スタイルは良い。
顔も、割と可愛いと思う。
それにこの服…だし。

というわけで…遊衣は不本意(?)ながらも武装した男に近づいて…ぶつかって転んで見せた。

「いたあ〜い」
自分でも良くやるな、というような鼻にかかった甘い声をあげる。
……動揺してるな。
怪しかろうと何だろうと、敵は男なのだ。
遊衣のスカートの際どいラインに思わず目が行ってるのが判る。
よしよし。
「ちょっとお、何処見て歩いてんのよ〜?探し物でもしてるの?」
「え?あ、ああ…ちょっと女を…」
修行が足らんな。
っていうか、あたしの誘導がうまくなったのかもね。
「へえ…?ここにこんなに良い女が居るのに目にうつんないようなイイ女って、どんな子?」
ん、ちょっとまずい質問だったカナ?直接的過ぎたかも。
「ああ、赤毛の女で…」
言い掛けて連れに脇を小突かれる。
……ちっ、正気づいたか。
「ああ…なんか偉くイキのよさそうな赤毛の子?あれ逃げてたのか〜。
確かにあんた達みたいのに追われたらにげるかも」
うん、いいフリ出来たかも。
「見たのか?」
低い声に、軽く肯いて。
「見たけど…おしえんの可哀相かもね?」
探るような目をすると、男達は
「われわれは彼女を保護しに来たんだ。どっちに行ったか教えてくれ」
といった。
嘘なのはよ〜く分かってるけど、ここは一般市民の真似をして教えてやることにする。
「そ〜なんだ…あの店の裏口、からあっちに行ったよ、あたしとぶつかって詫びも入れずに行ったから良く覚えてる。」

そして遊衣はまるであさっての方向を手入れされた爪を持った人差し指で指したのだった。

男達が走って行くのを見送って遊衣はスカートの裾を叩き
「君達も謝ってないから、本当なんて教えてやんない」
といってにやっと笑う。
まだまだ『面白いコト』は始まったばかりだ。

「ねえ…お姉さん、そんなに殺気立つのはまだ早いんじゃない?」
呆れている(に違いない)妙齢の女性に、遊衣はそう言ってにっこり微笑んで見せた。

http://village.infoweb.ne.jp/~fwkw6358/yui.htm [ No.208 ]


LEVEL 0

Handle : 羽也・バートン   Date : 99/09/30(Thu) 02:39
Style : ミストレス◎カブト=カブト●   Aj/Jender : 26歳/女性
Post : フリーランス


ざわめく街の雑踏に、心奪われ。…女性二人で訪れる中華街。あれやこれやと買いこんで。今は二人で仲良く飲茶でも、と裏路地のあるお店で話し合っていた。…話題は、他愛ない事。そう、女性同士の他愛ない会話…。
だが、彼女はちりちりと感じていた。中華街に入ってからの嫌な予感。現に今、武装した集団が動き回っているのを街中で何度も確認してしまったから。この店先からでも窺い知る事の出来る男性達。カモフラージュはしているのだろうが、羽也には見破れる。それが、カブトとしての彼女なのだから。
刹那、目の端に捕らえた光景に彼女は反射的に立ちあがる。真理さんの制止も止めずに駆け出している。
…何を見たのか?それは。
店に入る、二人の女性とそれを追うさりげなく武装した集団。あきらかに後者の方が、悪意を持って二人を追いかけているのが見て取れる。そんな光景を見て黙っていられる彼女ではない。ちらりと見た限り、女性達の方の片方…少女の方はカブトらしい雰囲気が読み取れるが…。
しかし、羽也にはそんなことは関係がなかった。ただ、純粋に彼女達の手助けをしたかった。
ただ、それだけだった。羽也は護身用にと持っていた鉄扇を取り出す。静かにそれを広げて、男達と相対した。
彼らと対峙しながら、羽也はいまこの場で最も信頼の置ける彼女に一言だけ。
「…彼女達の保護、お願いいたしますね」
と。いつもの調子で穏かに告げる。…波瀾の予感を胸に。
どうやら、不幸という名の確率は自分たちを選んでくれたようだった。

 [ No.207 ]


つかの間の休息

Handle : 『親愛なる天使』モリー美琴   Date : 99/09/30(Thu) 01:03
Style : カブト=カブト=カブト   Aj/Jender : 14/女性
Post : フリーランス


