俺は銃をかまえている黄よりも速く、引き金を引いた。
「大哥……」
不意に手に現れた黒星にあっけにとられたまま、黄は額を撃ち抜かれ、背後の床に脳漿をまき散らした。
「やっちまった……」
つぶやいたのは、邑守だった。
「あんた、どうするつもりだ。てめえの仲間をやっちまって」
「椎原さん……」
葉子の声も、邑守の声も、俺の耳には届いていない。ただ黄の死体を見下ろし、俺は人形のようにただ突っ立っていた。
黄を殺した。俺の運命はその瞬間に決まったようなものだった。黄の死が分かった時には、俺は歌舞伎町から消えることになる。そしてもう二度と、この地上には戻ってこれないだろう。
脳裏にはりついたままの、邑守の言葉が、俺の中で繰り返される。
いったん死ぬ。
死ぬ……。
「お、おい! なにするんだ!」
「椎原さんっ」
俺は、銃口を自分のこめかみに当てていた。
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