 路地に隠れ、何とか男達をまいてどれくらいたっただろうか………。男達の声はしなくなる。
 安心したのか、女性は美琴に向かってほほえみかけてきた。美琴もほほえみ返し、名前を言おうとして口を開く。
しかし、次に出てきた彼女の言葉に、美琴は言葉を失った。
「………………え? カリフォルニア………?」
(えっと………)頭の中で一生懸命考えるが、答えは出てこなかった。
「ううん。ここはヨコハマ。ヨコハマLU$Tよ。……カリフォルニアってどこ………?」
逆に彼女に聞き返す美琴。
 彼女は何者なのか………美琴の心に疑問感がわき上がる。しかし、美琴は彼女の顔をじっと見て首を振った。
何はともあれ、今は彼女を落ち着かせることが先決だろう………。
「ついてきて」
美琴は彼女の手を再び引き、近くのお店に入った。なじみの親父は『またか』と言う顔をして美琴を見ている。
「おじさん、いつものお部屋、よろしくね」
親父はこっくりとうなずくと、美琴と彼女を部屋に案内した。そして、おくからウーロン茶を持ってくる。
「あたし、美琴。紹介遅くなってごめんなさい。えっと、もし落ち着いたようだったら、あなたのことをもう
少し教えて欲しいんだけど………」
美琴は、少し安心した顔をしている女性にお茶を勧めながら話し始めた。

 [ No.206 ]


風来坊

Handle : 来方 風土   Date : 99/09/29(Wed) 23:52
Style : バサラ●・マヤカシ・チャクラ◎   Aj/Jender : 21歳/男
Post : フリーランス


二人連れの少女が目の前を通りすぎる。
一人は17歳ぐらいだろうか、活発そうな赤毛の女の子。も一人は連れより一つ二つは下だろうか、赤いチャイナ服が目に付く。二人は誰かに追われているだろうか、しきりに後ろを気にしながら、人ごみの中を駆けて行く。
その、二人が出てきた通りから、複数の男達が飛び出してきた。男達は辺りを見回すと、人ごみの中を駆けて行く二人を見付け駆け出して行く。
「面白いな」それが男の発した言葉だった。
二十歳前後だろうか、まるで子供が悪戯を、それも飛び切りなヤツを思い立ついた様な笑みを浮かべる。
その顔は何処となく少年の面影を残したまま大きくなった印象を与える。髪は余り気を使っておらず、バンダナを巻いて髪が落ちるのを止めている。服も着古したシャツにジーンズとラフな格好だ、その姿は何処か飄々した印象を与える、そうまるで風の様な。
男は駆けて行く男達の後を追うように、その姿を人ごみの中に溶け込まして行く、まるで風の様に

 [ No.205 ]


路地裏の守護天使

Handle : バージニア・ヴァレンタイン   Date : 99/09/29(Wed) 19:56
Style : マネキン◎●・マネキン・ハイランダー   Aj/Jender : 17歳/女
Post : ?


武装した男達が表通りを通り過ぎる。
美琴に手を引かれるまま、路地の奥に身を潜めてバージニアは様子をうかがっていた。
もしかしたら、傍らにいる少女(チャイナ服のせいで大人っぽく見えるがあきらかに自分より年下だ。)が自分を陥れようとしているかもしれない、という疑惑が浮かぶ。
しかし、少女の真摯な瞳と他にたよるものがいないという絶望的な孤独感がバージニアの警戒心を解いていた。
男達の手に光る自動小銃が目に入り、我知らず美琴の手を握りしめる。
自分より小柄なはずの彼女はしかし、まるで憶することなく手を握り返し「大丈夫」というように微笑んでみせた。
久しく忘れていた温かな気持ちが体に満ち、涙が一滴つたう。
人が二人並べるかどうかというような、狭い路地だった。
美琴は震えるバージニアの体から彼女の不安と戸惑いを感じ、バージニアは傍らの少女のぬくもりから、絶対的な安心感を得ていた。
どれくらいそうしていただろうか、不意に美琴は立ち上がるとバージニアの方を振り返った。
「もう大丈夫。」
そう言って彼女に手を差しのべる。
おずおずと手をとり、バージニアも立ち上がった。
そして初めて自分の瞳が濡れている事に気付き、あわてて拭いながら照れたように笑う。「えへへへへ。」
「えっと・・・助けてくれてありがとう。私はバージニア・ヴァレンタイン。バーニィって呼んで。」
二人の少女が屈託ない笑みを漏らす。
しかし、次の質問にさすがの美琴も首をひねった。
「ところで、ここはカリフォルニアのどの辺なの?」

 [ No.204 ]


Browse

Handle : ”Sworn Sword”九条 誠   Date : 99/09/29(Wed) 13:21
Style : エグゼク◎●、カリスマ、レッガー   Aj/Jender : male/30代前半
Post : イワサキ


 「……ふむ」と言ってうなる。場所はイワサキのビル内自分の部屋。
 部下からの報告に目を通して多少のとまどいを覚える。−千早が中華街の辺りで何かを企んでいるらしい−普段の自分なら部下に任せるか無視する程度の情報、だが気になる。幸い今は大きい仕事もなく、ならば自分で動いてみるのも良いか、と思い部下に情報収集を頼むと同時に舞台の方への移動を開始した……。

Wizard of words iz get-ready

 [ No.203 ]


「天使」は何処

Handle : ”無免許探偵”ウェズリィ   Date : 99/09/29(Wed) 11:54
Style : KABUTO,FATE◎●,KABUTO-WARI   Aj/Jender : 2?/Male
Post : Freelans


『いやな空気が張りつめている』
 ウェズが雑踏の中に身を潜めて最初に抱いた感想はそれだった。ぴりぴりと背中の毛が逆立つような、それでいてどこか心地の良い緊張感の香りが、このヨコハマ中華街の、雑多と呼ぶのにこれほどふさわしいものは無いというほどの空気に溶け込んでいる。微妙にしか混じってきていないその香りを嗅げる人物は、この大勢の人波の中にそう多くはないはずである。しかしどこかに必ずいる。でなければ、彼が本来受けた”仕事”の意味はないのだから。
『…懐かしいな、この香り』
 多分それは戦場独特の香りなのだろう。死臭と硝煙にまみれた、自分の本来の居場所の香り。
 だから嗅ぎ分けられる。嬉しくなる。自分でそれを忌み嫌っていても。
 周囲に目を配る。何かを必死に探し求めようとする人物のなんと多いことか。皆血走った目であちらの路地の隅、こちらの路地の裏方を視線で探し回っている。カーニバルの幕は開いたのだ。
 主役は少女。赤毛をショートにカットし、深海をおもわせるダークブルーの瞳を持つ、歳の頃17・8歳の美しい娘。データなどを見なくてもその容姿、特徴は頭脳にしっかりとカメラの画像の如く叩き込まれている。ストリートでの風の噂では、その娘を保護して明日の朝、指定された場所に連れていくだけで大金が転がり込むらしい。最も彼女の価値に比べれば、どんな大金であろうと鼻で笑い飛ばすに違いない。彼女の価値を知り、彼女を「利用」できる人間にとっては。
 いや、それは恐らく違う。
 「天使」すら金で買えるものなのだろう。この汚れた欲望の街では。

http://www.mietsu.tsu.mie.jp.keijun/trpg/nova/cast/cast03.htm [ No.202 ]


ラッキースター

Handle : “ボディトーク”火鷹 遊衣   Date : 99/09/29(Wed) 02:56
Style : マネキン◎トーキー=トーキー●   Aj/Jender : 17歳/女
Post : フリーの記者


(いっつも、そうなんだから。)
通信を切って(違う。一方的に切られたのだ)遊衣は、ひとつため息をついた。
あの先輩は、何でも知った顔して。
……でも、すっかりばれてる。
「も〜…勝てないのよねえ〜…」
髪を掻き回して、転送されてきた映像を見る。

何処にでもいるような、暖かい祖父と孫の笑顔。

この少女が、自分に幸運を与えてくれるだろうか。
「…あたしにツキを呼んでよね、お姉ちゃん」
少女の周りに何が起きるのかは、わからない。
もしかしたら、自分も危険に晒されるかも。
「…それでも良いわ」
命の危険がないような記者は、もううんざりだもん。
危険に飛び込んでこそ…得られる物も大きいはず。
「情報提供者を…あっと言わせてやんなきゃ」
可愛いとも、大人びているとも取れる顔が、生き生きと微笑を浮かべた。
腰までかかる豊かな髪を跳ね上げて、呆れるほど長い足がアスファルトを蹴る。
幸いと、こういうことには、鼻が効くのだ。

「待ってな、あたしの幸運の星(ラッキースター)!」

映像で微笑む少女は、きっと自分を待っている。

http://village.infoweb.ne.jp/~fwkw6358/ [ No.201 ]


トラブルメイカー

Handle : ミゲーレ・アルキテット   Date : 99/09/29(Wed) 02:22
Style : トーキー◎・フェイト・レッガー●   Aj/Jender : 28歳/男
Post : マリオネット報道契約社員


ポケットロンに“転送”のアイコンが点滅した。
これで通話相手のモニターには、やさしそうな老人の横でひかえめに微笑する少女の映像が映し出されているはずだ。
短くなった“新星”を吐き捨てると、ミゲーレは続けた。
「今や中華街は彼女を探している奴らでいっぱいだ。なんたって、その娘を保護して明日の朝、指定された場所に連れていくだけで大金が転がり込むんだからな。」
「あたしは別にお金がほしいわけじゃない。」
通話相手、火鷹遊衣が不機嫌そうに言った。
ミゲーレは大仰にため息をつくと、芝居がかった仕草で後輩を見た。
「馬鹿たれ、だれがお前にカブトのまねをしろと言った。」
うらめしそうに、遊衣が睨む。
「考えてもみろ、簡単に保護できる相手にクライアントが大金を払うか?」
「そうか!」彼女の顔がパッと輝く。
「血の雨が降るね。」
「それは、極論としてもただですまないのは、確実だな。」
ミゲーレは苦笑しながらそう言った。
「で、お前はめでたくスクープを手にし、一流事件記者の仲間入りというわけだ。」
「悪くない話だろう?」
モニターの向こうで、妙にわざとらしく笑う先輩に遊衣は疑わしそうな視線を向ける。
「何が目的?さては、私の体が目当てね。」
「10年早い、ガキ。」
「このナイスバディのどこが・・・」
抗議の声を上げる彼女から、顔をそむけるとポケットロンを切った。
さて、これで相手がどう動くか、だ。
間違いなく遊衣は騒動の中心に近づいていくだろう。
それだけは、確信できた。
行動力と事件をかぎつける嗅覚もさる事ながら・・・
「天性のトラブルメーカーだからなぁ。」
そう呟くと優しげな笑みを漏らした。

 [ No.200 ]


君子危うきに……

Handle : “アルカナパレス”中臣 零   Date : 99/09/28(Tue) 23:25
Style : フェイト◎● マヤカシ クロマク   Aj/Jender : 18歳/男性
Post : 占いの店“アルカナパレス”


 夕日が辺りを照らしている。もうすぐ夜が来る。
 2人はまだ中華街にいた。今日はデートなのだから。
 
(マスター! 聞こえますか!)
 デートを楽しんでいた中臣の精神に、突然、声が響く。
 この“声”は澪…中臣の守護式神のもの。
 デートの最中に連絡はするなと言っておいた筈だが……。
 主人の意志に答えて、次の“声”が入る。
(その街は“危険”です…今すぐ、避難して下さい!)
 式神の悲鳴に近い“声”が響く。いかなる危険からも主人を守るべき式神が、“避難”を求めているのだ。
 中臣は目の前の女性を見て、静かに決断を下した。
「やまとさん…残念ですけど、そろそろ帰りましょう。
 ほら、もうすぐ日も落ちてしまいますから…」
 
 【中臣 零、中華街から退場します】

 [ No.199 ]


死の卿と月の予言

Handle : “デス・ロード”アレックス・タウンゼント   Date : 99/09/28(Tue) 22:36
Style : カブト=カブト◎●,バサラ   Aj/Jender : 32?/Male
Post : Freelanse


 二度目のLU$T。二度目の中華街。しばらく前に初めて来た時――三合会の名士の愛娘の護衛を頼まれた時――は少々厄介な人形師の相手をする羽目になったが、それも今となっては懐かしい。
 知り合いがハマはやはり危険な街だとまた気をもんでいたが、彼はそれほど心配はしていなかった。この雑踏、活気‥‥少々危険なぐらいが、カブトの舞台には相応しい。治安維持軍と名乗る光の軍勢がうろつく、白い塔の谷間よりは。
「‥‥それに、N◎VAの中華街とそれほど違う訳でもないからな」
 中華街の公園の隣を抜け、善隣門の近くまで来ていたアレックスは煙草に火を点けた。今度も同じ老人に呼ばれたのだが、仕事はあっけなく終わってしまった。今度は何事も起こらずに。
 ライターをコートの中にしまった彼は、別のものがポケットに入っているのに気がついた。一組の古風な大アルカナ。時は巡り、地軸がねじまがったこの世界においても、古の魔力は未だ大気に満ち、力を持つ。そして彼もその力を信じ、行使する一人だった。
 枚数を数えてみる。1枚だけ足りないのは13のカード。彼こそが仕える死神のカード。そう――前の仕事の時、出会ったあの華僑の娘に渡したのだった。死神の使いが必要になった時に呼んでくれと、裏に連絡先を書いて。
「‥‥おや?」
 顔を上げたアレックスは眉を上げた。善隣門の下で待ち合わせをしている人々の中――あそこで談笑しながら通りに入っていこうとしている二人組はまさにその人物ではないだろうか? 一人はその華僑の娘、もう一人は‥‥彼が前に結婚式で祝った心優しい女のカブトだ。遊びにでも来ていたのだろうか。
「‥‥‥‥」
 煙草を口から離すと、彼は回りに鋭く視線を投げかけた。鮮血の如く赤く染まった夕暮れの中華街に走った、何かの雰囲気。それは鍛え上げられた刃のもの、人込みの中に潜む人外のもの、それとも圧倒的な天の力、巡り始めた天輪の響き‥‥
 あの時と同じだ。狩人を名乗るあの怜悧な男と、BARで言葉を交わした時の。いや、それとも何か別の、もっと大きな‥‥?
「ハマもただの街ではないということか‥‥」
 アレックスは手の中のカードを引いた。現れたのは“The Moon”。青白く輝く月が彼を招いていた。M○●Nにあらざる街で暗示された幻影のカード。勿論、これが偶然ではないことを彼は知っていた。
 煙を大きく吐き出すと、アレックスは煙草を投げ捨てた。宵闇迫る中華街に、何者かの足音が響いていた。

http://www2s.biglobe.ne.jp/~iwasiman/foundation/nova/stajR/alex.htm [ No.198 ]


大丈夫?

Handle : 『親愛なる天使』モリー美琴   Date : 99/09/28(Tue) 18:57
Style : カブト=カブト=カブト   Aj/Jender : 14/少女
Post : フリーランス


久しぶりのチャイナ服に身を包み、美琴は街を歩いていた。
「おじさん、ちまきまだ残ってる〜?」
顔なじみの店を覗き込んでは、食べ物をもって出てくる。
そして、それを何度か繰り返した時………
「キャッ……」
路地からあらわれる何者かとぶつかった。たたらを踏む美琴。
でも、女性の方は耐えられなかったのか、座り込んでしまっていた。
「………大丈夫? …!」
座り込んでいる女性に確認をしようとする美琴の耳にいくつかの足音が聞こえる。
表情が瞬時にして変わる。
「こっち!」
美琴は彼女の腕を取ると、隠れやすい狭い路地の方にひっぱっていった。

 [ No.197 ]


傍観者

Handle : ”無免許探偵”ウェズリィ   Date : 99/09/28(Tue) 11:18
Style : KABUTO,FATE◎●,KABUTO-WARI   Aj/Jender : 2?/male
Post : Freelans


 目の前の人が行き過ぎる。
 名も無き探偵に何かを残しつつ。
 あるものは心の中に思いを残し、あるものは彼のポケットロンに仕事の依頼を残す。
 別にそれはそれでかまわない。
 探偵にできることはただそれを行き過ぎるのを眺めていることだけ・・・。
 勘定を払い、探偵は店の外の雑踏の中に身を潜める。
 口に火のついていない煙草をくわえ、冷め切った表情と誰も信じていない冷たい瞳で辺りを見渡しながら。

 [ No.196 ]


運命の輪は回り始める。

Handle : バージニア・ヴァレンタイン   Date : 99/09/27(Mon) 20:56
Style : マネキン◎●・マネキン・ハイランダー   Aj/Jender : 17歳/女
Post : ?


一陣の風が吹き抜けた。
長い手足が鮮やかなストライドを描き、少女は中華街を駆ける。
やや肉付きの薄い足のラインをはっきりと際だたせる黒いレザーのパンツ、同色のタンクトップの上から大きめの空軍仕様のジャンバーをはおっている。
歳の頃17・8歳の美しい娘だった。
しかし、それは人を近よりがたくさせるものではなく、むしろ子猫や子犬等がもつ柔らかで温かな雰囲気に似ていた。
ショートカットのくせのある赤髪が夕日に映えて小さな炎(ほむら)のようにゆれる。
深海をおもわせるダークブルーの瞳がチラと後方を見た。
追って来ている。
ハイスクールのバスケットクラブで鍛えたフットワークを駆使し、彼女なりに随分と素早く雑踏を駆け抜けたつもりだった。
しかし
追跡者との差は開くどころか、むしろジワジワと狭まりつつある。
「どうして私がこんな目に・・・」
お嬢様育ちの祖母が聞いたら卒倒しそうな、呪いの言葉を小さく呟くと、ふいに彼女は立ち止まった。
そして、ゆっくりと後ろを振り返る。
双瞳に諦めではないある種の決意を宿して。
「誰だか知らないけど、こんな衆人環視のなかであまり無茶はしないわよね・・」
そう自分に言い聞かせた。
それでも、今日・・いや、今夜何度目かの疑問が自然と彼女、バージニア・ヴァレンタインの口をついて出た。
「いったい、ココは何処なの?」

 [ No.195 ]


休暇へ

Handle : “EDGE”柏崎 ガロン   Date : 99/09/27(Mon) 16:45
Style : バサラ◎●チャクラ=チャクラ   Aj/Jender : 漢/20歳
Post : E.D.G.E.


提示連絡。上司に電話をかける。
「……あぁ?中止?わかった。じゃあ俺はしばらくオフだな?
OK。いい休日を過ごさせてもらうさ」
電話を切る。丁度昼飯も食べ終わった。
「さて、と。帰るか。わが麗しのN◎VAへ」
人気のいない裏路地へと入っていく。
N◎VAへ2秒で移動するため。

【柏崎ガロン、中華街から退場】

 [ No.194 ]


覚醒の序章

Handle : “疾駆の狩人”神狩裕也   Date : 99/09/27(Mon) 13:06
Style : チャクラ◎、カゲ、ヒルコ●   Aj/Jender : 23/male
Post : イワサキ製薬ブラックオプ


スーツを着込んだ眼鏡の男が中華街の雑踏を歩んでいた。鋭利な刃物を思わせる雰囲気のある端正な青年だ。神狩裕也。LU$Tを駆ける狩人である。
今の場所は善隣門近く。歩くとはいえ、特に目的があるわけではないが。
神狩はここを歩くのが好きだった。中華街には猥雑で力強い生のエネルギーが溢れている。そこが良いのだ。 たとえ“狩り”に出かけなくても、その空気を呼吸しているだけで彼は強烈な生の力を実感できるのだから。
ふと立ち止まり、善隣門の方を見る。
「おや、あれは・・・」
そこには知った顔の女性が二人揃っていた。だからといって話し掛けたりするわけではない。そういう思考とは無縁だ。
「ふふ、休日を楽しんでいるわけか。俺も少々のんびりするか」
いつもの皮肉な笑みを浮かべ、手近な店にはいろうとする・・・が、そこで神狩の足が止まった。
(ほほう・・・これは・・・)
妙な気を感じる。それは微弱で、どのような性質なものかまでは解らない。だが、彼の本能を覚醒させるにはそれで十分だった。
「くくく・・・楽しいことになりそうだ」
踵を返し再び雑踏へと歩み出す神狩。彼の中では既に“鬼”が目覚め始めていた・・・

 [ No.193 ]


闇の中へ

Handle : ”魔術士”エリアス   Date : 99/09/27(Mon) 10:19
Style : フェイト◎マヤカシ(?)●バサラ   Aj/Jender : 外見20代/男性
Post : 探偵?


ん?ポケットロンから通信が入る。
珍しいな〜なんだろう?
聞きなれない声…初めて見る人物…
「用事が在る…以下の場所で待つ…君に関係のあることだ」
男はそれだけを言うと一方的に通信を切っていた。
 
?…心当たりは無い…。行ってみるか……。
心の中でつぶやくと指示された場所へと移動を始める

【エリアス中華街から退場します】

 [ No.192 ]


ジケンキシャ

Handle : “ボディトーク”火鷹 遊衣   Date : 99/09/27(Mon) 04:32
Style : マネキン◎トーキー=トーキー●   Aj/Jender : 17歳/女
Post : フリーの記者


有名店ばかりが名店じゃないとは良く言ったものだ。
中華街の中の小さな公園の手摺に腰掛けて粽を齧りながら遊衣は思った。
さっきまで取材で回ってた大店はみんなたしかにおいしかったんだけど。
たまたま通りかかった小路で見つけた(正確に言うと匂いにつられた)この小さな店。
店のおばあちゃんの作ったこの粽は、マジに絶品だ。
ついてきたカメラクルーたちも嬉しそうにパクパクやっている。
『特集組まなきゃ…街で見つけた隠れた名店って奴ね』
そこまで思ってからふと、苦笑する。
『これじゃあ…本当に流行系の記者しか出来なくなっちゃうじゃない。』
派手に色を抜いた髪を掻き回す。
右手に幾重にも巻いた金属製のブレスレットがしゃらん…となった。
『事件記者への道は遠いなあ…』

でも。

千里の道も一歩から。塵も積もれば山となる。
少しずつ名前を売って、自分が有能だってこと、証明して。
憧れに、自分を重ねて見せる。

「良し…善は急げ!」

突如立ち上がり方に荷物を掛けると足音も高く歩き出す。
15cmはある厚い底のブーツを履いているとはとても思えない早さで歩いて行く遊衣を
泡を食った表情のクルーが追いかける。
極度に露出の多い服に身を包んだ未来の事件記者は振りかえりもせず、進んで行く。

千里の道も一歩から、だから。

http://village.infoweb.ne.jp/~fwkw6358/ [ No.191 ]


[ Non Title ]

Handle : “血の微笑”アイアンメイデン   Date : 99/09/27(Mon) 02:49
Style : クロマク● クグツ◎ チャクラ    Aj/Jender : 22/女
Post : 青猫電器公司営業六課


食事はまだ来ない。
今日は厨房が普段以上に忙しいようだ。
仕方ない、待つか。
二本目のゴロワーズに火をつけた、その時。

振動するポケットロンを取り出す。
「はい……」
今までリラックスしていた表情が引き締まる。
どうやら食事は無理らしい。まだ一口吸っただけの煙草を灰皿で揉み消す。
「本社が……分かりました。今から戻ります。では」

そこにようやく食事が運ばれてくる。
「悪いけど、急用なの。今から社に戻るわ」
席を立ち、足早に出入口へ。

「あの、旦那様になにかお伝えすることは」
声を掛けてきた周に、苦笑しながら一言。
「じゃあ『忙しくなくなったら、また来る』って伝えて」
そんな余裕はしばらくは無いだろう。私も、父も。

彼女は店を出た。周はしばしその後ろ姿を見送っていたが、彼女の背中は雑踏の中にすぐに消えてしまった。

【アイアンメイデン、退場】

http://www.geocities.co.jp/Playtown-Domino/6239/index.html [ No.190 ]


待ち合わせ

Handle : 羽也・バートン   Date : 99/09/26(Sun) 23:51
Style : ミストレス◎カブト=カブト●   Aj/Jender : 26歳/女性
Post : フリーランス


時間には、もともと几帳面で。彼女は余裕を持ってこの場所につく。とはいっても、待ち合わせ時間には間に合ってはいるのであるが。
場所は、善隣門。時間は、夕暮れ。これから、ゆっくり買い物をして食事をするのに丁度いい時間ではある。彼女にとっても久々の休日。普段、店を経営している身では得難い、貴重な時間。今日は無理を通して、休みを取らせてもらった。ならば、今日だけは女性らしく、世間話に花を咲かせて飲茶をして……。楽しいこれからの時間の想像が羽也の顔をほころばさせる。
待ち合わせの時間丁度に羽也は到着。今日の相手は、先についていたようだ。紅い夕日の中の彼女のチャイナドレスが、綺麗に映える。にっこりと笑って、呼吸を落ちつかせて。
羽也はやっと声をかける、“お待たせいたしました”と。柔らかないつも通りの微笑を浮かべつつ。
彼女、真理さんは夕日を見ていたようだった。今にも沈みそうな夕日。羽也はそれに少し寂寥感を覚える。どうしてかはわからない。だけど。
でも、今はそんなことを考える時間ではないはず。自分は今日は楽しみにきたのだから。少し、頭を振ってそんな感傷的な気分を一掃する。今日は少しばかりお洒落もしてきたのだから。楽しまなくては!

そうして、彼女達は他愛もないお喋りと共に中華街の雑踏へと足を踏み入れていく。
「では、今日は、どこへ行きましょうか…?」
久しぶりの休日に、友人との会話。そして、買い物。これほど、女性にとっての至福の時間はないであろう。こんな時間はもうしばらく取れそうにないからせめて今日だけは……。
(今日だけは…。不幸という名の確率も私達を通りすぎますように…)
彼女は、自分の本質を知っているがゆえに切にそう思う。このまま何事もなく、このひとときが続く事を願って…。

 [ No.189 ]


二秒だけの同席者

Handle : “賭侠”劉 家輝   Date : 99/09/26(Sun) 03:57
Style : 黒幕◎,歌舞伎●,兜割   Aj/Jender : 27歳/男性
Post : 三合会顔役


少女が立ち去った後の、西江楼のテーブルに、長髪の優男がすっと滑り込むように座って、まだ席に着いているウェズリィに、声を掛ける。

「相席よろしいですか?」

探偵の返答を待たずに、一個のポケットロンをテーブルに置いて、周囲を見渡し、子供っぽい口調で明るく笑う。

「なんだ、まだ空席ありますね…どうも、お騒がせしました。」

優男はポケットロンを置き去りに、別の席へと移動していき、2秒だけの相席者に、擦れ違いざまこう言い残す。

「…御願いしましたよ…」

 [ No.188 ]


休息…

Handle : “紅の瞳”秦 真理   Date : 99/09/26(Sun) 02:50
Style : Mistress●Regger Katana◎   Aj/Jender : 24/femaie
Post : N◎VA三合会


中華街の善隣門の前に一人のチャイナドレス姿の女性が車から降り立った。
車は女性を下ろすとそのまま走り去る。
女性は中華街の雑踏を見渡すと、懐中時計を取り出して時間を確認した。
「……約束の時間より早く着きすぎてしまったようね」
そういうとはしゃいでしまって早く着きすぎた自分に苦笑した。
今日は、中のいい女友達と二人での観光を兼ねたショッピングと食事の約束をしていた。女性─真理の方からその友人に声をかけたまには女二人でゆっくり羽を伸ばそうと、ここ善隣門で待ち合わせをしていた。まだ約束の時間までまだ余裕がある。
門の端の方へとそのまま移動して真理は約束の時間まで中華街の雑踏を眺めていることに決めた。そしてふと、何気なく空を見上げる。

余りにも紅い、夕焼けが真理の目を奪った。
美しいというのではなく、どこか怖さをもって人を魅了するような血の様に紅い夕焼けが…。
「…………!!」
夕焼けに見入っていた真理は一瞬身を切るような張り詰めた空気を感じ、我に帰り周囲をみわたした。
しかし、中華街の雑踏は何の変化もなく、真理の目の前にあった。何事もない様子に真理は自分が疲れていることを確認して、思いきり苦笑する。
そう…余りにも色々とありすぎたのだ、疲れるほど。
だからこそ、暫く仕事をいれずに休息を取ろうと友人を誘って中華街に来た。
自分は疲れているのだから、錯覚したに違いないと雑踏を眺めながら真理は物憂げにため息をつく。しかし……

「……長い夜になりそうね」
言い知れぬ不安を隠しきれず、そしてそれを見せたくない相手がここにいないことに胸をなでおろしながら真理は、深くため息をついた。

休息が余りにも短いものに終わってしまうとは、真理はまだ思っていなかった。


http://www.freepage.total.co.jp/DeepBlueOcean/canrei.htm [ No.187 ]


TheEndofHoliday

Handle : ”LadyViorett”我那覇 美加   Date : 99/09/26(Sun) 02:13
Style : カブト◎=カゼ●=カブトワリ   Aj/Jender : 28/female
Post : フリーのカブト/元”麗韻暴”二代目頭の兼業主婦


シルバーレスキューが生存者を回収し、辺りはいつも通りの中華街の喧騒に戻っていった。
 その様子をながめていてIANUSのコール音で我に返る。
その回線は仕事用へとかかってきている。
「はい、”Viorett”です。」
その言葉には一切感情が篭っていない。
「・・・・わかりました、それでは今から合流します。」

バイクを近くの駐車場に止め、トランクから黒いコートを取り出し身に纏う。
 「・・・ツイてないわね、こんな時に仕事なんて。」
ぽつりとつぶやいてコートの内ポケットの中身を確認し、
バイクのサイドに下げていたショットガンとクリスタルシールドをコートの中に隠す。
 そしてミラーシェードをかけて中華街の中へと消えていった

 [ No.186 ]


少女が変わる刻

Handle : 日向あきら   Date : 99/09/26(Sun) 00:37
Style : カタナ◎●チャクラ バサラ   Aj/Jender : 16歳/おんなのこ
Post : フリーランス


食事を終わって、ふと、一息ついた時。
ポケットロンが、鳴った。本当なら何気ない事。だが、この時は事情が違った。メロディーが“ミッキーマウスマーチ”。これは、合図。あきらが、変わるためのきっかけ。マーチの明るいメロディーとは裏腹に。
「…あきら、用事ができたの。じゃ」
さっきまでとは、まったく違ったそっけない口調。でも、それこそが彼女の本質。子供の仮面に隠されてきたモノ。
彼の制止も、あきらの耳には届かない。
(和知姉さんの依頼だ!なんだろう!楽しみだな〜)
昏い微笑を浮かべながら、あきらはそこを後にする。彼女は今しがたのポケットロンの相手の彼女の顔を思い浮かべつつ足早に歩き出す…。

【日向あきら、中華街から退場いたします】

 [ No.185 ]


ヨコハマ中華街シナリオ第2話 「Fly Me to the Moon」

Handle : バージニア・ヴァレンタイン   Date : 99/09/24(Fri) 20:52
Style : ?   Aj/Jender : ?/女
Post : ?


「私を月に連れていって。」
空軍のパイロットだった祖父の「どこに行きたい?」という問いに当時6歳だった私はそう答えた。
まわりの親戚連中は大いに笑い。
祖父は「高くつく女になるぞ。」と意味不明な事を言った。
月へ行く事がどれだけ大変かなど、まだ幼く可憐だった私に解るはずがないというのに、まったく失礼な親戚どもだ。
ちなみに私は今でも若く可憐だし、さらに麗しいという形容を付け加えておく。
話がそれた。
とにかく、幼いなりに私は真剣に答えたつもりだったので、皆のあまりな態度に激しく憤慨し(腕をバタバタと振り回し)、一生懸命抗議した(ベソをかいた)。
そんな様子を見て祖父は責任を感じたのか、なだめるようにこう言った。
「私の小さなバーニィ。そのピュアな気持ちを大切にしなさい。この世界は不思議であふれているよ。」
「いつか願いを叶えてくれるおまえだけの魔法使いがきっと現れるはずだ。月へはその人が連れていってくれるよ。」
そう言ってやさしく私の頭を撫でた。
大好きだった祖父が、演習中の事故でこの世を去ったのは、それから1週間後の事だった。
以来、フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーンという言葉は私にとって神聖で、とても大切な言葉になったのだ。

バージニア・ヴァレンタイン17歳の日記より

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


・・・千早重工内ESP研究所・・・

「特異点反応だと?」
公的には存在しないこのセクションの管理部長をつとめる、セバルクレイヴ・グロンは“ノーフェイス”とあだなされる無表情をわずかに歪めた。
報告に来た若い研究員が怯えたようにあとずさる。
「か・・監視中の“パワー”のものではありません。まったく新しいパターンです。」
「数値は?」
「流動的ですが、6500GA(ギガアゼル)を記録しました。・・・熾天使級です。」
「・・・・」
「もしかして・・・あのアラストールが・・」
「だまれ。その判断を下す事はおまえの仕事ではない。」
沈黙に耐えかね、口を開いた研究員を冷たく制すると蔑みをふくんだ一瞥をくれた。
「どこだ?」
「は?」
「反応があった場所はどこかと聞いているのだ。」
「は・・はい!」
緊張し、あたふたと答えようとする若者の姿に嘆息する。
しかし、彼は半ば答えを予想していた。
イヤな予感がしたのだ。
その予感が指し示す場所は・・・
「東京NOVAヨコハマ地区・・・」
「ヨコハマLU$T中華街です。」
「・・・」
「長い夜になりそうだな。」
あらためて嘆息すると眼下の夜景に目を向けた。

 [ No.184 ]


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